『モダンホライゾン』に望むこと

Brandon Ayers

Translated by Ryosuke Igarashi

原文はこちら
(掲載日 2019/04/02)

はじめに

マジックの象徴的なフォーマット、モダンを取り巻く興奮は過去最大級だ。ミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019はまもなく開催されるし、そこでは新たなマリガンルールが試される。だが最も重要なこととしては、モダン用のセット……『モダンホライゾン』が発売されることだろう。この新たに発表されたセットはまさに唯一無二だね。新たにデザインされたカードと、新たにモダンでリーガルになる昔のカードの両方をフィーチャーする、初のセットなんだ!

これだけ多くのプレイヤーがグランプリに参加していることを考えると、どうやらみんなモダンを遊び足りないみたいだ。デッキを構築するための広大なカードプールがあり、そしてお気に入りのデッキもローテーションすることはない、そんなフォーマットに嫌いなところなんてあるかい?

弧光のフェニックス這い寄る恐怖精力の護符

今のモダンはイゼットフェニックスやドレッジ、アミュレットタイタンに支配されている。この偏ったメタゲームのせいで、デッキの多様性を広め、フォーマットの健全性を保全するため、《信仰無き物あさり》が禁止されるんじゃないか……と多くのプレイヤーは予想していた。

その一方、ウィザーズは禁止リストに手を加えようとしなかったんだ。2019年6月14日、『モダンホライゾン』の発売によりメタゲームに波風を立てることになるから、何も禁止にしないのが一番だと考えたのだろう。

さて、『モダンホライゾン』がモダンに与えうる、いい影響について簡単に述べてきた。ここからは再録されてほしいカードを予想し、その理由を述べていこうじゃないか!

『モダンホライゾン』で再録されてほしいカード5選

5位:《日を浴びるルートワラ》 / 《ワイアウッドの共生虫》 / 《陰謀団の貴重品室》 / 《敏捷なマングース》

日を浴びるルートワラワイアウッドの共生虫陰謀団の貴重品室敏捷なマングース

5選とは言ったが、ズルしてコモン・アンコモンのまとめから始めようじゃないか。これらはスタンダードにいた期間は非常に多くプレイされていたカードだし、それはレガシーでも同様だ。モダンや『モダンホライゾン』リミテッドで、再びこれらのカードを軸にデッキを組めたら素晴らしいことだろうね。

復讐蔦適者生存遺産のドルイドエルフの大ドルイド

概して言えば、《日を浴びるルートワラ》のようなカードがモダンに居場所があるとは思っていない。だが、《復讐蔦》がいる今、程よい効果に調整した《適者生存》のようなカードが将来のスタンダードで登場したら、たちまち一転するだろうね。

《ワイアウッドの共生虫》のようなカードはモダンのエルフに必ず採用されることになるだろう。クリーチャーによるコンボ、という脆弱な戦略を守ることができるのだ。

どんなコモン・アンコモンが再録され、どのようなデッキがそれを利用するのか……楽しみで仕方ないよ。

4位:《トーラックへの賛歌》

トーラックへの賛歌

僕は《トーラックへの賛歌》は素晴らしい再録だし、モダンでも健全なカードだろうと思っている。いつでも使われるようなカードかどうかは疑っているしね。

だが、ジャンドやアブザンのような、ミッドレンジデッキにとっては待望のカードだろう。モダンにおいて、これらのデッキがコントロール相手に互角に戦えるようになるかもしれないし、愛しきミッドレンジ戦略が待ち望んでいた、カードアドバンテージを得る手段となるだろうね。

3位:《ダク・フェイデン》

ダク・フェイデン

《ダク・フェイデン》は『モダンホライゾン』でフィーチャーするのに完璧なカードだ。彼は引っ張りだこの神話レアだからね。

青マナと赤マナの両方を要求するため、彼を使えるデッキは幾分か絞られてくる……グリクシスコントロールやグリクシス《死の影》、イゼットフェニックスだ。モダンが生まれてから、アーティファクトを中心としたシナジーデッキは流行を続けていた。3マナで、《古きものの活性》デッキに干渉するプレインズウォーカーがいることは、モダンの健全性のためにもいいことだろう。

2位:《封じ込める僧侶》

封じ込める僧侶

《封じ込める僧侶》は2位にランクインだ。フォーマットのバランスを取る際、再録が与えうる影響の見本となってくれるからね。うまくいけば、『モダンホライゾン』のような専門のセットが今後も発売されるかもしれない。

ズルしてクリーチャーを戦場に出す、墓地利用デッキにモダンが支配されている現在、《封じ込める僧侶》は素晴らしい再録だ。《弧光のフェニックス》《秘蔵の縫合体》のどちらにも対処できる、というのは非常に大切なことだし、全ての白を基調としたクリーチャーデッキ(人間、デス&タックスやスピリット)には必ず採用されることになるだろう。

1位:《対抗呪文》

対抗呪文

歴史的なマジック:ザ・ギャザリングのカードというと、真っ先に思いつくのが《対抗呪文》だ。マジックでの「青」という色を象徴する、素晴らしいカードな上に、旧スタンダードや今はなきエクステンデッドで、《対抗呪文》を唱えていた全てのマジックプレイヤーにとっては懐かしいカードだろう。

だが、モダンにおいて、《対抗呪文》が大きな影響を及ぼすとはあまり思えない。青を基調としたコントロールデッキにおいて、《論理の結び目》《マナ漏出》の枠に入ることにはなるだろうけどね。

『モダンホライゾン』で再録されてほしくないカード

《剣を鍬に》 / 《目くらまし》

剣を鍬に目くらまし

これらのカードは、単にモダンでは強力すぎるだろう。どちらもレガシーで4枚積みされているようなカードだ。非常に効率がいい上に影響が大きく、そのうえデッキの構築には制限が少ない、という正当な理由のもとにね。どちらかが『モダンホライゾン』で再録されたらショックだろうね。

《もみ消し》

もみ消し

《もみ消し》は、デザイン上ただ強力すぎるなんてことはないが、ほとんどのモダンのデッキはフェッチランドを採用していることを考慮すると、話が変わってくる。《もみ消し》の存在によって、フェッチランドの最適な使いかた、なんてのは完全に歪んでしまうだろう。相手が青を1マナ払って、するとこちらは土地を失う……そんな可能性があるなんて恐ろしいね。ウィザーズ・オブ・ザ・コーストが近いうちに、こんな災いを呼び起こすことはないと思っているよ。

選外佳作

《リシャーダの港》 / 《名誉回復》 / 『オンスロート』のサイクリングランド

リシャーダの港名誉回復隔離されたステップ

先程の『モダンホライゾン』で再録されてほしいカードでは5つしか述べなかったが……際どいラインの選外佳作も含めておきたい。これらは強力なカードだが、モダンの枠を超えてはいないと思っている。この古き良きカードのいずれかが『モダンホライゾン』で再録されたとしても、驚かないだろうね。

壌土からの生命突撃の地鳴り霊気の薬瓶貴族の教主

まず、『オンスロート』のサイクリングランドだ。これらをデッキに採用するのは難しくないだろう。もしサイクリングランドがモダンに参入したら、《壌土からの生命》《突撃の地鳴り》といったカードをより頻繁に見ることになるかもしれない。《リシャーダの港》《霊気の薬瓶》との組み合わせにより、デス&タックスで素晴らしい働きをしてくれると思う。

さて、最後になるがこれも大事だ……《名誉回復》はアブザンなど白黒系のミッドレンジにおいて、まさにスターだろう。《貴族の教主》のようなカードを採用し、2ターン目に相手の土地を爆破!なんてこともあるかもしれない。

まとめ

『モダンホライゾン』はモダンというフォーマットの記念碑になると思っている。自分としては、今後数年間モダンでどんな素晴らしいカード(古いカードも、新しいカードもね)を見ることができるのか……気になってたまらないよ。

プレビューシーズンが楽しみだ。『モダンホライゾン』の新しく、わくわくするようなカードを確認するため、何度もF5を連打することになるだろう。君もそうだといいな。

ブランドン・エアーズ@Ayersrares

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Brandon Ayers ブランドン・エアーズは、熟練した腕を持つアメリカのプロプレイヤー。グランプリTOP8に複数の入賞経験があり、ゴールドレベルを維持している。2017-2018シーズンでは、プロツアー『ドミナリア』とマジック25周年プロツアーで安定した成績を残し、来シーズンもゴールドレベルが確定している。同じ街の親友でありチームメイトでもあるジョン・ロルフと共に、2018-2019シーズンにHareruya prosに加入。 Brandon Ayersの記事はこちら