モダンの簒奪者、ケイヤ

Dmitriy Butakov

Dmitriy Butakov

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/04/05)

はじめに

みなさん、ごきげんよう。

楽しみなモダンの大会が間近に控えている時期だ。今回は、モダンで可能性を秘めた「とあるカード」を紹介しよう。そのカードとは、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》だ。

オルゾフの簒奪者、ケイヤ悪鬼の血脈、ティボルト

このカードが公開されたとき、(私を含む)大半のプレイヤーは「新たな《悪鬼の血脈、ティボルト》」だと思っていた。軽量のプレインズウォーカーであり、明らかに役に立たなさそうな3つの能力を持っていたからだ。しかしスタンダードでは、エスパーコントロールで採用されることもあり、青単の1マナクリーチャーを裁くものとして、あるいは3ターン目から相手の首を絞めていく脅威としての役割を担うようになっている。

ところが、モダンになると《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》のポテンシャルは更に大きなものとなる。私自身も《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》をタッチした青白コントロールを使い、Magic Onlineのリーグで4-1を繰り返しており、非常に調子が良い(忘れてはならないのは、Magic Onlineのメタゲームはグランプリやミシックチャンピオンシップと少々異なるということだ。5回戦やった場合、イゼットフェニックス、ドレッジ、ドレッジ、5色人間、トロンのような当たり方を必ずしもするわけではなく、呪禁オーラ、感染、青単トロン、ポンザ、マーフォークといった当たり方もすることがある。マーフォークは私のお気に入りで、それぞれ異なるプレイヤーに1日で2度も5-0を阻まれた)。

エスパーコントロール

オルゾフの簒奪者、ケイヤ精神を刻む者、ジェイスドミナリアの英雄、テフェリー

以下に掲げたデッキリストは今現在私が使用しているものであり、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》を有効活用できるアーキタイプのひとつだと考えている。打ち消し呪文やサイドボードを微調整している段階ではあるが、完成形にほど遠くないところまでたどり着いているように思う。

今回の記事は、黒をタッチする価値があることに焦点を当てている。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》がモダンで人気のデッキに対してどんな影響を与えうるのかを見ていくのだ。

サイドボードガイドは不要だろう。大抵の場合、何を入れ替えれば良いのかが非常にわかりやすいからだ。特定のマッチアップでのサイドボードが知りたい方は、Magic Onlineのチャットなどで尋ねてほしい。このデッキを見限っていなければ、できるだけ早くお答えする。

イゼットフェニックス

氷の中の存在弧光のフェニックス

従来から青白コントロールにとって相性の悪くない相手だった。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》の+1能力が輝きそうなマッチアップではあるが、それによって相性が良くなったとは言えない。1ゲーム目では相手の虚をつけるだろうが、3ターン目に黒マナを探し出し、使えるようにするにはライフを失うことがあり、それが痛手となるのだ。また、サイドボード後には《血染めの月》の存在を考えたプレイをしなければならない。1ゲーム目は若干改善されるが、全体の相性が劇的に変わることはないと言えるだろう。

能力の用途

ドレッジ

臭い草のインプ秘蔵の縫合体這い寄る恐怖

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》が突出した活躍を見せるマッチアップ。ドレッジの墓地を洗浄しつつ、《這い寄る恐怖》によるライフ損失を補ってくれるのだ。非常に強力な初動をする場合は例外だが、基本的にドレッジは墓地がしっかりと整わなければ、十分に機能しないデッキである。相手が墓地の状態を整えようとしているところで、3ターン目に墓地から2枚もパズルのピースを追放できれば速度を大幅に低下させることができるだろう。ただ、「奇跡」の《終末》など盤面を落ち着かせられる術があるのなら、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》はその後にプレイするようにしよう。

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》がいれば、サイドボードに《安らかなる眠り》を採用しなくてもよくなる。ところが、ドレッジのプレイヤーがこちらのデッキリストを正確に把握していない場合、《自然の要求》を入れようと思うだろう。これがちょっとしたひっかけになるわけだ。

《発明品の唸り》プリズン、ランタンコントロール、スロットマシーン

発明品の唸り洞察のランタン類似の金床

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》《オパールのモックス》を使うデッキに対して非常に有効であり、何度も使い回されるコンボパーツを墓地から追放できる。そして、-1能力は相手のアーティファクトの半分を対象にできる(最重要なアーティファクトは対処できないが)。一度着地してしまえば、彼女は多岐にわたる役割を果たしつつ、同時に勝利条件ともなる。あなたは少しサポートしてやるだけで良い。《発明品の唸り》プリズンが数を増やしてきたことを踏まえれば、このデッキに対して相性が良いとデッキとしての評価が上がる。

能力の用途

《死の影》

死の影グルマグのアンコウ

黒をタッチしたことで相性が多少良くなったと考えられる。《死の影》デッキは、採用しているカードのマナコストがどれも軽く、なおかつ元来青白コントロールが得意としている打ち消し呪文やドローをあまり意に介さないデッキである。

対して《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》《死の影》を追放し、ときには《グルマグのアンコウ》の着地を遅らせ、《瞬唱の魔道士》《タルモゴイフ》を十分に機能させない、こういったことをすべて達成しつつ対処しなければならない脅威として盤面に残る。

能力の用途

《硬化した鱗》

硬化した鱗電結の荒廃者歩行バリスタ

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》が大きな役割を果たす相手がここにもいる。今回は-1能力が主に使用するモードとなり、相手のほぼすべてのカードを最大で3回も除去できるのだ!相性は以前から良かったが、今や気をつけるべきカードは《電結の荒廃者》だけになった。こいつだけ念頭に置いてプレイできれば、非常に有利に戦える相手だ。

能力の用途

青白コントロール

精神を刻む者、ジェイスドミナリアの英雄、テフェリー瞬唱の魔道士

以前の経験から言えることだが、コントロールミラーでは1本目にできる限り積極的に攻めていくプレイが好みだ。こちらの方が脅威の数が多いため、プレインズウォーカーを毎ターン唱える戦術は上手くいくことが多い。青白コントロールと一口に言っても、多様な種類がある。《糾弾》《残骸の漂着》などを採用したアグロデッキを意識したタイプのものは、あっさりと倒すことができるだろう。

対して、軽量の打ち消し呪文やドロー呪文を採用した、遅い展開を意識しているタイプの方が問題になりやすい。手札次第では明確にプレイの道筋が見えないこともあるだろうから、そういう場合にはオールインのプレイも選択肢に入れよう。《ヒエログリフの輝き》を唱えるために、あたかも打ち消し呪文を構えてるようなポーカーフェイスをしてくることもある。ミラーマッチにおいて積極的な攻めの姿勢を見せ、マナベースから受けるライフ損失を気にしないコントロールデッキは、タッチ黒の恩恵にあずかれると思う。

能力の用途

緑トロン

解放された者、カーン絶え間ない飢餓、ウラモグ世界を壊すもの

タッチ黒が裏目に出てしまう相手である。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》があまり影響を与えないマッチアップであり、黒マナを確保するためにトロンに対する最善策である《廃墟の地》などの特殊土地を不採用にしているからだ。

しかし全体的な戦略はトロン相手でも変わらない。隙を見てプレインズウォーカーをプレイし、彼らを守ることだ(《精神を刻む者、ジェイス》がベストだ。+2能力は勝利につながるものであり、同時に相手を抑え込む手段にもなる)。

精神を刻む者、ジェイス

プレインズウォーカーを守るといったが、トロンには非常に限られた数の脅威しかない。《解放された者、カーン》《精霊龍、ウギン》《歩行バリスタ》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》ぐらいだろう。《ワームとぐろエンジン》は戦場に出たときに効果が発生するものではないため、対処方法はいくらでもある。

プレインズウォーカーを軸にしたゲームプランの欠点は、本来は使い道の少ない《忘却石》を恐ろしいカードにしてしまうことだ。私は青白コントロールもトロンもあまり使ったことがないため、黒をタッチしない場合の相性がどうなのか詳しく知らないが、おそらくサイドボード前が不利で、サイドボード後は互角といったところだろう。黒をタッチした私のタイプも対策がいくらかあり、《石のような静寂》に期待がかかるが、それでもトロンとの相性は良くないと考えている。

能力の用途

5色人間、スピリット

霊気の薬瓶貴族の教主教区の勇者

この2つのデッキが異なるものであることはわかっているが、共通点も多いため、まとめて解説する。このマッチアップは、黒をタッチしたことで相性が若干改善されていると思う。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》は、打ち消し呪文や《ヒエログリフの輝き》などの呪文の代わりに採用したものであるが、元々入っていた呪文は《霊気の薬瓶》を使う部族デッキに対してとても弱いのだ。

終末

ここで重要なのは、タッチ黒が効いてくるのが、相手の第一波を対処できたときだけということだ。もし「奇跡」コストの《終末》や複数の《流刑への道》を唱えられれば、《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》《教区の勇者》《貴族の教主》を除去し、その後《貴族の教主》《帆凧の掠め盗り》の攻撃を受けても生き残ることさえ可能だ。さらに、-1能力を使えば《霊気の薬瓶》を追放できる。4ターン目以降であっても、《霊気の薬瓶》があれば《終末》を唱えた後にすぐにクリーチャーを展開されるため、非常に厄介な存在なのだ。

いずれのデッキも純正の青白コントロールにとって分の悪いマッチアップだが、ドレッジやプリズンデッキが台頭してきたことで、5色人間もスピリットも数を減らしてきているのは良い兆候だ。

能力の用途

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》を使えるその他のアーキタイプ

《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》を他のデッキで使うとすれば、白黒トークン、エルドラージタックス、アブザンミッドレンジだ。今現在、白黒トークンはあまり人気でないが、《オーリオックのチャンピオン》をメインデッキに4枚採用しているデッキが非常にマッチしたメタゲームもあるだろう。

エルドラージタックス

オルゾフの簒奪者、ケイヤスレイベンの守護者、サリア難題の予見者

Star City Games Invitational Qualifierで決勝まで進出した面白い構築があった。

3マナ域が過剰のようにも思えるが、《霊気の薬瓶》があるため1ターンに2体のクリーチャーを展開できるようになっている。《霊気の薬瓶》デッキはとても好みだが、墓地を活用する戦術に対して上手く干渉できない性質を持っているため、これらのデッキが全盛期ほどの勢いがあるようには思えない。しかし、白黒というカラーリングであればドレッジなどへの最高級の対策を用意できる。また、《氷の中の存在》の変身を妨害する手段も豊富に用意されている。

アブザンミッドレンジ

オルゾフの簒奪者、ケイヤヴェールのリリアナタルモゴイフ

もうひとつの選択肢としては、冒涜とも言えるような行動だが、アブザンミッドレンジで《ヴェールのリリアナ》を4枚フルで採用しないことだ。《ヴェールのリリアナ》《弧光のフェニックス》やドレッジに対して平凡な働きしか期待できず、どちらもモダンで人気がトップのデッキだ。《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》《タルモゴイフ》と相性が良くないが、自分自身の墓地だけでも多様なカードタイプを揃えられるはずだ。

3月23日、私は以下のデッキリストでモダンのFORMAT PLAYOFFSに参加した。ドレッジや《弧光のフェニックス》《発明品の唸り》プリズンに相性が良いことを証明する結果となったが、(ほとんど勝てる見込みのない)トロンに2回も当たってしまい、3-3でドロップした。3勝はプリズン、《弧光のフェニックス》、ドレッジから勝ち取ったものだ。

ぜひみなさんも今回の内容を参考にしていただければと思う。

お付き合いいただきありがとう。ではオンラインで。

ドミトリー・ブタコフ

この記事内で掲載されたカード

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Dmitriy Butakov

Dmitriy Butakov ロシアのプレイヤー。Magic Onlineを主戦場としており、オンラインプレイヤーの中で最強を決める大会である2012 Magic Online Championshipで優勝、翌年の2013 Magic Online Championshipでもトップ4に入賞して注目を浴びる。 2018年には2017 Magic Online Championshipで2度目の優勝を果たし、名実ともにMagic Online上で最強のプレイヤーとして堂々たる実績を残すと同時に、優勝の特典でプラチナレベル・プロとなる。こうした実績が認められ、2018年3月にHareruya Prosへと加入した。 Dmitriy Butakovの記事はこちら