Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/5/27)
(編注:この記事は5/27の発表前に執筆されたものです。)
はじめに
Guess who’s back, back again.(誰が帰ってきたと思う?)
Jund’s back, tell a friend.(ジャンドが帰ってきたぞ。みんなに伝えておきな。)
世界中のMTGプレイヤーのみなさん、こんにちは。みなさんはスタンダードの現状に疲れていますか?どこもかしこも《空を放浪するもの、ヨーリオン》ばかりでうんざり?ジェスカイルーカに何度も打ちのめされて、いっそ同じデッキを使ってやろうなんて思っていませんか?赤単オボシュもみなさんのプレイスタイルに馴染まなかった?
わかりました、そんなあなたにお届けしたいデッキが今日はあります。今のメタゲームで立ち位置がとてもよく、しかもデッキパワーが高くて、楽しいデッキです。
そのデッキとは……ジャンドサクリファイスです!そう、あのデッキが帰ってきました。ずいぶんと前に環境を席捲していたデッキですが、今こそ復活する絶好の時かもしれません。
まずはその可能性を切り拓いた市川ユウキ(@serra2020)の功績を称えねばなりません。彼こそがジャンドサクリファイスを再び表舞台に呼び戻した立役者です。ジャンドサクリファイスを使ってRed Bull Untapped International Qualifier 1の初日を無敗で駆け抜け、惜しくも敗北した準決勝でも大接戦を繰り広げました。私は彼の試合をいくつか観戦し、同じデッキリストを使ってみようという気持ちがわき上がりました。
デッキリスト
前置きはこれぐらいにして。彼が同大会で使用したデッキリストをご紹介しましょう。
この大会の前週、私は彼の構成とは大きく異なるジャンドサクリファイスを使っていました。ランクマッチで一定の成果は出せていたものの、その好成績とは裏腹に、そのデッキはどこか未完成さがあり、安定性に欠いている印象でした。私はそのデッキに捻出する調整時間がなかったため、その船から下りることにしました。
私が使っていたデッキリストもご紹介しておきましょう。
2 《森》
1 《山》
4 《血の墓所》
4 《草むした墓》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《寓話の小道》
2 《ロークスワイン城》
1 《疾病の神殿》
1 《悪意の神殿》
-土地 (25)- 4 《大釜の使い魔》
4 《金のガチョウ》
4 《囁く兵団》
4 《波乱の悪魔》
4 《悲哀の徘徊者》
1 《運命の神、クローティス》
2 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》
-クリーチャー (23)-
こうして比べてみると、ユウキの構成のほうがはるかによいと思います。彼は従来のジャンドが持つロングゲームの強さを残しながら、メタゲームに合わせた調整をしつつ、強力なフィニッシャーを据えることに成功しています。いくつか特徴的なカード選択がありますが、一度このデッキを回せば、それらが織りなす細かなシナジーに気づき、そのカード採択に納得がいくはずです。
旧ジャンドサクリファイスからの変更点
では、ジャンドサクリファイスに入った新入りたちをチェックしてみましょう。
《忘れられた神々の僧侶》
以前のジャンドサクリファイスでは使われていませんでしたが、今の構成ならば理にかなった選択です。《初子さらい》と相性が非常によく、2体分のクリーチャーを並べて能力を起動しやすくしてくれる《悲哀の徘徊者》という相棒がいます。しかし何と言っても、そのマナ加速能力で4ターン目に《ボーラスの城塞》を設置できること。これが彼女の最大の魅力です!
《初子さらい》
このデッキで《初子さらい》が使用に値するものになっているのは、奪ったクリーチャーを生け贄に捧げられるカード(サクリ台)が3種揃っているからです(《魔女のかまど》《悲哀の徘徊者》《忘れられた神々の僧侶》)。
たった1マナで相手のクリーチャーを奪い、攻撃させ、除去したうえで、食物トークンを出したり、占術したり、《忘れられた神々の僧侶》の能力を起動したりできるのですから、いかに強力かおわかりいただけるでしょう。あらゆるマッチアップで活躍するとは言えないものの、手札にあって喜ばしいことが多いカードです。
《悲哀の徘徊者》
名脇役です。デッキ内のほぼすべてのカードとシナジーがあります。
《ボーラスの城塞》
最初にこのデッキリストを見たとき、《ボーラスの城塞》には少しばかり懐疑的でした。ですが、実際に使ってみて、その印象はガラリと変わりました。ただただ強かったです。ほかのカードならば勝てないような状況でも勝利につなげてくれます。
《ボーラスの城塞》の理想の使い方は、盤面に《波乱の悪魔》を含む土地でないパーマネントを10枚並べ、20点ダメージを与えることです(《ボーラスの城塞》の10点 + 《波乱の悪魔》の10点)。思う以上にこの動きを達成しやすいことは私が保証します。《ボーラスの城塞》が戦場に出て、《悲哀の徘徊者》《寓話の小道》《パンくずの道標》といったライブラリーを操作できるカードも並べば、ライブラリートップに土地が連続して呪文の連鎖がとまる展開を避けやすくなります。
初めて使う方へ
このデッキは簡単なデッキではないかもしれませんが、少し練習してカード間の作用を熟知すれば使いこなせるようになります。まだ一度もこのデッキを使ったことがないという方のために、知っておくと役立つかもしれない知識をご紹介しておきましょう。
サイドボードガイド
いつもお伝えしていますが、私はサイドボードガイドというものが好きではありません。デッキを使う駆け出しのときだけ参照されるべきものであって、サイドボードとは流動的なものだと思うからです。何よりも大切なのは、各マッチアップでの自分の役割を知り、そのうえで自分がしっくりとくる構成に調整することです。
ジェスカイルーカ
対 ジェスカイルーカ
赤単オボシュ
対 赤単オボシュ
ボロスサイクリング
対 ボロスサイクリング
バントヨーリオン
対 バントヨーリオン
ティムール再生
対 ティムール再生
ラクドスサクリファイス
対 ラクドスサクリファイス
おわりに
この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。何らかのフィードバックをしてくださるとさらに私は喜びます。恥ずかしがらずにみなさんのご意見を教えてくださいね。
今回も読んでいただきありがとうございました。