モダンでサヒーリコンボを使おう

Jacob Nagro

Jacob Nagro

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/08/08)

似て非なるもの

現在のモダンは《甦る死滅都市、ホガーク》に完全に環境を歪められ、異様な状況となっています。遅くとも次回の禁止改定で《甦る死滅都市、ホガーク》は禁止されることでしょう。

そこで今回はここ数か月に渡って私が手がけてきたデッキたちにスポットを当てます。それらは風向きが良くなれば活躍が期待できるものであり、かつてのスタンダードを席巻した《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》のコンボを使ったデッキです。

サヒーリ・ライ守護フェリダー

サヒーリコンボは《欠片の双子》《詐欺師の総督》による欠片コンボに類するものとして捉えられてきました。どちらのデッキもコンボパーツのマナコストが同じですし、最終的に速攻を持つ無限トークンで勝つという点でも似通っているからです。しかし両者には明白で重要な違いがいくつかあるため、《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》を使った構築は一味違ったやり方でアプローチすることができます。

《サヒーリ・ライ》は単体のカードパワーで見れば最強のプレインズウォーカーたちと肩を並べることができませんが、3マナのプレインズウォーカーであることには変わりはありません。先手を筆頭として、相手の脅威がない状況で盤面に着地することも多いのです。

[+1]能力は少々インパクトに欠けますが、[-2]能力は適格なアーティファクトやクリーチャーを用意できればアドバンテージを発生させることができます。そして何よりも重要なのは、《サヒーリ・ライ》が実のところはやや攻撃寄りのプレインズウォーカーであるということです。相手に直接1点ダメージを与えたり、速攻クリーチャーを生成したりできますが、いずれもビートダウンデッキに有用な能力でしょう。

《守護フェリダー》はコンボパーツですが、その他の状況では基本的にアドバンテージ源となります。4マナ1/4ではビートダウン戦略にそぐわないものですが、誘発能力でアドバンテージを稼ぐ守備的なクリーチャーとしての役割の方が大きいです。デッキ構築において《守護フェリダー》《サヒーリ・ライ》はコンボ以外での方向性に食い違いがありますが、クリーチャーやアーティファクトをコピーしたり「明滅」させることでアドバンテージを取ろうとしている点は共通しています。

ジェスカイサヒーリ

瞬唱の魔道士稲妻差し戻し

ジェスカイサヒーリのデッキリストは、過去の《欠片の双子》デッキを参考にして構築されていることが一般的です。《瞬唱の魔道士》《稲妻》《差し戻し》を妨害手段として用い、コンボを決めるまでの時間を稼いだり、場合によっては単純に相手にプレッシャーをかけつつ火力呪文で押し切ります。

覆いを割く者、ナーセット時を解す者、テフェリー

『灯争大戦』によりジェスカイサヒーリは《覆いを割く者、ナーセット》とさらに重要な《時を解す者、テフェリー》という強化を受けました。特にテフェリーはサヒーリコンボと非常に噛み合っています。少なくとも《排撃》効果で時間を稼げますし、インスタントタイミングでの妨害からコンボを守ったり、《守護フェリダー》の「明滅」先のカードとしてさらなるアドバンテージにつなげられるのです。必ずしもすべてのサヒーリコンボデッキに当てはまらないかもしれませんが、ジェスカイサヒーリでは今後テフェリーが4枚投入される形が一般的になってくると予想しています。

今から掲げるデッキリストは、先月にベン・フリードマン/Ben Friedmanが記事で紹介していたものになります。

詐欺師の総督やっかい児

先ほどお伝えしたように、このデッキリストは《欠片の双子》デッキを彷彿とさせるものがあります。しかし、この2つのデッキには重大な違いがあるのです。《欠片の双子》デッキは3マナを構えてターンを返せば《詐欺師の総督》《やっかい児》の存在をちらつかせることができるのに対し、ジェスカイサヒーリはそのような贅沢を味わうことができないため、あらゆるインスタントの価値が少々落ちてしまいます。『灯争大戦』以降はタップアウトしてプレインズウォーカーを展開するスーパーフレンズ型に傾きつつあるのは良い兆候であり、近々にプレインズウォーカーの枚数が増えた構成が出てきても何の驚きもありません。

前兆の壁

上記のデッキリストは《サヒーリ・ライ》の[-2]能力でアドバンテージを獲得する手段を増やした方が良いでしょう。《瞬唱の魔道士》をコピーしてもアドバンテージになりますが、3ターン目に《サヒーリ・ライ》を出したときにアドバンテージが取れるクリーチャーではありません。《前兆の壁》はそこまで好きではありませんが、このアーキタイプには実に適していると思います。3ターン目の《サヒーリ・ライ》で即座にドローできますし、3種類も採用された3マナのプレインズウォーカーを守るうえで頼りがいがある2マナ域になってくれるはずです。

私なら《前兆の壁》を数枚入れるために《差し戻し》を全て抜くでしょう。現在のモダンは総じてマナコストが低くなってきているため、《差し戻し》は環境に適していないと思うことが増えてきています。

基本的にサヒーリコンボを能動的なゲームプランで運用したいと私は考えているので、デッキの構成を練っているときは毎回のように緑が最終的に入っています。

4色サヒーリ

スタンダードで頂点に君臨していた当時のデッキリストを参考にしてみると、このアーキタイプは主にアドバンテージを稼ぎながらビートダウンし、同時にコンボによる勝利も狙えるデッキとして相手の判断を困難にするという特徴がありました。この特性を活かした形のデッキを最近使っていたのでご紹介しましょう。(『モダンホライゾン』がリリースされる前のデッキリストなので少々アップデートが必要かもしれません)

反射魔道士

以前にこのデッキを使っていたのは、フェアデッキを倒したいという意図があったからでした。多大なアドバンテージを稼ぐことに長けており、《時を解す者、テフェリー》《反射魔道士》のタッグは《タルモゴイフ》などの脅威にフィーチャーしたデッキに対して驚くほど強いのです。

現環境のミッドレンジの王者はジャンドという印象があり、《疫病を仕組むもの》やさらに重要な《レンと六番》を前にしてタフネス1のクリーチャーを多く採用した構成は愚かであるようにも思えます。ですが、《反射魔道士》《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》にとって最高の相棒の一人なのです。

マナ効率という点では《流刑への道》に及びませんが、《反射魔道士》はこのアーキタイプでは大きなメリット持ちの除去として機能し、特に攻撃に回るクリーチャーが多い構成であれば効力は増します。先に言及したように、《サヒーリ・ライ》は攻撃寄りのカードですから、着地してすぐに《反射魔道士》をコピーすることが彼女の最も有効な利用方法のひとつとなります。

スラーグ牙

《スラーグ牙》を4枚も採用しているのは違和感があるかもしれませんが、これはどんなフェアデッキに対してもこの上なく頼もしかったからです。そもそもこのデッキのマナベースはライフの損失が大きいので、5点のライフ回復がそれを帳消しにしてくれます。また、フェアデッキは《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》と合わさった《スラーグ牙》を乗り越えることが非常に難しいのです。まるでもう1枚のコンボパーツのような印象も受けますね。

時を解す者、テフェリーニッサの誓い

ソーサリーこそ採用していませんが、4色サヒーリはジェスカイサヒーリよりも《時を解す者、テフェリー》を遥かに上手く運用できます。というのも、《サヒーリ・ライ》《守護フェリダー》のコンボが揃っていなくとも、そのいずれかが他のクリーチャーを対象に能力を使用する場合に相手が妨害をできなくなるからです。それだけでなく、コンボを早々に決める必要があるマッチアップで《ニッサの誓い》を手札に戻せば、デッキを掘り進める速度を大きく加速させることができます。

『モダンホライゾン』を使ったサヒーリコンボ

『モダンホライゾン』にはサヒーリコンボにとって期待できる新カードが実に多く収録されていました。以下に掲げたデッキは、個人的に面白そうだと思ったカードをふんだんに盛り込んだ構成となっています。

焦熱の裁き

このデッキが意図するゲームプランはジェスカイサヒーリ寄りのものですが、さらにアドバンテージ差で勝利しやすくなっています。緑を含む4色であり、先ほどの4色サヒーリほどビートダウンに重きを置いていないため、《焦熱の裁き》を採用できます。相手によっては利点尽くしのカードとなるでしょう。

レンと六番

《レンと六番》は単純に万能なカードです。能力はプレインズウォーカー界で最強とは言えませんが、アドバンテージをもたらす2マナのプレインズウォーカーとして期待できます。このデッキは元からプレインズウォーカーを守ろうとするデッキですから、《レンと六番》も噛み合うだろうと判断しました。また、土地を伸ばすことにも大きな意味があります。5マナまで伸ばしてしまえば、6枚目の土地が揃ったターンに一気にコンボを成立させることもできるからです。

アーカムの天測儀

《アーカムの天測儀》は4色による色事故を軽減できます。さらに《サヒーリ・ライ》の[-2]能力の対象として非常に安全なアーティファクトであり、これまでのあらゆるサヒーリコンボデッキになかった強みです。《アーカムの天測儀》をきっかけにアーティファクトに比重を置いた構成も考えられるかもしれません。その場合には明確な強カードである《オパールのモックス》、場合によっては《最高工匠卿、ウルザ》を使ったデッキとなるでしょう。

花の壁

最後に紹介するのは《花の壁》。特別強いカードではありませんし、目新しさもあまりないですが、新たにモダンで使えるようになったクリーチャーです。今回のように緑マナ源に偏重したマナベースであれば《前兆の壁》よりもありがたいことでしょう。繰り返すようですが、プレインズウォーカーを多く採用したデッキでは彼らを防衛する手段として期待できます。

この構成がサヒーリコンボにとって最善ではないかもしれませんが、先ほどもお伝えした通り、『モダンホライゾン』で使えるようになったカードを盛り込んだ構築をお見せしたかったのです。選択肢がさらに増えたことで、予想されるメタに合わせてサヒーリコンボを調整できる可能性が一段と大きくなりました。4ターンキル、上手くいけば3ターンキルを常に狙えるデッキですから、選択肢として頭の中に入れて置くべきアーキタイプだと思います。

モダンの展望

今のところサヒーリコンボはモダンで最強の一角であると証明できていませんが、今後はその地位に近づいていくと心から信じています。待望のひと押しがたった1枚の新カードによって実現する日も近いかもしれません。

虚空の力線甦る死滅都市、ホガーク安らかなる眠り

また、近日中にさらなる禁止があることを強く望んでいます。《甦る死滅都市、ホガーク》は禁止が濃厚だと思われますが、正直なところ緊急で禁止されていないことに驚いているぐらいです。《甦る死滅都市、ホガーク》デッキをグランプリで2度使った身から言わせてもらえば、このクリーチャーはあまり面白いカードではありません。

大抵のゲームは《虚空の力線》や相手が3~4ターン目に勝てるかどうかにかかっていて、その他のあらゆる要素はほとんど意味がないような印象を受けるのです。もしかしたら、さらに強力な墓地対策カードがモダンには必要だというお告げなのかもしれません。というのも、ホガークヴァインは2ターン目に《甦る死滅都市、ホガーク》を着地させる確率が十分にあり、先手で《安らかなる眠り》を乗り越える場面を私は何度も目にしてきたからです。

《甦る死滅都市、ホガーク》が明確な禁止候補だとしても、追加の禁止を大いに期待していますし、禁止解除があっても良いかもしれません。ここ半年に渡ってドレッジを定期的に練習してきていますが、比較的影響力の小さい墓地対策でも、ホガークヴァイン相手にはあまり期待できなくともドレッジには有効なものがあります(《大祖始の遺産》《貪欲な罠》など)。

信仰無き物あさり這い寄る恐怖

しかし結局は墓地対策を相手が持っているか、あるいはこちらが4ターン以内に負けるかどうかにかかっていることがほとんどです。《信仰無き物あさり》が禁止対象として正しいのかどうかはわかりませんし、個人的には《這い寄る恐怖》に一票を投じたいところですが、いずれにしてもドレッジから何らかのカードを禁止にすることは避けられないと思います。

本日もお付き合いいただきありがとうございました。何かありましたら気兼ねなくTwitterでコンタクトを取ってくださいね。

ジェイコブ・ナグロ (Twitter)

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Jacob Nagro

Jacob Nagro アメリカ出身のプロプレイヤー。 彼の最初の活躍はグランプリ・デンバー2016でのことで、「青白フラッシュ」を用いてトップ8に入賞した。その後も惜しまぬ努力を続けた結果、彼の労力は2016-2017シーズンのシルバーレベルという形で報われることになる。 《大いなるガルガドン》と《恐血鬼》が印象的な「赤黒ブリッジヴァイン」を駆使してマジック25周年記念プロツアーで7位入賞を果たす。そしてこの素晴らしい成績は彼をゴールドレベルへと押し上げたのだ。 Jacob Nagroの記事はこちら