Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/01/28)
『カルドハイム』発売まであと少し!
みなさんこんにちは!
最後に記事を書いてから時間が空いてしまいました。『ゼンディカーの夜明け』発売からずいぶんと時間が経ったような気分になっています。例年から年末は会計士としての仕事が繁忙期に入るので、マジックをそこまで頻繁にやれないことが多いです。
例年だとチーム制の大会に参加することが多い時期だったのですが、あらゆる大会がコロナの世界的流行にともなって中止されたので今年の冬はそれもできませんでした。ですから直近数週間はふつうの社会人のように仕事に集中していました。
それでもいつでも希望の光はあるものです。ついに『カルドハイム』のフルスポイラーが出ました!
『カルドハイム』を使った2つのアグロデッキ
今日はスタンダードのアグロデッキについて話したいと思います。アグロは過去数カ月の間、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や「出来事」持ちクリーチャー、「英雄譚」のように1枚で2枚分以上の働きをするカードに比肩するような新カードをあまり与えられてきませんでした。
まずは新しく採用する除去呪文について話しましょう!
いいカード、それも白のカードがあるのです。さてさて何が追加されたのか見てみましょう…。
…冗談はさておき、まずはシンプルなデッキから行きましょう。白単アグロです。
白単アグロ
デッキリスト
2 《アーデンベイル城》
4 《不詳の安息地》
-土地 (22)- 4 《巨人落とし》
4 《無私の救助犬》
4 《堕ちたる者の案内者》
4 《クラリオンのスピリット》
4 《光輝王の野心家》
4 《歴戦の神聖刃》
4 《スカイクレイブの亡霊》
4 《戦闘の神、ハルヴァール》
-クリーチャー (32)-
「両面で異なる色が出る2色土地が10種類そろったのにどうして単色なんだろう?」と疑問に感じている読者もいるかもしれません。《不詳の安息地》がその理由です。
《不詳の安息地》を使いこなそうとすると「氷雪土地」をたくさん使用することになります。《不詳の安息地》から出したマナも他の《不詳の安息地》を起動するために使えるので、4枚採用してもそこまでデメリットは大きくないはずです。パワーが4もあるクリーチャー化できる土地の存在は全体除去から立て直すことや、『ゼンディカーの夜明け』環境では時折遭遇していた《精霊龍、ウギン》に対処する助けになるはずです。
白のアグロデッキにとって『カルドハイム』で一番の収穫は、おそらく《堕ちたる者の案内者》でしょう。
2ターン目に2ダメージを与えることができて、コントロールデッキに対して「誇示」でカードアドバンテージを得ることもできます。2ターン目に相討ちになってしまっても、それでもトークンは手に入ります。
可能性を感じる2枚目のカードは《クラリオンのスピリット》です。このカードもトークンを生みます。出した次の3ターン目には能力を誘発させられることでしょう。
他の2マナのカードは《光輝王の野心家》(2ターン目に出すことができる除去必須のクリーチャー)と《歴戦の神聖刃》(2ターン目に出すことができる除去耐性のあるクリーチャー)です。2マナ域に異なる性質のカードを複数採用しているので、相手にとって対処するのは簡単ではありません。
『カルドハイム』の新カードで試してみたい最後の1種類は《戦闘の神、ハルヴァール》です。トークンを生成する能力が多いのに《栄光の頌歌》よりも《スカイクレイブの大鎚》を優先している理由でもあります。
《エンバレスの宝剣》がとても強力なのはもう周知のことだと思います。《スカイクレイブの大鎚》を《エンバレスの宝剣》に変えてしまうという勝利手段がこのデッキには必要なのです。《スカイクレイブの大鎚》から《戦闘の神、ハルヴァール》に滑らかにつながれば4ターンキルできるパターンも複数存在しています。
《戦闘の神、ハルヴァール》の裏面である装備品の《領界の剣》も全く意味がないということはありません。《巨人落とし》に装備すれば「出来事」を使いまわせることもあるでしょう。
他の選択肢
《フェアリーの導母》は《領界の剣》や《クラリオンのスピリット》をシナジーがあるのでデッキに入り込む余地が多少感じられます。でも《冠雪の平地》を例外として、カードパワーが低いコモンカードをこのデッキに採用するのは少し危険かもしれませんね…。
ナヤ戦士
次に試してみたいデッキは戦士の部族デッキです。『ゼンディカーの夜明け』の《カルガの戦導者》に加えて、『カルドハイム』で《輝かしい司令官》を得たので、戦士の部族デッキがあってもいいのではないでしょうか。
戦士と言えば《軍団のまとめ役、ウィノータ》はぜひ使いたいですね。誘発型能力で《カルガの戦導者》か《ブレタガルドの守護者、メイヤ》を出すことができれば丸儲けです。
デッキリスト
4 《森》
1 《山》
4 《寓話の小道》
4 《枝重なる小道》
4 《岩山被りの小道》
4 《針縁の小道》
-土地 (25)- 4 《堕ちたる者の案内者》
4 《僻森の追跡者》
4 《エルフの戦練者》
4 《カルガの威嚇者》
4 《タジュールの模範》
4 《カルガの戦導者》
4 《輝かしい司令官》
4 《軍団のまとめ役、ウィノータ》
3 《ブレタガルドの守護者、メイヤ》
-クリーチャー (35)-
デッキに少しばかりエルフの部族シナジーも足しました。このデッキはマナコストに対してパワーが高いクリーチャーを多く含んでいて、マナカーブもバランスがいいです。
《堕ちたる者の案内者》と《僻森の追跡者》でパワー2の1マナクリーチャーが8枚採用されています。
2マナのクリーチャーたちは多くの機能を持っています。《カルガの威嚇者》の「臆病者」を作る能力はクリーチャー1体を全くブロックできない状態にできます。《タジュールの模範》のキッカー能力を使うと《軍団のまとめ役、ウィノータ》を探しに行けます。
《エルフの戦練者》は《軍団のまとめ役、ウィノータ》を誘発するクリーチャーを増やせる効果です。《エルフの戦練者》が存在している場に2体目の《エルフの戦練者》を出すと、1体目の能力が誘発して、それによって生成されたエルフ・戦士トークンによって2体目の能力も誘発します。これだけ人間ではないクリーチャーがいれば《軍団のまとめ役、ウィノータ》のための準備は万端です。
3マナ帯のクリーチャーはシンプルに全体を強化する能力持ちのクリーチャーでまとまっています。《軍団のまとめ役、ウィノータ》がマナカーブの実質的な頂点で、誘発型能力で全体を強化する能力を持つカードをもっと探してきて、出たターンに試合を終わらせます。《ブレタガルドの守護者、メイヤ》は《軍団のまとめ役、ウィノータ》ガチャの当たりでありつつも唱えられるカードでもあって、能力もデッキとかみ合っています。
他の選択肢
3色のマナ基盤が一番の問題となるでしょう。最初の3ターンの間にタップインランドを引きたくありません。ですから、両面が土地の2色土地と基本土地、それに4枚の《寓話の小道》を加えたマナ基盤で行くしかありません。マナ基盤が不安定すぎるということになったら以下の選択肢を検討するでしょう。
基本土地の一部を《ベースキャンプ》に変更する
残念ながら《ベースキャンプ》は《試合場》ではありません。タップインする土地なのです。そのため上記のデッキリストには含んでいません。
序盤に赤マナが必要となるカード(《カルガの威嚇者》)をデッキから抜く
2ターン目までに赤マナが必要となるのは《カルガの威嚇者》だけです。《カルガの戦導者》も《軍団のまとめ役、ウィノータ》も、他に出すカードがあるなら最後に出すようにしたいカードです。《カルガの威嚇者》をデッキから抜くことで序盤に要求されるマナの厳しさを少し和らげることができます。
《ヤスペラの歩哨》(別名《壌土のドライアド》)をデッキに入れる
《ヤスペラの歩哨》は《エルフの戦練者》とシナジーがあるエルフです。さらに3ターン目の《軍団のまとめ役、ウィノータ》を可能にしてくれることもあります。しかしながら「《壌土のドライアド》を使おうとする友人は止めるべきだ」というような文章をよく目にするので…、この解決策にはとても懐疑的です。
緑をデッキから取り除くかタッチ緑にとどめる
最後の選択肢はエルフたちをデッキから全て抜いてしまって《ブレタガルドの守護者、メイヤ》のために緑をタッチするだけにとどめることです。空いた枠には《砕骨の巨人》や《スカイクレイブの亡霊》のような相手を妨害できるカードを入れることができます。
しかし、そうすると戦士シナジーが後退します。環境で相手への妨害がどれくらい重要になるか次第でしょうね。
おわりに
『カルドハイム』が出たあとに私が試したいデッキは上記の2つです。現時点では『カルドハイム』のカードパワーは『エルドレインの王権』よりも低く、『ゼンディカーの夜明け』よりも低いかもしれないと考えています。影響がどれくらい出るかは楽しみにしておきましょう。《グレートヘンジ》《空を放浪するもの、ヨーリオン》《物語への没入》にまみれたスタンダードが変わるといいですね。
それではまた次回お会いしましょう!