黒単ダイナソー~《朽ちゆくレギサウルス》と挑んだブリュッセル~

Fabrizio Anteri

Fabrizio Anteri

Translated by Nobukazu Kato

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(掲載日 2020/02/07)

黒単ダイナソー

みなさんこんにちは。

ずっと心待ちにしてきた初のプレイヤーズツアーがとうとうブリュッセル名古屋で開催されました。この大会でプレイし、プレイヤーズツアーファイナルの参加権利を得ることを心に描いてきましたが……本当に権利を得ることができました!

ドラフトが3-3と不甲斐ない結果だったにも関わず、権利を獲得できた理由は構築ラウンドを8-2としたパイオニアのデッキ選択にあります。

まずはそのデッキをご覧いただくことにしましょう。

朽ちゆくレギサウルス

友人であるウンベルト・パタルカ/Humberto Patarcaと懸命に調整したものであり、完成したデッキリストには本当に満足できました。まず何よりも目を引くのは《朽ちゆくレギサウルス》が4枚採用され、《騒乱の落とし子》《悪ふざけの名人、ランクル》が不採用である点でしょう。

「絢爛」で3ターン目に必ずしも唱えられるわけではない《騒乱の落とし子》とは異なり、《朽ちゆくレギサウルス》は確実に3マナで唱えられますし、この3種のなかでもクロックが最も大きいクリーチャーです。

変わり谷ロークスワイン城漆黒軍の騎士血に染まりし勇者

黒単アグロはマナカーブが低く、マナコストが軽い除去と手札破壊を備えた、非常に攻撃的なデッキです。マリガンに強く、テンポの良い初動をすることが勝利へのカギになります。《騒乱の落とし子》《悪ふざけの名人、ランクル》などはトップデッキしたときに素晴らしいカードですが、初手においては理想とかけ離れた存在です。

マナを非常に効率的に使っていくデッキですから、唱えるのに4マナも要求する呪文は望ましくありません。《変わり谷》《ロークスワイン城》《漆黒軍の騎士》の起動型能力や、墓地から戻ってくるクリーチャーがマナの使い道になりますからね。

影槍

《影槍》は最後の最後にデッキに加えました。長時間をかけて話し合ったカードでしたが、ほかのプレイヤーに知られないようにデッキ登録締め切りの36時間前からMagic Onlineには触れないようにしていました。《朽ちゆくレギサウルス》と相性が良いだろうと思っていましたが、多く入れすぎて本番でガッカリしたくはありませんでした。1枚にとどめましたが、入れて良かったと思っています。

主なアーキタイプとの相性

ディミーアインバーター

タッサの神託者真実を覆すもの

高速のクロックと手札破壊を擁する黒単アグロは、ディミーアインバーターに非常に有利です。《朽ちゆくレギサウルス》が相性の良さを加速させています。攻撃が数回通れば勝てるだけでなく、《肉儀場の叫び》《衰滅》に巻き込まれません。

5色《ニヴ=ミゼット再誕》とアゾリウスコントロール

ニヴ=ミゼット再誕ドミナリアの英雄、テフェリー

5色《ニヴ=ミゼット再誕》とアゾリウスコントロールと戦ううえでは、《朽ちゆくレギサウルス》よりも《悪ふざけの名人、ランクル》が優れています。それでも相性は互角ですし、これらのデッキはプレイヤーズツアーでは思わしい結果が出せていません。今後数週間のメタゲームにおいて、重要なポジションにつけることはないでしょう。

《ゴブリンの鎖回し》入りの赤単

ゴブリンの鎖回し

黒単アグロにとって《ゴブリンの鎖回し》を搭載した赤単は、以前から最悪の相性でした。ですが、盤面に1/2のクリーチャー、手札に《ショック》がある相手からすれば、3ターン目に7/6のクリーチャーが出てくるのは耐え難いものでしょう。依然として簡単な相手ではないですが、少なくともこの構成ならば十分に希望が持てます

イゼットエンソウルとスピリット

アーティファクトの魂込めネベルガストの伝令

イゼットエンソウルやスピリットとの戦いにおいては、先手側がダメージレースを制するのが一般的です。とはいえ、黒単ほど初手が安定しているデッキではないと思っているので、相性としては有利をつけたいと考えています。《ネベルガストの伝令》がいるスピリット戦では《朽ちゆくレギサウルス》をすべてサイドアウトします。

ロータスブリーチとランプ

睡蓮の原野茨の騎兵

さまざまな構成を持つロータスブリーチや速度の遅いランプは相性の良いデッキです。

不測の敵

サテュロスの道探し自然の怒りのタイタン、ウーロ

事前に予想もしていなかった、黒単アグロにとって相性が非常に悪いアーキタイプ。それが《サテュロスの道探し》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を用いる「昂揚」デッキです。ブリュッセルで連勝の末にトロフィーを掲げたヨエル・ラーション/Joel Larssonに最後に黒星をつけたのは私ですが、勝利した1ゲーム目と3ゲーム目は手札が極めて強いうえに先手という条件でした。

スゥルタイ昂揚はディミーアインバーターに対してあまり有効なプランを持っていないと思っているので、ディミーアインバーターが睨みをきかせ続けてくれることを期待しましょう。

みなさんならどうしますか……?

お互いに10-3で迎えた14回戦。私はイゼットエンソウルに1ゲームを先取した状況でした。勝者はプレイヤーズツアーファイナルの権利を獲得し、トップ8まであと1勝のポジションにつけます。他方、敗者は次のラウンドを勝たなければプレイヤーズツアーファイナルの権利を得られず、トップ8の可能性はほとんどなくなります。

ロークスワイン城残忍な騎士

5ターン目。私はまだ土地を出しておらず、手札には《ロークスワイン城》《残忍な騎士》があり、相手の手札は2枚でした。成功まであと一歩という状況で達成したい気持ちが強く、私は非常に緊張していました。

《搭載歩行機械》を対象に《残忍な騎士》を唱え、相手が《爆片破》を持っていなければ勝てます。仮に持っていたとしても、ゾンビトークンを献上しないためには《幽霊火の刃》を生け贄に捧げて《ゲトの裏切り者、カリタス》を除去しなければならず、依然として有利な状況です。

爆片破ゲトの裏切り者、カリタス

私が《残忍な騎士》を戦闘前に唱えると、相手は《爆片破》で対応してそのターンをしのぎました。その後、別の《搭載歩行機械》を含めて3体のクリーチャーを引き込む相手。ブロッカーで地上は固められ、私は数ターンに渡るソプタートークンの攻撃の前に散りました。続く3ゲーム目も敗北し、私はトップ8の可能性を失ったのです。

あの命運を分けるターンに私はどんなプレイをすべきだったのでしょう?

変わり谷漆黒軍の騎士ゲトの裏切り者、カリタス朽ちゆくレギサウルス

決着をつけたいという焦りから、《変わり谷》で攻撃すれば《ゲトの裏切り者、カリタス》をブロックされた際に致死量のダメージを与えられることに気づきませんでした《朽ちゆくレギサウルス》の7点、《変わり谷》の2点、《漆黒軍の騎士》の2点。残る3マナは《漆黒軍の騎士》の起動型能力か必要に応じて《残忍な騎士》)。

つまり、相手は《朽ちゆくレギサウルス》をチャンプブロックせざるを得ず、加えて戦闘ダメージが通る前に《爆片破》を唱えるかどうかになります。呪文を唱えずに攻撃したときのシナリオがどんなものであれ、私が実際にたどったシナリオよりもはるかに優れていたでしょう。しばらくは忘れられない教訓になりそうです。

サイドボードガイド

ディミーアインバーター

対 ディミーアインバーター

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し
闇の掌握
影槍

In

軍団の最期 軍団の最期
ドリルビット ドリルビット
苦悶の悔恨
虚空の力線

十分に戦ったことにある相手ではないので入れ替えに100%の確信は持てませんが、《虚空の力線》は必要ないと思います。コンボから遠ざける手札破壊が豊富にありますから、プレッシャーをかけて決着を急いだ方が良いでしょう。

軍団の最期タッサの神託者

相手がよくとってくる動きは、2/1のクリーチャーをブロックするために《タッサの神託者》を2ターン目に唱え、《致命的な一押し》で除去されたら《真実を覆すもの》でライブラリーに戻すというものです。そのためこのマッチアップでは《軍団の最期》を優先させ、《タッサの神託者》を追放し、あわよくば手札からも追放できるようにします。《群れネズミ》《ヴリンの神童、ジェイス》を使っていることもありますしね。

黒単アグロ

対 黒単アグロ(先手)

Out

思考囲い 思考囲い 思考囲い 思考囲い
戦慄の放浪者

In

ゲトの裏切り者、カリタス ゲトの裏切り者、カリタス
軍団の最期 軍団の最期
最後の望み、リリアナ

対 黒単アグロ(後手)

Out

思考囲い 思考囲い 思考囲い 思考囲い
屑鉄場のたかり屋

In

ゲトの裏切り者、カリタス ゲトの裏切り者、カリタス
軍団の最期 軍団の最期
最後の望み、リリアナ

先手で、かつ相手が《軍団の最期》を採用していないという確証があるなら、同名カードを追放される心配がなくなるため、サイドアウトするのは複数枚採用している《戦慄の放浪者》ではなく1枚しかない《どぶ骨》にします

5色《ニヴ=ミゼット再誕》

対 5色《ニヴ=ミゼット再誕》

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し
朽ちゆくレギサウルス
闇の掌握

In

自傷疵 自傷疵 自傷疵
ドリルビット ドリルビット
苦悶の悔恨
森の女人像影槍楽園のドルイド

《影槍》の隠された能力が有効なマッチアップのひとつで、《森の女人像》《楽園のドルイド》を除去できるようになります。《朽ちゆくレギサウルス》に+1/+1修正を与えることで《ニヴ=ミゼット再誕》と相撃ちにならないのもちょっとした利点です。

アゾリウスコントロール

対 アゾリウスコントロール

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し
闇の掌握
死の国への引き込み

In

ドリルビット ドリルビット 自傷疵 自傷疵
苦悶の悔恨
最後の望み、リリアナ
浄光の使徒自傷疵夢さらい

サイドボード後、アゾリウスコントロールはクリーチャーを投入するのが一般的です。多くの場合は《浄光の使徒》《夢さらい》なので、《自傷疵》をサイドインするようにしています。あまりにも採用枚数が多いようなら3枚目を入れても良いでしょうね。

イゼットエンソウル

対 イゼットエンソウル(先手)

Out

思考囲い 思考囲い 思考囲い 思考囲い
屑鉄場のたかり屋

In

ゲトの裏切り者、カリタス ゲトの裏切り者、カリタス
軍団の最期 軍団の最期
最後の望み、リリアナ

対 イゼットエンソウル(後手)

Out

屑鉄場のたかり屋 屑鉄場のたかり屋 屑鉄場のたかり屋
思考囲い 思考囲い

In

ゲトの裏切り者、カリタス ゲトの裏切り者、カリタス
軍団の最期 軍団の最期
最後の望み、リリアナ

アゾリウススピリット

対 アゾリウススピリット

Out

朽ちゆくレギサウルス 朽ちゆくレギサウルス 朽ちゆくレギサウルス 朽ちゆくレギサウルス
思考囲い 思考囲い

In

自傷疵 自傷疵 自傷疵
軍団の最期 軍団の最期
最後の望み、リリアナ
思考囲い集合した中隊

《集合した中隊》を搭載したバントカラーとの対戦経験は多くありません。おそらく《思考囲い》を多めに残し、《屑鉄場のたかり屋》を減らすと思います。

赤単アグロ

対 赤単アグロ

Out

思考囲い 思考囲い 思考囲い 思考囲い
血に染まりし勇者 血に染まりし勇者

In

ゲトの裏切り者、カリタス ゲトの裏切り者、カリタス
軍団の最期 軍団の最期
ドリルビット ドリルビット
思考囲い栄光をもたらすもの

1マナ域と2マナ域が多い赤単を想定した入れ替えです。ミッドレンジ型であれば《思考囲い》はすべて残し、《血に染まりし勇者》を4枚抜き、《軍団の最期》はサイドインしません。

ロータスブリーチ

対 ロータスブリーチ

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 残忍な騎士 残忍な騎士
死の国への引き込み 影槍 闇の掌握

In

虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線
ドリルビット ドリルビット
苦悶の悔恨

ランプ

対 ランプ

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し
影槍 闇の掌握

In

自傷疵 自傷疵 自傷疵
ドリルビット ドリルビット
苦悶の悔恨

スゥルタイ昂揚

対 スゥルタイ昂揚

Out

致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し 致命的な一押し
闇の掌握 影槍 どぶ骨

In

虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線 虚空の力線
ドリルビット ドリルビット
苦悶の悔恨
苦悶の悔恨ドリルビット虚空の力線

さまざまなアプローチの取り方が考えられるため悩ましいマッチアップです。《虚空の力線》?手札破壊?それとも除去でしょうか?今のところの予測では、手札破壊を最大枚数投入し、除去を減らすのが良いと思っています。《虚空の力線》は4枚入れたいほど重要ですが、クリーチャー除去をもう少し残して《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が稼働しないことを期待した方が良いかもしれません。

これからの黒単ダイナソー

害悪な掌握霊気圏の収集艇

メインデッキの構成には非常に満足しているので、今週もまったく同じ60枚を使おうと思っています。サイドボードに関しては、《自傷疵》はもう3枚も必要ないという印象ですので、《害悪な掌握》と散らして採用した方が良い可能性があります。《最後の望み、リリアナ》は依然として評価が難しく、《霊気圏の収集艇》を1枚採用する枠がぜひとも欲しいので、彼女には入れ替わってもらうべきかもしれません。

黒単ダイナソーは安定性とデッキパワーを備えており、メタゲーム上に相性が良いデッキが多く存在しています。完成度の高いコントロールやコンボが数を増やし、黒単にとって大きな懸念点であったミッドレンジのクリーチャーデッキは支配力を弱めました。数か月は立場を維持していくデッキだと思いますし、これからのメタゲームの変化に順応していくことでしょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

ファブリツィオ・アンテリ (Twitter)

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Fabrizio Anteri

Fabrizio Anteri ファブリツィオ・アンテリはベネズエラ出身のプロプレイヤー。11回ものグランプリトップ8入賞回数を誇り、そのうちの5回で優勝を収めている。2018年の春に開催されたグランプリ・ボローニャ2018で準優勝に輝き、第2回Hareruya Hopes公募でHareruya Hopesに加入。 Fabrizio Anteriの記事はこちら