レガシーグランプリよ永遠に

Jonathan Anghelescu

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2020/2/27)

レガシーの過去と未来

みなさんこんにちは!JPA93こと、ヨナタン・アンゲレスク/Jonathan Anghelescuです。

マジックフェストのメインイベントからレガシーがなくなってしまったので、この機会を利用して、私にとって大切なレガシーグランプリの記憶を懐かしむ記事を書こうと思います。誰でも参加できる紙マジックの最高峰の舞台がなくなっても、レガシーというフォーマットが生き残っていくことは間違いないでしょう。世界中に熱心なローカルコミュニティがありますし、Magic Onlineにはプレミアイベントもありますからね。

そこで、昔話へのタイムトラベルが終わった後は未来へと目を向け、昨今のレガシーにおけるメタゲーム展開についての考えを述べていこうと思います。ぜひお付き合いくださいね!

JPA93が誕生するまで

グランプリのような大型イベントの存在さえ知らなかったときのこと。2010年の暮れにStarCityGames Openの配信でレガシーというフォーマットを知り、そのカードパワーの高さや戦略の多彩さに魅了されました。そこで使用されるカードや戦略は、キッチンテーブルでのカジュアルマジックしか知らない私が慣れ親しんだものとは遠くかけ離れたものでした。

当初はゲーム展開を追いかけるだけでも苦労しましたが、レガシーへの強い関心が戦略記事や対戦動画へと導き、フォーマットへの理解を深めていきました。日曜日のSCGのレガシー配信を観戦することがあっという間に楽しい習慣となり、同時にベルギーで困難な状況にあった高校生活最後の年の息抜きとなりました。

実物提示教育騙し討ち

高校を卒業してベルリンに帰郷してもレガシーのモチベーションは高く、思い切ってデッキを買って地元の大会に参加するようになりました。規模こそ小さかったものの、競技の魅力に気づく機会となり、ドイツのほかの都市の大会へとはるばる出かけるようにまでなったのです。アムステルダムで「グランプリ」と呼ばれる大型のレガシー大会があると知ったときはすぐに旅程を立てるほどでした。

当時のグランプリに向けた調整と言えば、理論を構築する、地元の友人と会してカジュアルに数ゲーム対戦する、あるいは2か月に一度開催される5ラウンド制の地元の大会に出ることぐらいでした。勝利することも重視していましたが、それよりもマジックの大会のために遠征することが楽しく、それを通じて学びを得たい気持ちのほうが大きかったのです。

地元の大会で4-1や3-2といった満足のいく結果を多少積み重ねたところでスニーク・ショーを使い込もうと決意しました。《グリセルブランド》が登場する半年前のことであり、現在ほど強力なデッキではありませんでしたが、楽しさと強さを兼ね備えた戦略であり、経験不足やプレイングの技量不足を補ってくれるものでした。

手酷い失敗

しかし不幸なことが起きました。増える一方のレガシーのカード資産を余すことなくアムステルダムへの遠征に持っていったのですが、グランプリで使用する75枚が入ったデッキボックスだけ忘れてしまったのです!

今でこそ、不足しているカードやデッキ丸ごとを友人や親切なレガシーコミュニティから借りることは何てことないですが、当時は一人で出向いており、カードを借りるという発想すらありませんでした。結局手元にあるカードだけで組み上げた青黒リアニメイトを使いましたが、スニーク・ショーのパーツとして自宅に置いてきた《意志の力》《実物提示教育》はない状態でした。

幸いなことに、家にデッキを置いてきた苛立ちや不安は、グランプリを大いに楽しむ気持ちですっかり忘れていました。参加者1878名のメインイベントは3-6であり、決して特筆すべき成績ではありませんでしたが、最初の挑戦にしては十分だろうという気持ちでした。

熱狂的ファン

2日目の日曜日は全ラウンドを見て回り、ついに決勝まで居残っていると、熱狂的な観戦者たちが群れを成していました。個人的な成績は振るいませんでしたが、熾烈な大型イベントでの経験は私の心を大きく打ち、またこの場所に来たいという気持ちが湧いてきたのです。

大会結果だけでなく、配信があるときは北米のレガシーグランプリの配信を熱心に追いかけ、グランプリ・ヘント2012グランプリ・ストラスブール2013などのヨーロッパのグランプリを駆け巡りました。確かに成長していくなかで2日目進出が叶わない日々が続きましたが、グランプリを大いに楽しむ気持ちが途絶えることはありませんでした。当時は日曜日に9ラウンド制の大型サイドインベントがあったのも大きかったように思います

グランプリ・ストラスブール2013では日曜日に開催されたサイドイベントの決勝をベルリンの親友たちと観戦しました。同郷のレガシーマスターであるカルステン・ケッター/Carsten KötterはANTを、晴れる屋のCEOである齋藤 友晴はティムールデルバーを使用していたのですが、メインイベント終了から大分時間が経過しており、会場の設備が片付けられ始めていたときにその決勝が執りおこなわれたのです。このときの記憶は今も大切に残っています。

秘密を掘り下げる者実物提示教育

2014年の中頃になると、競技志向が強くなり、勝利を重視するようになっていきました。そこで、Magic Onlineを使ってプレイングに磨きをかけていくことになります。この頃から地元のレガシーが規模縮小しており、プレイする機会を補填しようという狙いもありました。すぐにその魅力にとりつかれ、デイリーイベントや8人構築に潜り込んで数か月を過ごしました(当時はリーグ戦がありませんでした)。使用したデッキは《意志の力》のない低予算なイゼットデルバーから、愛機であるスニーク・ショーまでさまざまです。

そして同年の11月、マジックの遠征としては初めて海外に足を運ぶことになります。レガシーで開催されたグランプリ・ニュージャージー2014です。参加者は4003名にも上り、レガシーの大会としては今もこの数字は塗り替えられていません!

自己評価が低く、初対面の人に話しかけることを不安に感じていたため、単身でアメリカを旅するのはとてつもなく恐ろしいことでした。それでも、ヨーロッパ以外の地のグランプリに初挑戦してみたいという気持ちが強く、多少の困難があろうともこの試練に立ち向かおうと思えたのです。

宝船の巡航時を越えた探索

グランプリそのものはまるでジェットコースターのようでした。金曜日のラストチャンストライアルに何度か挑戦してみたものの、メインイベントでのByeを得ることはできませんでした。当時は『タルキール覇王譚』に収録された《宝船の巡航》《時を越えた探索》が使えた「探査」呪文時代です。それでも、グランプリのメタゲームは相変わらず多様性があったので、バーンのようにメタ外で低予算のデッキが多い序盤のラウンドを切り抜ければ、スニーク・ショーにもチャンスがあると思えました。ところが、5回戦のマナレスドレッジに敗北し、メインイベントは3-2という窮地に追い込まれます。

その後の4ラウンドを勝ち続け、初のグランプリ2日目を確定させた時点で大きな達成感がありましたが、勢いはとどまりませんでした。日曜日は接戦を制しながら連勝し、総合成績13-2で13位に入賞したのです!個人的な偉業を成し遂げ、当初のグランプリ2日目という目標を達成しただけでなく、レガシーを通じてプロツアーの出場権利を得たことも実に誇らしいことでした。待ちわびた成功を実現させたことが、レガシーグランプリの経験を一層甘美なものにしたことは言うまでもないでしょう。

プロツアーの出場権利を得たことで、初めてレガシー以外のフォーマットに手を伸ばすことになるのですが、ここでもMagic Onlineは全般的な調整とプレイングの向上に大いに役立ちました。しかし、何度プロツアーに出場しようとも、シアトルで開催されたMagic Online Championship 2015に出場しようとも、レガシーグランプリに勝る大会はありませんでした。自分が参加できなかったとしても、レガシーグランプリのテキスト/ビデオカバレージは各年のスケジュールが発表された時からずっと楽しみにしていました。

このようにレガシーグランプリを見据えることで、モチベーションは高く保たれ、Magic Onlineに打ち込む気力は燃え尽きることなく、人生の辛い時期を乗り越える力にもなっていました。個人的な成功よりもはるかに継続的なモチベーションを与え、大きな楽しみとなっていたのは、各グランプリのレガシーエキスパートたちを追いかけ、応援し、そして上位のデッキリストや公式/コミュニティが公開する2日目のメタゲームを分析することでした。

参加できなかったものの、今日までエネルギーの源となってくれているレガシーグランプリの代表格がグランプリ・千葉2016です2503名ものプレイヤーが参加し、先述のグランプリ・ニュージャージー2014に次ぐ、史上2番目に参加者数が多いレガシーのイベントとなりました。第一次と第二次の参加登録は受付開始から瞬く間に完売したことから、日本におけるレガシー熱がいかに高いが伺い知れます。晴れる屋が主催となった本大会ですが、齋藤 友晴は500名分の学生の参加費を無料にしました。

グランプリ・千葉が行われた週末はビデオカバレージを貼り着いて観ていました。日本の公式配信はニコニコ生放送で観ていましたし、レガシー愛好家であるボブ・ホワン/Bob Huangアヌラーグ・ダース/Anuraag Dasジャービス・ユー/Jarvis Yuジェイムス・ポーグ/James Pogueらがその配信を再放送して英語で解説するという配信もチェックしていました。

9回戦のフィーチャーマッチでは8-0の山本 賢太郎が映し出され、彼が私の愛機を使っていることにとてもワクワクしました。ですが、(レガシーのリーグで一度対戦したことがあり)彼が数か月前からMagic Onlineでスニーク・ショーを調整していたことは知っていましたし、The Last Sun 2013を同デッキで優勝していることも知っていたので、そのデッキ選択はあまり驚きではありませんでした。

彼は9回戦を僅差で負けてしまったものの、その活躍している姿を見て私の気持ちは高まり、2日目も引き続き頑張って欲しいと思っていました。その願いに応えるかのように、彼は14回戦まで引き分けとなった奇跡戦の1マッチを除いて全マッチに勝利!15回戦のフィーチャーマッチではスニーク・ショーにとって最も相性が悪い相手のひとつであるデス&タックスを打ち破り、13-1-1でトップ8の座を確保したのです。

賢太郎はトップ8のシングルエリミネーションで一度たりともゲームを落とさず、スニーク・ショーに初のグランプリ優勝の栄光をもたらしました!私は今でも彼のフィーチャーマッチを見返します。スニーク・ショーを使い過ぎて燃え尽きそうなとき。新たにモチベーションを高めたいとき。彼の堂々として冷静な態度、見事なプレイングはまさに私を駆り立ててくれるものなのです。

グランプリ・千葉2016優勝 山本 賢太郎

グランプリ・千葉に参加したドイツの友人たちから、日本のレガシーコミュニティや日本という国自体が素晴らしいと聞き、次に日本で開催されるレガシーグランプリに参加しようと決意しました。残念ながら2017年のスケジュールには組み込まれませんでしたが、2018年の暮れに行われるグランプリ・静岡でとうとうそのチャンスが巡ってきたのです。本戦は5-0スタートから惜しくも5-3で2日目進出を逃してしまいましたが、遠征そのものは素晴らしいものでした。

思うような結果は出なかったものの、フレンドリーなプレイヤーたちが私の元にやってきて「もしかしてJPA93さんですか?」と尋ねてきたり、なかには写真を撮って欲しいとお願いする人もいて、自分の成績不振などどうでも良くなっていました。この遠征は今までで最高と言っていいほど格別なものであり、必ずや日本にもう一度行きたいと考えています。日本のレガシーコミュニティは今もなお成長し続けていますから、旅行を兼ねて晴れる屋のレガシー神挑戦者決定戦などの大型イベントに参加してみるのも良いかもしれないですね。

静岡の後、2019年にレガシーグランプリは3つの地で開催されました。ナイアガラフォールズアトランタボローニャです。幸運にもそのすべてに参加することができ、突出した成績は出せなくとも素晴らしい時間を過ごすことができました(ナイアガラフォールズは11-4、アトランタは4-3、ボローニャは8-6。アトランタとボローニャについては過去の記事をご参照ください)。

2020年のレガシー

《ヨーグモスの意志》 2.0、現る

ヨーグモスの意志死の国からの脱出

今のところレガシーグランプリの予定はありませんが、このフォーマットは依然として面白く魅力的なものとなっています。ほとんどのレガシーエキスパートたちは、2019年の数々のセットほど影響力があるものは出てこないだろうと予想していましたが、それが間違いであったことがすぐに証明されてしまいました。《ヨーグモスの意志》 2.0”である《死の国からの脱出》が全く新しいTier 1のコンボデッキ(ブリーチコンボ)を生み出したのです

最適な構築はいまだに見つかっていないものの、その構築方法は多彩で、《意志の力》《時を解す者、テフェリー》《沈黙》系の呪文を入れたジェスカイ、手札破壊と《冥府の教示者》を搭載したグリクシス《湖に潜む者、エムリー》《オパールのモックス》を入れた構成などがあり、《秘密を掘り下げる者》《死の国からの脱出》を混在させた構成も紙やオンラインのプレミアイベントで一定の成果を残しています。

ブリーチコンボに対抗するには

ブリーチコンボ側はその構成に基づいた手段で対策カードを対処しますが、この新たな仮想敵に効果的なカードたちは例え構成が違えども有効なものになっています(ピーター・ファン・デル・ハム/ Peter van der Ham《秘密を掘り下げる者》《死の国からの脱出》ハイブリッド型は例外です。コンボとアグロ/テンポの切り替えができるため、対策で封じることが一層難しくなっています)。

外科的摘出虚空の力線墓掘りの檻

対策としてもっともわかりやすい方法は、墓地のカードを使えなくすることです。《外科的摘出》はその一例ですがおそらくもっとも弱いものであり、採用数が減ってきています。というのも、《外科的摘出》を効果的にするには、まず重要なコンボパーツを打ち消す/手札破壊する必要があるからです。

また、《死の国からの脱出》+《ライオンの瞳のダイアモンド》+《思考停止》によるコンボの最中は《外科的摘出》で介入する余地がほぼありません。《思考停止》はインスタントですし、《沈黙》系の呪文でコンボを始動させることが多く、さらには打ち消し呪文を「フラッシュバック」することもできるからです。

ですから、《虚空の力線》《墓掘りの檻》といったパーマネント形式による墓地対策の方が明らかに効果的であり、相手はそれを除去するものを探さねばなりません(といっても、相手は除去するものを多く採用しているだけでなく、それを探し出すキャントリップも豊富に抱えています)。

呪文貫き呪文嵌め水流破対抗呪文

墓地対策に加え、追加の妨害要素・高速コンボの両方ないしはいずれかがあると理想的です。そのため、デルバーやコントロールのようにフェア寄りのゲーム展開をする場合は、妨害要素を多様化する必要性が高くなります。打ち消しはその役割を担えますが、相手も打ち消しや《沈黙》系の呪文/《夏の帳》で対抗できるように備えています。とはいえ、軽量の打ち消しを多く搭載することはフェアデッキが妨害要素を増やすうえで有効な手段のひとつです。《呪文貫き》《呪文嵌め》《水流破》に加え、《対抗呪文》さえも《死の国からの脱出》を打ち消してくれます。

《夏の帳》は相手の打ち消しからこちらの打ち消しを守ってくれますが、コンボそのものを単体で止めてくれるわけではありません。相手は《思考停止》で自分のライブラリーを削り、《タッサの神託者》や青や黒でもない《稲妻》/《ぶどう弾》の再利用で勝てるからです。そのため、環境初期は環境を定義するカードであった《夏の帳》も、ここ数週間は人気にかげりが出てきています。ブリーチコンボやストームが《思考囲い》《強迫》といった手札破壊重視の妨害に再度移行しない限りはこの傾向が続くことでしょう

思考囲い戦慄衆の秘儀術師減衰球

《思考囲い》《強迫》が話題にあがりましたが、《夏の帳》を搭載した型がごくわずかになった今、手札破壊もまたブリーチコンボ対策として効果的なものとなっています。とりわけグリクシスデルバーは《戦慄衆の秘儀術師》《思考囲い》を連打できるため、青赤デルバーからデルバー最大勢力の称号を奪い取るかもしれません。とはいえ、青赤デルバーも打ち消し、墓地対策、《無のロッド》《減衰球》などのパーマネント形式の対策があり、ブリーチコンボを多角的に対策できるようになっています。

翻弄する魔道士耳の痛い静寂自然への回帰

奇跡のように白を含むフェアデッキであれば、《翻弄する魔道士》《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》などのヘイトベアーに加え、『エルドレインの王権』に収録された軽量パーマネントの対策である《耳の痛い静寂》を妨害手段に選ぶことができます

さらに、白と緑は《死の国からの脱出》を除去する手段として《解呪》《自然への回帰》があり、黒緑には打ち消されない点で一層強力な《突然の衰微》があります。これらの2マナのエンチャント除去は追加の妨害手段として有効ですが、《沈黙》系の呪文で無力化されてしまい、《突然の衰微》の場合は《夏の帳》でも防がれてしまいます。

難題の予見者虚空の杯大いなる創造者、カーン

ストンピィデッキであれば多彩なブリーチコンボ対策を用意できます。特にエルドラージアグロは早期の《難題の予見者》で妨害と攻めを同時に達成できますし、《虚空の杯》《三なる宝球》などのアーティファクトで対抗できるのです。また、《大いなる創造者、カーン》の[-2]能力で実質1ゲーム目から墓地対策できるのも魅力でしょう。

このように、さまざまな角度からブリーチコンボを対策できます。ですが、対策を多様化したからといって、ブリーチコンボがそれを乗り越えられないだろうと思ってはなりません。このコンボは必要とするパーツの枚数もマナも少ないうえに、墓地が肥えた状態で《死の国からの脱出》が通れば往々にしてゲームが決まってしまいます。フェアデッキが用いる妨害手段や、リアニメイトやスニーク・ショーといったほかのコンボデッキの存在がブリーチコンボを健全な存在にするのかは見守る必要があるでしょう。

もう1枚の「脱出」呪文

自然の怒りのタイタン、ウーロ

『テーロス還魂記』にはレガシーに大きなインパクトを与えているカードがもう1枚あります《自然の怒りのタイタン、ウーロ》です。《死の国からの脱出》のように全く新しい環境トップのデッキを生み出すほどではありませんが、既存の強力なアーキタイプのメインデッキに居場所を見つけています。4色氷雪コントロールStryfo作のデッキなどで採用されていますが、特に注目を集めているのは2月16日のレガシーチャレンジを優勝したスゥルタイ・ゼニスでしょう。

コンボ相手にはインパクトの小さいカードになってしまいますが、フェア相手には極めて強力な存在になります。実質的な打ち消し耐性があり、《剣を鍬に》に追放されたとしても有利な交換ができ、さらには《真の名の宿敵》などのフェアデッキの切り札を圧倒することができるのです。

壌土からの生命モックス・ダイアモンド

先ほど例示したようなアドバンテージを重視したデッキ、特に《緑の太陽の頂点》を搭載したデッキで1枚挿しして有効なカードですが、《壌土からの生命》《モックス・ダイアモンド》を使った《自然の怒りのタイタン、ウーロ》特化型が数を増やす日も遠くないと考えています。

実際、(Magic OnlineではWhiteFacesとして知られる)カラム・スミス/Callum Smithそのようなデッキを開発していました。《溜め込み屋のアウフ》などのパーマネント形式の対策、4枚挿しの《突然の衰微》《意志の力》4枚+《否定の力》1~2枚の打ち消し一式に加え、《モックス・ダイアモンド》から高速展開される《虚空の杯》があるため、こういった構成のスゥルタイ・ゼニスはブリーチコンボと十分に渡り合えるツールが揃っていると思われます。

「脱出」勢力にスニーク・ショーで立ち向かう

新環境におけるスニーク・ショーの立ち位置についてですが、再びその調整に奔走している段階です。以前はブリーチコンボとデルバーミラーで勝つために主に青赤デルバーを使用していましたが、アドバンテージを重視する《自然の怒りのタイタン、ウーロ》搭載のスゥルタイデッキが登場したため、デルバーデッキから距離を置き、今はスニーク・ショーに立ち返っています。

スニーク・ショーはこのスゥルタイカラーのデッキが抱えている《突然の衰微》などの多くのカードを腐らせるだけでなく、《意志の力》《否定の力》といったピッチスペルの1~2枚を乗り越えてコンボを決めることも少なくありません。さらに、スゥルタイのサイドボードにはブリーチコンボを対策する《虚空の力線》《減衰球》が豊富に採用されており、スニーク・ショーはこれらの対策がほとんど効かないのです。

ブリーチコンボとの相性も良いと考えています。高速コンボプランがあるだけでなく、打ち消しや墓地対策にもアクセスできるからです。《呪文貫き》を4枚盛り込んだ典型的な青赤の構成も良い選択ですが、当初は風変わりなティムールカラーで好成績を収めていました。《夏の帳》4枚をメインデッキに入れ、試験的にサイドボードに《戦慄衆の秘儀術師》を4枚採用したものです。

戦慄衆の秘儀術師稲妻

デルバーとの相性は相変わらず問題ですが、《戦慄衆の秘儀術師》4枚と《稲妻》4枚を使った新たなサイドボードプランがかなり上手く機能しています。ティムールカラーの構成、特にサイドボードはまだ調整する必要があります。

ほかに検討しているサイドボードの候補は、《花の絨毯》(デルバー相手にはマナを伸ばすことが重要であるため。採用する場合は《戦慄衆の秘儀術師》《稲妻》の4枚目をそれぞれ抜いて、2枚採用することになるでしょう)、《王冠泥棒、オーコ》、そして《仕組まれた爆薬》です(《水蓮の花びら》を用いる3色デッキの場合、《仕組まれた爆薬》は3~4マナ域まで除去できるようになるため非常に価値が高まります)。

墓掘りの檻

もうひとつの可能性ですが、ブリーチコンボ対策としては《虚空の力線》よりも《墓掘りの檻》の方が優れているかもしれません。キャントリップや《グリセルブランド》のドロー効果で引き込んだときに唱えられるメリットがあるからです。

《虚空の力線》にしかない大きな魅力は、打ち消されないこと、それから相手が解答を探している過程で墓地を肥やさせないことにあります。《戦慄衆の秘儀術師》《墓掘りの檻》はアンチシナジーですが、同時に投入するものではないので問題になりません。

呪文貫き夏の帳

青赤の《呪文貫き》構成とティムールの《夏の帳》構成を比較した場合、前者の強みは(マナベースが安定している点は当然として)主に《虚空の杯》/《大いなる創造者、カーン》デッキとの戦いに表れます。これらの相手には《夏の帳》は完全に腐ってしまいますが、《呪文貫き》はゲームに大きなインパクトを与える存在になり得るのです(特にこちらが先手で《虚空の杯》によって1マナ域が無力化されていないとき)。

さらにブリーチコンボとの戦いでも《呪文貫き》の方が強力である可能性があります《呪文貫き》《死の国からの脱出》を打ち消すことができますが、《夏の帳》は打ち消し合戦で自身の《意志の力》を守ることにしか使えません。主に手札破壊でコンボを通す型が返り咲くようであれば、間違いなく《夏の帳》に切り替えた方が良いでしょうが、今のところはそうする必要はなさそうです《夏の帳》《呪文貫き》は得意とするマッチアップや状況が異なりますから、未知のメタゲームで戦うのであれば2枚ずつ採用するのも良いかもしれませんね。

スニーク・ショーのいくつかの枠にイノベーションの余地があるのは確かです。引き続き多様な構成を試し、十分に試されていないカードに手を出してみようと思っています。

レガシーの行く末

私の意見をまとめておきますと、グランプリの予定がないとしても、レガシーの未来には大いに期待しています。地域やデジタルの競技シーンはそのコミュニティによって支えられていくでしょうし、近年のパワフルな新セットの発売により環境の変化から目が離せない状況です《死の国からの脱出》がレガシーに不相応な強さを持っているのか、あるいは数ある妨害手段がそれを抑え込むに足るものなのか。その答えも未来を待つことにしましょう。

お付き合いいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう!

ヨナタン・アンゲレスク (Twitter)

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Jonathan Anghelescu マジックオンラインでJPA93として知られているヨナタン・アンゲレス。スニークショーの名手で、数多のレガシープレイヤーが彼に注目している。MOCS 2015で準優勝、グランプリ・サンタクララ2018でトップ4という成績を収めているレガシーマスターだ。 Jonathan Anghelescuの記事はこちら