はじめに
こんにちは!第16期レガシー神、MOパンダこと鈴池 史康です。
10月にMTGO(Magic Online)上で開催されたEternal Weekend 2020には、多くのプレイヤーが参加しました。満員になる回もあり、レガシーフォーマットはオンラインもオフラインも大いに盛り上がっています。自分の配信でもYoutubeとTwitchともに視聴者数が増えており、フォーマットの人気具合を肌で感じています。
そして来たる12月6日にはEternal Party 2020 東京の開催が予定されています!
そこで今回は同大会の参加者に向けて、現在のレガシー環境について解説していこうと思います。
今年の話と前環境のおさらい
『テーロス還魂記』の《死の国からの脱出》から始まった今年のレガシーは、「相棒」の登場により壊れてしまいました。しかし長くは続かず、リリース後わずか1ヵ月で《夢の巣のルールス》と《黎明起こし、ザーダ》が禁止カード入りし、そのさらに2週間後「相棒」ルールそのものに変更が加えられました。
このカードパワーの加速された世界で唯一生き残り、現在も活躍を続けているのが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》です。《渦まく知識》や《霧深い雨林》のあるレガシーではほかのフォーマットよりも墓地が溜まりやすく、「脱出」は明確なアドバンテージとなりました。
このように通常エキスパンションもかなり強力でしたが、それとは別にリリースされたカードも同様に強いものばかりでした。『統率者(2020年版)』『Jumpstart』はどれもこれも環境に影響を与えるカードが多くあり、本当に忙しない1年となりました。
「相棒」環境を終えて待っていたのはスノーオーコとティムールデルバー、そしてそれらに強いホガークの3つでした。ちょうどスノーオーコには強いコンボ、そのコンボに強いティムールデルバーとメタゲームが回っていました。
そこに『Jumpstart』がリリースされて《アロサウルス飼い》が加入したことでエルフは大幅な強化を受けます。《夏の帳》が複数入ったショーテルなどスノーオーコが苦手とするコンボデッキが増えた結果、それらに相性の良いティムールデルバーが頭一つ抜けたデッキとなりました。そして、物語は『ゼンディカーの夜明け』『統率者レジェンズ』へと進んでいきます。
ゼンディカーの夜明け加入後の変化
たった1枚のクリーチャーでメタゲームは大きく変化しました。《スカイクレイブの亡霊》の登場です。
《スカイクレイブの亡霊》の参入により、デス&タックスの立ち位置は大きく変わりました。これまでデス&タックスは直接的なプレインズウォーカーの対処手段がなく、それを除去呪文でサポートするコントロールを苦手としていました。しかし、《スカイクレイブの亡霊》によって除去コントロールを克服したことで一線級のデッキとして復活したのです。
元々ティムールデルバーに有利だったこともあり、非常にいい立ち位置となりました。これにより前環境のティムールデルバーのように突出したデッキは消え、メタゲーム上のすべてのデッキが有利不利を持つ平等な結果となったのです。
TOP32デッキ分布
さて、『ゼンディカーの夜明け』加入後までのメタゲームの流れを解説したところで、ここから環境の総まとめをしていきます。毎週開催されていたレガシーチャレンジの結果を個人的に集計していたので、まとめてみました(毎週リアルタイムで見たい人はサブスク特典なのでぜひよろしくお願いします)。
以下のデータは『ゼンディカーの夜明け』加入後に開催されたレガシーチャレンジ15回+ショーケースチャレンジ2回+エターナルウィークエンド3回分になります。
集計結果からもわかる通り、ティムールデルバーとスノーオーコが圧倒的な入賞数を誇ります。次点でエルフ、ホガーク、デスタクとオーコデッキに対して強いアーキタイプが続きます。
TOP8のデッキ分布
TOP32と比べると《最後の審判》デッキのTOP8入りが目立つ結果となりました。コンボデッキであるため、デルバー以外のメタ上位デッキに対して有利と思われます。
逆にデス&タックスの占める割合は低下しています。これはエルフやスノーオーコといったメタゲームの上位デッキに対して極端に不利なことと、それらに有利なデッキが少ないことが考えられます。
トップメタデッキのまとめ
それでは環境のトップメタについてみていきましょう。
ティムールデルバー
《秘密を掘り下げる者》《戦慄衆の秘儀術師》《王冠泥棒、オーコ》の3本の柱を持ち、どれか1枚でも生き残ればカウンターと火力によるバックアップでそのまま攻め切ってしまう太いデッキです。
3 《Volcanic Island》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (10)-
また、Eternal Weekend 2020では常識を覆す《自然の怒りのタイタン、ウーロ》入りデルバーが優勝したことで、ティムールデルバーに新たな構築が生まれています。
さらにはティムールデルバーから《秘密を掘り下げる者》を抜いたデルバーレスのティムールコントロールも存在しています。ただのコントロールと侮るなかれ。雪玉からキャストされる《もみ消し》は意識外のカードであり、ケアすることは非常に難しくなっています。
スノーオーコ
2 《冠雪の森》
1 《冠雪の平地》
1 《冠雪の沼》
2 《虹色の眺望》
1 《Tropical Island》
1 《Tundra》
1 《Underground Sea》
1 《Volcanic Island》
4 《霧深い雨林》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《汚染された三角州》
-土地 (21)- 4 《氷牙のコアトル》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (7)-
4 《定業》
4 《剣を鍬に》
3 《突然の衰微》
2 《真冬》
2 《否定の力》
4 《意志の力》
2 《森の知恵》
4 《アーカムの天測儀》
3 《王冠泥棒、オーコ》
-呪文 (32)-
デルバーキラーとして名高いスノーオーコ。ただひたすら除去呪文をキャストして、動けなくなった相手に《オーコ》と《ウーロ》で殴りかかります。とにかく《ウーロ》がデルバーに強く、「脱出」を含めてすべてを打ち消すのは難しいことから無理にライフを詰めても復旧されてしまいます。
メインは赤抜きの4色構築となっていますが、《Volcanic Island》と《アーカムの天測儀》のおかげで最小限のリスクで色を増やせるため、サイドボード後は《紅蓮破》を入れて5色になるのが一般的です。
エルフ
《アロサウルス飼い》によって大幅に強化された部族デッキ。ちっぽけな1マナクリーチャーながらエルフにとって対処の難しい《虚空の杯》《相殺》対策であり、マナさえあれば追加のフィニッシャーにもなれるため必要な要素がすべて詰まっています。
エルフをただのコンボデッキと侮るなかれ。カウンターだけで受け切ろうとすれば《アロサウルス飼い》1枚で完封されてしまい、かといって除去を連打したところで《垣間見る自然》で復旧されてしまいます。
デッキの動きについて気になる方はエルフマスターシゲキとレガシーチャレンジに参加した動画があるので、ぜひ参考にしてください。
統率者レジェンズの可能性
最後に最新セット『統率者レジェンズ』によって強化されるデッキを紹介します。
《船殻破り》
《最高工匠卿、ウルザ》とアーティファクトでマナを生み出し、《覆いを割く者、ナーセット》+《永劫のこだま》のコンボを狙うウルザエコー。追加の《ナーセット》として、《船殻破り》が採用されていいます。除去されやすいものの、シングルシンボルのため《裏切り者の都》+《水蓮の花びら》でキャストできるのは魅力でしょう。コンボが決まると手札をすべて持っていかれてしまうので気をつけて!
《狡猾の宮廷》
テンポデッキやコントロールのサイドボードに用意された《狡猾の宮廷》にもご注意を。統治者を維持されてしまうと、わずか5ターンほどでライブラリーを削りきられてしまいます。その反面、統治権こそ奪えれば問題ないので、クリーチャーの維持を意識しましょう。
《激憤の宮廷》
2マナ土地や《金属モックス》の加速から《血染めの月》などのロックカードやクロックを展開するドラゴンストンピィ。最序盤から爆発的にマナを生成できるため高速《激憤の宮廷》も狙うことが可能になっています。たとえ統治者でなくても毎ターン2点ダメージは無視できず、見た目以上に早くライフが減ります。
《親指なしのクラーク》
デルバーデッキにも新戦力が届いています。《親指なしのクラーク》はテンポを損なうリスクはあるものの、驚くべきアドバンテージを稼ぎだします。相手の戦場に着地した際は、コインフリップがハズレることを祈りましょう。
おわりに
僕は10年近くレガシーをプレイしていますが、どんなアーキタイプにも勝つ可能性があり、今ほどトップメタといえるデッキが多い環境は初めてです。非常に楽しい環境だと思っています。もしかすると、来年以降も相棒や《ウーロ》のように、“壊れたカード”が刷られ、今のような多様性に富んだ環境は唐突に終わりを迎えるかもしれません。だからこそ、多くのプレイヤーに今の環境を存分に楽しんで欲しいと思っています。
Eternal Party 2020 東京が目前に迫っているため少し真面目なことをいうと、「練習はプレイヤーを裏切らない」。大会で勝ちたいなら一緒に頑張りましょう!
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読んでくれたあなたに幸運を!