Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/11/21)
『カラデシュリマスター』とは?
『カラデシュリマスター』は、『カラデシュ』と『霊気紛争』を中心としたMTGアリーナ限定の再録セットです。
通常の『カラデシュ』ドラフトと大きく異なるのは、色マナサポートの多さです。どれも初手で取るようなものではありませんが、色の合わないボムをピックしておき、あとからこういったマナサポートを取るという戦略が可能となっています。
収録されているキーワード能力は?
『カラデシュリマスター』では、カラデシュブロックのすべてのメカニズムが復刻しています。この環境をプレイしたことがない方のために説明しますと、機体・エネルギー・紛争・製造などのメカニズムがあります。
これらのメカニズムに加えて、カラデシュというアーティファクトの世界では、アーティファクト関連のカードが多く存在しているのも特徴です。
タッチすべき?
この記事では2色のアーキタイプすべてについて解説していきますが、『カラデシュリマスター』ではボムが強い環境であることを先に強調しておきたいと思います。つまり、(神話レアやレアなどの)パワフルなカードと平均的なカードとの力の差は大きいということです。これはぜひ覚えておいてください。
あらゆるボムを列挙することはしませんが、1色足せばタッチできるボムを流すようなことはめったにしません。色マナサポートが多いデッキだったり、まだピックの序盤であったりすれば、仮にタッチにダブルシンボル/2色を要求するものだったとしても大いに検討に値します。
定石から外れていると思うかもしれませんが、《予言のプリズム》や《改革派の地図》といったマナサポートを採用している/採用したい色の組み合わせであれば、トップアンコモンである《起伏鱗の大牙獣》のタッチすらするほどです。ボムで勝てる確率とボムが手札で腐る確率を考えれば、ピックせずにいられません。
『カラデシュリマスター』の各色のアーキタイプは?
10種存在する2色の組み合わせは、どれも狙いとするアーキタイプがあります。なかには評価の低いものもありますが、ここでは簡単にすべての色の組み合わせを解説し、それぞれに総合評価となる点数10点満点で付けていきます。カラデシュブロックのドラフトを初めて遊ぶ場合などは、これらの点数が最初の指針となるはずです。
白赤
テーマ
機体と搭乗。
ゲーム速度
積極的に攻めます。機体があるため、一筋縄では対処されません。
ドラフトの仕方
この色への理想的な入り方は、強力なアーティファクトや機体を序盤にピックし、その後に白赤のキーとなるアンコモンクリーチャーが取れたときです。アンコモンのクリーチャーはアーキタイプ参入への強い動機となります。
キーカード
《改革派の車輪職人》、《経験豊富な操縦者》、機体全般。
タッチできるか?
できません。攻めたいデッキであり、色マナサポートを展開している暇はないので、できるだけタッチは避けたいところです。
点数
8点。デッキパワーは非常に高いです。キーとなるアンコモンが必要ではありますが、うまくまとまれば容易にボムを打ち負かせる数少ないアーキタイプとなります。
青赤
テーマ
アーティファクトと即席。
ゲーム速度
盤面を作っていくまでに時間がかかります。序盤はアーティファクトを並べていくことになるでしょう。
ドラフトの仕方
このデッキはマナコストの軽いアーティファクトとそれを活用するカードから構成されます。活用の代表例が即席であり、マナコストを軽減して呪文を唱えられるようになります。
キーカード
タッチできるか?
できます!《改革派の地図》や《予言のプリズム》が重要となるデッキですので、タッチが非常にしやすいです。タッチにダブルシンボル/2色を要求するボムもタッチできます。
点数
5点。非常に楽しく、めまぐるしく動くデッキですが、すべてが都合よくいかないとデッキパワーが十分に出力されません。この環境で特に好きなアーキタイプのひとつではあるものの、勝率は裏腹になってしまっていますね。
赤緑
テーマ
エネルギー。
ゲーム速度
攻撃的であり、マナカーブがすべて。
ドラフトの仕方
このデッキはマナカーブが命です。テンポ良くクリーチャーを展開していけないと、デッキパワーが大幅に下がります。そのため、2~3マナ域の枚数を何よりも優先的に考えましょう。また、多くのカードが何らかの形でエネルギーカウンターに関連してします。
エネルギーカウンターを何らかのアドバンテージに変換させるカードよりも、エネルギーカウンターを得るもののほうが多くなりがちなので、《牙長獣の仔》のような使い道を用意しておくと非常に便利です。
キーカード
タッチできるか?
できません。タッチを得意とする緑を含むデッキですが、マナカーブに反するカードをプレイする余裕がありません。ただ、《霊気との調和》であれば、シングルシンボルのカードをタッチできます。たとえば、《沼》1枚と《無許可の分解》を入れるような形ですね。
点数
8点。強いデッキではありますが、卓での人気が高めです。他のプレイヤーと競合することになるので、緑のエネルギーデッキをドラフトしているプレイヤーが多くなさそうなタイミングのみ狙っていきます。緑のエネルギーデッキは今環境の基本的なアーキタイプであり、人が集まりやすいデッキなんですよね。
赤黒
テーマ
アーティファクトを使ったアグロ。
ゲーム速度
超攻撃的。
ドラフトの仕方
環境で最速のデッキ。白赤機体と似ていますが、あちらほど機体の重要性は高くなく、基本的に軽いクリーチャーやアーティファクトでも事足ります。《夜市の見張り》や《尖塔横の潜入者》によって、ライフを詰め切りやすいのが特徴です。
キーカード
タッチできるか?
できません。
点数
5点。機能すれば強いデッキですが、不安定なデッキでもあります。相手を攻めている状況でないと、盤面に貧弱なクリーチャーや搭乗できない機体が並んでいるということになりかねません。
白青
テーマ
飛行。
ゲーム速度
地上のブロッカーを無視して空から攻撃。
ドラフトの仕方
《雲先案内人》を筆頭とした飛行クリーチャーの多くは他のデッキでもピックされてしまうものなので、進んでドラフトしたくはないアーキタイプです。飛行シナジーを形成するものもあまりないため、白青飛行は補足的な戦略になっています。
また、製造を軸にし、《鼓舞する突撃》をフィニッシャーに据えた形も可能です。
キーカード
タッチできるか?
たまにタッチします。タッチすることで、大量のドローをしながら、他の色から大きな恩恵を得るのです。ただ、マナ基盤を安定させる最適なカードがないという弱点があります。
点数
4点。白青飛行をドラフトしたいのであれば、基本セットで遊びましょう。
青緑
テーマ
エネルギー。
ゲーム速度
遅い。マナ加速と多色化。
ドラフトの仕方
エネルギーカウンターの使い道を優先的に確保するとともに、マナサポートを多くピックしていきます。他のプレイヤーが使えなかったボムを拾えるのがこのデッキの大きな強みですので、このアーキタイプをドラフトするならば1色以上タッチすることを念頭に入れておきましょう。
キーカード
タッチできるか?
できます。これ以上タッチに向いているデッキはありません。レアやエネルギーカウンターを使うボムなど、ピックしたものをタッチしていきましょう。
点数
6点。『カラデシュリマスター』を遊び始めた当初はお世話になったアーキタイプでした。10枚ぐらいレアをピックするので、ワイルドカードの節約になるんですよ。
青黒
テーマ
アーティファクトを使ったコントロール。
ゲーム速度
コントロールデッキ。非常に遅い。
ドラフトの仕方
アーティファクトをサブテーマとしていますが、本質はコントロールです。ドロー呪文や除去をピックし、盤面をコントロールできるようにします。
このアーキタイプをドラフトするときは、勝ち筋を考えておくことが重要です。これまでの経験から言うと、《テゼレットの手法》を打ち消し呪文でバックアップするか、タッチしたボムで勝つことが主たる勝ち筋になります。
キーカード
タッチできるか?
できます。《改革派の地図》や《予言のプリズム》を数枚ピックできていれば、タッチは容易です。ドロー効果の多いコントロールデッキですから、ボムにたどり着ける可能性は高めです。
点数
5点。高めの点数をつけたいところですが、すべてがバランスよく取れていないと痛い目にあうデッキです。除去・ドロー・色マナサポート・アーティファクトを必要としており、適切な順序・比率でドラフト/ドローできないと悲惨なデッキになります。
白緑
テーマ
紛争か製造。白緑グッドスタッフ。
ゲーム速度
ミッドレンジ。
ドラフトの仕方
グッドスタッフの寄せ集めであり、方向性は3つ考えられます。まずは製造と《鼓舞する突撃》を合わせて突如として勝つ方法。しかしこれはかなり妨害されやすいです。
もうひとつは紛争。この方向性の弱点は、紛争を持つカード自体があまり強くないことです。
最後はボムをタッチする形ですが、残念ながら良いボムを取れているかに大きく左右されます。補足しておくと、盤面がこう着するので、白青飛行で使う飛行クリーチャーをタッチしておくと便利です。
キーカード
タッチできるか?
できます。タッチを得意とする緑を含むデッキであり、ゲームを長引かせるクリーチャーで盤面がかたまりやすいため、タッチしたカードをプレイする余裕があります。
点数
3点(ボムがない場合)。ボムがあれば、3+0.2*X+Y点になります。Xはレアの枚数、Yはその日の相手の運の悪さです。
黒緑
テーマ
カウンターとエネルギー。
ゲーム速度
ミッドレンジ。シナジーデッキ。
ドラフトの仕方
少なくとも《巻きつき蛇》がなければ使いたくないデッキです。《巻きつき蛇》は黒緑を使う最大のリターンであり、このデッキはこういった見返りとなるカードに大きく依存しています。+1/+1カウンターとシナジーを持つカードを多くピックできていないのであれば、黒緑は緑赤やその他の緑デッキの下位互換のような印象です。
《起伏鱗の大牙獣》をはじめとする、黒緑で優秀なカードは他のデッキでも人気が高いですが、理想的なピックができれば誰にも負けないデッキが完成するでしょう。
キーカード
タッチできるか?
多少できます。緑を含むので、《霊気との調和》が使えますからね。
点数
3点。多くの条件を満たさないと、いいデッキとしてまとまりません。
白黒
テーマ
トークン/製造/紛争。
ゲーム速度
ミッドレンジ。シナジーデッキ。
ドラフトの仕方
製造でクリーチャーを並べて《鼓舞する突撃》でフィニッシュする攻撃型にすることもできれば、クリーチャーで盤面を固めて《秘密の備蓄品》で毎ターンじわじわとアドバンテージを稼いでいくコントロール型にすることもできます。
キーカード
タッチできるか?
できます。紛争を達成する《改革派の地図》が大切なアーキタイプであり、盤面を固めることでゲームが長引くため、タッチしたカードを引き込める確率は高いです。
点数
6点。このデッキに参入するのは、《秘密の備蓄品》がピックできたときだけです。
ジェイソン・チャン (Twitter)