Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/11/01)
さらなる深みへ
やぁ、みんな元気かい?マルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoだ。ミシックチャンピオンシップ V(MC V)からちょうど戻ってきたところさ!
ここ最近はMC Vのためにスタンダードばかりを練習してきた。だから自分が得意とするリミテッドに戻って、『エルドレインの王権』ドラフトをもっと深堀りできるのは本当に嬉しい。
この環境は第一印象よりも少し難しく、奥深いものだった。だから今回は、前回の記事以降に学んできたことをみんなに話そうと思う。
- 2019/10/11
- 『エルドレインの王権』リミテッド環境を知ろう ~メカニズムとアーキタイプ~
- Marcio Carvalho
単色が強い環境
一般的なドラフト環境では、空いている色を見極めてからドラフトを進めるために、1パック目の終盤ごろまで受けを広く保ってピックしていく。そのため、ドラフト全体を通して1色だけをピックしていくのは滅多にない。パック内で最強のカードがどんな色であれ、序盤は強いカードをピックするからだ。それに、単色にこだわる大きな理由がどのセットにもあるわけではない。だけど、『エルドレインの王権』はその理由があるセットになっている。
前回の記事では、「一徹」の評価は高くないと伝えた。でも、自分が間違っていた可能性を認めなくてはならない。「一徹」呪文の”おまけ効果”のなかには極めて強力なものがあり、各色の戦術にピッタリなものになっている。
混成マナのアンコモンには良い意味で期待を裏切られた。同じマナ域のカードに比してカードパワーが高いだけでなく、その色でまさに求めている効果を備えている。ただし、必ず4ターン目に唱えたいカードだ。色がピッタリと合っていないと、4ターン目に唱えるのは難しいだろうね!
このように、『エルドレインの王権』ドラフトでは単色にこだわる理由が多い。とはいえ、何よりも知るべきは、各色の層がどれだけ厚いのかだ。その答えを言ってしまうと、ほぼ全ての色はかなり層が厚く、最終的に弱いカードを足さなくて済むだけのプレイアブルなカードが揃っている。少し注意して欲しいのは白だ。白はコモンの質が他の色に比べて劣っているため、卓で白を使えるプレイヤーはそう多くないと思う。
では、単色にこだわった方が良いタイミングはどうやって見極めれば良いのだろう?各色のトップコモン、トップアンコモンはかなり遅めの順手まで回ってこないはずだ。もし回ってきたら、その色が空いているという大きなヒントになり得る。それから、強力な混成マナのカードも同様にヒントになる!
単色ピックは恐るるに足らずだ!空いている兆候を見つけたら飛び込もう!
型破りな戦略
《パンくずの道標》
最初にこのカードを見たとき、シールドでは抜群に強いだろうけど、ドラフトでは大したことないだろうと思った。しかし、友人からある話を聞いて気が変わった。マイケル・ジェイコブ/Michael Jacobが《パンくずの道標》を初手で取ってMOCS Openを優勝したというのだ。莫大なアドバンテージを生み出し、相手は彼のデッキについて来られなかったらしい。俺も自分の目でその配信を見てみると、本当に素晴らしい活躍を見せていた!
その配信を見て気づいたことがあった。《パンくずの道標》を使ったプランを貫き通すなら、このエンチャントで手札に加えられる除去の点数を高くするべきだ。もちろん食物トークンを生成する手段も点数を高めに設定しよう。
2枚コンボ
この2枚の組み合わせをスタンダードで見たことがあるんじゃないかな?だったらリミテッドでもできないわけがない!数ターンに渡ってドレインしているだけで勝てることもある(このプランにはより早くダメージを刻むために複数の《誘いの魔女》が必要になるだろう)。しかも、最もパワーが高いクリーチャーを毎ターンブロックし続けることができる!この2枚コンボは本当に大好きで、黒に傾いたピックをしているときは優先して取るようにしている。
1枚コンボ
白状しよう。俺はこのカードを少しピックし過ぎたかもしれない。でも、こいつがいればどんな地上戦も最終的には勝てる。どちらのプレイヤーも動かず攻撃せずという状況はこの環境では頻繁に発生するんだ。だからこそ、生け贄に捧げる手段が複数あるデッキでは《呪術師のほうき》をデッキに入れる価値は間違いなくある!(生け贄に捧げる効果が多い)黒緑の2マナ域はそこまで重要ではないから、他の呪文よりも《呪術師のほうき》を優先させて問題ない。
《きらきらするすべて》
当初はこのカードをかなり過小評価していたけど、相手の不意を突いて勝てるオーラだった。一番上手く使えるのは白単だろうけど、青白や白緑でも居場所を見つけられる。攻撃的なデッキで欲しいエンチャントやアーティファクトは多いので、《きらきらするすべて》は見た目よりもずっと強い。優先してピックするプレイヤーはいないだろうから、最後の方の順手で何度か回ってくる機会もある。自分のデッキに合うか考えてみよう。
ライブラリーアウト
MTGアリーナに『エルドレインの王権』ドラフトが実装されてすぐに遊んだ人なら、このデッキに負けてうんざりしたんじゃないかな?なぜあんなことになったかと言うと、ボットが《マーフォークの秘守り》の点数を高くしていなかった(あるいはプレイアブルだと思っていなかった)からだ。だから《マーフォークの秘守り》が5枚も6枚も入ってるデッキが出来上がってしまっていた。そこに複数の《幸運のクローバー》や《無礼の罰》が加われば、ライブラリーアウトで勝つのは難しくない。《マーフォークの秘守り》を再利用する手段は、《共に逃走》や《カボチャ変化》などによるバウンスだ。
この戦略を通常の8人ドラフトで再現するのは簡単じゃないだろうけど、出来上がったときの強さは本物だ。油断しないようにしよう。もしパックの終盤で《マーフォークの秘守り》が回ってきたら流さないように注意だ!
《ジンジャーブルート》オーラ
このクリーチャーにも本当に驚かされた。俺の記事や配信を見ている人ならわかると思うけど、1マナ1/1のクリーチャーは好きじゃない。でもこいつは特別だ。この環境には速攻のクリーチャーが多くないから、大抵《ジンジャーブルート》は大量のダメージを叩き込む。オーラや装備品を複数付ければ、ゲームに勝てることだってあるんだ。さっき話した《きらきらするすべて》と相性が良いクリーチャーの1体でもある。ただし、《跳ね橋》には注意が必要だ。こちらのターンでも相手のクリーチャー全体に速攻を付与できるため、《ジンジャーブルート》をブロックしてくる。
底知れぬ環境
こうやって考えてみると、『エルドレインの王権』ドラフトはまだまだ学ぶことがあるなという印象だ。こんなにも面白く、奥深いフォーマットを作ってくれたウィザーズに感謝しなくちゃいけない!みんなも面白くて、誰も思いつかないような戦術を知っていたらぜひ教えて欲しい!試してみるよ!
今日はここまでにするとしよう。今からミシックチャンピオンシップ VIの練習をしなくちゃいけない!本番はみんな応援してくれると嬉しい!