モダンにおける《石鍛冶の神秘家》の可能性

Immanuel Gerschenson

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/09/10)

一新されたモダン環境

やぁみんな。ようやく身を隠すのをやめて、モダンを遊べる時がやってきたね!そう、あの巨大生物とその小さく厄介なパートナーが環境からいなくなり、代わりに色々なデッキに入る新入りが参入してきたんだ。

甦る死滅都市、ホガーク信仰無き物あさり

ウィザーズが直近で発表した禁止改定告知を知らない人もいるかもしれない。《甦る死滅都市、ホガーク》《信仰無き物あさり》が禁止され、《石鍛冶の神秘家》が禁止解除されたんだ。

石鍛冶の神秘家

今回は禁止の是非を問うのではなく、《石鍛冶の神秘家》に焦点を当てていこう。さぁ、準備は良いかい?

《石鍛冶の神秘家》デッキの可能性を探ろう

《石鍛冶の神秘家》のパワーとタフネスは、モダン視点ではあまりにも残念だ。このカードを偉大なカードに押し上げている理由は、その他のカードテキストにある。どんな装備品でもサーチ可能で、1ターン生き残ればたったの2マナでその装備品を展開できる。だからこそ飛びぬけたカードになるわけだ。

殴打頭蓋火と氷の剣光と影の剣饗宴と飢餓の剣

あらゆる《石鍛冶の神秘家》デッキが真っ先に採用するのが《殴打頭蓋》だ。でも《殴打頭蓋》以外にも豊富な選択肢が用意されていて、目的次第で使い分けることができる。リソース勝負をしかけたり、無限コンボを狙ったり、まさに可能性は無限大だ。

じゃあどんなアプローチ方法があるのかを色々と見ていこう。

既存のアーキタイプ

ウルザソプター

以下のデッキリストは、直近のMagic Onlineのミシックチャンピオンシップ予選で惜しくも決勝で敗れたものだ。

飛行機械の鋳造所弱者の剣

デッキリストを見ての通り、《石鍛冶の神秘家》のサーチ先として《殴打頭蓋》《弱者の剣》が使われている。《弱者の剣》は単体では弱いが、《飛行機械の鋳造所》《最高工匠卿、ウルザ》と組み合わせることで無限のマナ、ライフ、トークンを得ることができるんだ。

状況やマッチアップに応じて《石鍛冶の神秘家》はコンボパーツをサーチしたり、盤面を支えるクリーチャーを供給できる。4ターン目よりも前に無限コンボが決まることは滅多にないから、このデッキにおける《石鍛冶の神秘家》が極度にアンフェアすぎるということは決してない。でも、コンボまでの道のりが長かったり遅すぎる場合には、サブのゲームプランとして《殴打頭蓋》があるのは素晴らしいことだ。

親和

次に紹介するのは、古き良きデッキだ。存在を忘れられがちではあるが、いつの時代も存在しているデッキだ。

頭蓋囲い

《頭蓋囲い》が親和でどれほど優れているかご存知だろうか?極めて強力で、大抵はたったの数ターンでゲームを終わらせる力があるのだ。だからこそ、《石鍛冶の神秘家》《頭蓋囲い》をサーチできるのは親和にとって大きな強化であり、再び注目のデッキとなっている。そして《頭蓋囲い》が必要ない場合には、《殴打頭蓋》をサーチするというプランを取ることができる。


上記の2つのデッキは、《石鍛冶の神秘家》が既存の戦略を強化しつつ、主たるゲームプランが上手く運んでいないときには《殴打頭蓋》というプランBをとれるようになっている例だ。しかし、《石鍛冶の神秘家》によって全く新しいデッキも生まれてきている。

新規のアーキタイプ

白緑エルドラージ

こちらはこれまでの無色を多用したリストとは一味違う、新機軸のエルドラージデッキだ。

変位エルドラージ饗宴と飢餓の剣大いなる創造者、カーン

このデッキリストは《石鍛冶の神秘家》を単なるパワーカードとして使っている。《流刑への道》、「剣」による「プロテクション」、《変位エルドラージ》の起動型能力により、相手はブロックさえままならないだろう。

《饗宴と飢餓の剣》は相手に手札を捨てさせ、追加のマナを確保することでアドバンテージをもたらす。追加のマナは、さらなる《変位エルドラージ》の起動型能力に使用したり、《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力で手札に加えたカードを展開する際に有用だ。《火と氷の剣》は、脅威が不足している場合に手札を補充してくれる。

青白石鍛冶

懐かしき青白石鍛冶に言及せずに記事を終わらせるわけにはいかない。スタンダードを席巻していた時代を知っている人もいるだろうが、はたしてモダンではどのような構成になるのだろうか?

石鍛冶の神秘家否定の力

《石鍛冶の神秘家》を使う青白デッキの組み方は色々と考えられるが、大抵のデッキは《石鍛冶の神秘家》を1ターン以上生存させるために《否定の力》を採用している。上記のデッキは基本的にコントロールであり、《石鍛冶の神秘家》あるいはコントロールしきって勝つことになる。

2ターン目の《石鍛冶の神秘家》《流刑への道》で対処するのは理想的ではないため、個人的には3色目を足したいところだ。たとえば、赤を含めて《稲妻》を採用すると良いだろう。赤を足すのであれば、以下のようにアグレッシブな形に挑戦することができる。

稲妻稲妻のらせん

ジェスカイテンポ

ルーンの与え手呪文捕らえ時を解す者、テフェリー

このデッキはメインデッキに《否定の力》を使わず、《ルーンの与え手》でクリーチャーを守り、クリーチャーと火力呪文を増加させることでテンポで相手を圧倒できるような構成にしてある。《呪文捕らえ》《時を解す者、テフェリー》は良いコンビであり、《時を解す者、テフェリー》が戦場にいる限り《呪文捕らえ》を除去してもその効果で追放された呪文を唱えることができない。

おわりに

お気付きの通り、《石鍛冶の神秘家》の使い方は多岐に渡っているため、まだその全貌が明らかになっていないのは確実だ。もしかしたらバントやエスパーが最適な色の組み合わせなのかもしれない。今のところ、3ターン目までに安定して勝利してはならないというモダンの大原則を破ろうとするデッキはそう多くない。モダンで遊び、新たな戦略を探る時間は十分にありそうだ(《石鍛冶の神秘家》と共にね)

みんなの《石鍛冶の神秘家》デッキはどんなものだろうか?それともそのようなものは構築せずに、打ち倒す側に回るのだろうか?これほどまでに楽しいモダンは久しぶりのことだ。今というときを精一杯楽しもう!

イマニュエル・ゲルシェンソン (Twitter)

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Immanuel Gerschenson イマニュエルは構築戦を得意とするプレイヤーで、グランプリ・マドリード2014 (モダン)、そしてグランプリ・セビリア2015 (スタンダード) という2つの大会で頂点をつかみ取った、オーストリア屈指の実力派。 プロツアー『イクサランの相克』ではサイドに《遅延》を採用した独特のトラバース・シャドウを手に、構築ラウンドを9勝1敗で駆け抜け14位に入賞。さらにオーストリア選手権2018では準優勝に輝き、オーストリア代表の座を手にするとともに、ゴールドレベルを手中におさめた。 Immanuel Gerschensonの記事はこちら