Translated by Ryosuke Igarashi
(掲載日 2019/04/23)
やあみんな!
『灯争大戦』のプレビュー期間が終わり、全カードが出揃ったことで、ゲートウォッチとニコル・ボーラスとのストーリーの終焉を知ることができた。
だが、今回はストーリーについて語るわけじゃあない。モダン以下で活躍しそうなカードについて話そうじゃないか。カードパワーが他のセットに比べてずば抜けてる!とは思わないが、少なくともモダンでは活躍しそうな、非常に特徴的なカードが何枚かある。
早速見ていこう!
『灯争大戦』の可能性
《高名な弁護士、トミク》
《高名な弁護士、トミク》は明らかに下環境を意識してデザインされたカードだ。《暗黒の深部》と《演劇の舞台》のコンボに対して、活躍することだろうね。コンボ自体を封じるばかりか、相性のいい《壌土からの生命》や《世界のるつぼ》といったカードも封じることができる。レガシーで、デス&タックスのようなデッキのサイドボードにすぐさま採用されると思うよ。
ただ、おかしなことだけれど、タフネスが3あることが実際は欠点になりうるんだ。《護衛募集員》でサーチすることができないからね。なぜだかサイズが大きく、強くなった結果使い勝手が悪くなってしまう……珍しいケースの1つだろうね。
《迷い子、フブルスプ》
フブルスプはついに、実際のカードに……しかもいいカードになる道を見つけたみたいだ。ぱっと見では、伝説の《エルフの幻想家》に見える。だが、直接戦場に出す手段があれば、もっと強力なカードになりうるんだ。
この色ではあまり見ないような効果だが、「無料で」生贄に捧げられるクリーチャーの一種として採用できるだろう。また、カードを失うことなく《モックス・アンバー》の条件を満たすこともできる。この組み合わせはスタンダードでも見ることになるだろうね。
《神秘を操る者、ジェイス》
《研究室の偏執狂》よりも唱えるのが難しいし、そこまで強力なわけではない。だが、それと引き換えに除去しづらく、コントロールデッキ相手にはカードアドバンテージを提供してくれる。今のアドグレイスにちょっと似た、新しいデッキが生まれてもおかしくないね。
《はぐれ影魔道士、ダブリエル》
8RackはTier1のデッキではないが、メタゲームの風向きが良くなれば強化されるデッキではある。このデッキに入れるにしても、3マナプレインズウォーカーとしては少しカードパワーが低いが、十分採用されうるね。
《リリアナの勝利》
《リリアナの勝利》は、現在でもレガシーで多く使われている《悪魔の布告》のまさに上位互換だ。それに、おまけの能力もあまり小さくはない。こういったカードを採用しようとするデッキは、すでに《ヴェールのリリアナ》のようなカードについても検討しているからね。
現在レガシーで使われている《悪魔の布告》の枠ほとんどと入れ替わるだけでなく、モダンでも《死の影》デッキや黒緑ミッドレンジで使われることになるだろう。
《戦慄衆の秘儀術師》
《戦慄衆の秘儀術師》は十分強力に見えるものの、既存のアーキタイプに組みこむのは難しい……そんなタイプのカードだ。カードアドバンテージを得るまで丸々1ターンかかる点は、《闇の腹心》に似ている。インスタントやソーサリーに重きを置いた、黒を使わないデッキには採用したいものだ。
だが、《瞬唱の魔道士》を使っているデッキが採用するとは思えない。最大のライバルはおそらく《氷の中の存在》になるだろう。
《約束の終焉》
《約束の終焉》は面白いカードだね。たった3マナで分かりやすく1:2交換ができ、ロングゲームではさらに強力になる。
しかしながら、最もポテンシャルがあるのは《祖先の幻視》や《均衡の復元》といったカードを再利用できる点だろう。これらを使うデッキは、「待機」呪文を「続唱」や《予言により》で唱えることを念頭において構築されている。
《約束の終焉》は「待機」呪文を軸にするものの、全く異なったデッキを生み出すかもしれない。また、「待機」呪文自身や、一緒に唱えられる《思考掃き》のようなインスタントを捨てられるので、《信仰無き物あさり》は自然と《約束の終焉》との相性がよくなる。一緒に使われることになるだろうね。
《自然への回帰》
すでにあまり見ることもないが、《原基の印章》が使われているデッキでは枠を得ることになるだろう。《帰化》が《原基の印章》、《幻触落とし》や《霊気のほころび》より優先して採用されたことはないが、《自然への回帰》は採用されうると思っている。
墓地から《弧光のフェニックス》や《グリセルブランド》を追放できるし、ドレッジに対しては全体的にいいカードだ。他の呪文よりも、おそらく活躍するんじゃないかな。
《アングラスの暴力》
非常に高い壁になるが、《コラガンの命令》と枠を争うことになる。主にプレインズウォーカーを除去できる点において、このカードの方が強力な場面もあると思っているものの、非常に珍しいケースだろう。
概して、こういったカードではソーサリータイミングというのは痛い。《コラガンの命令》の方が優秀なカードだと思うが、サイドボードにピン刺しされていても驚かないね。
《ドビンの拒否権》
少なくとも一時期は、青白やジェスカイ、エスパー各種コントロールの《否認》と入れ替わるだろう。ただ、十分白マナ源があるとしても、(白)(青)というコストは(1)(青)より間違いなく唱えづらい。「この呪文は打ち消されない。」という部分が、どれだけ役に立つかどうかに左右されることになるね。
モダンのメタゲームにアミュレットタイタンが一定数いる限り、《否定の契約》からは逃れられない。そうなってくると、《ドビンの拒否権》の方が優れていることになるだろう。とはいえ、他のマッチアップでは《否認》を優先したい。ほんのちょっとしか利点はないが、マナの差はいつでも問題になりうるからね。
《新生化》
《新生化》はミニ《異界の進化》だが、だからといって弱くなったわけではない。こちらはより軽い上に、+1/+1カウンターを利用したコンボもできる。
《異界の進化》は《鏡割りのキキジキ》コンボだけではなく、《戦争の報い、禍汰奇》や《弁論の幻霊》といったサイドカードをサーチする手段としても用いられていた。
後者のような使い道では、(青)(緑)というコストが問題にならないデッキなら《異界の進化》をもしのぐだろう。それに、《迷い子、フブルスプ》をサーチすることもできるんだ!
《龍神、ニコル・ボーラス》
ニコル・ボーラスの(おそらく)最終形態は期待を裏切らなかったね。間違いなく、このマナ拘束は容易いものではないが、少なくとも試してみようと思うくらいには、十分なカードパワーを持っている。コーリー・バークハート/Corey Burkhartのようなエキスパートたちの手によって、グリクシスミッドレンジ/コントロールは、比較的結果を出してきている。《ドミナリアの英雄、テフェリー》が青白系のコントロールを強化したのと同様、《龍神、ニコル・ボーラス》がグリクシスデッキを強化してくれるんじゃないかと思ってるくらいだ。
《龍神、ニコル・ボーラス》を唱えられるマナベースだと仮定すると、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と比較するのは合理的だし、このカードの強さも見えてくる。ここで鍵となるのは、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と比べた[+1]能力の強さだろう。土地を2枚アンタップする非常に強力な能力の一方、[+1]能力で分かりやすく1:2交換を取るのも同様に強力だ。
他の点を見てみても、相手のプレインズウォーカーに対し強力な能力を擁し、《稲妻》で除去されない。[-8]能力では、文字通りその場でゲームに勝利することができ、フィニッシャーとしても扱える。
《龍神、ニコル・ボーラス》をモダンで見ることになるかどうかは、他のパーツがどれだけ優秀かによるだろう。唱えさえできれば、《龍神、ニコル・ボーラス》のカードパワーは非常に高いからね。
それに……《倍増の季節》と組み合わせれば即死コンボだ!
《時を解す者、テフェリー》
《時を解す者、テフェリー》はコンボ相手にも応用がきくため、レガシーやヴィンテージなど、より古いフォーマットのコントロールミラーにおいて優秀なサイドカードだと思っている。青白デッキの多くは興味がないものの、《防御の光網》としても使えるね。
モダンでは、《等時の王笏》と《沈黙》のコンボがある。盤面を処理できれば、もうそのゲームで相手は呪文を1枚も唱えることができない。なんなら《時を解す者、テフェリー》がいなくても、メタゲームのデッキいくつかにはこれだけで勝てるだろう。しかし彼のおかげで、アーティファクト破壊もすり抜けることができるんだ!
《時を解す者、テフェリー》が戦場にある時にターンを迎えて、《等時の王笏》を唱えるだけでいい。相手がインスタントを持っていたとしても、こちらがロックするだけのマナさえあれば、《等時の王笏》を対処することはできないんだ。アドグレイスなど、《沈黙》のようなカードをサイドボードに入れたいデッキが、追加の勝ち筋として採用することになるかもしれない。
《夢を引き裂く者、アショク》
《夢を引き裂く者、アショク》は青黒ライブラリーアウトで活躍するだろう。妨害されなければ20枚まで山札を削ることができるし、このデッキなら十分勝てる枚数だ。
とはいっても、これだけで《夢を引き裂く者、アショク》を採用するわけではない。フェッチランド、そして《原始のタイタン》のようなカードを完全に封じ込める能力が肝だ。
《崇高な工匠、サヒーリ》
彼女は劣化《練達飛行機械職人、サイ》のように見える……ある1つの点を除いてはね。そう、彼女はクリーチャー除去が当たらないんだ。
《発明品の唸り》プリズンなら《練達飛行機械職人、サイ》を採用している、そう多くのプレイヤーは思っているだろう。そこに付け込むことができるかもしれない。
《大いなる創造者、カーン》
《大いなる創造者、カーン》は非常に強力に思えるね。
常在型能力と《マイコシンスの格子》とを組み合わせれば、相手は土地も含む、パーマネント全ての能力を金輪際起動できなくなる。《仕組まれた爆薬》のようなカードも《大いなる創造者、カーン》を除去することはできないんだ。
そして、一番の強みは状況を選ぶサイドカード……《魔術遠眼鏡》のような、特定の条件でのみ必要なカードにアクセスできることだ。今まで《きらめく願い》などで見てきた効果だが、アーティファクトを主としたプリズンデッキで使えるとなると、全く違ってくるね。
《大いなる創造者、カーン》は《罠の橋》自身や他のロックパーツをサーチできるので、《罠の橋》とも相性がいい。ランタンコントロール、《発明品の唸り》プリズンのどちらも採用することになるだろうね。
《爆発域》
土地をサーチできるデッキで、ピン刺しされるような面白いカードだね。
モダンでは、《トレイリア西部》を使うデッキで《仕組まれた爆薬》と枠を争うことになる。だが、俺は《仕組まれた爆薬》の方が優れていると思うよ。
《爆発域》の最大の利点としては、土地であるため《世界のるつぼ》や《壌土からの生命》と組み合わせられることだ。
レガシーでは土地単と、もしかしたら《暗黒の深部》を用いる《輪作》デッキに居場所を見つけるだろうね。
おわりに
今回はこれで以上だ!
早く新しい『灯争大戦』のカードで遊びたくてたまらないよ。このセットは素晴らしい……そう思わないかい?