ライバルに差をつけよう!『灯争大戦』ドラフト講座

Goncalo Pinto

Goncalo Pinto

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/05/14)

はじめに

『灯争大戦』が現実世界でもオンラインでも発売となり、誰もが新セットを楽しめるようになりました。おそらく多くの人が初めて『灯争大戦』のカードに触れる機会でしょう。私は幸運にもミシックチャンピオンシップ・ロンドン2019の前週に『灯争大戦』の練習をすることができました。マジック・プロリーグのメンバーであるハビエル・ドミンゲス/JavierDominguezアンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoと共に、バレンシアで調整したのです。

その他にも、Magic Online Championship参加者であるベルナルド・サントス/Bernardo Santosホセ・カベサス/Jose Cabezasベルナルド・トーレス/Bernardo Torresジョアン・アンドラーデ/Joao Andradeが加わりました。これだけのメンバーが揃ったのですから、『灯争大戦』リミテッドの調整チームとしてこの上ない頼もしさです。本番では2-4という成績でしたが、この環境についていくつかお伝えしたいことがあります。これを知っておけば、きっとみなさんはライバルに差をつけることができるでしょう。

各アーキタイプ解説

まずは各アーキタイプのゲームプランを簡単に概観しておきましょう。実際にそのアーキタイプを選ぶ際に、あるべき姿をイメージしやすくなるはずです。

青赤

タミヨウの天啓呪文喰いの奇魔無神経な放逐

「呪文」がサブテーマであるコントロールデッキになることが一般的です。《タミヨウの天啓》のようなカードアドバンテージを生み出すものもあれば、《呪文喰いの奇魔》《燃え立つ預言者》《空戦域の大梟》といった「呪文」を要求するクリーチャーにより、テンポで押すこともできます。

《無情な前進》《無神経な放逐》などは「呪文」の枚数を確保しつつも、盤面に展開できるクリーチャーです。《都市侵略》は盛大な罠ですので、ピックも使うのもやめましょう。

青黒

ラゾテプの肉裂き灯の収穫呪文持ちの奇魔

古き良きコントロールデッキ。序盤の脅威を対処した後、できる限り2対1交換を繰り返し、雪だるま式にアドバンテージを重ねることで、相手になす術をなくします。1体の軍団トークンに「動員」を集中させてしまうと、1度に対処されてしまうため、3/3や4/4を繰り返し展開することで相手のリソースを枯渇させるようにしましょう。

白緑

花粉光のドルイド開花の巨体放浪者の一撃

+1/+1カウンターや「増殖」のシナジーを最大限に活用するアーキタイプ。アグロになることが多いですが、豊富に採用された軽量クリーチャーも、「増殖」によって終盤でも活躍が期待できるサイズになります。

赤緑

クロンチの世話人怒り狂うクロンチ砲塔のオーガ

ここでのキーポイントは、『タルキール覇王譚』でいうところの「獰猛」になります。パワーが4以上であるクリーチャーをコントロールすることで何らかの重大なボーナスが発生し、ゲームを通してそれらが積もり積もっていくのです。

白緑、青緑、青赤ほどシナジーが明確ではないですが、ドラフトの基礎がふんだんに盛り込まれています。マナレシオに優れたクリーチャー効率的な除去もあれば、質の高いコンバットトリックも多いのです。

3色/4色コントロール

新たな地平死の芽吹きタミヨウの天啓

ジョアン・アンドラーデが練習段階で勝ちまくっていたアーキタイプです。黒緑や青黒がベースになりやすいですが、1~2色のタッチは非常に容易でした。《新たな地平》《死の芽吹き》がある緑であれば尚更ですね。緑でなくとも、かなり遅めの順手まで流れてくる《マナ晶洞石》《ギルド球》を使えば、デッキの動きもスムーズになるうえに、マナ基盤を整えることもできます。

《タミヨウの天啓》のようなカードアドバンテージをもたらすカードは必須であり、相手のカードアドバンテージに負けない構築にする必要があります。アドバンテージを稼がれたら敗北必至になんてなりたくないですからね。

白青

テヨの光盾エイヴンの永遠衆執行官のグリフィン

このアーキタイプも、昔ながらのドラフトを彷彿とさせます。タフネスに偏重したクリーチャーで地上を固め、飛行クリーチャーでダメージを叩き込んでいくのです。カード間に大きなシナジーこそないものの、リミテッドで定番の戦術を用います。

黒緑

力線をうろつくもの侵略の代償税収運びの巨人

黒緑の弱点は、青と違ってカードアドバンテージの獲得手段に乏しいことです。黒や緑は手堅く、カードの層が厚い色であるため、この色の組み合わせが持つ問題点に気づくのに苦労しました。青を足してみて、ようやくその問題点に気づいたのです。

純粋な黒緑は実にガッカリなアーキタイプだったので、ドラフトをするときは絶対に早い段階から色を絞らないようにしましょう。《島》を置いてくる相手に有効な《侵略の代償》《税収運びの巨人》を多めにピックできている場合は例外です。

青緑

雷のドレイク開花の巨体連帯

+1/+1カウンターや「増殖」のシナジーの活躍が期待できると思っていました。しかし蓋を開けてみれば、アグロに対してはデッキが機能し始めるまでに時間がかかりすぎてしまい、コントロールには十分なプレッシャーをかける前にカードアドバンテージで押しつぶされてしまったのです。

この2色は除去に乏しいため、ドラフトをする際には《連帯》が必須となります。

白赤

ヤヤの挨拶信頼あるペガサス第10管区の軍団兵

一見すると非常に強いアーキタイプに思えます。『テーロス』でいうところの「英雄的」をサブテーマにした攻撃的なデッキですからね!

ところが困ったことに、白も赤もあまりカードの層が厚くないうえに、このアーキタイプにとってのベストコモンは他のアーキタイプがどんな構築にしようとも点数を高くしてピックするものなのです。具体的には、《ヤヤの挨拶》《チャンドラの螺旋炎》《放浪者の一撃》《法ルーンの執行官》などが該当します。

多色のアンコモン・レアへの依存度があまりにも大きいため、卓で最強のデッキができることもあるでしょうが、大抵の場合は質の低いクリーチャーや、平凡なコンバットトリックで固められたデッキになってしまうでしょう。

白黒、黒赤

残酷な祝賀者波乱の悪魔

練習で最も勝てなかったアーキタイプたちです。「生け贄に捧げる」ことをサブテーマとしますが、どうやっても上手くいく構築を見つけることができませんでした。黒緑の項でも解説しましたが、これらのアーキタイプも長期戦を目指すものでありながら、青を使うプレイヤーに対抗する手段を持たないのです。

カード評価

では、カードの評価に移りましょう!ここでは各色のベストカードを見ていきます。これらを参考にすれば、ドラフトの序盤で進むべき方向性を理解しやすくなることでしょう。注意していただきたいのは、これはひとつの指針であって、状況に応じて柔軟に判断する必要があるということです。ここで列挙できなかったカードも多く存在しますが、だからといって使用に値しないものではありません。ここに掲げたのはキーとなりやすいカードであり、みなさんが進むべき方向を決める判断材料となるものです。

同一のランク内に複数のカードが存在する場合もありますが、同じレベルとして評価したものであり、優劣はありません。ところどころで改行をしているのは、カード間のレベルの差が大きいことを意味しています。

ヴィトゥ=ガジーの目覚め団結の誓約連帯

また、多色のカードは各色に含めています。2色目に手を出すタイミングを判断するのは、いつだって困難なことですからね(たとえば、初手で《ヴィトゥ=ガジーの目覚め》を取り、2手目で《団結の誓約》《連帯》が流れてきたような場合です)。

神レベル

まずは易しいものから見ていきましょう。これらのカードは私たちの中で「神レベルのレア」と呼ばれていたものです。各色の「神」が含まれているからですね。どんなコモン・アンコモンよりも優先してピックすべきものであるため、リスト内での優劣をつける必要はあまりありません(《永遠神オケチラ》が最強だと思いますけどね😏)

1パック目の1手目に関しては、迷わずこれらのカードを取れば良いでしょう。ただ、2パック目の1手目であればプレイヤーとしての実力が試されます。大半のカードは色を変えるほどのパワーを持っていますが、この環境は全体としてパワーが高いため、色を変えず、隣から流れてくる優良なコモン・アンコモンを取る方が良い可能性もあるのです。私たちのチームで手ごたえの良かったスゥルタイカラーをベースとしたコントロールでは、3~4色目をタッチすることが容易であることがわかりました。

ですから、「神レベルのレア」のパックに当たったら、タッチすることも選択肢に入れてみてください。マナサポートとなるカードが真骨頂を見せる環境ではないですが、速度が遅い環境であるため、タッチ戦略で相手を上回るだけの猶予が与えられることが多いのです。

群を抜いて青がベストカラーです。コモン・アンコモンの層が最も厚いと共に、最強のアーキタイプは青赤と青黒であると感じました。

永遠衆の天空王謎めいた指導者、カズミナ

《永遠衆の天空王》《謎めいた指導者、カズミナ》は「神レベル」ではないものの、青のベストカードと位置付けています。

青緑の環境における立ち位置が良ければ、《マーフォークのスカイダイバー》はさらに上位に入っていたことでしょう。青緑は白緑や赤緑と違ってアグレッシブさに欠けますし、ミッドレンジ要素も屈強なコントロールにあっさり踏みつぶされてしまうのです。

エイヴンの永遠衆タミヨウの天啓

《エイヴンの永遠衆》《タミヨウの天啓》私たちの中ではベストコモンでした。どちらが上なのかは未だに明確な答えが出ないですが、《エイヴンの永遠衆》は何枚でもデッキに入れたいものの、《タミヨウの天啓》は最大でも3枚で、3枚目でさえ少し過剰だろうというのが最終的な結論でした。

暴君の嘲笑煌めく監視者

青黒のカードは優秀ですから、工夫すれば替えを利かせることができます(たとえば、《暴君の嘲笑》《無神経な放逐》《煌めく監視者》《エイヴンの永遠衆》で置き換えられます)。ですから、ピック早々に青黒にこだわっていく必要はありません。

呪文持ちの奇魔

最後になりますが、《呪文持ちの奇魔》は常に我々の予想を上回るパフォーマンスを見せました。強力なブロッカーとして序盤の盤面を支えつつも、長期戦になれば《タミヨウの天啓》を墓地から回収できるのです。

カードの層があまり厚くない赤はサポートカラーとなります。《ヤヤの挨拶》はセット全体で見てもベストコモンと言えるほどのパワーがありますが、赤はアンコモンへの依存度が高いため、ドラフトの序盤では青のカードを優先して取るようにしていました。

ヤヤの挨拶戦慄衆の勇者、ネヘブサイクロプスの電術師

2マナ3点はあまりにもマナ効率が良いため、《戦慄衆の勇者、ネヘブ》《サイクロプスの電術師》のような最上級のカードよりも優先してピックします。《サイクロプスの電術師》や青赤のカードは、すでに青赤に身を固めているのであれば優先してピックして良いですが、赤緑が十分に戦えるアーキタイプであるため、「呪文」をテーマとする色に飛び込むには慎重になるべきです。

侵略するマンティコア

《侵略するマンティコア》に触れないわけにはいきません。最初から強そうだなとは思っていましたが、6マナで合計6/7のクリーチャーを分割して展開できるため、予想以上に大きな役割を期待できる1枚でした。青赤では、クリーチャーを2体展開することで効果的に盤面を安定させることができます。赤緑では、「獰猛」や「増殖」を始動させながらも、6マナ相当のカードを単発で対処されない強みがあります。

団結の誓約進化の賢者

《団結の誓約》《進化の賢者》は他を圧倒しています。ドラフトの序盤であれば《進化の賢者》をピックすべきですが、すでに白緑をドラフトしているなら《団結の誓約》を優先しましょう。一度に全クリーチャーに+1/+1カウンターを載せられるのですから、一気に優位に立つことができます。各クリーチャーにカウンターが1つでも載ってしまえば、以降の「増殖」が《栄光の頌歌》となるため、途端に手が付けられなくなるのです。もっとも、両方ピックできるのが理想なんですけどね。

連帯開花の巨体

コモンの中で群を抜いて強力なのは《連帯》《開花の巨体》ですが、どちらをピックするかでいつも悩みます。ドラフトの序盤では除去を優先させることが一般的ですが、必要性の高い方を選ぶようにしましょう。

群集の威光、ヴラスカ野生造り、ジアン・ヤングー

緑はプレインズウォーカーを上手く運用できます。「増殖」は常にカウンターを載せる先を探し求めていますからね。

デヴカリンのリッチ、ストーレフ力線をうろつくもの死の芽吹き

黒緑のカードのランクを低く設定したのは、飛びつきたいような色の組み合わせでないからです。とはいえ、ここに挙げた黒緑のカードはとても強力ですから、黒緑の流れが良いと感じるのであれば、一部の緑単色のカードよりも優先してピックしましょう。

鮮血の刃先オブ・ニクシリスの残虐

《鮮血の刃先》がトップなのは、何のお膳立てもなしに3ターン目から2対1交換が可能だからです。

《オブ・ニクシリスの残虐》はとてつもなく効率的な除去であり、どんなドラフト環境でもトップに食い込むほどのカードパワーでしょう。

死者の災厄、ケイヤ

《死者の災厄、ケイヤ》はとても強いのですが、我々がほぼ使用に値しないと判断した色の組み合わせとなっています。色マナを3つも要求されるため、安易な勝ち筋とはなりづらいのです。また、6マナ域には強力なライバルがひしめいています。

暴君の嘲笑煌めく監視者デヴカリンのリッチ、ストーレフ死の芽吹き

ここでも青黒や黒緑のカードの順位は高くありません。上述の通り、替えが利きやすかったり、アーキタイプとしてあまり期待できないからですね。

侵略の代償

《侵略の代償》の凄さもお伝えておきましょう。当初はメインデッキにまず入らないだろうと思われていましたが、チーム内でのピック優先順位が見る見る上がっていったのです。この環境には厄介なカードが多く存在していますから、相手の手札に捨てさせる価値のないカードばかりであることはまずあり得ません。「動員1」は、盤面を大きく改善することもないですが、《侵略の代償》を唱えたターンに大きく不利にならない程度には役立つことが多いですね。

白は最弱の色でした。究極的なことを言えば、白をやるなら白緑にしましょう。だからこそ《贖いし者、フェザー》《復讐に燃えた血王、ソリン》などの単体で強力なカードよりも、白緑の多色カードや白緑に相性の良いカードは上位に位置づけられています。

牢獄領域団結の誓約

《牢獄領域》は状況を選ばない非常に強力な除去であり、たった3マナで占術まで付いてきます。《団結の誓約》と肩を並べるだけのことはありますね。

法ルーンの執行官放浪者の一撃信頼あるペガサス

白のコモンは、トップ3の質が高いですが、それ以外は見どころがありません。皮肉なことに、《ペガサスの駿馬》の上位互換だと思われていた《信頼あるペガサス》が実は弱体化されたものでした。というのも、タフネス2は除去体制が大きく低下してしまい、効果的な攻撃も中々できないのです。とはいえ、強力であることに変わりはないですし、強化呪文や「増殖」と一緒に運用できれば、さらなる活躍が期待できるでしょう。

いざ実践へ!

ぜひ『灯争大戦』リミテッドでスタートダッシュを決めましょう。何かお聞きになりたいことがあれば、気兼ねなくコンタクトを取ってくださいね。今回の記事を通し、みなさんのスキルが飛躍的に向上し、多くを学んでいただけたのなら何よりです。カードの正確なランクを理解するというよりも、その背景にある理屈を理解するようにしましょう。そして、デッキに入れるにも必ず理屈を考えるようにしてくださいね。

私と共に調整し、様々なことを教えてくれた仲間たちには多大なる感謝を。それから、思い出に残る時間をありがとう。

ゴンサロ・ピント

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Goncalo Pinto

Goncalo Pinto ポルトガル出身の古豪。同郷のマルシオ・カルヴァリョをはじめHareruya Latinの面々と親交が深く、彼らと共に日々研鑽を積んでいる。 プロツアー『ドミナリア』ではマルシオと共にトップ8へと勝ち進み、準決勝にて同郷対決を制して準優勝を記録。見事にゴールドレベルを確定させてHareruya Prosへと加入した。 Goncalo Pintoの記事はこちら