Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/2/17)
プレイヤーズツアー予選を突破して
みなさんお久しぶりです!リカルド・ベージャ/Ricardo Bejaです。Magic Onlineではshadow_PTとして活動しています。Hareruya Hopes所属のポルトガル人プレイヤーです。
先日、Magic Onlineで開催されたプレイヤーズツアー予選(PTQ)をジェスカイファイアーズで突破しました。スイスラウンド7回戦の後、シングルエリミネーションのトップ8を勝ち進んだのです。
ジェスカイファイアーズへの道のり
『テーロス還魂記』の発売以前はシミックランプを使用していました。ですが、Magic Online上で赤単アグロが数を増やし、デッキの立ち位置が良くないと感じるようになりました。そこでアゾリウスコントロールを試すことにしたのですが、これもまたアグロとの相性に手ごたえを感じることができませんでした。そして以前に使用した経験があり、アグロとの相性が良いとわかっていたジェスカイファイアーズに手を伸ばすことにしたのです。
最大勢力になると予想したのがアグロとアゾリウスコントロールであり、この2つのアーキタイプに勝てる見込みがあるデッキを選択したいと考えていました。ジェスカイファイアーズはアグロに有利に戦えるだけでなく、コントロールとも互角に渡り合えます。
PTQで使用したデッキリストがこちらです。
アグロとコントロールを意識した構成
アグロ対策(メインデッキ)
アグロに勝つことを狙いとしていましたので、メインデッキに対策を10枚詰め込むことにしました。
《砕骨の巨人》
アグロ戦において優秀な除去兼ブロッカーです。1枚でも手札にあれば2ターン目と3ターン目の動きが確約されます。
《轟音のクラリオン》と《空の粉砕》
アグロに最も有効なのは全体除去なので、枚数を多めに確保しました。アグロとの1ゲーム目は是が非でも勝ちたいのです。
コントロール対策(サイドボード)
先ほどお伝えとおり、事前から意識しておきたかったもうひとつのデッキはアゾリウスコントロールです。そこでメインデッキの4枚の《時を解す者、テフェリー》に加えて、アゾリウスコントロール用のサイドボードの枠を10個割くことにしました。
《徴税人》
打ち消し呪文やこちらのターンに相手が唱えるあらゆる呪文のマナコストを1つ重くします。ゲーム序盤においては同一ターンに打ち消し呪文を2枚唱えることを難しくし、ときには一切唱えさせないこともあるでしょう。
《神秘の論争》
《時を解す者、テフェリー》や《創案の火》を筆頭とした重要な呪文をたったの1マナで呪文を押し通せるようになります。打ち消し呪文にたったの1マナで対抗できるのです。
《軍勢の戦親分》
コントロールに対処を要求し、場に残れば単体で勝てる3マナ域です。先手3ターン目に唱えられれば、相手に打ち消す術はありません。
《時を解す者、テフェリー》(メインデッキ)
前回のモダンのアゾリウスコントロールの記事において、このカードがいかに優れているかお伝えしましたが、異なるフォーマット、異なる戦術においてもそれは変わりません。打ち消し呪文の使い道をなくし、《荒野の再生》を大きく抑え込み、ランプの大型クリーチャーをバウンスし、とどめの一撃の道を切り開いてくれるのです。
その他のサイドボード
《敬虔な命令》
赤や黒のクリーチャーを追放しながら占術できる呪文(追放という点も重要です)。主なターゲットは《鍛冶で鍛えられしアナックス》、《真夜中の死神》、《フェイに呪われた王、コルヴォルド》になります。
《解呪》
PTQの前週、スタンダードショーケースチャレンジを優勝したのは《払拭の光》を4枚採用したアゾリウスコントロールでした。これを踏まえて《解呪》を2枚採用したのですが、現在は《払拭の光》は0~2枚の構成が一般的なようなので、アゾリウスコントロール戦は2枚も必要なくなりました。ですから今後はサイドボードの《解呪》を1枚減らそうと思っています。
《解呪》の残りの1枚はそのままにしておくべきです。《荒野の再生》《魔女のかまど》《鍛冶で鍛えられしアナックス》《エンバレスの宝剣》といったカードを除去したいからです。たとえば赤単戦で後手のとき、相手の先手3ターン目に展開された《鍛冶で鍛えられしアナックス》をそのターン中に除去すれば、返しのターンで《轟音のクラリオン》を放ってもトークンが一切盤面に生成されなくなります。
《霊気の疾風》
幅広い戦術に対して投入できる呪文です。赤単戦では時間を稼ぎ、ティムール再生戦では相手の速度を低下させ、ランプ戦では大型クリーチャーをどけることができます。
仮想敵を破ってプレイヤーズツアーへ
スイスラウンド
ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
---|---|---|
1回戦 | 赤単アグロ | 2-0 |
2回戦 | アゾリウスコントロール | 2-1 |
3回戦 | 赤単アグロ | 1-2 |
4回戦 | ラクドスサクリファイス | 2-0 |
5回戦 | スゥルタイランプ | 1-2 |
6回戦 | スゥルタイランプ | 2-1 |
7回戦 | 赤単アグロ | 2-0 |
準々決勝:赤単アグロ 2-0
1ゲーム目
後手3ターン目に《轟音のクラリオン》を唱えるも、《鍛冶で鍛えられしアナックス》によるサテュロストークンが4体出てしまう展開。4ターン目に《創案の火》から《予見のスフィンクス》をプレイしましたが、返しのターンに《エンバレスの宝剣》を装備したトークンと相撃ちになりました。残りライフ3で迎えた5ターン目、《帰還した王、ケンリス》と(そのターンに引き込んだ)《轟音のクラリオン》を唱えて一掃しつつ絆魂を付与し、その起動型能力と合わせて10点のライフを回復させることに成功しました。
2ゲーム目
3ターン目の《敬虔な命令》、4ターン目と6ターン目の《空の粉砕》、5ターン目の《予見のスフィンクス》で盤面にクリーチャーを並べさせず、ライフを高水準に保ちました。7ターン目に《創案の火》を設置して大型クリーチャーを展開し始めた私に対し、相手は《砕骨の巨人》に《エンバレスの宝剣》を装備させましたが、私の展開には及びませんでした。
準決勝:アゾリウスコントロール 2-1
1ゲーム目
先手をとった私は3ターン目に《時を解す者、テフェリー》を着地させ、相手が打ち消し呪文を唱えられないという安心感をもちながら終始戦うことができました。
2ゲーム目
先ほどと同様に3ターン目の《時を解す者、テフェリー》を着地を目指すも、今度は打ち消されました。続く4ターン目の《創案の火》は無事解決されましたが、後続の《予見のスフィンクス》を遮ったのはさらなる打ち消し呪文である《神秘の論争》。5ターン目には打ち消し呪文に《神秘の論争》を合わせ、2枚目の《時を解す者、テフェリー》を通すことに成功しました。《創案の火》と《時を解す者、テフェリー》が戦場に揃ったものの、数ターンに渡って後続の呪文が引けず、相手に勝利を譲ってしまいました。
3ゲーム目
先手で開始した3ゲーム目は、コントロール戦において理想的な動きを決めました。2ターン目に《徴税人》、3ターン目に《時を解す者、テフェリー》、4ターン目に《創案の火》から《予見のスフィンクス》、そして5ターン目には2体の《炎の騎兵》。相手はほとんどなす術がありませんでした。
決勝:アゾリウスコントロール 2-1
1ゲーム目
先手から唱えた《時を解す者、テフェリー》や《創案の火》は着地を許されませんでしたが、6ターン目に《創案の火》から《帰還した王、ケンリス》を展開。相手のターンに《エルズペス、死に打ち勝つ》で追放されてしまいますが、返しのターンに2枚目の《帰還した王、ケンリス》と《炎の騎兵》を突撃させました。相手はこのうちの1体しかさばくことができず、8ターン目に戦場に残った《帰還した王、ケンリス》で《予見のスフィンクス》に速攻を与えて決着をつけました。
2ゲーム目
序盤は相手の打ち消し呪文に阻まれながらも《創案の火》を設置しましたが展開するクリーチャーたちが除去されてしまい、マナフラッドし始めたところに《夢さらい》を引き込まれて敗北しました。
3ゲーム目
デッキが素晴らしい回りを見せ、相手を圧倒したゲームでした。2ターン目は《徴税人》、3ターン目は《時を解す者、テフェリー》、4ターン目は《予見のスフィンクス》、5ターン目は《風の騎兵》。6ターン目は《徴税人》の展開に加えて《神秘の論争》で《エルズペス、死に打ち勝つ》を打ち消し、7ターン目は《徴税人》を2体追加、そして8ターン目に《時を解す者、テフェリー》で《夢さらい》をバウンスして勝利しました。
最終ゲームが終わったときの状況はこのようなものでした。
問題点の解消
さて、PTQ後に施した変更点ですが、サイドボードの《解呪》と《敬虔な命令》を1枚ずつ減らし、《裁きの一撃》を2枚入れました。大型クリーチャーを除去する手段が欲しいと感じたためです。《解呪》を減らすのは前述の思考を踏まえれば当然の結果でした。もう一方の《敬虔な命令》は《裁きの一撃》とほぼ役割が同じだからです。追放という文言はなくなりますが、使用できるマッチアップの幅が広がります。
こうして問題を解消したデッキリストで臨んだスタンダードチャレンジは5-2でした。当たった相手と結果は以下の通りです。
ラウンド | 対戦デッキ | 結果 |
---|---|---|
1回戦 | 赤単アグロ | 2-1 |
2回戦 | ティムール再生 | 2-0 |
3回戦 | シミックランプ | 1-2 |
4回戦 | 赤単アグロ | 2-0 |
5回戦 | アゾリウスコントロール | 1-2 |
6回戦 | アゾリウスコントロール | 2-1 |
7回戦 | 赤単アグロ | 2-1 |
最新のデッキリストとサイドボードガイド
以下では各マッチのキーカードを列挙していきます。《創案の火》はメインのゲームプランあり、わざわざ毎回キーカードに挙げてはいませんが、そこにあるものとして考えてください。基本的にどんな相手でも1枚はドローしたいカードです。
アゾリウスコントロール
キーカード:《時を解す者、テフェリー》や《創案の火》を着地させるには《徴税人》や《神秘の論争》が役立ちます。
対 アゾリウスコントロール
赤単アグロ
キーカード:《轟音のクラリオン》、《創案の火》がある状態での《帰還した王、ケンリス》。
対 赤単アグロ
ティムール再生
キーカード:《時を解す者、テフェリー》が着地すれば呪文を打ち消されなくなりますし、《荒野の再生》で土地をアンタップしても呪文が使えなくなります。《神秘の論争》は《時を解す者、テフェリー》と《創案の火》を解決させるのに有用です。
対 ティムール再生
ラクドスサクリファイス
キーカード:《轟音のクラリオン》と《空の粉砕》。
対 ラクドスサクリファイス
ジェスカイファイアーズ(ミラーマッチ)
キーカード:ここではあえて《創案の火》を挙げました。《創案の火》を置いたプレイヤーが勝つのが基本ですからね。
対 ジェスカイファイアーズ(先手)
対 ジェスカイファイアーズ(後手)
ジャンドサクリファイス
キーカード:《敬虔な命令》/《裁きの一撃》/《霊気の疾風》。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》の対策です。
対 ジャンドサクリファイス
シミックランプ
キーカード:《神秘の論争》は呪文を押し通したり、高マナ域の呪文を打ち消したりするのに有効です。《時を解す者、テフェリー》《霊気の疾風》《裁きの一撃》は大型のブロッカーをどけてくれます。
対 シミックランプ
スゥルタイランプ
キーカード:シミックランプのときと全く同じです。
対 スゥルタイランプ(先手)
対 スゥルタイランプ(後手)
黒単アグロ
キーカード:《轟音のクラリオン》と《空の粉砕》。
対 黒単アグロ
白単ライフゲイン
キーカード:《轟音のクラリオン》と《空の粉砕》。
対 白単ライフゲイン
ジェスカイファイアーズを使うべきとき
PTQに参加する前、主にアグロとアゾリウスコントロールに当たるだろうと思っていましたが、結果的にこの読みは正しかったようです。読みに加えて(いつも必要とされる)運に恵まれたことが予選を突破できた一因だろうと思います。
アグロが多いと予想するならジェスカイファイアーズを選択すべきです。しかし反対にシミックランプやスゥルタイランプが多いと予想するならおすすめしません。
いつも手を差し伸べ、支えてくれる友人や晴れる屋には感謝します。
みなさんが楽しんでくれたことを期待して。
リカルド・ベージャ