Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/04/17)
はじめに
私は出来のいい青白コントロールを使うことを楽しんでいますし、いつだってその機会をうかがっています。少し前に行われたグランプリ・タンパベイ2019では、青白コントロールを使い12勝3敗、11位で終えることができました。
Got 11th place in #MtgTampa
— Greg Orange (@orange_greg) 2019年3月17日
UW was pretty nice I suppose
「グランプリ・タンパベイで11位に入賞しました。青白コントロールはとてもいいデッキですね。」
このデッキがモダンで最強だとは思いませんが、特定のデッキを倒せるようなカードが揃っています。現在の仮想敵といえばイゼットフェニックスですから、このマッチアップに少々重きを置いて、デッキを調整しました。タンパベイでは3回当たったものの、どれも勝つことができたので、うまくいったのでしょうね。
青白コントロール
青白コントロールはサイドボード、そしてメインボードも非常に柔軟なデッキです。受動的なデッキなので、環境に応じて試行錯誤し、調整しなければいけません。私は《終末》を入れた型が気に入っていますね。青白コントロールは安定性という面では秀でているものの、他のデッキのようなデッキパワーは持ちあわせていません。
《終末》は安定性を少しばかり犠牲にする代わりに、デッキパワーを大きく向上させてくれます。これを採用することで、この手のデッキが本来は兼ね備えていないはずの「ぶん回り」が起こるようになるのです。相手のターンに1マナで《神の怒り》を唱えられるなんて……それが実現できたら素敵ですよね。
サイドボードガイド
イゼットフェニックス
私は《氷の中の存在》や《弧光のフェニックス》への追加の解答として《糾弾》を1枚、そして《外科的摘出》もメインから1枚採用しています。この2枚だけでマッチアップが有利になるとまでは言い切れませんが、妥当な選択ではあるでしょう。また、最近は《紅蓮術士の昇天》の採用枚数が増えてきているようです。こちらにとって非常に恐ろしいカードですね。
相手はいくつかの異なるプランを擁しているので、サイドボードは少々繊細なバランスの上に成り立つことになります。大量の《弧光のフェニックス》に負けてもいけませんし、《氷の中の存在》や《弾けるドレイク》といったフェアな脅威に打ち勝つためには十分なリソースも必要です。それに加えて、《血染めの月》や《紅蓮術士の昇天》、プレインズウォーカーにも対処しなければいけません。
これらの要因から、このマッチアップではサイドボーディングは控えめにすべきだと思っています。このマッチのポジティブな面として、相手の脅威の枚数が少ないため、こちらの解答よりも先に相手の脅威が尽きることがままあることが挙げられます。
対 イゼットフェニックス
《機を見た援軍》
メインボードに採用しているなら、間違いなく抜くべきですね。
《外科的摘出》
1枚目は素晴らしいのですが、重ね引くほどにリターンが少なくなるカードです。《瞬唱の魔道士》に効くといっても、2枚目以降はしばしば死に札になってしまいますからね。サイド後は間違いなく2枚が妥当で、3枚ではリスクが大きいでしょう。
《黎明をもたらす者ライラ》
戦場に出さえすればとてもいいカードではあるものの、1枚で十分ですね。明らかに重く、《標の稲妻》で除去されてしまうこともあります。
《払拭》
悪くはないカードですね。相手の打ち消し呪文を打ち消せますし、《魔力変》を打ち消せるのも素敵です。劇的なサイドカードというわけではありませんが……。
《天界の粛清》
もしサイドボードに2枚以上取っていたら、あるだけサイドインするでしょうね。
ドレッジ
ドレッジはとても恐ろしいデッキですし、新たなマリガンルールが施行されればそれに拍車がかかることになるでしょう。1ゲーム目で勝利するのは非常に厳しいマッチアップです。いいタイミングで《終末》や《外科的摘出》を唱えて勝つこともありますが、それが叶ったとしても負けることが多々あります。
《安らかなる眠り》という非常に強力なサイドカードのおかげで、2本目以降は相性が改善されます。ドレッジはイゼットフェニックスよりもひとつの戦略に特化したデッキなので、それに対して有効なカードの枚数が多ければ多いほどサイドボード後にこちら側が有利になります。
対 ドレッジ
《機を見た援軍》
時間稼ぎにもなりますし、《燃焼》や《這い寄る恐怖》(サイドアウトされてるかもしれませんが)にも強いカードです。デッキに採用すればするほど相性がよくなる優良カードです。
《安らかなる眠り》
繰り返しになりますが、採用している枚数が多ければ多いほど相性がよくなります。
《瞬唱の魔道士》
《安らかなる眠り》とは噛み合いませんが、《安らかなる眠り》を引かなかったり破壊されたりといった状況で、《外科的摘出》を「フラッシュバック」できれば十分です。
トロン
このマッチアップでも、メインに採用した《外科的摘出》が活躍します。《廃墟の地》でウルザ土地を破壊した後、それを対象に取ることができますからね。《大祖始の遺産》で防がれるので完璧な回答とは言えませんが、それでも《機を見た援軍》よりは全然マシです。
可能な限り、ウルザ土地が揃わないように妨害し続けましょう。とはいえ、打ち消し呪文やプレインズウォーカーにより、長期戦で相手の脅威を凌ぎ切ることも十分に可能です。
対 トロン
《石のような静寂》
非常に強力なカードです。2、3枚が理想ですね。
《僧院の導師》
このデッキのお気に入りカードです。比較的早く勝てる上に、トークンで《難題の予見者》や《スラーグ牙》からプレインズウォーカーを守ってくれます。
《祖先の幻視》
トロンとのゲームは長くなりがちなので、リソースを獲得できるカードは有効でしょう。
《流刑への道》
《難題の予見者》やその他のクリーチャーを除去できるので、サイドボード後はなかなかに優秀なカードです。とはいえ、ほかにサイドインするカードがあれば3枚に減らすでしょう。
《否認》
このマッチアップでは、打ち消し呪文は非常に強力です。
人間
このマッチアップは悪くはありませんね。どこかで《終末》を唱えられれば勝ち、唱えられなければ負けるでしょう。可能ならば、《選択》は《終末》を「奇跡」で唱えられる可能性を最大化するように使いましょう。メインボードの《外科的摘出》が裏目に出る、初のマッチアップです。
対 人間
《石のような静寂》
状況次第では非常に強力ですが、とても範囲が狭いカードです。おそらく1枚だけで十分でしょう。
《呪文嵌め》
《魂の洞窟》や《霊気の薬瓶》があるため、人間デッキに対して打ち消し呪文はあまり有用ではありません。ですが、《呪文嵌め》はマナ効率がいい上に人間は2マナ域のカードを数多く採用しています。《マナ漏出》は次に強力なカードで、先手なら残してもいいですね。
《天界の粛清》
《カマキリの乗り手》や《帆凧の掠め盗り》を追放できるのは悪くないですが、用途が狭く、そこまで強力ではないですね。ほかにいい選択肢があるなら、サイドボードに残したままでも構いません。
グリクシス《死の影》
おそらく最も相性のいいマッチアップのひとつです。ゲームが長引けば勝てるカードが豊富にありますし、有効な対処法も揃っていますからね。
《外科的摘出》はあまりいいカードではありませんが、《瞬唱の魔道士》に対してちょっとした仕事はしてくれます。とはいえ、このマッチアップでは《機を見た援軍》の方が優れているでしょう。相手のライフを回復させることに非常に価値があるので、《失脚》と《糾弾》はどちらも強力なカードです。
対 グリクシス《死の影》
《天界の粛清》
《最後の望み、リリアナ》を含む、ほぼ全ての脅威を対処できる素晴らしいカードです。サイドボードにあるだけ入れましょう。
《至高の評決》
打ち消されないため《終末》の上位互換のようなもので、より信頼のおけるカードですね。しかし、相手はプレインズウォーカーを数枚入れているので、全体除去を入れすぎてもいけません。
ミラーマッチ
いつも通りのコントロールミラーです。これこそ、元祖マジックの遊び方ですね。
対 ミラーマッチ
《外科的摘出》
《瞬唱の魔道士》に対して使える、まあまあなカードです。1ゲーム目では引いて嬉しい部類のカードですが、サイドボード後はよりよいカードと入れ替えらえる方が好ましいですね。とはいえ、サイドボード後も1枚ならば悪くないと思います。
《流刑への道》
サイドボード後は《ヴェンディリオン三人衆》を追放できるので、残しておくことに意味があります。ですが、序盤から中盤にかけて対戦相手に土地をプレゼントしてしまうのは致命的です。
将来に向けて
新たなマリガンルールがどのようにモダンに影響を及ぼすのか、まだハッキリとは分かっていませんが、青白コントロールがその安定性、そして1枚1枚のカードパワーで勝利を目指すデッキであることを考えると、あまりいい変更ではないでしょう。そもそも青白コントロールは極端にマリガンが多いデッキでもなければ、マリガンにより減ってしまったカードの埋め合わせがしやすいデッキでもないですからね。
とはいえ、もしもこの変更によってドレッジが強化され流行るようであれば、《安らかなる眠り》の枚数を増やし、ロンドンマリガンでこれを引く確率を上げることはできます。それに、マリガン後に《終末》をデッキ内に戻せるのはありがたいですね。
グレゴリー・オレンジ
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