Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/04/12)
グルールデスチェインでミシックへ駆け上がれ!
ここしばらく、3本勝負のスタンダードによるプレミアイベントがありませんでしたね。メタゲームがどうなっているのか、MTGアリーナでミシックランクになるには何を使えば良いのか、みなさんお悩みではないでしょうか?そんなみなさんに朗報です。本日はミシックランクに到達するためのデッキをご用意しました。その名もグルールデスチェイン!
グルールの魅力は、個人的に環境で最強だと思っている3マナと4マナ域のクリーチャー、すなわち《グルールの呪文砕き》と《再燃するフェニックス》を使用した能動的なデッキであることです。そこに強力な除去も加わりますから、みなさんのカードコレクションがTier1になるのも、そう難しくないでしょう。
現在のスタンダードに存在する赤と緑のカードには、使用に値するカードが豊富にあります。つまり、デッキ構築という観点でいえば、その組み上げ方も多岐に渡るのです。ですが、グルールを使うにあたっては、「ある重大な決断」をしなければならないと考えています。それは、「《ゴブリンの鎖回し》を使うかどうか」です。
この判断次第で、マナベースの構築に大きな違いがでます。《ゴブリンの鎖回し》を採用したタイプは、アリーナで人気の白単ウィニーや赤系アグロなどに対して優位ですが、エスパーコントロールや《運命のきずな》デッキ(ネクサス)への勝率をいささか犠牲にすることになります。私や友人は、以下の《席次》と《ゴブリンの鎖回し》のコンボを搭載したグルールデスチェインを使用し、MTGアリーナで非常に高い勝率を出すことに成功しました。
4 《血の墓所》
4 《踏み鳴らされる地》
1 《草むした墓》
4 《根縛りの岩山》
2 《グルールのギルド門》
4 《手付かずの領土》
-土地 (25)- 4 《成長室の守護者》
2 《凶兆艦隊の向こう見ず》
2 《リックス・マーディの歓楽者》
4 《ゴブリンの鎖回し》
4 《グルールの呪文砕き》
4 《再燃するフェニックス》
3 《スカルガンのヘルカイト》
-クリーチャー (23)-
カード選択、デッキの基本
グルールの構築において最大の焦点となるのは、2マナ域に何を採用するかです。3マナ、4マナ、5マナ、そして除去にどんなカードを使うのかは、さほど議論の余地がありません。違いが出るとすれば、《スカルガンのヘルカイト》ではなく《包囲攻撃の司令官》を採用し、白単ウィニーや赤系アグロとの相性を改善することぐらいです。
2マナ域の候補に挙がるのは、《凶兆艦隊の向こう見ず》、《成長室の守護者》、《クロールの銛撃ち》、それから《茨の副官》です。このデッキは基本的に赤が濃いデッキですから、ぜひとも赤か、クリーチャータイプが戦士のものにしたいですね。
補足しておきますと、《マーフォークの枝渡り》のようなカードは、このマナベースでは機能しません。ただ、《ゴブリンの鎖回し》ではなく《軍勢の戦親分》に重点を置いたようなタイプであれば、採用しても問題ないでしょう。
私が使うべきだと唯一確信している2マナ域は、4枚の《成長室の守護者》です。《凶兆艦隊の向こう見ず》も少なくとも2枚は欲しいですし、もっと枚数を増やしても良いかもしれません。
デスチェインコンボ
《ゴブリンの鎖回し》と《席次》のコンボは、スタンダードでは他に類を見ないものになっているため、多くの相手の不意を突くことが可能です。《ゴブリンの鎖回し》の能力がスタックにある状態で《席次》を唱えるだけで、簡単に相手のクリーチャーは全滅してしまいます。
デッキリストをご覧の通り、《石像》を唱えるための黒マナ源を少しばかり採用しています。《石像》は、《実験の狂乱》や《荒野の再生》、《議事会の裁き》、《アズカンタの探索》といったカードに対して大きな価値を持ちます。
黒マナを採用するのであれば、《リックス・マーディの歓楽者》を2枚採用しても悪くないと思います。このデッキは非常にパワフルかつ、マナを多く必要としますからね。《リックス・マーディの歓楽者》はデッキの動きをスムーズにするという大役を果たしますが、2マナ2/2に過ぎず、デッキ内でもっとも弱いカードであるのは明々白々です。何か別のカードを入れたいのであれば、真っ先に抜く候補に挙がるカードでしょう。
《リックス・マーディの歓楽者》の能力で何を手札から捨てるのか、その判断が難しいときもありますから、デッキを使い込んでいくことが重要です。手札から捨てたいカードがないときは、《リックス・マーディの歓楽者》を唱えないでおくことが正しいこともよくあります。それがこのカードの主な弱点のひとつですね。
2枚の《リックス・マーディの歓楽者》の枠に、《凶兆艦隊の向こう見ず》を2枚追加する方が良い可能性はありますが、それは時が経てばわかることでしょう。この2枚の枠はメタゲーム次第ですから、随時調整することをおすすめします。
プレイするにあたって知っておくべきこと
さて、デッキの概要も解説し終わりましたので、ちょっとしたアドバイスをお話ししましょう。
《席次》の相棒たち
《席次》は接死を付与できるので、《凶兆艦隊の向こう見ず》や《ゴブリンの鎖回し》の先制攻撃とも相性が良いことを覚えておきましょう。《スカルガンのヘルカイト》の起動能力ともコンボを形成しますね。
25枚目の土地をサイドアウト
このデッキの土地は25枚ですが、後手のときに24枚にすることも十分に考えられます。消耗戦やカードアドバンテージによる争いになる場合ですね。サイドボーディングをする際には、留意しておきましょう。
《グルールの呪文砕き》のモード選択
《グルールの呪文砕き》の能力でどちらのモードを選ぶべきか迷ったら、相手がアグロデッキであれば+1/+1カウンターを乗せ、コントロールデッキであれば速攻を付与することが大抵は正しいです。とはいえ、常に状況によって左右されます。相手が除去を持っていると思うのであれば、3/3速攻にし、除去される前に3点のダメージを与えた方が良いでしょう。
《成長室の守護者》の運用
《成長室の守護者》をプレイする際には、数ターン後まで計画しておくことが重要です。今後数ターンの間にマナの用途があるならば、《成長室の守護者》ではなく、他の呪文を唱えた方が良い可能性があります。このクリーチャーは相手に除去を迫ることが多いため、それを利用することによって相手の行動を多少なりともコントロールすることが可能です。また、《成長室の守護者》の能力をアップキープに起動すれば、別の《成長室の守護者》を引く確率を低下させることができるので、ひとつのプレイとして覚えておくと良いでしょう。
相手が《成長室の守護者》の能力起動に除去を合わせようとしているなら、起動を見送ることも視野に入れましょう。たとえば、相手のターン終了時に能力を起動せずにターンをもらい、自分のターンに2回起動できるようにするのです。相手の除去が1枚しかなければ、後続の《成長室の守護者》をサーチできますから、相手のターン終了時にまんまと除去をもらってしまうより優れたプレイングとなります。
私は相手の《成長室の守護者》をすぐに除去する方が良いと思っています。適切にプレイしてくる相手に対して、「能力の起動にスタックで除去してやろう」と考えると、自分の立場が非常に危ういものになりかねないことも多いのです。都合の良いタイミングで相手が能力を起動してくれるだろうなどと期待せずに除去し、相手の選択肢を減らしましょう。決して「気持ちよくなろう」としてはいけません。
《成長室の守護者》が活躍するのは、リソースの削り合いや、ロングゲームになるときです。真価を発揮するにはターン数を要するカードであるため、攻撃的なデッキに対しては価値が下がります。
《手付かずの領土》で黒マナを確保
《手付かずの領土》でクリーチャータイプ・人間を選択すれば、《リックス・マーディの歓楽者》の「絢爛」に必要な黒マナ源を確保することができます。とはいえ、戦士を選択することがほとんどですけどね。
除去の枚数
《ショック》は、先手よりも後手のときの方が真価を発揮します。これは、このデッキに採用されている除去に共通して言えることです。ですから、先手とは異なり、後手では除去を多めにすることが多いですね。後手であれば、守勢に回る展開になる可能性が高いと考えられるためです。
サイドボードガイド
では続いてサイドボードについて解説していきます。
赤系アグロ
対 赤系アグロ
相性は互角といったところです。除去を積極的に使うようにし、継続的なダメージ源となるクリーチャーをさばいていきましょう。相手が《実験の狂乱》ではなく《危険因子》を使ってくるようであれば、《席次/石像》を抜いてしまって構いません。
《凶兆艦隊の向こう見ず》は、相手の《舞台照らし》を唱えらえるという大きなメリットがあります。もっとも、先制攻撃で相手のクリーチャーを止めるためだけに展開してしまうこともあるんですけどね。展開するか否かは、相手の手札に《ゴブリンの鎖回し》がいる可能性があるかどうかの判断次第です。このマッチアップにおいては、4/4の《グルールの呪文砕き》がベストカードとなります。赤のデッキは、4点ではなく3点ダメージを与える呪文で構成されていますからね。
《再燃するフェニックス》も活躍が期待できる1枚ですね。理論上は好ましくないブロックに思えるかもしれませんが、《ゴブリンの鎖回し》をブロックするタイミングも多いのです。《ゴブリンの鎖回し》は先制攻撃を持っているので、相手は100%攻撃してきます。攻撃を通して3点ダメージをもらうよりも、0/1のエレメンタル・トークンにリソースを使わせるようにしましょう。ただ、ブロックするかどうかは、ゲーム展開に大きく左右されます。残念ながら、簡単で手っ取り早い判断基準はないですね。
白単ウィニー
対 白単ウィニー
《ゴブリンの鎖回し》をすぐに唱えたくなる気持ちもわかりますが、そこはぐっとこらえて《席次》とのコンボを狙うようにしましょう。
白単ウィニーとの相性も互角であり、しっかりとしたプレイングが要求されます。相手の序盤のクリーチャーを対処し、《敬慕されるロクソドン》を早々に唱えられてしまう展開を避けるようにしましょう。
このマッチアップでのベストカードは《再燃するフェニックス》であり、相手の最善の解答は《議事会の裁き》となります。そこでエンチャントを破壊できる《ビビアン・リード》に出番が回ってくるわけです。《ゴブリンの鎖回し》は2番目にベストなカードとなります。
なぜ1番でないかと言いますと、相手のクリーチャーは強化されてタフネスが1でなくなってしまうケースも多く、「死後」を持っていたりするからです。だからこそ、クリーチャーが強化された場合には、《ゴブリンの鎖回し》を唱えず、《席次/石像》を引く可能性に賭けることが最善の選択となる可能性があるのです。
ただ、《ゴブリンの鎖回し》と《凶兆艦隊の向こう見ず》が並べば、多大な先制攻撃ダメージを与えることができるため、通常の戦闘ダメージが与えられる前に《ベナリアの軍司令》を打ち倒すことが可能です。
注意:《グルールの呪文砕き》が戦場にいる際に《不可解な終焉》を《ビビアン・リード》や《石像》で破壊しても、それが自分のターンであれば3/3の恐竜・トークンを手にすることができません。《不可解な終焉》は、相手があなたを対象とする必要があるため、《グルールの呪文砕き》の能力がそれを妨害してしまうのです。
青単
対 青単
とても相性の良いマッチアップです。ここでのベストカードは、《再燃するフェニックス》と《大嵐のジン》を対処できる《溶岩コイル》です。青単は劣勢の状況で力を発揮できるタイプではないため、こちらが積極的に攻めていく展開もあります。
エスパーコントロール
対 エスパーコントロール
再び互角の戦いになります。《成長室の守護者》が非常に活躍するため、能力を起動する前に除去されないようにしましょう。すぐに唱えないことがポイントです。《凶兆艦隊の向こう見ず》も同様で、上手く活用できるタイミングを見計らって展開することが重要となります。
補足:《稲妻の一撃》は、サイドボード後も4枚入れたままにします。相手がサイドインしてくる《人質取り》を対処するためです。
ネクサス
対 ネクサス
1ゲーム目は相性が悪いですが、サイドボード後は若干相性が良いものとなります。クリーチャーは《根の罠》で丸め込まれてしまうこともあるので、火力呪文はそのままで問題ありません。マナカーブを低いままにし、相手がゲームを落ち着かせようとしているときに火力呪文でとどめを刺すようにしましょう。
グルール
対 グルール
ミラーマッチは、デッキを太くすることに尽きます。空中戦で勝敗が決まることが多いため、《成長室の守護者》は少々がっかりなマッチアップですね。2ゲーム目で相手が《成長室の守護者》をサイドボード後も残してきて、3ゲーム目にこちらが後手の場合には、《ショック》をサイドアウトしないのもひとつの手です。
青緑/緑単 ストンピィ
対 緑単ストンピィ系
先制攻撃を持っている《凶兆艦隊の向こう見ず》は優秀で、《席次》とのコンボを使えば《原初の飢え、ガルタ》のような大型クリーチャーをしとめることができます。守りに徹し、《再燃するフェニックス》や先制攻撃のクリーチャーたちで盤面を固めましょう。空中戦で勝てるような状況になったら攻めに転じていきます。
ただ、《原初の飢え、ガルタ》の存在を忘れないようにしてください。12/12トランプルは盤面の状況に劇的な変化を与えるため、通常は問題とならないようなクリーチャーに火力呪文を使うこともよくあります。そうすれば《原初の飢え、ガルタ》のマナコストは軽減されず、相手は手札に抱えたままになるのです。その時点では盤面の状況が良かったとしても、あまり慢心しないようにしましょう。
イゼットドレイク
対 イゼットドレイク
相性が良いマッチアップです。《溶岩コイル》は《弧光のフェニックス》や《弾けるドレイク》、《奇怪なドレイク》を除去できるため重宝します。《再燃するフェニックス》も非常に頼りになるマッチアップです。《ショック》をサイドアウトしないのは、《ゴブリンの電術師》を対処するためですね。相手の戦略においてカギを握るクリーチャーであるため、通常は即座に除去する必要があります。
さいごに
グルールデスチェインでみなさんが勝てることを祈っています。記事も楽しんでいただけたなら幸いです。《席次》と《ゴブリンの鎖回し》のコンボが揃うと良いですね😊みなさんとMTGアリーナで対戦できる日を楽しみにしています。それではまた次回お会いしましょう。