先週末の勝ち組は!?
先週早々に禁止制限告知があり、スタンダードを代表する4枚のカードが環境から去りました。
どれもスタンダードを象徴とするカードだっただけに悲しみを禁じえませんが、トーナメントは待ってくれません。オンライン大会が主体となっている今だからこそ、速やかに次の環境へとフォーカスする必要があります。
今回は禁止改定後初の大型大会であるRed Bull Untapped International Qualifier IVとSCG Tour Online Championship Qualifier #2の大会結果を振り返っていきます。
まずは新環境の勝ち組デッキを確認していきましょう!
2 《島》
2 《沼》
4 《寓話の小道》
4 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
4 《湿った墓》
1 《神秘の神殿》
-土地 (28)- 4 《ハイドロイド混成体》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (8)-
3 《思考消去》
2 《霊気の疾風》
2 《苦悶の悔恨》
2 《取り除き》
1 《耕作》
3 《絶滅の契機》
2 《戦争の犠牲》
2 《時の支配者、テフェリー》
4 《世界を揺るがす者、ニッサ》
-呪文 (24)-
先週末の勝ち組は、Red Bull UntappedとSCG Tour Onlineの両大会を制したスゥルタイランプになります。前環境から存在していたデッキですが、苦手としていたティムール再生の退場により頭角を現してきました。《成長のらせん》を失ったのは痛手ですが、禁止後の環境をみるにメリットのほうが大きかったようです。
マナ加速が抜けたことで2マナ域は除去呪文である《無情な行動》《取り除き》《霊気の疾風》と、手札破壊である《思考消去》《苦悶の悔恨》の5種類へと変更されています。序盤からゲームコントロールに徹し、幅広く対応できるようになっています。
新顔の《時の支配者、テフェリー》はドローの質を向上してくれると同時に、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストも稼いでくれます。ダメージソースの少ないコントロール戦では、一度着地すれば奥義まで一直線に進めそうです。
Red Bull Untapped International Qualifier IV
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | kazune kosaka | スゥルタイランプ |
準優勝 | Yohei Nomiya | スゥルタイランプ |
トップ4 | 簗瀬 要 | スゥルタイランプ |
トップ4 | Pablo Noda | スゥルタイランプ |
トップ8 | Eric Ausseil | ティムールフラッシュ |
トップ8 | David Besso | オルゾフヨーリオン |
トップ8 | Nicolas King | スゥルタイランプ |
トップ8 | 高尾 翔太 | イゼットテンポ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者1223名で開催されたRed Bull Untapped IQ IVはスゥルタイランプ祭りとなり、トップ8に5名が入賞しました。ほかにはティムールフラッシュやイゼットテンポといったデッキが入賞していますが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《ハイドロイド混成体》タッグを攻略するのは難しかったようで、純正アグロは皆無となっています。
トップ8デッキリストはこちら。
イゼットテンポ
6 《山》
4 《蒸気孔》
4 《天啓の神殿》
-土地 (20)- 4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《スプライトのドラゴン》
2 《砕骨の巨人》
2 《厚かましい借り手》
4 《嵐翼の精体》
-クリーチャー (16)-
2 《唱え損ね》
2 《溶岩コイル》
2 《否認》
2 《炎の一掃》
2 《覆いを割く者、ナーセット》
1 《無謀な空襲》
1 《王家の跡継ぎ》
-サイドボード (15)-
今大会でトップ8に入賞を果たした高尾 翔太選手のイゼットテンポは、12枚の2マナのダメージソースを呪文でサポートしていく青いアグレッシブなデッキです。フラッシュと違い能動的に動きダメージレースで優位に立ち、そのまま押し切るスタイルとなっています。デッキの構造上土地の必要枚数が少なくキャントリップも多用されているため、最近のデッキでは珍しく20枚と切り詰められています。
主力となるのは《スプライトのドラゴン》、《謎変化》、《嵐翼の精体》の3種類(厳密には《嵐翼の精体》は2ターン目には出ませんが)。いずれも飛行クリーチャーのため除去以外で止まることは少なく、呪文と組み合わせることでパンプアップしたりクリーチャー化し、効率よくダメージを与えます。
《嵐翼の精体》を素早く展開し《スプライトのドラゴン》をサイズアップするために、《選択》や《ショック》など1マナの呪文が優先的に採用されています。一見すると中盤以降は力不足に思えるかもしれませんが、《戦慄衆の秘儀術師》によって再利用できるため、デッキに適した選択といえるでしょう。
クリーチャーとノンクリーチャー呪文のバランスがタイトなデッキですが、「出来事」持ちのクリーチャーを採用することでこの問題を解消しています。《厚かましい借り手》も《砕骨の巨人》もダメージを押し込むこのデッキに適したカードでしょう。
このデッキのオススメ!
直線的なアグロデッキに比べ、パーマネントの展開順によってその後のダメージ効率は大きく変わります。そのため相手のデッキを見極め適切な2マナ域を選びスタートしたいところです。
主力となるクリーチャーは飛行をもつため、ひとたび攻撃が始まれば相手が倒れるまで止まることはありません。飛行クリーチャーによるダメージレースで優位に立ちたい、呪文が多いアグレッシブなデッキを使いたい、《嵐翼の精体》を使いたくてたまらないあなたにオススメ!
また、晴れる屋ではRed Bull Untapped IQ IVでトップ8に入賞したイゼットテンポを販売中!買ってすぐに遊べる仕様となっていますので、ぜひ手に取ってみてください!(商品ページはこちらから)
SCG Tour Online Championship Qualifier #2
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Gabriel Nicholas | スゥルタイランプ |
準優勝 | 村栄 龍司 | ラクドスサクリファイス |
3位 | tangrams/David Inglis | スゥルタイランプ |
4位 | Carson Bell | ラクドスサクリファイス |
5位 | Yosuke Iwata | マルドゥウィノータ |
6位 | Sean Goddard | ティムールアドベンチャー |
7位 | Koutarou Ishibashi | スゥルタイランプ |
8位 | Tyler Nightingale | スゥルタイランプ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者111名で開催されたSCG Tour Online Championship Qualifierもスゥルタイランプがトップ8の半数を占めましたが、ラクドスサクリファイスが2名と健闘しています。《大釜の使い魔》を失ったことで消え去るかと思われましたが、《波乱の悪魔》を廃し《夢の巣のルールス》を採用して蘇りました。
トップ8デッキリストはこちら。
大会放送リンク:こちら
ティムールアドベンチャー
4 《島》
2 《山》
4 《ケトリアのトライオーム》
4 《繁殖池》
4 《踏み鳴らされる地》
3 《蒸気孔》
-土地 (27)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《願いのフェイ》
4 《砕骨の巨人》
4 《厚かましい借り手》
4 《恋煩いの野獣》
4 《豆の木の巨人》
-クリーチャー (24)-
1 《霊気の疾風》
1 《投げ飛ばし》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《ドムリの待ち伏せ》
1 《否認》
1 《過去と未来》
1 《自然への回帰》
1 《嵐の怒り》
1 《僻境への脱出》
1 《発展/発破》
1 《トーモッドの墓所》
1 《墓掘りの檻》
1 《影槍》
1 《精霊龍、ウギン》
-サイドボード (15)-
周囲のデッキが弱体化したことで、ティムールアドベンチャーにとっては都合の良い土壌ができあがりつつあります。元々フリースロットは2~3枚と非常に少なく、デッキの骨子がしっかりしているため、構成を変更するというよりはメタゲームにおける自身の立ち位置によって使うべきか否かが分かれるデッキといえます。具体的には軽量除去呪文と《幸運のクローバー》への対処手段がどの程度蔓延しているかになりますね。
今回のフリースロットには《否認》と《世界を揺るがす者、ニッサ》が選ばれています。コントロール戦を睨んだ《否認》はもとより、《世界を揺るがす者、ニッサ》はプレインズウォーカーに強く、マナが伸びるこのデッキの性質とも合致しています。
《願いのフェイ》によるウィッシュボード戦略があるためマッチごとのメタカードやユーティリティ呪文は当然として、《発展/発破》、《僻境への脱出》、《精霊龍、ウギン》など消耗戦に強いリソースカードも採用されています。相手によってカードを使い分けることで、メインボードから有利に戦うことが可能となっています。
このデッキのオススメ!
採用されている土地が多く事故りにく構成となっており、「出来事」によって余剰マナを有効活用できるようにデザインされています。《エッジウォールの亭主》、《幸運のクローバー》、《僻境への脱出》があればコントロール戦でもカードアドバンテージで引けを取りません。
クリーチャーベースのミッドレンジデッキを使いたい方、ウィッシュボードを使い万能感に酔いしれたい方、アグロを取りこぼさずコントロールと同等に渡り合えるデッキをお探しのあなたにオススメ!
メタゲームブレイクダウン
両大会のメタゲームを確認していきましょう。どちらの大会も初日の使用率ではスゥルタイランプが最大シェアを誇り、ティムールアドベンチャーが続きます。3番手はRed Bullでは赤単アグロ、SCGではティムールエレメンタルとアプローチは違えど能動的なクリーチャーベースのデッキが選ばれています。本来赤単アグロは環境初期に強いはずですが、2日目への進出率は芳しくありません。
赤単アグロの誤算、それはティムールアドベンチャーの増加にあります。インスタントトリックと肉厚なクリーチャーをもつティムールアドベンチャーは、赤単アグロに強いデッキなのです。現在の立ち位置こそよくないものの、環境にはティムールエレメンタルやアゾリウスベースのコントロールなど相性がいいデッキも存在するため、今は耐えの時間となりそうです。
Red Bullの2日目となると、各デッキの明暗ははっきりと分かれました。スゥルタイランプ、ティムールアドベンチャー、ティムールエレメンタルの3デッキは使用率を伸ばし、フィールドの70%近くを占めています。使用率上位デッキは奇しくもSCGと似通っており、現在のメタゲームはマナカーブに沿ったアグロよりもマナ加速を挟んでの高マナ域を使用したデッキが有利となっているようですね。
トップ16をみると、異常なまでのスゥルタイランプの数に目がいきます。ティムールアドベンチャーは使用率こそ次いでいましたが、干渉手段の豊富なスゥルタイランプに対しては不利だったようです。ほかのデッキと違い、《思考消去》や《萎れ》、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》など《幸運のクローバー》に触る手段があるのも大きいでしょう。
まとめ
先週末はスゥルタイランプが圧倒的勝ち組となりましたが、今週末はどうでしょうか?ショックランドを多用したマナベースはアグロデッキがつけ入る先となりそうです。
これからしばらくの間は、Red Bull UntappedとSCG Tour Onlineの権利獲得予選が続きます。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。