USA Legacy Express vol.166 -アンフェアな世界-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

5月18日に禁止制限告知があり、大方の予想通り《夢の巣のルールス》は手に負えないことが証明され、禁止カードとなりました。《夢の巣のルールス》ほど目立った印象はなかったものの、《黎明起こし、ザーダ》も環境の健全性を脅かすことが懸念され、同じ道をたどることに。今回の禁止改訂はレガシーの歴史上最速で、「相棒」というメカニズムがいかに強かったかを物語っています。

そして6月1日の禁止制限告知では「相棒」のルールそのものについても変更が加えられました。これまで通り手軽に使えなくなったので、今後は「相棒」を採用したデッキばかりが環境を支配することも減りそうです。

今回の連載では、禁止改定が各デッキや戦略にどのような影響を与えるのかを見ていきたいと思います。

Legacy Challenge #12162938
高速コンボが優勝

2020年5月31日

  • 1位 Reanimator
  • 2位 Temur Delver
  • 3位 Worldgorger
  • 4位 ANT
  • 5位 Dredge
  • 6位 Reanimator
  • 7位 TES
  • 8位 Snow Control

トップ8のデッキリストはこちら

《夢の巣のルールス》の退場により、軽いクロックと妨害要素が売りのDelver系は弱体化したことになります。有力な青ベースのフェアデッキはSnow Controlであるため、コンボデッキにとっては有利な環境となりました。

「相棒」のルール変更によってTurbo Gyrudaは大きく弱体化しため、今後は好成績を残しているストーム系がコンボの中心となりそうです。

Legacy Challenge #12162938

「ANT」「Snow Control」

ANT

《アーカムの天測儀》が無事に残ったためSnow Controlが環境を代表する青いデッキになることが予想されます。《夢の巣のルールス》こそ失いましたが、Delver系は《王冠泥棒、オーコ》を採用できるTemurカラーを中心に環境に残ると思われます。そのため《夏の帳》が採用でき、カウンターに対して耐性のあるストーム系が新環境最高のコンボデッキとなりそうです。

最近は《永劫のこだま》《願い爪のタリスマン》を採用したバージョンなどバリエーションも豊富なストーム系のコンボですが、従来型のANTも安定した成績を残し続けています。

☆注目ポイント

夏の帳

Snow ControlやTemur Delverなどの青いフェアデッキ対策として《夏の帳》がメインから採用されています。コントロールデッキがもつ妨害手段の多くを無効化しつつ、コンボ同型でもハンデス対策になります。サイドボードにも追加の2枚が採用されているなど、対策が徹底しています。

突然の衰微蒸気の連鎖残響する真実

各種ハンデスや《夏の帳》によってカウンターなどの妨害スペルは無効化されるため、Snow Controlのサイドボードには《翻弄する魔道士》といったパーマネントベースの対策カードが見られるようになりました。Death and Taxesのヘイトベアーたちや《虚空の杯》も対策する必要があるため、《突然の衰微》《蒸気の連鎖》《残響する真実》といったパーマネントに触れるスペルをサイドボードに採用しています。

孤児護り、カヒーラ

「相棒」として採用されている《孤児護り、カヒーラ》は除去が減らされるサイド後の追加の勝ち手段になりますが、ルール変更により唱えるまでにかかるコストが増えているため、今後も活躍できるかは未知数です。

Snow Control

《アーカムの天測儀》と氷雪ランドによる強固なマナ基盤が特徴の多色コントロール。

『イコリア:巨獣の棲処』リリース前は環境のトップメタだったこともあり、《夢の巣のルールス》《黎明起こし、ザーダ》の退場と「相棒」ルールの変更後は近いメタゲームが予想されるため、新環境では勝ち組の1つとなりそうです。

☆注目ポイント

自然の怒りのタイタン、ウーロ森の知恵

ライフを回復しつつ土地を伸ばせる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》はDelver系にとって非常に厄介な存在であり、墓地に落ちても「脱出」コストさえ支払えば使い回せるため、現環境のコントロールデッキの主たるアドバンテージエンジンとなっています。今回のリストには採用されていませんが《森の知恵》との組み合わせも強力であり、今後は同型の増加が予想されることからも採用を推奨します。

氷牙のコアトル空を放浪するもの、ヨーリオン悪意の大梟

《空を放浪するもの、ヨーリオン》を最大限に活かすために構築されており、《氷牙のコアトル》に加えて《悪意の大梟》など場に出たときの効果をもつパーマネントが多数採用されています。ルール変更によってキャストまでのコストが増加したため、以前よりも《空を放浪するもの、ヨーリオン》のための下準備が難しくなりました。しかし5ターン目ではなくリソースの交換によって盤面が安定した際の決定打として役割が多かったため、新環境でも見かけることになりそうです。

翻弄する魔道士

Delver系と異なりクロックが遅いためコンボデッキ相手には苦戦を強いられます。ANTやShow and Tell系など多くのコンボデッキが《夏の帳》を採用している現状では、《翻弄する魔道士》などカウンターやハンデス以外の妨害手段も欲しいところです。

Lotus Box Legacy 1.5K
《深海の破滅、ジャイルーダ》強し

2020年5月31日

  • 1位 Turbo Gyruda
  • 2位 Turbo Gyruda
  • 3位 Death and Taxes
  • 4位 Temur Delver
  • 5位 Snow Control
  • 6位 Hogaak
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Humans

トップ8のデッキリストはこちら

SCG Tourで活躍している強豪プレイヤーをスポンサーするTeam Lotus Boxが主催したLotus Box 1.5K。マジックオンライン上で開催された今大会は賞金総額1500ドルと豪華だったこともあって、200名以上のプレイヤーが参加しました。

《夢の巣のルールス》《黎明起こし、ザーダ》という強力な「相棒」が禁止になるなか、環境に残ることを許された《深海の破滅、ジャイルーダ》が猛威を振るいました。5月の禁止改訂直後に開催されたSuper Qualifierでも優勝、今大会でもワンツーフィニッシュを決めるなど圧倒的な強さでレガシーの環境を牽引するコンボデッキとなりました。しかし、「相棒」ルールの変更により弱体化が確定しており、最高のコンボという名も束の間となりそうです。

Lotus Box Legacy 1.5K

「Esper Vial」「Temur Delver」

Esper Vial

プレイオフこそ逃したものの、今大会をトップ16と好成績で終えたEsper Vial。最近はChallengeなど多くの大会で好成績を残しています。

《霊気の薬瓶》を使ったデッキといえばDeath and Taxesが真っ先に思い浮かびますが、Esper Vialは場に出たときの効果を持つクリーチャーと《魂寄せ》を組み合わせてアドバンテージを取ることが重視されており、《護衛募集員》によるシルバーバレット戦略も採用されています。

《渦まく知識》《意志の力》《剣を鍬に》といった優秀なスペルも採用でき、《時を解す者、テフェリー》によってプレインズウォーカー以外のパーマネントも対策できるため、青白ミッドレンジとしても振舞うことができます。

☆注目ポイント

翻弄する魔道士意志の力悪意の大梟

Death and Taxesと異なり《渦まく知識》《意志の力》など非クリーチャースペルも多用するため、ヘイトベアーには《スレイベンの守護者、サリア》ではなく《翻弄する魔道士》が採用されています。《霊気の薬瓶》から出てくる《悪意の大梟》はDelverなどアグロデッキにとって非常に厄介となります。どちらのカードも《意志の力》のコストになるため、このデッキを使う際は必ず採用しておきたいクリーチャーです。

造物の学者、ヴェンセール魂寄せ護衛募集員

《魂寄せ》はこのデッキのキーカードであり、《悪意の大梟》《翻弄する魔道士》を「明滅」させることでドローをすすめたりカード名の再指定ができるようになっています。《宮殿の看守》《造物の学者、ヴェンセール》は「明滅」させることでさらにアドバンテージを稼ぐことができます。

デッキ内のクリーチャーすべてがタフネス2以下でまとめられているため、《護衛募集員》は万能のサーチカードとなっています。《平和の番人》《疫病を仕組むもの》といった特定の戦略に局所的に刺さるクリーチャーがメインから採用されているのもそのためです。

否定の力金粉のドレイク

サイドにはコンボ対策として追加のカウンターの《否定の力》が採用されています。高速コンボやコントロールとのマッチアップ用にカウンターを準備できるところがEsper Vialのメリットであり、これはDeath and Taxesにはない強みです。《金粉のドレイク》はReanimatorなどの相手のファッティを奪います。相手と交換した《金粉のドレイク》《時を解す者、テフェリー》《造物の学者、ヴェンセール》でバウンスすることで、交換ではなく相手のクリーチャーを一方的に奪いとることができます。

Temur Delver

《夢の巣のルールス》を失ったことで今までのように《ミシュラのガラクタ》を使い回してアドバンテージを稼ぐ戦い方ができなくなりました。『イコリア:巨獣の棲処』以前のように《王冠泥棒、オーコ》が使えるTemur Delverが主流となりそうです。

新環境は多色のSnow Controlが主流となることが予想されるため、Delver系にとっては厳しい印象です。しかし「相棒」のルール変更により《空を放浪するもの、ヨーリオン》自体が弱体化しているため、コントロールに強いコンボデッキが増える可能性があり、そうなればDelver系にも十分チャンスがありそうです。

☆注目ポイント

タルモゴイフわめき騒ぐマンドリル

Snow Controlなど青いデッキの増加を想定していたようで《紅蓮破》がメインから採用されています。メインは比較的オーソドックスですが、クリーチャー枠はカードアドバンテージの《戦慄衆の秘儀術師》よりも《タルモゴイフ》《わめき騒ぐマンドリル》といったサイズで勝るクリーチャーが優先されています。

溜め込み屋のアウフ無のロッド

毎ターン使い回される《ミシュラのガラクタ》《厳かなモノリス》の無限マナに悩まされることはなくなりましたが、コンボの初動である《水蓮の花びら》《ライオンの瞳のダイアモンド》を止めることができるので、《溜め込み屋のアウフ》《無のロッド》は引き続きサイドボードに採用されることになりそうです。

《溜め込み屋のアウフ》はクリーチャーなので除去されやすくなりますが、クロックでもあるため《アーカムの天測儀》を使うSnow Controlとのマッチアップでもサイドインされます。

運命の神、クローティス冬の宝珠

『テーロス還魂記』から登場した《運命の神、クローティス》は最近のTemur Delverのサイドボードでよく見られるようになりました。《運命の神、クローティス》は墓地のフェッチランドを追放することでマナが得られるだけではなく、Snow Controlとのマッチアップでは墓地に落ちた《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放できるため、非常に重要な役割を果たします。

Snow Controlは多くのマナを必要とするデッキなのでマナを縛る《冬の宝珠》も刺さります。新環境でこのデッキをプレイする際は必ずサイドに採用しておきたいところです。

総括

《夢の巣のルールス》の退場と「相棒」ルールの変更によって環境が激変したレガシー。禁止改定後の新環境では《アーカムの天測儀》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が使えるSnow Controlとそれに強いコンボが人気が出そうです。

そのため《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》など強力なカードを多数搭載したSnow Controlに対応していくことが課題となりますが、コンボの多くに有利なDelver系もTemurカラーを中心に生き残ることが予想されます。6月4日以降どのような環境になるのか楽しみですね。

以上USA Legacy Express Vol.166でした。それでは次回の連載でまた会いましょう楽しいレガシーライフを!

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら