Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/10/23)
モダン最恐
みなさんこんにちは!
またお会いできて嬉しいです。私の知識を共有できる日を楽しみにしていました。今回の記事を通じてみなさんの理解が深まれば幸いです。
今日は、モダンで最も恐れられているデッキのひとつを扱います。そのデッキとは……トロンです!ウルザ土地3種を揃えれば、6マナ/7マナの呪文を3ターン目に唱えられる。まるで無色の王のような気分になってみたいと思ったことがみなさんにもあるのではないでしょうか?土地3種を揃えるだけで良いのですからアンフェアな印象もありますが、紛れもない現実なのです。
まずは、時の流れとともにトロンがいかに進化してきたのかを少しお話しましょう。進化の過程で私はグランプリトップ8を懸けたマッチを3度経験してきました。そして3度とも栄光につながる最終ラウンドで負けてしまったのです!もっとも、私に勝った3人の相手は例外なく優勝したので、多少の慰めにはなりましたが。
むかしむかし、トロンという王国がありました
4 《燃え柳の木立ち》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
2 《幽霊街》
1 《ウギンの目》
-土地 (21)- 3 《ワームとぐろエンジン》
1 《無限に廻るもの、ウラモグ》
-クリーチャー (4)-
4 《紅蓮地獄》
4 《森の占術》
1 《全ては塵》
4 《彩色の宝球》
4 《彩色の星》
4 《探検の地図》
3 《大祖始の遺産》
3 《忘却石》
4 《解放された者、カーン》
-呪文 (35)-
3 《石の雨》
2 《焼却》
2 《倦怠の宝珠》
1 《呪文滑り》
1 《ワームとぐろエンジン》
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール》
1 《古えの遺恨》
1 《四肢切断》
-サイドボード (15)-
トロンの黄金時代といえばこのころでしょう。《ウギンの目》はまだ禁止されておらず、フィニッシャーを何度もサーチできたのです。今はこれほどのカードを使えないのが残念ですが、禁止によって《ウギンの目》は良き思い出になりました。
当時は赤をタッチしていました。メインデッキに《紅蓮地獄》を4枚、サイドボードに《焼却》を採用し、クリーチャーへの耐性を高めていたのです(《焼却》は人気と歴史を持つ《欠片の双子》コンボへの対策でした)。
時は流れ、王国内では緑単が勢力を強めていきました
デッキリストを見ての通り、赤をタッチすることはやめ、緑単になり始めたころです。ゲームプランをよりスムーズに遂行しようという意図であり、今日まで最も成功してきたアーキタイプと呼べるまでになりました。
このころのメタゲームでは、《死の影》デッキが攻撃的なデッキとして頭角を現し、《ギタクシア派の調査》があった青緑「感染」は無慈悲なまでの強さを示していました。メインデッキに《濃霧》や《呪文滑り》が入っているのはそういった経緯からです。
2年後……
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
1 《エルドラージの寺院》
1 《幽霊街》
1 《ウギンの聖域》
-土地 (19)- 2 《歩行バリスタ》
3 《ワームとぐろエンジン》
1 《世界を壊すもの》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《約束された終末、エムラクール》
-クリーチャー (9)-
ここでの注目ポイントは、お馴染みの《絶え間ない飢餓、ウラモグ》に加えて、エルドラージが増量されている点です。《エルドラージの寺院》を採用し、サイドボード後に3ターン目から《難題の予見者》をプレイしやすくしてあります。この動きはしばしば重要となる動きです。また、《エルドラージの寺院》はエルドラージ呪文ならば2マナを生み出すため、大型のエルドラージを唱える場合も追加の《ウルザの魔力炉》や《ウルザの鉱山》のような働きをします。
先ほどお伝えしたように、ここからは緑単が最も成功に近い構成となっていきます。
数か月後……
上記のデッキリストはチームモダンで行われたグランプリで使ったもので、チーム内で同名カードは一人しか使用できませんでした。そのため、このデッキリストはメタゲームを完全に反映したものではないですが、当時よく使用していた75枚とほとんど違いはありません。ドレッジ、人気の《クラーク族の鉄工所》コンボ、新たに登場したイゼットフェニックスといったデッキが存在していたため、墓地対策を多く採用せざるを得なかった時代です。メインデッキには3枚の《大祖始の遺産》、サイドボードには3枚の《外科的摘出》が搭載されています。
そろそろ現代までさかのぼってきました。トロンがフルパワーになった時代です。
ロンドンマリガン法の成立
ロンドンマリガンがトロンに大きな恩恵を与え、私にとって間違いなくナンバーワンのデッキになることは容易に想像がつきました。その恩恵を示すわかりやすい例をご紹介しましょう。
最初の初手がこの7枚だったら確実にキープしますよね?3ターン目に《解放された者、カーン》を出せるのですから!これは間違いようがありません。では、トリプルマリガンで3枚をライブラリーに戻すとしたらどうでしょう?何を戻すか考えましたか?そうですね、3枚戻しても3ターン目に《解放された者、カーン》をプレイできます!
さらにマリガン回数を増やし、4枚をライブラリーに戻す場合はどうでしょうか?それでも3ターン目にウルザ土地を揃えられますね。この場合は《解放された者、カーン》も戻すことになりますが、何らかの脅威を引き込むことはさほど難しくないですし、4回マリガンして3ターン目にウルザ土地を揃えられるのならば十分でしょう。このように、マリガンを重ねても7枚からカードを選択できるロンドンマリガンはトロンにとってあまりにも大きな恩恵をもたらしたのです。
トロン王国のいま
さぁ、とうとう現在まで追いつきました!
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
1 《爆発域》
-土地 (18)- 2 《歩行バリスタ》
2 《スラーグ牙》
3 《ワームとぐろエンジン》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
-クリーチャー (9)-
4 《森の占術》
3 《むかしむかし》
4 《探検の地図》
4 《彩色の星》
3 《彩色の宝球》
1 《忘却石》
4 《大いなる創造者、カーン》
4 《解放された者、カーン》
2 《精霊龍、ウギン》
-呪文 (33)-
2 《自然の要求》
2 《夏の帳》
1 《真面目な身代わり》
1 《ワームとぐろエンジン》
1 《次元の歪曲》
1 《四肢切断》
1 《墓掘りの檻》
1 《液鋼の塗膜》
1 《罠の橋》
1 《三なる宝球》
1 《マイコシンスの格子》
-サイドボード (15)-
上記のデッキリストが今のおすすめです。《大いなる創造者、カーン》を搭載し、異なる角度から勝利できるようになっています。たとえば、《マイコシンスの格子》を[-2]能力で手札に加え、この2枚が戦場に揃った瞬間に相手の選択肢を奪い去ります。極めて有効な戦略ですが、《大いなる創造者、カーン》の魅力はこれだけにとどまりません。
3ターン目にウルザ土地を揃えて《大いなる創造者、カーン》を展開すれば、[-2]能力で手札に加えた《三なる宝球》を余った3マナで青赤ストームにつきつけることができます。同様に、速い戦略に対しては《液鋼の塗膜》を手札に加え、相手のアップキープにその効果で土地をアーティファクトにしてしまえばマナを縛ることが可能です。
4枚の《解放された者、カーン》だけでも強いのですから、8枚にしない理由はないですよね?
新戦力、《むかしむかし》
先ほどのリストの解説はまだ終わりません。ぜひ注目していただきたいのが《むかしむかし》なのです!
これまで私は《むかしむかし》の熱狂的なファンであると公言してきました。このカードはみなさんが思う以上のものです。このサンプルハンドを見ていただければ、いかにトロンに合う呪文かわかっていただけるでしょう。
この7枚の初手であれば、3ターン目にスムーズにウルザ土地が揃う確率は十分にあります。まずは《むかしむかし》をマナコストなしで唱え、不足しているウルザ土地を探します。そして2ターン目に《彩色の星》から緑マナを捻出し、《森の占術》で残るもうひとつのウルザ土地を手札に加えるわけです。
しかし疑問に思った方もいるでしょう。ライブラリーの上から5枚のなかに土地がなかった場合はどうするのかと。仮に見つからなかったとしても、ライブラリーの上から5枚を掘り進めた状態で2ターンの通常ドローや《彩色の星》のキャントリップを迎えられます。つまり、《むかしむかし》によって7枚のなかから土地を見つける機会を作れたわけです!もし後手ならば1ターン目にもドローできるため、掘り進められる枚数は8枚になります!
《むかしむかし》のマナコストを踏み倒せる場面もありますが、通常のマナコストを支払ってプレイしても悪くありません。土地だけではなく、インスタントタイミングでクリーチャーを確保する手段にもなるからです。《ワームとぐろエンジン》、《スラーグ牙》、《歩行バリスタ》、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》など、その時々に応じて必要なクリーチャーを手札に加えられます。
一言でいえば、《むかしむかし》はトロンのメインデッキに確実に必須だというのが私の結論です。
ここからは、この75枚で多様な相手とどうやって戦うのかを解説しましょう。
サイドボードガイド
青白コントロール
対 青白コントロール
バーン
対 バーン
ジャンド
対 ジャンド
トロン
対 トロン
エルドラージトロン
対 エルドラージトロン
タイタンシフト
対 タイタンシフト
グリクシスシャドウ
対 グリクシスシャドウ
アミュレットタイタン
対 アミュレットタイタン
ドレッジ
対 ドレッジ
人間
対 人間
ウルザソプター
対 ウルザソプター
トロンのパワーカードランキング
この格付けでは、盤面に出たときのインパクトだけでなく、環境での立ち位置や安定度も含めた基準で判断しています。
順位 | カード名 |
---|---|
1位 | 《解放された者、カーン》 |
2位 | 《大いなる創造者、カーン》 |
3位 | 《ワームとぐろエンジン》 |
4位 | 《歩行バリスタ》 |
5位 | 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》 |
6位 | 《スラーグ牙》 |
7位 | 《精霊龍、ウギン》 |
小技集
おわりに
ここまでが今回の内容となります。みなさんにとって有益で、プレイに役立つものとなったでしょうか(もっとも、トロンは極端に難しいデッキではないですけどね)。
ふたたび晴れる屋で記事を書く機会に恵まれ、本当にうれしく思います。またみなさんに近いうちにお会いできることを楽しみにしています。
何か疑問点がありましたら、SNSで喜んで答えさせていただきます。
それではこれにて。めでたしめでたし。