さよならオーコ ~白単アグロと歩む新スタンダード~

Joe Soh

Joe Soh

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/12/05)

新環境

スタンダードが生まれ変わった!

《王冠泥棒、オーコ》が禁止される前、私はスタンダードの情勢に不満がありました。《王冠泥棒、オーコ》はあまりにも強く、新しいデッキを作ったところで彼に負けるだけであり、デッキの改善の余地がほぼ存在しなかったためです。確かに《王冠泥棒、オーコ》を使わずに戦えるデッキもいろいろありましたが、個人的にはシンプルな《王冠泥棒、オーコ》デッキを使うことこそが優れた選択肢だと思っていました。実際、ミシックチャンピオンシップVIの決勝戦に進出した2人はシンプルなシミックフードに回帰しています。《王冠泥棒、オーコ》を禁止にした点については、ウィザーズは素晴らしい判断をしたと思います。想像力を働かせ、環境の可能性を探るチャンスが再び巡ってきたのです。

私のお気に入り

私は昔からアグロデッキを好んできましたし、《敬慕されるロクソドン》とともに多くの功績を残してきました。だからこそ、リー・シー・ティエン/Lee Shi TianがTwitch Rivalsで使用した白単アグロには心惹かれました。

1マナ域をできるだけ多く採用し、クリーチャー5体を「召集」コストに充てて3ターン目に《敬慕されるロクソドン》を唱えられる確率を極限まで高めようという考え方に共感を覚えました。

11月にMagic OnlineからMTGアリーナに身を移したばかりだったので、当初はデイリークエストを達成するために白単を使用していました。しかし蓋を開けてみれば連戦連勝!そのデッキリストをご覧に入れましょう。

フェアリーの導母徴税人アーデンベイル城

このデッキは非常にシンプルです。低マナ域の白のクリーチャーを大量に並べ、全体を強化し、攻撃するだけ!白単アグロは地上のブロッカーが多い環境に苦戦するものですが、このデッキは飛行クリーチャーを多く採用しています。そのためとどめを刺しやすく、キャットオーブンコンボや多様な緑のデッキに対しても飛行クリーチャーで勝利の一撃を決めることがよくあります。また、驚くほど持久力があり、「死後」などのトークン生成や《アーデンベイル城》を駆使して消耗戦を戦い抜けます。

敬慕されるロクソドン紋章旗

先手3ターン目に《敬慕されるロクソドン》《紋章旗》を展開できれば、ほぼ勝ちです。4ターンキルはたまに発生しますし、及第点の手札ならば5ターンキルは頻繁に起きます。平均を下回る手札であっても、全体除去がない相手には以下のような展開によくなります。

Mono-White-Aggro_Joe Soh

カード選択

1マナ域

フェアリーの導母

4

巨人落とし

4

追われる証人

4


忠実なペガサス

4

尊い騎士

4

理想的な動きを実現しやすくするためには、1マナ域は20体必要だと感じています。柔軟性の《巨人落とし》《フェアリーの導母》、パワー2の《尊い騎士》、除去耐性の《追われる証人》、そしてこのデッキで異常に強い《忠実なペガサス》。これだけクリーチャーが多いデッキならば、《忠実なペガサス》はほぼ間違いなく攻撃できます。つまり、2/1飛行がたったの1マナで使えるのです!

2マナ域

徴税人

4

急報

4

《徴税人》はキャットオーブンコンボに対し非常に有効です。こちらのターンに《大釜の使い魔》《魔女のかまど》を起動するには1マナ払う必要があります。このように《徴税人》は強力なカードですが、実はこのデッキのベストカードは《急報》です。1枚でクリーチャー2体分を稼げるので、より少ない消費で3ターン目に《敬慕されるロクソドン》を展開できるためです。

3マナ域

絞首された処刑人

2

《絞首された処刑人》は5~6枚目の《急報》(トークン生成手段)でありながら、5~6枚目の《巨人落とし》(条件付き除去)となります。とはいえ、全体強化呪文を引けていないと割に合わないマナコストですので、現状は2枚に抑えています。

全体強化呪文

敬慕されるロクソドン

4

紋章旗

4

全体強化呪文のなかで最も強力なのは《敬慕されるロクソドン》ですが、《紋章旗》なくしてこのデッキは機能しないでしょう《紋章旗》は極めて強力な動きを可能にするのです。その一例を挙げましょう。

このような初動であれば毎ターン2/1のトークンを生成できるので、除去を乗り越えて攻撃を継続できますし、ダメージを通すためにクリーチャーたちを突撃させることもできます。一般的なアグロデッキならば5マナに到達するのが困難であるため、《アーデンベイル城》を運用可能にするという点においても《紋章旗》は重要です。

不敗の陣形

2

《不敗の陣形》は、即座に勝利をもたらすこともあれば腐ってしまう展開もあり、状況を選びがちな呪文です。当初の1枚から3枚に増やしたこともありましたが、今は2枚が適正だと考えています。

除去の不採用

議事会の裁き

0

ガラスの棺

0

リー・シー・ティエンのリストにならい、最初は《議事会の裁き》を2枚、《ガラスの棺》を2枚搭載していましたが、不採用となりました。《ガラスの棺》は赤単アグロ・ゴルガリアドベンチャー・騎士などのデッキに有効ですが、白単アグロはこれらのデッキ群に対してダメージレースを非常に有利に運べるのです。そのため、クリーチャーを盤面に並べることの方が重要なのではないかと考えるようになりました。《議事会の裁き》はコストが大きすぎますし、この呪文を唱えているゲームはいずれにしても毎回負けている印象があります

各種デッキとの戦い方

《予言された壊滅》

ケイヤの怒り不敗の陣形

最も相性が良いです。相手は盤面に介入しないアーティファクトを唱えるのに最初の数ターンを費やしてくれるので、その間に大きなプレッシャーをかけられます。全体除去は《ケイヤの怒り》が2枚あるだけで、同数用意された《不敗の陣形》で無効化できるでしょう。また、《急報》などのトークン生成で横に並べる手段もあります。

騎士

敬慕されるロクソドンエンバレスの宝剣

相性は良いです。相手よりも速いですし、3ターン目の《敬慕されるロクソドン》や飛行クリーチャーに対する除去をほとんど持ち合わせていません。ですが、騎士デッキは《エンバレスの宝剣》で勝利をかっさらうことを得意としているので、できる限りライフを温存するようにしましょう。

赤単アグロ

追われる証人徴税人敬慕されるロクソドン

こちらも相性は良好です。お互いに似たようなマナカーブですが、こちらには《追われる証人》《徴税人》といった優秀なブロッカーがいます。先手3ターン目に《敬慕されるロクソドン》を展開できればあいてはゲームオーバーですし、後手でも十分な動きになるでしょう。

グルールアドベンチャー

巨人落としエンバレスの宝剣

《巨人落とし》のおかげでやや有利に戦えます。大型のブロッカーを《巨人落とし》で除去すれば相手を守勢に立たせることができ、その後はタップ能力で攻撃を押し通せます。先ほどの騎士デッキと同様ですが、《エンバレスの宝剣》に勝利を横取りされないように注意が必要です。

ゴルガリアドベンチャー / フード

虐殺少女

わずかに有利な相手。高速のクロックで畳みかけ、飛行クリーチャーでとどめを刺します。ただし、盤面を崩壊させる《虐殺少女》には警戒が必要です。飛行クリーチャーを優先して唱えれば、相手が5マナに到達する前に勝利できるでしょう。

シミックフラッシュ

徴税人僻境生まれの保護者

相性は五分五分です3ターン目が命運を分けるターンであり、先手で《徴税人》を展開できれば勝てるはずです。後手の場合は3ターン目のアクションが打ち消され、プレッシャーをかけられない可能性があります。また、相手のデッキにはこちらの飛行クリーチャーをブロックしてくる飛行・到達を持つクリーチャーが多くいます。ドローとダイスロールの重要性が非常に高いという意味で、相性は五分五分です

ラクドス / ジャンドサクリファイス

波乱の悪魔敬慕されるロクソドン

タフネス1キラーである《波乱の悪魔》がいるため不利です。しかし、相手のデッキは動きが鈍いこともあり、《敬慕されるロクソドン》で全体を強化できれば《波乱の悪魔》を乗り越えられることもあります。

ティムール再生

巨人落とし炎の一掃敬慕されるロクソドン

《炎の一掃》があるので不利ですが、対抗策はあります先手ならば《巨人落とし》《敬慕されるロクソドン》で強化することに重きを置き、2/3にすることで《炎の一掃》に耐性をつけます。そうすれば《荒野の再生》が活躍し始める前に勝利を決定づけられるでしょう。

ジェスカイファイアーズ

轟音のクラリオン

非常に厳しい相性です《轟音のクラリオン》が強すぎます

デッキを回すコツ

白単アグロの今後

尊い騎士癒し手の鷹

《尊い騎士》が印象的なゲームはほとんどありませんでした。地上にブロッカーがひしめく今の環境では《サバンナ・ライオン》で攻撃することが優れているとは思えません。《尊い騎士》は全て《癒し手の鷹》と入れ替えることを検討しています。盤面に飛行クリーチャーが並んでいるときは毎回勝っている印象があるためです。

私は白単アグロを使うのが本当に楽しく、アリーナのランクを上げることができましたが、環境のベストデッキに対してはやや苦戦するのでTier1デッキとは言えないかもしれません。ですが、素早くシンプルな展開でランクを上げたい人には自信を持っておすすめします。同様に、FNMやWPNプレイヤーズツアー予選のようなローカルな大会のメタゲームを深く理解していれば、白単アグロは優れた選択になるかもしれません(ヒントは《予言された壊滅》、赤単アグロ、騎士が多いこと)。あるいは私と同じように3ターン目に《敬慕されるロクソドン》をプレイすることが好きでたまらないなら、それもまた白単アグロを使う理由の一つになるでしょう!

ジョー・ソー (Twitter)

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Joe Soh

Joe Soh ジョー・ソーはマレーシア出身のベテランプレイヤー。グランプリトップ8が4回、マレーシア選手権優勝が2回など数多くの実績を持つ。ここ数年で構築の才能が開花し、グランプリ・神戸2017では独自のオルゾフエルドラージで見事にグランプリ初栄冠。さらにはミシックチャンピオンシップ・クリーブランドでも個性的なマルドゥ吸血鬼を使用して9位に入賞している。 Joe Sohの記事はこちら