禁止改定後のモダンとイゼットフェニックスのその後

Javier Dominguez

Javier Dominguez

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/08/29)

今回の禁止改定について

やぁみんな!元気かい?

またしてもモダンの風景が大きく変容しようとしている。先日、禁止制限リストに変更が加えられたんだ。

では、ひとつずつ見ていこう。

《甦る死滅都市、ホガーク》

甦る死滅都市、ホガーク

《甦る死滅都市、ホガーク》は『モダンホライゾン』からの新入りだった。でも0マナ8/8トランプルが2ターン目に出てくるのは、モダンでは強すぎたね。

このゴルガリカラーの伝説クリーチャーに関しては色々と言われてきたけど、個人的にはホガークヴァインはかつてのエルドラージなどよりも断然強いデッキだったと思う。だからモダンの歴史上、これほど禁止を予測しやすいカードもなかなかなかったね。

《信仰無き物あさり》

信仰無き物あさり

《信仰無き物あさり》も禁止された。《甦る死滅都市、ホガーク》よりは予想外の変更だったけど、カードパワーを考えればいずれ禁止になっていたんじゃないかな。その強さを裏付けるかのように、《信仰無き物あさり》を使ってきたほとんどのデッキは構成を大きく見直す必要が出てくるだろう。

例外はドレッジだ。あのデッキは死んだと思われても、最終的には誰かがその常識を打ち破り続けてきた。

この2枚の禁止がモダンのメタゲームを大きく変えることは間違いないだろう。ホガークヴァインとの相性の悪さから使われてこなかったデッキも多いからね。でも話はここで終わりじゃなかった。

《石鍛冶の神秘家》

石鍛冶の神秘家

モダンに再び禁断のカードがやってきた。《石鍛冶の神秘家》が禁止解除されたんだ。

この禁止解除は良い変更だ。それは単純に《石鍛冶の神秘家》が世間で思われているほど強くないと思っているからだ。

確かにみんなが愛するゲームでトップクラスのクリーチャーなわけだけど、《瞬唱の魔道士》《タルモゴイフ》だって同じだ。少なくとも《梅澤の十手》がないなら《石鍛冶の神秘家》は使わなきゃ損というカードにはならないと思う。《梅澤の十手》は依然としてモダンで禁止であり、レガシーで《石鍛冶の神秘家》が強いのはこの装備品が大きな要因だ。

とはいっても、《石鍛冶の神秘家》は使われていくだけのカードパワーがあるし、期待できる役割が3つある。

白のミッドレンジデッキ

まずひとつ目。3つの役割のなかでこれだけは自信を持って言える。《石鍛冶の神秘家》は白のミッドレンジデッキを大幅に強化する。

メタゲーム上の立ち位置が以前から良くない白のミッドレンジデッキはいくつか存在していた。たとえば、《霊気の薬瓶》《レオニンの裁き人》《スレイベンの守護者、サリア》《ちらつき鬼火》などによるヘイトベアデッキだ。こういったデッキたちは《石鍛冶の神秘家》のような効果を喜んで使うことだろう。

あるいは白緑のミッドレンジデッキでも運用できる。《石鍛冶の神秘家》と装備品を入れても、《集合した中隊》で展開できるクリーチャーの数を十分に確保できるはずだ。白ベースで比較的遅いフェアデッキであれば、基本的に《石鍛冶の神秘家》を使うことになるだろう。

霊気の薬瓶集合した中隊

青のコントロールデッキ

《石鍛冶の神秘家》はかつての盟友、《精神を刻む者、ジェイス》と再びタッグを組むこともできる。レガシーの青白石鍛冶のような感じだね。

精神を刻む者、ジェイス

《石鍛冶の神秘家》が青白コントロールやジェスカイコントロールのようなデッキでメインデッキに必須になるかはわからない。でも、どれだけ評価を低く見積もっても、サイドボードからの能動的なプランとしてとても優れている。《黎明をもたらす者ライラ》などよりも良いサイドボードだと思うよ。

また、《瞬唱の魔道士》《謎めいた命令》といった呪文があるから、《饗宴と飢餓の剣》《殴打頭蓋》と共に《石鍛冶の神秘家》のサーチ先として非常に優秀だ。

瞬唱の魔道士饗宴と飢餓の剣謎めいた命令

装備品を使うコンボデッキ

《石鍛冶の神秘家》《頭蓋囲い》や(ソプターコンボで使う)《弱者の剣》をサーチするカードでありながら、《殴打頭蓋》を手札に加えるシンプルに強いクリーチャーとしても使える。俺がレガシーで愛用している、セファリッド・ブレックファーストでの役割と似ているね!

ウルザソプターは禁止改定前からベストデッキのひとつだった。もし《石鍛冶の神秘家》がこのアーキタイプで抜群の働きを見せることになれば、ホガークヴァインの後を継ぐ「倒すべきデッキ」となるだろう。

最高工匠卿、ウルザ飛行機械の鋳造所弱者の剣石鍛冶の神秘家

《石鍛冶の神秘家》に関して疑問に思うことも多々あるだろうけど、いつものように数週間経てば答えはあっさりと出ているはずだ。でも、もし2マナクリーチャーとして強すぎる結果になったら驚きだね。

イゼットフェニックス

禁止改定の告知を見るまでは、《甦る死滅都市、ホガーク》禁止後の環境におけるイゼットフェニックスについて記事を書こうと思っていた。でもすっかり状況が変わってしまったんだ。

イゼットフェニックスはもう死んだのだろうか?多分そうだろうけど、適応することはできる。《信仰無き物あさり》が禁止された今、《弧光のフェニックス》がイゼットフェニックスで機能するとは思えない。だから今回の禁止をこのアーキタイプに適応させようとする場合、まるで両カードを禁止されたかのような感覚に陥る。

《弧光のフェニックス》はイゼットフェニックスにおける最重要の脅威では決してなかった。《氷の中の存在》こそがその立場にあったと思う。しかし他方で《信仰無き物あさり》はデッキの安定性を低下させる。これが原因でイゼットフェニックスは使用に値しないデッキとなったと言えるかもしれない。

弧光のフェニックス信仰無き物あさり

《紅蓮術士の昇天》は数か月前からをおすすめしてきたカードだし、実際にミシックチャンピオンシップ・バルセロナ2019で嬉々として採用を決めたカードだった。もしイゼットフェニックスが生き残っていくのならば、2つのエンチャントを軸にしたデッキとなるだろう。そのエンチャントとは、《紅蓮術士の昇天》《炎のアリア》だ。

紅蓮術士の昇天炎のアリア

どちらのエンチャントも《有毒の蘇生》と相性が良く運用できる可能性がある。《紅蓮術士の昇天》に探索カウンターが2個以上置かれていて、《有毒の蘇生》《魔力変》が2枚ずつあれば無限マナを生み出すことができる。《紅蓮術士の昇天》でコピーされた《有毒の蘇生》とオリジナルが、もう1枚の《有毒の蘇生》《魔力変》を回収できるから、この動きを何度も繰り返すことができるんだ。

有毒の蘇生

《有毒の蘇生》《炎のアリア》の詩句カウンターを急速に増やすことが可能だ。フリースペルであり、次のドローをインスタントかソーサリーで固定することができるからね。だから《有毒の蘇生》のように呪文数を確保できる効果を最大限に利用するのは理に適っていると思うよ。

溶岩の投げ矢

この考えを推し進めていくと、《炎のアリア》による勝利を早める《溶岩の投げ矢》が候補に挙がってくるように思える。《有毒の蘇生》ほどは確証が持てないけど、タフネス1のクリーチャーがどれだけ環境にいるかで採用するかどうかが決まるだろう。

手始めに使うデッキはこんな感じじゃないかな。

赤のエンチャントに傾倒していくとなれば、クリーチャーを0枚にして相手の《流刑への道》などの除去を腐らせるのは合理的だ。《氷の中の存在》だけ採用しても除去の的になるだけだからね。ただ、サイドボードとしてはおそらく一番質の高いカードだろう。

差し戻し

《差し戻し》はこのデッキで非常に強い可能性がある。元々はあまり好きな効果ではなかったけど、8枚のエンチャントと好相性となれば、この打ち消し呪文がメインデッキの枠に入ってもおかしくない。《差し戻し》が遅すぎるのであれば、《噴出の稲妻》などでよりアグレッシブにライフを狙っていく形も考えられる。

イゼットの魔除け

《イゼットの魔除け》コンボデッキ対策であり、《献身のドルイド》などへの追加の除去でもある。こういったデッキと戦う際は、相手の動きを妨害し、《紅蓮術士の昇天》で勝つまでの時間を稼ぐことがゲームプランになるからね。

致命的な一押し稲妻流刑への道

ここで紹介したデッキはストームデッキにかなり似ているけど、どちらが良いのかはまだわからない。ストームの方がゲームスピードが速いものの、相手の除去が全く刺さらないというのは今回紹介した戦略の大きな魅力だ。特に《石鍛冶の神秘家》が解禁されたことで《致命的な一押し》の採用率が高まるだろうしね。

まとめ

俺は近々にモダンの大会に出る予定はないけど、新環境や新しいデッキについて知りたいと思っている。だってモダンはプレイしていて本当に楽しいフォーマットだからね。

じゃあまた次回!元気でね!

ハビエル・ドミンゲス (Twitter / Twitch)

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
Javier Dominguez

Javier Dominguez スペインを代表するプレイヤー。 グランプリトップ8入賞は6回。【グランプリ・パリ2014】と【グランプリ・ロッテルダム2016】で優勝も経験している。 プロツアーでもその力を発揮し、【プロツアー『戦乱のゼンディカー』】と【プロツアー『破滅の刻』】では9位に入賞を果たすなど、輝かしい戦績を誇る。【ワールド・マジック・カップ2016】では母国スペイン代表のキャプテンを務めた。 Javier Dominguezの記事はこちら