『エルドレインの王権』発売!
本日10月4日(金)、ついに最新セット『エルドレインの王権』が発売されました!
不思議に満ちたおとぎ話の世界、エルドレイン。ここには巨人やフェアリー、動くクッキー?など様々な生物が棲息しています。そして今回、新たなキーワード能力「出来事」が登場!《厚かましい借り手》のような、スペルまたはクリーチャーとして使える強力なカードが多数収録されています!
魅力的なカードが揃った『エルドレインの王権』を見ると、どのカードやデッキが強いのか、どのカードを買えばいいのか、悩んでしまう方も多いのではないでしょうか?
そこで各構築フォーマットを代表する実力者である第14期「神」のみなさんに、「『エルドレインの王権』で注目するカード トップ3!」を聞いてみました!
■ 「神」とは?
晴れる屋が主催している、「神決定戦」という大会の暫定王者。
スタンダード・フロンティア・モダン・ヴィンテージ・レガシー・リミテッドの6フォーマットそれぞれで行われており、予選大会 (挑戦者決定戦) と決勝大会 (神決定戦) を勝ち抜いた者だけが「神」になることができる。
各フォーマットを熟知した者ならではの視点から、鋭い意見が飛び交いました。「神」の目には何が映り、彼らは何を考えたのでしょうか。
◆第14期スタンダード神 江原 洸太
『エルドレインの王権』カードセット全体の印象
スタンダードはローテーションによりまた新たな環境になりました。『エルドレインの王権』にはとても強力なカードが多数収録されているので、次の環境も楽しめそうです。
何より新メカニズムである「出来事」は非常に強力で、カードリストを眺めると構築級の「出来事」がたくさんあり、これから目にする機会が多々ありそうです。
『エルドレインの王権』スタンダード注目カードトップ3!
1位 《寓話の小道》
《進化する未開地》の上位互換カードが登場しました。本当に進化していますね。スタンダードでいままで使えていた《氷河の城砦》などのチェックランドが落ちてしまい、3色以上の構築は厳しいと思っていましたが、このカードのおかげで何とかやっていけそうです。
どんなデッキにも入ると思いますし、今後のスタンダードでずっと使っていく1枚なのでぜひ4枚集めておきましょう!
2位 《むかしむかし》
初めてこのカードを見たときは衝撃的な能力にビックリしました。最初に唱えるときはコストを支払わなくていいので初手がキープしやすくなるでしょうし、2マナのインスタントなので2枚目以降も腐りにくい点も高評価です。緑が絡むのなら4枚使うことになるので、こちらも4枚集めときましょう!
3位 《王冠泥棒、オーコ》
来ました!新プレインズウォーカー!!3マナと軽いうえに初期忠誠度が4と高く、[+2]スタートだとかなり落としにくいですね。[+1]能力は永続なので、自身で生成した食物トークンをクリーチャー化したり、相手のクリーチャーを弱体化させたりと汎用性がとても高いカードです。これからよく見かけるカードとなるでしょう。
◆第14期フロンティア神 三科 良太
『エルドレインの王権』カードセット全体の印象
わかりやすく強いカードが少なく、カードの評価が難しい印象を受けました。しかし、可能性がありそうなカード自体は多く、デッキ開発のしがいがあるセットと言えるでしょう。
フロンティアは人口が少なくデッキ開発の進展が見込みづらいフォーマットではありますが、頑張っていきたいですね。
『エルドレインの王権』フロンティア注目カードトップ3!
1位 《残忍な騎士》
フロンティアにもようやく《英雄の破滅》が来ました。
《サヒーリ・ライ》や《時を解す者、テフェリー》といった3マナのプレインズウォーカーが環境を席巻している現在、プレインズウォーカー除去はプレイヤーが最も求めていたものと言っても過言ではないでしょう。クリーチャー部分も2/3絆魂と最低限の能力を備えており、アグロデッキ相手の蓋としては十分な性能です。
墓地に落ちにくいデザインとなっているため《コラガンの命令》や《ムラーサの胎動》での回収は難しいですが、《時を解す者、テフェリー》による再利用や《ウルヴェンワルド横断》でサーチする動きは強力ですね。
2位 《湖に潜む者、エムリー》
実際にデッキを組んでいないため詳しくは言えませんが、面白いことができそうなカードです。元が3マナと軽いのに加えてマナ軽減能力があり、デッキの上から4枚落とす効果とタップ効果は自己完結していて強力。
他のカードとの組み合わせで真っ先に思い浮かぶものは、やはり《パラドックス装置》でしょう。墓地に《モックス・アンバー》が2枚ある状態で《湖に潜む者、エムリー》と《パラドックス装置》が場にあれば無限マナ、そうでなくとも《湖に潜む者、エムリー》自体が膨大なリソース源になるためロングゲームも見込めます。
また、デッキの上から4枚落とす効果は《時を越えた探索》の「探査」 コストになる副次的効果もあります。
3位 《金のガチョウ》
自己完結して2ターン目に全色が出せる初のマナクリーチャーです。
5色サヒーリのようなデッキで普通にマナクリーチャーとして運用するのも良いですが、《貪るトロールの王》と合わせた食物ドレッジが面白そうです。
今までフロンティアのドレッジは墓地から帰ってくるクリーチャーとして《憑依された死体》を採用していましたが、パワーが高くなく手札も多く消耗するためあまり脅威とは言えませんでした。
そこで、マナクリーチャーによる初速の担保と《貪るトロールの王》のパワーの高さがある食物ドレッジは、フロンティアにおいて一考の余地がありそうです。
◆第14期モダン神 高橋 優太
『エルドレインの王権』カードセット全体の印象
『灯争大戦』でプレインズウォーカーを強く作りすぎた影響かも知れませんが、セット自体が対プレインズウォーカーを意識したデザインになっているように見えますね。速攻・瞬速クリーチャーやプレインズウォーカー除去が多いです。
なおかつモダンで活躍しそうな2~3マナのカードも多く、全体的にカードが強いセットに見えます。《むかしむかし》のように意図的にモダン・レガシー環境用に作られているものもあり、バランスを壊さない範囲で下環境にテコ入れされていて好感触です。
『エルドレインの王権』モダン注目カードトップ3!
1位 《湖に潜む者、エムリー》
《アーカムの天測儀》、《ミシュラのガラクタ》、《オパールのモックス》を経由すれば簡単に2ターン目に出ます。さらに上記3枚を再利用すればカードドローやマナ加速にもつながります。アーティファクトでクリーチャーをアンタップする手段があればなお良し。伝説のクリーチャーでもあるので、モダンで《隠された手、ケシス》デッキが成立する手助けになるかも。
2位 《湖での水難》
フェッチランドや1マナスペルが使われる環境なら相手の墓地が増えやすいので、モダン含めた下環境で活躍しそうなカード。
《コジレックの審問》や《思考囲い》との相性が良く、相手の墓地を増やせて《湖での水難》の対象範囲を広げられます。僕の愛する《瞬唱の魔道士》とも相性が良く、なおかつ《否定の力》のコストにもなる便利さ。もしかして僕がデザインした?と思うくらい好きな青黒のカードです。
3位 《神秘の聖域》
《島》の土地タイプを持っていることが重要で、フェッチランドから持ってくることが可能。
墓地にある《終末》をトップに置けば、ドローして「奇跡」でプレイできます!《謎めいた命令》を再利用するのも強い!モダンに限らず《Ancestral Recall》や《Time Walk》をトップに置くのは夢がありそうですが、それはヴィンテージ神に任せるとしましょう。
◆第14期レガシー神 幸正 智哉
『エルドレインの王権』カードセット全体の印象
ここ最近のセットの傾向として、レガシーにも大きく影響を与えるようなレベルのカードが収録されることが多いですが、今回の『エルドレインの王権』でも例に漏れず新たな動きを見せてくれそうです。
クリーチャーの性能がとても高く、《僻境生まれの保護者》や《石とぐろの海蛇》など、赤い除去が当て辛い環境に変化していき、《致命的な一押し》、《突然の衰微》、または《剣を鍬に》が重宝される環境に移行していくのではと見ています。
『エルドレインの王権』レガシー注目カードトップ3!
1位 《王冠泥棒、オーコ》
毎ターンプラス能力を起動することで大きく盤面のアドバンテージが取れる上に、自身の初期忠誠度が高いため戦闘によるダメージで処理しづらく、使う側としてはとても優秀なカードに思えます。
レガシーにおいては基本的には除去やカウンターを併用しながら[+2]と[+1]を交互に起動するような動きになりそうです。マリットレイジなど相手の盤面にどうしても処理しなくてはならないクリーチャーが出た際にも、擬似的な除去を行えるのが便利です。
2位 《湖に潜む者、エムリー》
墓地にあるアーティファクトカードを毎ターン唱えられるようになる上、「親和」能力持ちで自身が場に出た際にライブラリを4枚墓地に送るおまけまでついています。
アリーナでもすでに《魔女のかまど》を拾うために使用されていますが、下環境に行くほど……例えばウルザソプターデッキのパーツやMoxなどの強力なアーティファクトが増えるため、活躍の幅が広がりそうです。今後様々なフォーマットで見かけることが多くなるかもしれません。
3位 《石とぐろの海蛇》
『戦乱のゼンディカー』の《果てしなきもの》が能力を増やして戻って来ました。
エルドラージではないので《ウギンの目》でのコスト軽減は適用されませんが、《鋼の監視者》や《電結の荒廃者》などと相性が良く、トランプルのおかげで突破力もあり、さらに最近レガシーで採用されることが増えてきた《突然の衰微》への耐性があるのも注目ポイントです。
レガシーではポストデッキやスティールストンピィなどに採用されることがあるのではないかと見ています。
◆第14期ヴィンテージ神 冨澤 晋
『エルドレインの王権』カードセット全体の印象
ヴィンテージで活躍するカードといえば、アーティファクトが絡んだインチキ、相手の何かを制限する軽いパーマネント、条件付きで適正なコストのマナを支払わずに唱えられる呪文といったイメージです。
『灯争大戦』・『モダンホライゾン』ととんでもなく強力なセットが連続でリリースされて、「流石に今回は大人しいでしょ。選ぶの苦労するだろうなー」と思ってリストをスクロールしていくと目移りするほど下環境向きのカードがあって驚きました。
3種類だけ選ぶのに逆の意味でかなり悩んでしまいましたが、現在の環境であるTier1がジェスカイとパラドックス、Tier2に墓荒らしとドレッジということを踏まえて、影響を強く与えそうなカードを厳選しました。
『エルドレインの王権』ヴィンテージ注目カードトップ3!
1位 《願い爪のタリスマン》
《求道者テゼレット》がなんでもサーチできるようになったってそれマジ?
起動に対応して《多用途の鍵》や《逆説的な結果》など、ちょっと考えただけで実用性の高そうなインチキが複数思い浮かびます。ただでさえ最強の呼び声高いパラドックスストームが強化されすぎでは?
寒いドローで《逆説的な結果》が空振りすることはもうありません。このカードを見た日から何十枚もドローされる夢ばかり見てしまい眠れなくなりました。
2位 《耳の痛い静寂》
いつまでも相手ばっかりが呪文を唱え続けるのを眺めるゲームはもうたくさん。《法の定め》を1マナで出せる時代が到来して生きる喜びを取り戻しました。
《エーテル宣誓会の法学者》といったストーム対策の先輩たちと比べて躊躇なく唱えられる軽さが大きな魅力。
クリーチャー呪文には制限をかけないので《瞬唱の魔道士》の邪魔をしないのはメリットでもありますが、《復讐蔦》を抑えられないという弊害があります。他にも設置したターン中はなんでも通ってしまうなど可愛い側面もいくつかありますが、最序盤からスキなく出しやすいというかけがえのない利点でサイドボードの常連になるでしょう。
3位 《義賊》
《覆いを割く者、ナーセット》をはじめとした青いカードで取られたマウントを《紅蓮破》で返すのが現在のヴィンテージ。
《紅蓮破》されず、アドバンテージを取れる軽い脅威という点で《戦慄衆の秘儀術師》と同様に、ジェスカイが求めるフィニッシャーの条件を満たしていますし、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》がほとんど気にならないのもグッド。不確定さはありますが、《戦慄衆の秘儀術師》は複数重なると墓地が足りなくなりがちなので散らしてみるってのはどうでしょう。
いかがだったでしょうか。「神」ならではの柔軟な発想と鋭い着眼点から、各フォーマットの『エルドレインの王権』の注目カードをレビューしてもらいました。
目を引くような強いカードが多く、どんなデッキを組むか考えるのが楽しいですね!
果たしてどんなデッキが活躍するのか、今後の各フォーマットの大会結果をお楽しみに!!