無限コンボのヘリオッドカンパニー ~デッキガイド~

Kelvin Chew

Translated by Kohei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/11/12)

はじめに

第17期モダン神決定戦カバレージヘリオッドカンパニーがトップ8に複数人残っているのを発見しました。《集合した中隊》を使ったデッキは前から好きだったので、デッキについて研究を深めてみることにします。

太陽冠のヘリオッド集合した中隊

土台となったデッキ

日髙 卓哉さんが用いたデッキリストが気になったので、Magic Online(以下、MO)で試してみました。

このデッキでMOのModern Leagueを複数回やった結果、相手が無限ライフを突破して勝利することができない場合には相当強いデッキだと感じました。コンボは比較的簡単に成立する上に、相手がコンボを防ぐには除去を2回使う必要があるからです。

モダンの環境ではクロックとしては遅すぎます。フェアなビートダウンプランで勝利することは稀で、基本的にコンボデッキです。

コンボのやり方

次のような組み合わせを場に揃えることでデッキに搭載されているコンボが成立します。

《太陽冠のヘリオッド》+《スパイクの飼育係》+《議事会の導師》

スパイクの飼育係太陽冠のヘリオッド議事会の導師

《スパイクの飼育係》《ヘリオッド》が場に揃うだけで無限ライフを得られます。《ヘリオッド》の誘発型能力で《スパイクの飼育係》でライフを得る際に消費した+1/+1カウンターを再び置けるからです。

《議事会の導師》が場にいれば、+1/+1カウンターを任意のクリーチャーの上に無限に乗せることもできます。

《太陽冠のヘリオッド》+《歩行バリスタ》+《議事会の導師》/《オーリオックのチャンピオン》

太陽冠のヘリオッド歩行バリスタ議事会の導師オーリオックのチャンピオン

《歩行バリスタ》に+1/+1カウンターが2個以上乗っている状態で《ヘリオッド》の起動型能力を使って絆魂を持たせれば無限ダメージを与えることもできます。《オーリオックのチャンピオン》《議事会の導師》が場にいれば、4ターン目にコンボを成立させることも可能です。

デッキの変更点

多くの試行錯誤を行った結果、以下のカードがデッキの核だと感じました。

+1/+1カウンターをテーマにしたデッキではなく、コンボパーツがなければ役に立たないカードなので《硬化した鱗》は不必要だと思いました。

硬化した鱗

0

メインデッキにはコンボパーツとコンボを守るカードを入れたいと感じたので、そのゲームプランに合わないカードはメインデッキから抜くことにしました。

最新デッキリスト

私が使っているデッキリストです。

追加したカードと減らしたカードについて説明していきましょう。

《ルーンの与え手》4枚

ルーンの与え手

4

土台にしたデッキにこのカードが含まれていなかったことに驚いたくらいです。

《献身のドルイド》デッキを使っていたときにも《ルーンの与え手》は重要なカードでした。コンボパーツを守ることができて、対戦相手が干渉するためには複数の除去が必要となるからです。

《エラダムリーの呼び声》4枚

エラダムリーの呼び声

4

足りないコンボパーツを探せるカードの中で1番軽いマナ・コストのカードです。2ターン目に唱えることができるので、マナ・カーブにも合っています。

無限ライフを得るだけなら2枚コンボなので、足りないパーツを探すだけでコンボは簡単に成立します。

《オーリオックのチャンピオン》0枚

オーリオックのチャンピオン

0

このカードはラクドス《死の影》との試合以外で弱いです。その試合でさえも相手は《ティムールの激闘》で勝利することができます。相手のサイドボードには解答として《コジレックの帰還》も用意されています。

ラクドス《死の影》との試合であっても《流刑への道》《スカイクレイブの亡霊》を増やした方がいいと感じました。

《月の大魔術師》1枚

月の大魔術師

1

マナを伸ばす戦略のデッキに対して用いるカードです。《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》《死者の原野》の誘発型能力を消すことができるのはとても便利で、先手ならトロンデッキに対しても有効です。

《エラダムリーの呼び声》が4枚入っているので、3ターン目に唱えて《ルーンの与え手》で守るという状況もよく発生します。

デッキのコツ

《太陽冠のヘリオッド》+《歩行バリスタ》+《ペンデルヘイヴン》

太陽冠のヘリオッド歩行バリスタペンデルヘイヴン

5マナ出すことができて《ヘリオッド》が場に出ている状況なら、《歩行バリスタ》を1/1として出して、《ペンデルヘイヴン》で2/3にしてから《ヘリオッド》で絆魂を付与することで無限ダメージの成立です。

《東屋のエルフ》+《楽園の拡散》

東屋のエルフ楽園の拡散

《東屋のエルフ》《楽園の拡散》が手札にあるなら、1ターン目に《東屋のエルフ》を出して2ターン目に《楽園の拡散》を出すことで、《楽園の拡散》がついた森をアンタップして4マナを得ることができます。

サイドボードガイド

この先を読んでいくと《エラダムリーの呼び声》を頻繁にサイドアウトしていることに気づくはずです。サイドボード後のゲームは速度が落ちることが多く、必要性が高いカードをサイドインしたい一方で、《集合した中隊》のためにクリーチャーの数も減らしたくないのでこのカードをサイドアウトすることになるのです。

セレズニアランプ/アミュレットタイタン

相手は無限ライフを突破することができないので、このマッチアップは有利です。

スカイクレイブの亡霊

セレズニアランプと対面した際には、相手にとって《ヘリオッド》を除去する唯一の手段である《スカイクレイブの亡霊》に気を付けてください。《ルーンの与え手》が場に出ているなら《スパイクの飼育係》を先に場に出して次のターンに安全にコンボを成立させることが可能です。

対セレズニアランプ/アミュレットタイタン

Out

永遠の証人

In

月の大魔術師

緑単トロン

忘却石解放された者、カーン

古典的なランプと比べるとトロンの方が難しい相手です。無限ライフを苦にしませんからね。相手が《忘却石》《解放された者、カーン》を出す前に無限ダメージコンボを成立させる必要があります。

相手が試合を左右する行動をしようとするターンに《イーオスのレインジャー長》の起動型能力を使って、相手が呪文を唱えられないようにしましょう。

対緑単トロン

Out

ルーンの与え手 ルーンの与え手 ルーンの与え手

In

減衰球 減衰球
月の大魔術師

ラクドスシャドウ

相手は無限ライフを乗り越えて勝利する手段を持たないデッキなので、無限ライフコンボを成立させるだけです。

溶岩の投げ矢

無限ライフを得るために《スパイクの飼育係》から+1/+1カウンターを取り除いたタイミングで、相手がコンボを妨害する手段のひとつが《溶岩の投げ矢》です。相手が手札に《溶岩の投げ矢》を持っているのかわからないなら、コンボパーツ2種類を場に出したあとは相手に先に行動させるようにしましょう。

対ラクドスシャドウ

Out

エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声
東屋のエルフ 東屋のエルフ

In

スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊
流刑への道 流刑への道 流刑への道

青白系コントロール/ウーロコントロール

相手のデッキには除去と打ち消し呪文が入っているので、このマッチアップは不利です。

精神を刻む者、ジェイスドミナリアの英雄、テフェリー

相手は《精神を刻む者、ジェイス》《ドミナリアの英雄、テフェリー》を用いて無限ライフを無視して勝利する手段も持っています。

《イーオスのレインジャー長》に対する解答として《稲妻》を持っているので、ジェスカイコントロールの方が古典的なアゾリウスコントロールよりも厳しい相手です。相手のターンに《集合した中隊》を唱えて、《否定の力》をピッチコストではなくマナを支払って使わせるプレイングも必要になることがあります。

対青白系コントロール/ウーロコントロール

Out

エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声

In

夏の帳 夏の帳 夏の帳

The Spy

1ゲーム目は《スパイクの飼育係》+《ヘリオッド》のコンボを成立させられない手札はマリガンすべきです。この試合はコンボを先に成立させた方が勝利します。

欄干のスパイ安らかなる眠り

サイドボード後は《安らかなる眠り》に対する解答を相手に強要することができるので、自分のコンボを成立させる時間を稼ぐことができます。

《東屋のエルフ》《楽園の拡散》によって2ターン目に唱えることができる場合があるので、《集合した中隊》はサイドボード後でも《エラダムリーの呼び声》より優れています。

対The Spy

Out

エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声

In

安らかなる眠り 安らかなる眠り 安らかなる眠り

デス&タックス

《スカイクレイブの亡霊》を用いる白いデッキに対しては、3ターン目に《ヘリオッド》《スパイクの飼育係》のどちらを唱えるのか注意する必要があります。

スカイクレイブの亡霊レオニンの裁き人幽霊街

サーチ行為に追加マナを要求する《レオニンの裁き人》が相手のデッキには存在しているので、フェッチランドと《エラダムリーの呼び声》は早めに使うようにしましょう。

相手は《幽霊街》を4枚デッキに入れているので、《楽園の拡散》が使いにくい相手です。

対デス&タックス

Out

楽園の拡散 楽園の拡散 楽園の拡散 楽園の拡散
エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声

In

スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊
流刑への道 流刑への道 流刑への道

ミラーマッチ

無限ライフでは試合に勝利できないので、無限ダメージコンボを優先する必要がある試合です。

太陽冠のヘリオッド歩行バリスタ

ミラーマッチでは、試合のカギを握る《ヘリオッド》を追放できる《スカイクレイブの亡霊》を意識して立ち回る必要があります。

ミラーマッチ

Out

エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声 エラダムリーの呼び声
永遠の証人
イーオスのレインジャー長

In

スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊 スカイクレイブの亡霊
流刑への道 流刑への道 流刑への道

おわりに

今回の記事はここまでです!モダンのヘリオッドカンパニーへの理解を深める助けになっていれば幸いです。コンボデッキなのでコンボを成立させられない手札はマリガンする必要があることを忘れないように気をつけましょう。

もしデッキについて疑問があれば、ぜひTwitterで質問してください!

最後まで読んでくれてありがとう!

ケルヴィン・チュウ (Twitter)

この記事内で掲載されたカード

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Kelvin Chew ケルヴィン・チュウはシンガポールのトッププロ。得意フォーマットにはモダンを挙げているが、その他のフォーマットもそつなくこなすオールラウンダーで、スタンダードやリミテッドといったフォーマットでもしっかりとグランプリでトップ8に入賞している。 特に初栄冠となったグランプリ・北京2017で披露した「カルトーシュ戦略」は印象的であり、観戦していたプレイヤーの度肝を抜いた。その後も着実に成長を続けたケルヴィンは世界選手権2017でトップ4に残り、名実ともに世界有数のプレイヤーとして認知された。 Kelvin Chewの記事はこちら