Translated by Takumi Yamasaki
(掲載日 2020/01/23)
はじめに
みなさんこんにちは!またお会いできることを心待ちにしていました。
世はまさにパイオニア時代であり、まもなくベルギーのブリュッセル(及び名古屋)で初となるプレイヤーズツアーが開催されます。このイベントが始まる前に、考慮すべき選択肢の一つであるドレッジレスドレッジについてのデッキガイドをお届けすることにしましょう。
どのような戦略か
まず最初に、パイオニアにおけるドレッジというアーキタイプは、ほかのフォーマットよりも速度が少し遅いことに注目する価値があります。モダンでよく知られているドレッジは、その明確な例となるでしょう。
ドレッジというデッキは墓地を悪用します。これは常に勝つために優先される方法なのです。ですが時には、コストが1、2、3、さらには4のクリーチャーをプレイする選択肢だってあります。もちろん、普段引きたくない《這い寄る恐怖》をプレイすることだってね。
まあ、これはあまり理想的なことではありませんが、手札から《這い寄る恐怖》を唱えることが時々勝利に貢献することだってあるのです。このタイプのデッキを使うのであれば、これらすべての選択肢を念頭に置くことは非常に重要です。人生そのもののように、簡単でも完璧でもないので、すべてが何らかの努力を必要とするのです。ドレッジレスドレッジも例外ではありません。
カードの役割
では、まずカードを2つのグループに分けて説明します。
墓地を肥やすカード
《縫い師への供給者》
ベストなゲームのスタートは1マナのカードから動くことです。このクリーチャーは場に出たときに3枚も墓地を肥やしてくれますし、さらに死亡した時にも能力が誘発します。文句のつけようがないですよね?
しかし、これだけではありません。対戦相手はこちらに墓地を肥やさせたくないので、ブロックしづらい状況を作り出してくれるのです。そして攻撃が通ればダメージレースを1点分有利に進められます。言うまでもなく、相手がが攻撃する側に回ったときも同じ状況が生まれます。もしこのカードでブロックできたなら……フフフ。
《忌まわしい回収》
間違いなくこのデッキ最高の2マナのカードです。インスタントで5枚のカードを公開して土地かクリーチャーを回収でき、残りは墓地に行きます。また、 コンバットトリックとして運用できることも覚えておきましょう。例えば、ブロッククリーチャー指定ステップの前に唱えると《ナルコメーバ》や《憑依された死体》のトークンでブロックできる可能性があるのです。特に、対戦相手のデッキに《ゴブリンの鎖回し》がいるときに有効なプレイです。
《サテュロスの道探し》
2番目に優秀な2マナのカードです。このカードも墓地を肥やしつつ土地を加えることができますが、先に紹介した《忌まわしい回収》より墓地にカードを落とす枚数は1枚分少なくなっています。ただ、その代わり1/1のボディがついてくるので、コントロールデッキ相手に少し早めに攻め込めたり、アグロデッキの猛攻を減速させたりと使いどころがあります。
《群れの結集》
優秀な2マナ域、ナンバー3です。カードのポテンシャルをきちんと引き出すようにプレイすることは非常に重要であり、このカードの場合で言えば、ちゃんと「魔巧」を達成できるような順番でプレイできるよう意識しましょう。条件を達成できれば、5枚のなかから1枚ではなく2枚を手札に加えることができますから、上述の2種の後に唱えるのが常にベターであるとさえ思えます。
墓地に関連するカード
《秘蔵の縫合体》
最も墓地に落としたいカードであり、ほかのカードの能力ととてつもないシナジーを形成してくれます。次の終了ステップの開始時に場に戻るので、その前のフェイズで能力を誘発できるようプレイしましょう。多くの場合、対戦相手の第2メインフェイズで《屑鉄場のたかり屋》や《憑依された死体》を起動するか、《忌まわしい回収》から《ナルコメーバ》を出すことで戻すことが多いです。加えて、普通に3マナ3/3としてプレイすることもあります。
《ナルコメーバ》
マナベース次第では、2マナ飛行としても簡単に唱えることができます。コストを支払うことなくタダで戦場に出るのに加えて、ライブラリーから墓地に置かれた場合、《秘蔵の縫合体》を誘発させるベストな方法になります。このデッキにおいてとても重要なキーカードで、なにかほかのカードの能力で手札から捨てたり、墓地から追放したりする際にもピッタリなカードです。
《這い寄る恐怖》
《ナルコメーバ》と同じく、デッキから墓地に落ちた際にタダで唱えられるカードです。勝敗を左右する可能性を秘めており、3点を与えつつ3点回復できるため特に有効な相手はアグロとコンボです。また、ロングゲームになったときは手札から唱えることもあります。ぜひ覚えておきましょう。
《憑依された死体》
4マナでプレイすることもできますが、それ以上にこ注目すべきは2マナと手札を2枚捨てることで場に戻すことが可能である点でしょう。このデッキにおいて、2枚捨てることはそこまで大きな問題ではなく、その中に《秘蔵の縫合体》が含まれていられるならメリットであるとさえ考えられます。この起動型能力はいつでも使えるので、ブロッカーとしてスピリットトークンを用意でき、相手の計算を狂わすことができるかもしれません。
《屑鉄場のたかり屋》
2マナで手札や墓地から場に出せるクリーチャーです。2ターン目からプレイできればライフレースを加速させることができます。ただ、ブロックできず、回避能力もないことに注意です。墓地から何度でも簡単に帰ってくるので、対戦相手にとって頭を悩ませる存在となるでしょう。また、《秘蔵の縫合体》の能力を誘発させるカードでもあります。墓地のリソースを使って帰ってくるので、無限ではないことを心にとどめておく必要があります。
《悪戦/苦闘》
このカードは、こちらの貧弱なクリーチャーを大きな脅威へと変貌させてくれます。《苦闘》は多くのゲームで対戦相手のリソースを奪いつくし、勝利へと導いてくれました。特に何もすることがなければ、序盤に《悪戦》をプレイしたとしても、目覚ましい活躍をしてくれることもあるでしょう。
《グルマグのアンコウ》
このカードについて言うことはいまさらないでしょう。5/5というサイズはゲームを決めるには十分なサイズで、2~3ターン目に出せればすぐに勝ちに近づくことができます。墓地はすぐに肥えるので、序盤にプレイできることはおかしなことではありません。ゲーム後半で役に立つカードもあるので、「探査」コストを払うときは何を追放するかよく考えてプレイしましょう。
デッキリスト
ほかのデッキとのサイドボードを紹介する前に、現在のデッキリストを載せておきましょう。
4 《草むした墓》
3 《湿った墓》
4 《花盛りの湿地》
3 《植物の聖域》
1 《森林の墓地》
3 《ラノワールの荒原》
-土地 (20)- 4 《縫い師への供給者》
4 《ナルコメーバ》
4 《サテュロスの道探し》
4 《秘蔵の縫合体》
3 《屑鉄場のたかり屋》
3 《憑依された死体》
3 《グルマグのアンコウ》
-クリーチャー (25)-
このリストはチームメイトであるセルヒオ・フェレール・ロサーレン/Sergio Ferrer Rozalenがマジックオンラインで5-0したものです。彼とは毎日話し、ドレッジについての意見を共有しあっています。私にとって、彼はこのタイプのデッキにおいて世界で最高の選手の一人であり、同時に私はこのリストを洗練することに取り組んできました。
《ナルコメーバ》や《秘蔵の縫合体》を手札からプレイできる選択肢がある、というのはあまりにも重要であるため、スゥルタイカラーのリストになっています。
私の観点から言うと、このリストのメインデッキは完璧です。《屑鉄場のたかり屋》や《憑依された死体》、《グルマグのアンコウ》、《悪戦/苦闘》はとても優れたカードではありますが、時に重要なリソースを食いつぶしてしまうことがあるので、4枚ではなくそれぞれ1枚づつ枚数を減らしてあります。(これでも噛み合わないときがありますが、これ以上枚数を減らさないほうがいいでしょう)
15枚のサイドボードに関しては、その時点で予想されるメタゲームに応じて常に変化します。継続的に変わるものですが、個人的にはこのリストのサイドが好きで、必要なマッチアップに対してきちんとカバーされています。《虚空の力線》への対抗手段が欠けているのは確かですが、対戦相手が《虚空の力線》をサイドインしてくるかどうか分かりませんし、このカードを警戒しすぎることはしばしば致命的なミスになり得るのです。たとえ出されたとしても、こちらには《暗殺者の戦利品》があります!
サイドボードガイド
ここで、サイドボードガイドをお届けしましょう。赤単
vs. 赤単
黒単
vs. 黒単
緑単ランプ
vs. 緑単ランプ
もし、相手のデッキにデッキの中をサーチする系のカードが多く入っていたら《夢を引き裂く者、アショク》をサイドインしてもいいでしょう。ですが、基本的に《ニッサの巡礼》4枚しかないため、お勧めしません。
アゾリウスコントロール
vs. アゾリウスコントロール
イゼットフェニックス
vs. イゼットフェニックス
《魂剥ぎ》
vs. 《魂剥ぎ》
5色《ニヴ=ミゼット再誕》
vs. 5色《ニヴ=ミゼット再誕》
『テーロス還魂記』からの可能性
最後に、『テーロス還魂記』のカードでデッキに入りそうな可能性のあるカードを紹介したいと思います。
今回新たなに「脱出」と呼ばれるキーワード能力が登場しました。これは、マナを支払い墓地からX枚のカードを追放することで墓地からプレイできるというものです。試してみる必要がありますが、現時点でこのアーキタイプでプレイできる可能性のある3枚のカードを取り上げましょう。下に行くほどポテンシャルが高いと感じているカードになります。
《アゴナスの雄牛》
このカードはモダンのドレッジにおいてはあまりに強力なカードですが、パイオニアでは異なります。それでもまだ強いカードではありますが、色が赤ですし「発掘」という能力がパイオニアにはないので、デッキに入れるかどうかは難しいところです。しかし可能性を捨てるのはもったいないので、近いうちに試してみようと思っています。
《悲哀の徘徊者》
場に出ればこのカードを含め2体のクリーチャーを盤面に用意できます。クリーチャーを生け贄に占術1する能力も《縫い師への供給者》との相性が非常に良く、戦場のクリーチャーを有効活用できる可能性があります。また、黒いクリーチャーなのでデッキにすんなりと入れられますし、「脱出」コストが軽いのも魅力です。
《死の飢えのタイタン、クロクサ》
私はこのカードが好きです。2マナでハンデスができ、相手が土地を捨てると3点与えることができます。「脱出」コストは重くなく、サイズも6/6と非常に強力です。デッキに赤を加えるかどうかを真剣に検討する必要がありますね!
まとめ
デッキの解説はここまでとなります。この記事がデッキについての理解を進め、読んでくれた人が試したいと思ってくれたなら幸いです。私はこのデッキがパイオニアにおいて最高のデッキであると心から言いたいのですが、そうではありません。ただ、私のように墓地を悪用するデッキが好きな人にとっては、きっとこのデッキは最良の選択肢となるでしょう。間違いなく、私はブリュッセルのプレイヤーズツアーでこのデッキと共に戦います。
さて、みなさんにお別れを告げるときが来ました。素晴らしいゲームであるマジック:ザ・ギャザリングについての知識を共有できることに喜びを感じています。この記事のために知識を共有してくれた友人、セルヒオに感謝します。
また、毎日私を元気づけてくれる人たちにも感謝しています。そう、こうやって記事を読んでくれているみなさんのことです。もちろん晴れる屋にもね。質問があればなんでも聞いてください。喜んでお答えします。
ブリュッセルでお会いしましょう!ではまた。