赤単の歩みとこれから
赤単というデッキは、度々スタンダードでメタゲームの上位へ浮上する。何といってもその疾走感が特徴で、愛好家も多いことだろう。
ここ4~5年のスタンダードを振り返ってみても、赤単がタイトルを手にした大会はいくつもある。
赤単が優勝したプロツアー | プレイヤー名 |
---|---|
プロツアー『マジック・オリジン』 | ヨエル・ラーション |
プロツアー『破滅の刻』 | パウロ・ヴィター・ダモ・ダ・ロサ |
プロツアー『ドミナリア』 | ワイアット・ダービー |
このように赤単というアーキタイプは、長きに渡るマジック:ザ・ギャザリングの歴史の中で幾度となく結果を残しているのだ。
赤単というデッキが勝っているときは、概して“赤単を使う理由たらしめる強力なカード”がスタンダードに存在するときである。例えばラムナプレッドの名前の由来にもなった《ラムナプの遺跡》や、『ドミナリア』発売から今現在まで活躍を続けている《ゴブリンの鎖回し》、ローテーション後も活躍をするであろう《実験の狂乱》などがその最たる例だ。
今回、晴れる屋メディアからご紹介するのは“次期スタンダードで赤単を使う理由になる”可能性を秘めたこのカード!
土地
あなたが山をコントロールしていないかぎり、エンバレス城はタップ状態で戦場に出る。
(T):(赤)を加える。
(1)(赤)(赤),(T):ターン終了時まで、あなたがコントロールしているクリーチャーは+1/+0の修正を受ける。
土地がダメージ源になることがいかに強力かということは、かつて禁止カードに指定されていた《ラムナプの遺跡》からもお分かりいただけるだろう。アグロデッキというのは手札の消費が激しいため、こういった息切れを防止してくれる土地の存在が中~長期戦の強さに直結する。《ラムナプの遺跡》がそうであったように、本来であれば届かないはずの残り数点を《エンバレス城》のおかげで削り切れた、という展開は思いのほか多いはずだ。
それに、《エンバレス城》があれば火力呪文を温存できる展開も増えるだろう。例えばこちらの2/2のクリーチャーが3/3のクリーチャーと対峙した際に、これまでは火力呪文で強引に道をこじ開けていた。また、クリーチャーの攻撃だけでプレインズウォーカーの忠誠度が削り切れなかった場合に火力呪文でとどめを刺す、というのもよくある光景だ。しかし、《エンバレス城》さえあれば火力呪文を使用せずともこれらの状況を打破することができる。
以上の理由から、《エンバレス城》は様々な観点でアグロデッキの息切れ防止に寄与してくれることだろう。
ローテーション後に残る相性のいいカードとしては、《軍勢の戦親分》や《炎の侍祭、チャンドラ》、《ブリキ通りの重鎮、クレンコ》などが挙げられる。
さらにこのカードは、《山》の基本土地タイプを持つ土地があればアンタップインすることができるので、赤単だけでなく2色以上のデッキでの採用も考えられる。例えばトークンを並べることに長けている白と組み合わせて《急報》を入れてみたり、黒と合わせて《災いの歌姫、ジュディス》と《エンバレス城》によって全体+2/+0修正をするのも面白いかもしれない。
まだまだ終わらない《エンバレス城》の魅力
さらに、ここでお終いじゃないのが『エルドレインの王権』のすごいところだ。
このカードの魅力は、カードテキストだけではない。その力強く美しいイラストも非常に魅力的だ。これはアーサー王伝説とおとぎ話をモチーフにしたファンタジーな世界観である『エルドレインの王権』のカード全般に該当することかもしれない。
そして、このセットにはそれらのイラストを引き立てる仕掛けが施されている。すでにご存知の方も多いかもしれないが、『エルドレインの王権』の一部のカードには拡張アート枠版が存在するのだ。(参考記事:Making Magic -マジック開発秘話- プロジェクト・ブースター・ファン)
今回ご紹介した《エンバレス城》もその中の1枚だ。それでは、早速拡張アート枠版をご覧いただこう。
拡張アート枠だと華麗なイラストがより一層際立って見える。先述の通り、『エルドレインの王権』には美しく幻想的なカードが他にも収録されているので、他のカードの拡張アート枠にも期待が高まるばかりだ。
ローテーションによりガラッと変わる『エルドレインの王権』発売後のスタンダード。新環境のスタンダードはいつだって可能性が無限大だ。ぜひ皆さんに、この《エンバレス城》の可能性を引き出していただきたい。
プレイヤーだけではなく、コレクターにも嬉しい『エルドレインの王権』は2019年10月4日発売予定。さらに9月27日(金)~29日(日)は晴れる屋各店舗でプレリリースを実施!
アーサー王伝説とおとぎ話をモチーフにした幻想的な世界観の次元、”エルドレイン”が舞台の今作。あなたもぜひ、おとぎ話の世界に飛び込もう!