令和のレガシーを吹きとばせ!ジャイルーダ編

鈴池 史康

(編集者注:この記事は《深海の破滅、ジャイルーダ》がMagic Online上で禁止中に書かれたものであり、現在は禁止解除となっています。)

まえがき

こんにちは!第16期レガシー神に就任したMOパンダことHareruya Hopesの鈴池 史康です。今回は『イコリア:巨獣の棲処』発売直後にもかかわらず「相棒」によりレガシー環境が歪んでしまったことを受けて、記事を書きました。先日のインタビューと合わせてご覧ください。

それではよろしくお願いします。

崩壊の日:2020年4月17日

『イコリア:巨獣の棲処』の発売直後、「相棒」の追加によって慣れ親しんだレガシーは壊れてしまいました。誇張でもなく、本当にまったく違う世界へと変容してしまったのです。具体例は以下の2つです。

夢の巣のルールス黎明起こし、ザーダ

これだけでも「相棒」というシステムの圧倒的なパワーを感じましたが、この後デーモンが襲来するとは思ってもいませんでした。まさか、1ターンキルが多発してしまうとは。デッキ構築を始めたきっかけはこの方のツイートを目にしたからでした。

1、2ターン目に複数のデーモンを並べることが可能なのか実際に検証すべく、私はアマゾンの奥地(Magic Online)へと向かいました。

デッキ解説

デッキリスト

これは初期にツイッターへアップしたデッキリストです。通常コンボデッキは相手の干渉手段に弱いものですが、《深海の破滅、ジャイルーダ》デッキは耐性があります。「相棒」のおかげで《深海の破滅、ジャイルーダ》は手札から捨てさせられず、黒を基調としたデッキに対してゲームを有利に進められます。

また、《魂の洞窟》により《意志の力》に代表される打ち消しを無視してコンボをスタートできるのです。手札破壊にも打ち消しにも強い、これこそが《深海の破滅、ジャイルーダ》デッキが今までのコンボデッキと一線を画すポイントなのです!

基本的な動き

ライオンの瞳のダイアモンド深海の破滅、ジャイルーダ灯の分身ダクの複製

《ライオンの瞳のダイアモンド》《厳かなモノリス》などでマナ加速して高速で《深海の破滅、ジャイルーダ》をキャスト、《灯の分身》などで延々と《深海の破滅、ジャイルーダ》をコピーします。ある程度クリーチャーが並んだところで《龍王コラガン》がめくれれば速攻を付与して勝ちます

「そんな都合よくいくの?」と思うかもしれませんが、《深海の破滅、ジャイルーダ》をキャストして誘発型能力まで解決したゲームで、負けたことはほぼありません

クリーチャー選択

続いてクリーチャー選択を見ていきましょう。大半がコピー要員と侮るなかれ、その中でも優劣が存在します。

《灯の分身》

灯の分身

最初に《深海の破滅、ジャイルーダ》で場に出したい《クローン》系クリーチャーです。伝説を失い、+1/+1カウンターが置かれるため7/7と一回り大きな《深海の破滅、ジャイルーダ》となります。一度《灯の分身》が場に出れば、後続もこれをコピーすることで伝説を失うため、複数の《深海の破滅、ジャイルーダ》をコントロールできます

《ダクの複製》

ダクの複製

2番目に早く《深海の破滅、ジャイルーダ》のコピーとしておきたいクリーチャーです。他の《クローン》系クリーチャーと違い、速攻を付与できるのです。速攻を付与しても伝説であるため複数並ばず意味がないと思われがちですが、先ほど紹介した《灯の分身》と相互作用があるのです。

補足すると(1)と(2)の順序が逆でも大丈夫です。

《騙り者、逆嶋》

騙り者、逆嶋

コピーしてもカード名が変更されないため《深海の破滅、ジャイルーダ》と共存でき、数少ない能力を持ったまま伝説クリーチャーのコピーとなれるカードです。ただし、《灯の分身》と違い《深海の破滅、ジャイルーダ》《深海の破滅、ジャイルーダ》(元《騙り者、逆嶋》)と戦場にいる場合には、どちらのコピーになっても同じ名前の伝説クリーチャーが並んでしまうため注意が必要です。

また、起動型能力を忘れてはいけません《深海の破滅、ジャイルーダ》の捲れが悪くコンボが不発に終わったとしても、一度手札に戻し再度コピーすることでリスタートが可能です。この時《騙り者、逆嶋》のコピーとなった《幻影の像》《ファイレクシアの変形者》がいれば、マナコストが軽いため再キャストしやすくなるでしょう。

《ファイレクシアの変形者》

ファイレクシアの変形者

無色マナしかなくてもキャストできる便利なクリーチャー。クリーチャーだけではなくアーティファクトにもなれるため、《厳かなモノリス》のコピーになりマナ加速することもできます。忘れがちですが、《金属モックス》に「刻印」できない点は要注意ですね。

《幻影の像》

幻影の像

マナコストが最も軽い《クローン》になります。コンボがストップした時に同じターン中に手札からキャストしやすく、復旧の要です。伝説ルールでは優先して墓地におきます。誤って《修復の天使》で対象に取らないように注意しましょう。

《修復の天使》

修復の天使

「明滅」効果により、実質《クローン》系と同じ役割を持っているクリーチャーです。違いは《灯の分身》がいない場合でも場に出たときの効果を誘発させつつ、頭数を増やせる点です。同様の効果の《たなびき織りの天使》《守護フェリダー》もいますが、ギリギリ手札からキャストでき、飛行クリーチャーをブロックできるため《修復の天使》に軍配が上がります。

《龍王コラガン》

龍王コラガン

マナコストが偶数の速攻付与役です。飛行がたまに活躍しますが、打点だけを考えるのであれば《大渦の放浪者》がいいでしょう。《深海の破滅、ジャイルーダ》《灯の分身》《大渦の放浪者》で20点作れます。

キープ基準

端的にいってしまえば、青マナ2つを含む6マナが捻出できるかだけです。それだけです!簡単です!!

ですが闇雲に1ターン目に《深海の破滅、ジャイルーダ》を唱えればいいわけではありません。

古えの墳墓魂の洞窟厳かなモノリスライオンの瞳のダイアモンド

このような手札の場合、1ターン目に《深海の破滅、ジャイルーダ》をキャストすることもできますが、《魂の洞窟》を使いカウンターをケアして2ターン目に仕掛けます

ライオンの瞳のダイアモンドライオンの瞳のダイアモンド

6マナさえ捻出できればいいので、おおげさにいえば《ライオンの瞳のダイアモンド》2枚でもキープできます。5回マリガンしても1ターン目にコンボ始動できる…このデッキ!強い!本当に強いんだ!

攻略方法

現在完璧な攻略方法は存在しませんが、苦手とするカードはいくつかあります。

意志の力解呪不毛の大地

《深海の破滅、ジャイルーダ》を高速キャストさせないように《ライオンの瞳のダイアモンド》《厳かなモノリス》を打ち消しましょう。通してしまいますと《魂の洞窟》で負けてしまう可能性があるためです。《解呪》などで破壊するのも有効です。

《古えの墳墓》などの2マナ出る土地を《不毛の大地》で破壊することも効果的です。とにかく6マナにたどり着かせないようにしましょう。

剣を鍬に墓掘りの檻精神壊しの罠

コンボの都合上、解決時にコピー先がいないと何も起きないため、インスタント除去にも弱いです。《剣を鍬に》《紅蓮破》《赤霊破》で除去することができます。

墓地から戻ってくるため《墓掘りの檻》も有効です。《深海の破滅、ジャイルーダ》への対処手段が模索されている中では、一番に思えます。序盤にコンボを始動する場合は《精神壊しの罠》で対処することができます。《魂の洞窟》を無視できる打ち消しであり、大いに減速させられます。

サイドボード候補

刻一刻とメタゲームも変化しているため、試したカードを紹介します。

《予期の力線》

予期の力線

何でもインスタントタイミングで動けるようになる魔法のカード。《虚空の杯》《墓掘りの檻》《カラカス》などのパーマネントが苦手ですが、これらのカードが場に出るのは相手のメインフェイズのみ。ならばその前に動けばいいじゃんと思い見つけたのがこのカード。実はヴィンテージのブルーベルチャーの応用なのです。

《防御の光網》《虚空の杯》

防御の光網 虚空の杯

《防御の光網》は打ち消しとインスタント除去対策です。手札破壊には強いデッキであるため、《防御の光網》プレイしつつ早めに仕掛けられるのが理想です。

対して《虚空の杯》《剣を鍬に》《紅蓮破》《もみ消し》といった軽いインスタントスペルを狙った対策カードです。

《応じ返し》《殺戮の契約》

応じ返し殺戮の契約

《応じ返し》はミラーマッチ用です。ミラーマッチは先に《深海の破滅、ジャイルーダ》着地させたほうが圧倒的に有利なため、先手1ターン目の相手に対抗できる手段が必要となります。サイドボーディングでは《深海の破滅、ジャイルーダ》と入れ替えますね。《深海の破滅、ジャイルーダ》の誘発型能力にスタックして同クリーチャーをバウンス、コピー先を消失させるゲーム展開を予想しています。

《殺戮の契約》は厄介な《封じ込める僧侶》《溜め込み屋のアウフ》を除去するためのカードです。この2種類のヘイトベアーは致命的なので、《応じ返し》かこちらのどちらかが必要です。

《活性の力》

活性の力

《墓掘りの檻》《罠の橋》を破壊できますが、問題となるのは代替コスト。こちらもご心配なく。メインの《クローン》枠を《前駆ミミック》《もう一人の自分》に変更することで緑のカードを採用できます。

《生命の力線》

生命の力線

追加の《魂の洞窟》でありながら、《活性の力》のコストにもなります。

あとがき

いかがだったでしょうか。爆発力は魅力なれど攻略方法は思ったより多く、簡単にメタることもできるため今後どうなるかわかりません。動きが派手なこともあり《深海の破滅、ジャイルーダ》デッキは話題になりましたが、実は《黎明起こし、ザーダ》サルベイジャーのほうがインスタント除去を無視でき無限マナをだせるため、問題視されていると思います。

また、《夢の巣のルールス》はレガシー以外の環境でも活躍していますので、総じて「相棒」が強すぎるようですね。リリースからわずか数日しか経っておりませんが、今後どうなるか楽しみです。《深海の破滅、ジャイルーダ》よ、MOにはよ帰ってこい!

『イコリア:巨獣の棲処』環境のレガシーはまだ始まったばかり。どんなデッキがあるのかわからない方は、ぜひ、僕の放送に遊びに来てください!

鈴池 史康 (Twitter / Twitch)

この記事内で掲載されたカード

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鈴池 史康 Hareruya Hopes所属。レガシーを主戦場とするプレイヤーだが、ありとあらゆる構築フォーマットに精通しており、『ドミナリア』環境名人戦では優勝、神挑戦者決定戦では4種類の構築フォーマットで6度のトップ8進出を果たしている。他にもグランプリトップ8が2回、プロツアー参加が複数回と精力的に活動しているプレイヤーで、ここ最近は配信にも力を入れている。 鈴池 史康の記事はこちら