はじめに
みなさんこんにちは。
先日の禁止改定で「相棒」のルールそのものについても変更が加えられました。これまでのように手軽にプレイできなくなってしまい、環境が大きく変わりそうです。
今回の連載では先週末に開催されたModern Challengeの入賞デッキを見ながら、禁止改定が環境にどのような影響を与えたのかを解析していきたいと思います。
Modern Showcase Challenge #12165548
60枚Snow Controlの復権
2020年6月6日
- 1位 Bant Snow Control
- 2位 UR Storm
- 3位 Urza
- 4位 Bant Snowblade
- 5位 Neoform
- 6位 RG Midrange
- 7位 Dredge
- 8位 Bant Soulherder
トップ8のデッキリストはこちら
先週末に開催されたModern Challengeは「相棒」のルール変更直後に開催された大規模なオンライン大会になります。これまで上位を独占していたScapeshiftやBant Control、Mono Red Prowessなど「相棒」を中心に構築されたデッキは姿を消し、伝統的な60枚Bant Snow ControlやUrzaが復権してきました。
Ponzaから派生したRG Midrangeも結果を残しています。多色デッキやTronとのマッチアップで強さを発揮する《月の大魔術師》や、レガシーでも使われている《運命の神、クローティス》など強力カードを多数採用しているため注目です。
Modern Showcase Challenge #12165548
「Bant Snow Control」「RG Midrange」
Bant Snow Control
2 《冠雪の平地》
1 《冠雪の森》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
2 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
4 《廃墟の地》
-土地 (25)- 4 《氷牙のコアトル》
2 《瞬唱の魔道士》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (9)-
2 《マナ漏出》
1 《ドビンの拒否権》
3 《否定の力》
2 《大魔導師の魔除け》
2 《謎めいた命令》
2 《至高の評決》
4 《アーカムの天測儀》
2 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
2 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (26)-
《アーカムの天測儀》のおかげでマナ基盤に負担をかけずに多色化できるため、《血染めの月》に耐性があります。安定したマナベースを基に3色から優秀なカードを集めているためデッキパワーも高く、《謎めいた命令》+《神秘の聖域》のコンボも搭載されているので環境にあるどのデッキよりも長期戦に強い構成です。
「相棒」のルールそのものが変更されたことに伴い、《空を放浪するもの、ヨーリオン》不採用とした60枚のクラシックなものが安定性もあり主流になりそうです。
☆注目ポイント
Snow Controlは『イコリア:巨獣の棲処』リリース前によく見られた構成に近いものです。《王冠泥棒、オーコ》が禁止になったことで当初は青白の2色に戻ることが予想されましたが、『テーロス還魂記』から登場した《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用し3色構成を維持しています。序盤はライフゲインとマナ加速、中盤以降は再利用できるフィニッシャー兼アドバンテージ源として機能するため緑を足す十分な理由となります。
ほかにはキャントリップしつつ優秀なブロッカーである《氷牙のコアトル》や打ち消しとハンデスを多用するマッチアップで活躍する《夏の帳》も健在です。現環境で青いコントロールを使うなら、Bantカラーが安定しそうです。
《夢を引き裂く者、アショク》は墓地対策兼ライブラリーサーチ妨害手段として、Titan shiftのほかに同型、Dredge、Storm、Adgrace、Urza、Neoform、Devoted Davationなど幅広いマッチで使えます。
RG Midrange
1 《冠雪の山》
4 《踏み鳴らされる地》
4 《吹きさらしの荒野》
4 《樹木茂る山麓》
2 《霧深い雨林》
-土地 (21)- 4 《東屋のエルフ》
2 《呪詛呑み》
2 《漁る軟泥》
4 《月の大魔術師》
4 《歴戦の紅蓮術士》
3 《運命の神、クローティス》
2 《砕骨の巨人》
4 《血編み髪のエルフ》
2 《栄光をもたらすもの》
-クリーチャー (27)-
今回紹介するRG Midrangeは土地破壊で相手のプランを妨害するものではなく、マナ加速から《歴戦の紅蓮術士》や《反逆の先導者、チャンドラ》などの脅威を連打するミッドレンジ戦略にシフトしたバージョンです。
《獲物貫き、オボシュ》を中心に構築したバージョンも見られましたが、「相棒」不採用のほうが《血編み髪のエルフ》や《反逆の先導者、チャンドラ》を採用できるなど構築の自由度が高いため、主流のバージョンとなりそうです。
☆注目ポイント
このデッキ一番の強みは2種類のマナ加速である《東屋のエルフ》と《楽園の拡散》から2ターン目に3マナ域の脅威を展開する動きです。特に《月の大魔術師》は多くのデッキにとって致命的なカードとなります。
『テーロス還魂記』から登場した《運命の神、クローティス》は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を始めとして多くのデッキが墓地をリソースとして活用しているため、メインから採用されています。《歴戦の紅蓮術士》は余分なマナソース捨てて手札の質を高めることができるだけでなく、再利用できるクリーチャーでありこのデッキの主力を務めます。
サイドには《略奪》があり、アーティファクト対策とTronやAmulet Titanなど特定の土地に依存したデッキ対策を兼ねています。Snow Controlなど青いフェアデッキが増加傾向にあるため《窒息》は必ず採用したいカードです。
Modern Challenge #12165588
フェアデッキが多数入賞
2020年6月7日
- 1位 Bant Snowblade
- 2位 4C Snow Control
- 3位 Bant Midrange
- 4位 Humans
- 5位 UB Mill
- 6位 Burn
- 7位 UR Moon
- 8位 RG Midrange
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Modern Showcase Challengeと同様に「相棒」を採用したデッキは数を減らし、《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形を組み合わせた多色ミッドレンジが多く入賞しています。定番のBurnやHumans、RG Midrangeなどフェアデッキが中心でした。
Modern Challenge #12165588
「Bant Snow Blade」「Burn」
Bant Snow Blade
1 《冠雪の平地》
1 《冠雪の沼》
1 《冠雪の森》
2 《繁殖池》
1 《神無き祭殿》
1 《神聖なる泉》
1 《湿った墓》
2 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
-土地 (24)- 4 《石鍛冶の神秘家》
3 《氷牙のコアトル》
1 《瞬唱の魔道士》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (11)-
1 《呪文嵌め》
1 《突然の衰微》
1 《剥奪》
1 《マナ漏出》
3 《否定の力》
2 《大魔導師の魔除け》
1 《ケイヤの手管》
2 《謎めいた命令》
4 《アーカムの天測儀》
1 《饗宴と飢餓の剣》
1 《殴打頭蓋》
3 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (25)-
《アーカムの天測儀》と氷雪基本地形を組み合わせることで、3色(またはそれ以上)のマナベースしても負担が軽減されるようになりました。今回は黒をタッチしたことで《致命的な一押し》や《突然の衰微》といった軽い優秀な除去や《ケイヤの手管》を採用できるようになり、デッキパワーが向上しています。
《石鍛冶の神秘家》と装備品のパッケージを採用しているため、Bant Snow同型に強い構成です。Stonebladeは新環境でも有力なアーキタイプになりそうです。
☆注目ポイント
《氷牙のコアトル》は手札の減らないブロッカーであり「瞬速」を活かして相手を牽制することもできますが、このデッキでは装備品を採用しているためアタッカーとしても活躍します。モダンにおいて、《饗宴と飢餓の剣》は最高の装備品の1枚です。プロテクション(緑)と(黒)を持ち、相手の《氷牙のコアトル》を無視できる点も高評価です。
興味深い点としては《流刑への道》よりも《致命的な一押し》が優先されている点です。モダンで脅威となるクリーチャーは1~4マナに多く、同型でも相手に余分な土地を与えてしまう《流刑への道》よりも使いやすくなります。厄介なパーマネントに触れるため、《突然の衰微》がサイドにも取られています。
《ケイヤの手管》はメインから無理なく採用できる墓地対策だけではなく、BurnやMono Red prowessに対しては《機を見た援軍》のように機能するため、コントロールにとっては大変便利なスペルです。サイドボードの《苦花》は装備品と相性が良いだけではなく、マスト除去が増えるためコントロール戦にも強くなります。
Burn
モダンの定番デッキの1つであるBurnも《夢の巣のルールス》の恩恵を受けていたデッキですが、元々「相棒」なしでもアーキタイプとして成立していたため新環境に留まるデッキとなりそうです。
☆注目ポイント
速さが命であるモダンでは「相棒」をキャストするための追加の3マナは非常に重いため、「果敢」クリーチャーを重視したRed Prowessよりも《裂け目の稲妻》や《ボロスの魔除け》などの火力スペルを中心にしたBurnが主流になりそうです。《ミシュラのガラクタ》や《炎の印章》がデッキから抜けたことで自傷ダメージの心配はなくなったので《大歓楽の幻霊》は再び採用されるようになりました。
《コーの火歩き》がサイドに採用されていることからも、赤系アグロを意識しているようです。相手の《コーの火歩き》や高タフネスクリーチャーを除去するために《流刑への道》も採用されています。
このデッキにはいくつかの致命的な置物が存在します。《虚空の杯》や《ドラゴンの爪》対策として《粉々》は必須です。パーマネント処理とダメージを与える効率的なスペルであり、環境にアーテイファクトが多い場合は増量したいカードです。
《神聖の力線》も必ず処理しなければならず、《摩耗/損耗》が採用されています。アーティファクト対策も兼ねる汎用性の高さがこのスペルの魅力です。
総括
「相棒」を使ったデッキは上位から姿を消し、実質禁止のような印象です。手札へ加えるための追加コストは、速さが重要なモダンでは致命的になります。
Burn、Bant Snow Control以外で今後台頭してくるデッキとしてはHumans、Dredge、Death’s Shadow、Tronなどが挙げられます。特に先週末のようにフェアデッキが流行るならTronは有力な選択肢となり得ます。
USA Modern Express Vol.41は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!