この先には2019年4月23日発売の書籍「War of the Spark: Ravnica」(もしくは「灯争小説」と表記します)を資料とする「ネタバレ」が含まれていることをご了承下さい。
こんにちは、若月です。
Magic Story「ラヴニカ:灯争大戦――結束という難問」(『灯争大戦』第3話)より引用
ベレレン氏が声を上げた。「問題は6つ!任務は6つ!志願者はいるか?今すぐだ!」
『灯争大戦』第3話のこと。プレインズウォーカーやギルド員が大集合し、ボーラスと戦うにあたってクリアしなければならない問題が提示されました。
そしてウェブ連載版では、ケイヤを中心として「全ギルドの協力」をクリアする展開が語られました。が、元小説ではもちろん全部網羅されていまして、それも様々なプレインズウォーカーが個性豊かに活躍する面白い話ばかりだったんです!
これがあまり知られないなんて凄く惜しいってくらいに。そこで今回は、視点の都合上ウェブ版では語られなかった展開をいくつか紹介します!……小説の日本語版出ないかなあ、本当。
1. 永遠神ロナス戦
いきなりさきほどの箇条書きにはないんですが、第3話のプレインズウォーカー会議終了直前、《永遠神ロナス》と永遠衆の軍勢が迫りつつある報告が飛び込んできました。そこへ向かうことになったのが、まずはあのペガサスに乗ったギデオン。
プレビューの公開順的に《信頼あるペガサス》は終盤も終盤、ギデオンがボーラスを討つためにいざ乗り込む……そんな場面に思われますが、このペガサスの登場自体はかなり早めでした。まずはそこから紹介しないといけませんね。
物語序盤、《次元橋》が開いて永遠衆がラヴニカへとなだれ込むと、ゲートウォッチはまず各人が戦力を集めにラヴニカへ散ります。ギデオンはアジャニと共に、旧知のボロス軍へ向かいました(ちなみにその道中で、標に呼ばれて来た《野獣の擁護者、ビビアン》に出会っています)。
すでに空中要塞パルヘリオンⅡは浮上しており(ギデオンは特に驚いてもいなかったので存在は知っていたのでしょう)、天使や空騎士が同じく飛行能力を持つ永遠衆と戦っていました。
ギデオンが懸命に急ぐ中、ペガサスの騎兵がエイヴンの永遠衆に落とされました。乗り手は落下死してしまい、ギデオンは降下してきたそのペガサスにすぐさま駆け寄って手綱を掴みました。驚いたことに、ペガサスは全く拒む様子もなくギデオンを乗せて飛翔します。ギデオンはそのエイヴンを黒き剣で始末すると、空中戦に加わりました。やがてそこに、見知った顔がやって来たのです。
ギデオンにとってはとても嬉しい、待ち望んだ再会でした。ここがまた、とてもいい場面だったのでそのまま翻訳して紹介します。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター21より訳
「丁度良い時に来ましたね」 声が聞こえた。オレリアが、戦士の笑みを浮かべていた。戦いの時だけに見せる笑み。もっと穏やかな時にはまた別の笑みを見せてくれる、だがどちらもギデオンにとっては嬉しい光景だった。
「少々遅れました」ギデオンも歯を見せて答えた。
(略)
オレリアはギデオンの隣に降下すると、ペガサスへ頷いてみせた。「この子が気に入りましたか」
「素晴らしい乗騎です」
「そうでしょう。私が訓練しましたから」
「名は何と?」
オレリアは再び笑みを見せると、飛び去りながら声を上げた。「『ギデオンの約束』号、です」
これは私自身読んでびっくりしました。『ドラゴンの迷路』のカードではどこか不仲な雰囲気が漂っていた2人ですが、『灯争大戦』では確固とした信頼関係が続いている様子を見せてくれます。あとオレリアは基本的にギデオンを苗字で呼んでいたのですが、本当は名前の方で親しさを込めて呼びたかったのかな……とか。
話を戻しまして。ロナス戦には空中戦力としてギデオンと約束号、オレリア、そしてボロスの空騎士が。地上戦力として、シミック・イゼット・ボロスの部隊と30~40人のプレインズウォーカーが向かいます。その中には、アングラスとファートリの姿がありました。
共に『イクサラン』初出の2人。出会いこそ最悪ながらも、やがて喧嘩をしながら共に黄金の都オラーズカを目指しました。新米プレインズウォーカー(とはいえ実質まだ次元渡りをおこなえていなかった)であるファートリ、そんな彼女の知らない価値観や世界を語って聞かせるアングラス。とても良いコンビだなあ、と当時から私は大好きでした。
Magic Story「ラヴニカ:灯争大戦――結束という難問」(『灯争大戦』第3話)より引用
「素晴らしいこった」 今朝、第10管区広場に現れたミノタウルスのプレインズウォーカーが鼻を鳴らした。「ここの馬鹿ども全員、好き好んであのドラゴンの手の内に飛びこんできたってわけか!」
離れたところから、ファートリさんがそれに言い返した。「あなたもですけどね?」
プレインズウォーカー会議の場面でも、ごく短いながら相変らずのやり取りが。そうそうこれだよ、この2人はこうでなきゃ。ラヴニカに到着した時は別々でしたが(アングラスは1人、ファートリはサヒーリと一緒)、これ以降はイクサラン・ブロック当時よりもずっと息の合ったところや、相手を気遣う様子を見せてくれます。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター34より訳
アングラスと過去に面識があるらしいファートリは、その利己心と無謀さを警告した。
「心配すんな」アングラスはどこか内に辛辣さを込めて言った。「俺はあの糞ドラゴンをぶっ倒して娘らのところへ帰りたいだけだ。正直、何でそもそもあいつらを置いて出かけたんだか!休みの日にちょいとプレインズウォークして、そうしたら糞みたいなところに糞みたいな不滅の太陽に捕まって何年も出られなくなるとかよ!ああ、喜んであの糞ドラゴンにやり返してやるよ。だから俺を前線に出せ。礼とかはいらねえ」
それは嘘偽りない言葉だとギデオンは感じた。そしてファートリも同感らしかった。彼女はアングラスが永遠衆にとって恐るべき敵となるだろうと確信していた。
「この鎖で一度に5体は倒してやるからよ」
それでも、ファートリがアングラスの隣に立つ様子がギデオンには見えた――彼に目を配るという目的もあるのだろう。
そして戦いが始まりました。地上のプレインズウォーカー達はどうしても灯を収穫されることを怖れて永遠衆へと近づきすぎるのをためらうのですが、アングラスとファートリは違っていました。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター34より訳
例外の一人が、アングラスだった。ミノタウルスは太い鉄鎖に紅蓮術の炎をまとわせ、文字通り大きな弧を描いてそれを振るうと、永遠衆を一度に4、5体ずつ倒していった。
だが敵陣深くに入り込みすぎた。あまりに深くへ。そのためあらゆる永遠衆の手が伸びた。鎖がそれらを押し留めていたが、ある時ラゾテプの鎧がその威力を削ぎ、アングラスは無防備となってしまった。
そこにファートリが入った――鎖の弧から進み出て、ミノタウルスの背中を守った。彼女はアングラスのことを好んではいないようだったが、死なせるつもりもなかった。
この2人が背中を守り合いながら共闘してるとか!いいでしょ、凄くいいでしょ!!ああそうだ、今回のアングラスは「動員」能力を持っていることから、ボーラスに協力しているのでは?と思われていましたが、「その鎖で永遠衆を無理矢理動かしている」というフレイバーとのことです。よかった。アングラスは粗野で乱暴ではあるけれど、ボーラスに加担するような人物じゃないって信じてたよ。
さて、ギデオンは約束号で永遠神ロナスのもとへ向かいます。ドレイクの永遠衆を切り捨てて近づくと、ロナスが掌を伸ばした瞬間にその上へ飛び降りました。ロナスは、自由意志こそほとんど残っていないながら一瞬驚いたようにも見えましたが、すぐにギデオンの灯を収穫しようと握り潰したのです――がしかし、それはギデオンの破壊不能オーラによって防がれました。実際、ロナスはギデオンに直接触れることすら叶いませんでした。とはいえ、巨大な拳に握り潰されるのが楽なわけはないのですが。
ロナスは困惑したように、ギデオンをよく見ようと目の高さまで持ち上げました。それこそがギデオンの待っていた瞬間でした。ギデオンは黒き剣を抜くと全力でロナスの目へ飛びかかり、突き刺したのです。黒き剣はすぐさまロナスに残る精髄を呑み、その重量を増していきました。ロナスはすぐに抜け殻と化し、塵になって消えていったのでした。ギデオンが立っている掌も消滅し、落下する彼を約束号が無事に受け止めました。
……以上が永遠神ロナス打倒のあらましです。永遠神のうち他の三柱は結構たくさんのカードに登場しているのですが(《永遠神の投入》《タミヨウの天啓》《灯の燼滅》など)、ロナスだけ本人のカード以外ないんですよね。ちょっと可哀想に思いました。
2. 次元橋封鎖作戦
こちらは、永遠衆の流入を止めるために《次元橋》を通ってアモンケットへ向かい、封鎖するというミッションです。小説ではのっけから面白いビジュアルで攻めてきました。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター34より訳
「同僚」のうち2人に挟まれ、ダクはひるんだ。1人目、銀のゴーレムのカーンは、威圧的極まりなかった。2人目、悪魔オブ・ニクシリスは率直に言ってぞっとする存在で、ダクが怯える様子を楽しんでいるようだった
なんだこれ。体格的にカーンとニクシリスはかなり大型なので、「捕まった宇宙人」みたいな絵面になっているのが想像できます。この3人と現地民の《暴君潰し、サムト》を加えた4人が、「次元橋カルテット(原文:Planar Bridge Quartet)」としてこのミッションに挑むこととなりました。そうニクシリス。《オブ・ニクシリスの残虐》から「鳥焼いてるだけ」と散々言われていましたが、きちんと協力してくれているんですよ!
ダクとニクシリスがこの任務に立候補した理由は明白でした。アモンケット側に行きさえすれば、永遠衆がうろつくラヴニカから逃げることができる。ダクはドムリの無残な死に様を見ていたこともあり、とにかくラヴニカを離れたくてたまりませんでした。とはいえ一応それだけではなく、慣れ親しんだ世界であるラヴニカのために、少しでも力になりたい気持ちもあったのです。
作戦が始まると、まずダクは永遠衆にわずかに残る精神に触れ、錯覚を起こさせる呪文を唱えました。プレインズウォーカーに囲まれていると思い込んだ永遠衆は、激しい同士討ちを始めます。そこでサムトが駆け出し、カーンも地響きを立てて屋根から飛び降りると次元橋へ向かいました。
そしてニクシリスは、ダクの両脇を掴むと次元橋に向かって飛び立ちました。そしてダクを抱えたまま、ノンストップで突入。境を通過する瞬間、ダクは悲鳴を上げ……
少し意識が飛んでいたかと思うと、ニクシリスが着地してダクを放しました。サムトとカーンも合流してきます。辺りを見回すと、事前にサムトから聞かされていた通りの荒廃した世界。そして永遠衆の軍勢が、次元橋へ向けて進軍を続けていました。4人はそのすぐ近くにいましたが、永遠衆は不思議と目もくれませんでした。灯を彼らに刈らせる《古呪》の影響範囲はラヴニカ側だけなのだろう、とカーンは推測しました。
そして他の3人が永遠衆へ攻撃を始める中、ダクは次元橋の大本を探します。戦いではなくこれが彼の役目でした。まもなく、平らなピラミッドの上に金属の腕の男が立っている姿を発見しました。その胸には小さなポータルが開いています。テゼレット。ダクは事前にその名と特徴を聞かされていました。
ダクは隠蔽魔法で隠れつつテゼレットに近づき、魔法の炎を送り込んでおびき出します。テゼレットの目線はそれを追い、ダクを素通りしてニクシリスとサムトを見つけました。テゼレットはその指から金属弾を発射して攻撃し、その隙にカーンがダクの隣へやって来ました。ダクはそこで、サヒーリから手渡された機械の小鳥を取り出すと、テゼレットへと飛ばしたのです。相手の注意が完全にその小鳥へ向き、金属の手で握り潰そうとした瞬間、ダクはその腕全体の支配を試みました。まさに《ダク・フェイデン》の[-2]能力だ!しかし、それは容易にはいかず、テゼレットも必死で抵抗します。
とはいえ本当の目的は違いました。しばしの奮闘の末にテゼレットが腕の制御を取り戻したその瞬間、カーンが迫ってテゼレットの胸にあるポータルへ拳を叩き込みました。爆発と共にテゼレットは吹き飛ばされ、同時にそれが制御していた次元橋も即座に激しく崩壊しました。永遠衆は動きを止め、そしてテゼレットは……
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター41より訳
その一方で、テゼレットが立ち上がった。その胸は焼き切れたように、魔法の火花を散らしていた。彼はうめいて金属の腕をその穴に入れ、それを塞ごうとするような仕草をした。だが明らかに痛むようだった。カーンとサムトが近づくと、彼は降伏するのではとダクは確信した。
だがテゼレットは彼らを称えた。「プレインズウォーカー達よ、いい仕事をしてくれた。あのドラゴンにとっては大きな痛手となるだろう」
カーンは顔をしかめた。「嘘ぶるのはやめなさい。あなたは敗北の瀬戸際にいるのです」
「信じてくれないかね、私は心から喜んでいるのだよ。ボーラスに逆らいたくはない。身の程は知っているし、あれがもたらす危険がわかっていないような愚か者でもない。だが君達があのドラゴンを塵と帰してくれることを心から願っている」
「何故です?」
「あれさえ消えれば、私を脅かす力を持つ者はいなくなる。言った通り、身の程は知っている。そしてここにいる意味も特にないということを」
テゼレットは笑い声をあげ、そして迅速なサムトすら反応する前に、プレインズウォークで何処かの次元へと逃げ去った。
そしてニクシリスが無抵抗の永遠衆を倒し続ける中、サムトは安堵に倒れこみました。テゼレットは消え、アモンケットは解放されたのです。……その時彼らは、心の内に響き渡る温かな声を聞きました。サムトが顔を上げ、ダクがその視線を追うと。
都市の廃墟の上に、ハゾレト神の姿がそびえていました。アモンケットの神のうち、ただ一柱の生き残り。その慈悲深い笑みは、ダクがこれまでに見た何よりも美しいものでした。サムトはアモンケットへ到着してすぐにハゾレトへ祈りで呼びかけていましたが、ようやく到着してくれたのでした。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター41より訳
『そうです、ダク・フェイデン。これが我らの姿です。人々を守ることすらおぼつかない、神の落伍者。ですが少なくとも、我らは戦いが終わるのを待っていたのではありません。サムトの祈りを受け取るや否や、急ぎました』
我ら。そう、やって来たのはハゾレトだけではありませんでした。その後方に1人の人間がいたのです。長身で筋肉質の男性、肌の色は薄く、長い黒髪。親しいわけではないようですが、カーンとニクシリスはその男を知っていました。
ここでサルカンーーー!!小説を読んで私はかなりびっくりしました。何でもアジャニから連絡を受けたサルカンは、かつての王神を倒す手がかりを探してアモンケットを訪れていたのだそうです。サルカンはハゾレトが手に持つ二又槍を見上げました。それはボーラスが創造したもの、であれば……。ハゾレトは槍を4人に託しました。
とはいえ、果たしてこれを自分達で持って行けるのか。全員で持てば、とサムトは言いますが、そこでニクシリスが声をあげて笑いました。自分はラヴニカに戻る気などないと。そして息つく間もなく炎と共にその場から消え去りました。
一方ダクはそれを見て怒りに燃え、逆にラヴニカへ戻ることを決意しました。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター41より訳
自分は完璧な人物には程遠い――正直、自分は盗賊であって英雄ではない。だがボーラスやテゼレットやオブ・ニクシリスに比較したなら、ダク・フェイデンはギデオン・ジュラだ! 今の彼に、慣れ親しんだ世界を見捨てる気はなかった。
『ダク・フェイデン。貴方は自分が思うよりも善き者なのですよ』
『そうでしょうか』 彼はハゾレト神へと思考を返した。
「宿命へ」ではなく「勝利へ」とダクは言って欲しかったが、選ぶのは彼の側ではなかった。
二又槍はカーンの質量と制御力を持ってラヴニカへ運べることがわかり、またサルカンもラヴニカへ同行すると言いました。ハゾレトの言葉に送り出され、彼らは次々とアモンケットを発ちました……最後に、ダクは一瞬躊躇しました。それでもその衝動を振り払い、ラヴニカへ戻っていったのでした。その彼を待つ宿命とは……
3. 不滅の太陽停止作戦
さてこちら。《次元間の標》がプレインズウォーカーをラヴニカに呼び寄せ、《不滅の太陽》が彼らを閉じ込めています。標は同時進行でラルが対処に向かい、太陽の方はチャンドラ・サヒーリ・ラヴィニアをメインとしたチームに委ねられました。不滅の太陽はアゾリウス評議会庁舎に設置され、《支配の片腕、ドビン》とその飛行機械によって厳重に守られていました。3人にとってはそれぞれカラデシュやラヴニカでの遺恨を持つ、間違いなく敵と言える相手です。
庁舎に入ると、すぐに不滅の太陽が発する熱が襲いかかってきます(もちろん、チャンドラだけは全く平気な顔をしていました)。太陽を止める方法はジェイスから聞いていました。イクサランにてアゾールの心から拾い上げた合言葉を使えば、オンとオフの切り替えができるのです。
無論、簡単にはいきませんでした。3人の到着とともに、そこかしこから飛行機械が現れて襲いかかってきたのです。途切れない攻撃に、不滅の太陽へ近づくことすら容易ではありません。操縦者であるドビンを対処しなければなりませんでした。そして、彼の姿はさほど遠くないところにありました。
自分に遺恨を持つこの3人が来ることをドビンは予測していました。そして続けざまに飛行機械を放ちつつ、自分がどのように備えていたかを丁寧に説明します。各人の弱点を研究し、その能力を削ぐ設計をおこなったこと。その飛行機械を効率的に大量生産してきたこと。とはいえ、チャンドラの成長についてはドビンも認めざるを得ませんでした。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター44より訳
「ナラーさん、貴女についてはいくらか驚いたことを認めざるを得ません。私の記憶にある限り、それほどまでに粘り強く正確な紅蓮術の攻撃をおこなってきたことはありませんでした。実際、習熟したと言って良いかもしれません。最もありえないことですが、今回はそれ以外の結論はありません」
それでも炎を放とうとするチャンドラとの間に、ドビンは落ち着いてかつ素早く飛行機械の群れを割り込ませます。……この先は、心底びっくりしたので、そのまま訳します。読んでください。
小説「War of the Spark: Ravnica」チャプター44より訳
それにもかかわらず、ドビン・バーンを爆発が襲った。
よろめき、ふらついて、驚きという慣れない感情がバーンの表情によぎった。狼狽し、彼はその爆発が直下から来たことを知った。円盤の脇から、彼は下を見た。もう1人のチャンドラ・ナラーが――本物のチャンドラ・ナラーが――飛行機械の壁のすぐ下で、巨大な炎の奔流を放ったのだった。それは不滅の太陽を留める台座の基礎を融かし、構造全体を揺らしていた。
バーンは失敗に気付いたが、遅すぎた。顔を上げると自分が無感情に嘲っていたチャンドラの姿はなく、ディミーア家のギルドマスターにしてシェイプシフターのラザーヴが、変身を完璧なものとするためのイゼット製火炎放射器を手にして立っていた。バーンが状況を再計算するよりも速く、ラザーヴは攻撃した――さらなる炎ではなく、ふたつの小さな金属製の星が投擲されてドビン・バーンの防護呪文を切り裂くと、その両目に突き刺さり、他者の弱点を看破するその能力を著しく削いだ。視力を奪われ流血し、バーンは悲鳴を上げた。
まさかのーーーーーー!!!!!!
上で「チャンドラ・サヒーリ・ラヴィニアをメインとした」って書いたのはそういうことです。実際この章はチャンドラ視点で進んでいるのですが、この場面までチャンドラはほとんど喋っていないんですよ。やられた。この場面は本当、小説版を読んだ全員がやられたところです。ラザーヴにこんなかっこいい見せ場があるとか!!!!!それと、「小さな金属製の星(原文:small throwing stars of a peculiar metal)」ってそれどう見ても手裏剣じゃねーか!!ニンジャ!?ニンジャナンデ!?
さて、チャンドラは飛行機械の群れに炎を放って道をあけると不滅の太陽へ急ぎ、全力で太陽を台座から落とすと、ジェイスの指示に従ってその上に立ちました。その時、太陽から凄まじい力が流れ込み、誘惑の囁きが耳に届きます。この力を使ってボーラスを倒す……そしてその座には……。ですがチャンドラはそれを振り払い、ジェイスに教わった合言葉を口にしました。直ちに不滅の太陽は機能を停止し、チャンドラは不可解な掌握が解けるのを感じました。またプレインズウォークできるようになったのです。
一方ドビンは。彼は血まみれの両手を叩いて合図し、全ての飛行機械を攻撃に向けさせました。チャンドラは、本物のチャンドラは無論全力の炎を放ちました。ドビンだけでなく、仲間の3人すらその熱に顔を覆うほどの。
敗北を悟り、ドビンは不滅の太陽がオフになった状況を利用してプレインズウォークで逃亡しました。ドビンを逃がしてしまったのは痛手でした。例え視力を失っても、危険な相手であることに変わりはないのですから。とはいえ、こうして不滅の太陽停止ミッションは完遂できたのでした。……いやー、ラザーヴのこれはある意味『灯争大戦』の小説で一番驚いた箇所でした。初見の時から喋りたくてたまらなかったんですよ!やっと詳しく書けた!満足!!
4. 次回は
この2人と、
この2人と、
この2人の話をする予定です!きっと今月中に!!
(終)