はじめに
みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチームです。
『カルドハイム』がリリースされましたがお気に入りのカードは見つかりましたか?個人的には《栄光の守護者》に注目しており、いい使い方はないものかと日々こねくり回してしている次第です。パイオニア以下の環境では《嘘の神、ヴァルキー》が熱い視線を集めていますが、スタンダードでは果たして。踏み倒す方法や、コピーして美味しいクリーチャーは見つかるでしょうか?
今回は$5K Kaldheim Championship Qualifierの大会結果を振り返っていきます。
先週末の勝ち組は?
まずは先週末の勝ち組デッキを確認していきましょう!
4 《森》
2 《島》
3 《寓話の小道》
4 《ゼイゴスのトライオーム》
1 《ケトリアのトライオーム》
4 《樹皮路の小道》
4 《清水の小道》
4 《闇孔の小道》
-土地 (30)- 2 《絡みつく花面晶体》
2 《嘘の神、ヴァルキー》
1 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》
-クリーチャー (5)-
3 《取り除き》
2 《ジュワー島の撹乱》
4 《耕作》
1 《バーラ・ゲドの復活》
2 《絶滅の契機》
3 《影の評決》
4 《出現の根本原理》
2 《アールンドの天啓》
2 《海門修復》
4 《海の神のお告げ》
4 《古き神々への束縛》
3 《エルズペスの悪夢》
2 《サメ台風》
1 《キオーラ、海神を打ち倒す》
2 《精神迷わせの秘本》
2 《エシカの戦車》
-呪文 (45)-
2 《秘密を知るもの、トスキ》
2 《星界の大蛇、コーマ》
2 《強迫》
2 《神秘の論争》
1 《塵へのしがみつき》
1 《取り除き》
1 《影の評決》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
新スタンダード一発目の大規模大会を優勝したのはスゥルタイ根本原理でした。環境によって浮き沈みこそあるものの、コントロールに優れた3色からなるアーキタイプです。初期環境に増えたアグロデッキを狙い打ったラクドスサクリファイスに強いボードコントロールベースのランプデッキであり、『カルドハイム』の加入によって、干渉手段やフィニッシャーの選択肢が増えて大きく強化されました。
《嘘の神、ヴァルキー》はクリーチャー限定ながら手札破壊として機能し、さらに追放したクリーチャーへと変身する驚きのカードです。特に《恋煩いの野獣》や《砕骨の巨人》といった3マナクリーチャーを奪うことで、強固な壁となりテンポ良くアグロデッキに立ちふさがります。また、今回のデッキには《ケトリアのトライオーム》が1枚だけ採用されており、マナベースを整えるとともに中盤以降《星界の騙し屋、ティボルト》のキャストを可能にしています。
新たな英雄譚《古き神々への束縛》も素晴らしいカードです。土地以外のパーマネントを対象に取れるユーティリティ除去であり、《ケトリアのトライオーム》をフェッチできるランプ呪文でもあるのです。自身がパーマネントのため《空を放浪するもの、ヨーリオン》と相性も良く、《発生の根本原理》をフィニッシャーに据えたこのデッキにピッタリの1枚といえるでしょう。
マナ加速の行き着く先はスゥルタイカラーの根本原理、《発生の根本原理》です。重めの単色カードが複数採用されており、《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》《キオーラ、海神を打ち倒す》《アールンドの天啓》の3枚を選択することで実質的にゲーム終了へと追い込みます。
《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》と《キオーラ、海神を打ち倒す》を唱えれば、I章とII章が同時に誘発するため実質的に相手のターンが飛んだ状況で最大14点分のクロックが用意できます。
《アールンドの天啓》が選択されれば相方が《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》の場合は12点ダメージが、《キオーラ、海神を打ち倒す》は2ターン得るに等しい効果となります。たった7マナと1枚のカードから、13マナ以上の効果が発揮されてはたまったものではありませんね。
$5K Kaldheim Championship Qualifier
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | 加藤 健介 | スゥルタイ根本原理 |
準優勝 | Lukas Twist | スゥルタイコントロール |
トップ4 | Deion Smith | グルールアドベンチャー |
トップ4 | Robert Vaughan | ジャンドサクリファイス |
トップ8 | Pedro Urquisa Barbosa | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | Guilherme Merjam | イゼットフラッシュ |
トップ8 | krowz | スゥルタイコントロール |
トップ8 | Noriyuki Mori | オボシュランプ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者314名で開催された$5K Kaldheim Championship Qualifierはスゥルタイ根本原理を使用したBIGsの加藤 健介選手の優勝となりました。決勝ラウンドには6つのアーキタイプが残っていましたが、その内スゥルタイカラーのデッキは3名が使用しており、初期環境を定義するデッキとなっています。
同じスゥルタイカラーでもLukas Twist選手はよりコントロールに重きを置いたデッキを選択しました。マナ加速を一切排除して、《空を放浪するもの、ヨーリオン》による「明滅」シナジーを軸に、除去と打ち消し呪文を増量しています。フィニッシャーは《精霊龍、ウギン》と、コントロール戦に強い《星界の大蛇、コーマ》が採用されています。
大会直前にラクドス系デッキが増加したことを受け、Deion Smith選手は墓地対策に特化したグルールアドベンチャーを構築しました。《漁る軟泥》と《運命の神、クローティス》がメインボードで3枚(サイドボードを合わせると5枚)採用されており、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を機能不全に追い込みます。速攻を持つ《探索する獣》と《黄金架のドラゴン》はボードコントロールの増加を見越した選択となっています。
イゼットフラッシュにも変化がみられました。「予顕」でコストを分割し、2マナの呪文でテンポよく相手のカード捌いてゲームコントロールを目指すデッキですが、アグロデッキに勝つために《襲来の予測》や《多元宇宙の警告》の採用数が減っているのです。環境デッキの大半がクリーチャーベースとなれば《襲来の予測》よりも《本質の散乱》のほうが優れた打ち消し呪文であり、これと土地を増やすことで相手の動きを止めつつ《黄金架のドラゴン》での切り返しが演出しやすくなっているのです。Guilherme Merjam選手の読みはトップ8入賞というかたちで証明されました。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
ラクドス系 | 63 |
スゥルタイ系 | 49 |
イゼットフラッシュ | 32 |
ナヤアドベンチャー | 26 |
ディミーアローグ | 24 |
グルールアドベンチャー | 23 |
ティムールランプ | 18 |
緑単フード | 16 |
白単アグロ | 10 |
その他 | 53 |
合計 | 314 |
クリーチャーデッキ全般に有利であり、ディミーアローグに対する構造的強みからラクドス系のデッキが一番人気となりました。しかし、メタゲームを的確に予測したプレイヤーが多く、第1メタに強いスゥルタイ系がすぐ後ろについています。決勝ラウンド進出数からもスゥルタイ系のデッキは今大会のベストチョイスといえそうです。
トップ8デッキリストはこちら。
ジャンドサクリファイス
2 《山》
1 《森》
4 《寓話の小道》
4 《荒廃踏みの小道》
4 《岩山被りの小道》
4 《闇孔の小道》
2 《悪意の神殿》
-土地 (24)- 4 《スカイクレイブの影》
3 《嘘の神、ヴァルキー》
2 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《砕骨の巨人》
4 《悲哀の徘徊者》
3 《イマースタームの捕食者》
3 《フェイに呪われた王、コルヴォルド》
-クリーチャー (23)-
2 《運命の神、クローティス》
2 《アゴナスの雄牛》
2 《無情な行動》
2 《エルズペスの悪夢》
1 《仮面の蛮人》
1 《秘密を知るもの、トスキ》
1 《アクロス戦争》
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-サイドボード (15)-
Robert Vaughan選手が使用したのはアップデートされたジャンドサクリファイス。《初子さらい》《アクロス戦争》で相手のクリーチャーを奪い生け贄に捧げることで(以下、サクリ台)、ボードを処理しつつアドバンテージに変換していきます。ベースはラクドスカラーですが、遅いゲームに強い《フェイに呪われた王、コルヴォルド》がタッチされているのが特徴となっています。
サクリファイス系の肝は奪ったクリーチャーをいかに生け贄に捧げるかにあり、これまでは《悲哀の徘徊者》と《村の儀式》がその役割を担ってきました。《イマースタームの捕食者》は新しいサクリ台であり、破壊不能を得るため戦線を構築しやすくなっています。さらにサクリ時の追加効果によって墓地のカードを処理できるので、《夢の巣のルールス》や《貪るトロールの王》、「脱出」へのメタクリーチャーにもなっています。
サイドボードではエンチャントとアーティファクト対策の《仮面の蛮人》が目を引きます。クリーチャーであるため無駄にならず、ブロッカーにも適しており、《パンくずの道標》《グレートヘンジ》を有する緑単フードには効果的なカードとなっています。
《秘密を知るもの、トスキ》はコントロール相手の能動的なアドバンテージ源であり、ダメージレースと2軸の攻めを展開します。ボードコントロール能力ばかりに注目してしまいますが、《スカイクレイブの影》のような優秀な低コストクリーチャーがいるため、《秘密を知るもの、トスキ》はデッキ構造を変えずに戦略を増やせる1枚です。《運命の神、クローティス》はディミーアローグに加えサクリファイス同型を見据えた選択であり、恒久的な墓地対策が採用できる点からもジャンドに軍配が上がります。
ラクドスミッドレンジ
3 《山》
4 《寓話の小道》
4 《荒廃踏みの小道》
2 《悪意の神殿》
1 《ロークスワイン城》
-土地 (18)- 3 《魔王の器》
4 《マグマの媒介者》
4 《ぬかるみのトリトン》
3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
3 《スカイクレイブの影》
2 《嘘の神、ヴァルキー》
1 《エンバレスの盾割り》
-クリーチャー (20)-
2 《村の儀式》
3 《苦悶の悔恨》
2 《無情な行動》
2 《髑髏砕きの一撃》
1 《大群への給餌》
3 《アガディームの覚醒》
2 《死住まいの呼び声》
1 《ペラッカの捕食》
2 《ハグラの噛み殺し》
2 《ぬかるみの捕縛》
-呪文 (22)-
2 《強迫》
2 《絶滅の契機》
2 《精神迷わせの秘本》
1 《エンバレスの盾割り》
1 《塵へのしがみつき》
1 《大群への給餌》
1 《魂の粉砕》
1 《嵐の怒り》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
《マグマの媒介者》と《夢の巣のルールス》をコンセプトにした新しいラクドスデッキが入賞しました。Pedro Urquisa Barbosa選手のラクドスはクリーチャーと除去による1対1交換をし続けることで消耗戦に持ち込み、「相棒」「脱出」でアドバンテージ差をつけていきます。ドローソースが乏しいことから土地の引き過ぎ(マナフラッド)が懸念されますが、《マグマの媒介者》と呪文/土地の両面カード(スペルランド)により緩和しています。
《嘘の神、ヴァルキー》は手軽な干渉手段でありながら、攻防に活躍する新しいタイプの手札破壊です。2マナであるため苦手とする《運命の神、クローティス》を着地前に対処でき、逆に神の力を利用することができるのです。
ルールブックによれば「711.4a 両面カードがゲーム外あるいは戦場やスタック以外のゲーム内にある場合、それは第1面の特性のみを持つ。」ということで、《夢の巣のルールス》を「相棒」にしても問題ありません。低コストパーマネントが主体のデッキでは手数で優位に立つことで後半パワー不足に悩みますが、このデッキは《星界の騙し屋、ティボルト》がいるため消耗戦が強いデッキに対してもまったく見劣りしていません。
消耗戦を狙ったデッキですが、相手の隙を突く急襲戦略が組み込まれています。《魔王の器》が墓地へ落ちたならばチャンス到来。《死住まいの呼び声》や《夢の巣のルールス》で再利用することで、5/5の飛行クリーチャーへと早変わりします。相手は複数の脅威を対処せねばならず、ライフかカードアドバンテージで確実に差が生じることになります。
《大群への給餌》は今の世相を表した1枚であり、《パンくずの道標》や《スカルドの決戦》、《エルズペス、死に打ち勝つ》といった消耗戦で真価を発揮するエンチャントを意識しています。英雄譚は戦場に出た瞬間に一定の効果を誘発しますが、それを最小限に抑える狙いです。
青単氷雪
氷雪をフィーチャーしたデッキは何もイゼットフラッシュだけではありません。より氷雪シナジーを色濃く形成した青単フラッシュをご紹介しましょう。同デッキはトップ16に入っています。
《隆盛するスピリット》は、《運命の大立者》、《始まりの木の管理人》から続くレベルアップクリーチャーの後継者です。低コストクリーチャーであるため着地しやすく、打ち消し呪文を構えながら行動することで、相手の脅威に対処しつつ隙なく成長できます。ダメージソースとして優秀なだけではなくカードアドバンテージ源ともなるため、これを打ち消し呪文で守るだけで勝負を決めてしまいます。
ゲーム展開によっては《厚かましい借り手》や《サメ台風》だけでダメージレースを仕掛ける必要がでてきます。《隆盛するスピリット》に比べて多少頼りないクロックを、バックアップしてくれるのが《アールンドの天啓》です。これまでの《時間のねじれ》系呪文に比べるとマナコストは高めですが、「予顕」による早仕掛けとトークン生成によるダメージアップが見込めます。「予顕」することで《襲来の予測》ともとれるため、対戦相手からするとイゼットフラッシュ以上にプレイが難しいと感じることでしょう。
アドバンテージ源にも氷雪シナジーが盛り込まれています。《霜の占い師》は生きた《占術の岩床》であり、起動コストも1マナとお手軽になっています。デッキの半数以上を氷雪カードに寄せているため、2ターンに1回は追加ドローを狙いたいところです。
《彫像の伝承》は引ける枚数自体は普通ですが、注目すべきは掘り進められる枚数です。マナベースをすべて氷雪マナにしているので占術数は5であり、最大8枚のカードまで確認できるのです。打ち消し呪文や《アールンドの天啓》など必要なカードを引き込み、ゲームを決定づけるに適したカードといえますね。
直近の大会結果
簡易的ですが、2月4日から2月9日までの大会結果(最低参加人数16人以上、4回戦以上)をまとめてみました。アグロをメタったミッドレンジのラクドスサクリファイスから始まり、徐々に重コントロールのスゥルタイ系、墓地対策を積んだグルールアドベンチャーへと変化していくのがわかります。
白系のスタックスと違い、スゥルタイ系はインスタントでの干渉手段が多く、速攻マシマシのグルールアドベンチャーであっても一方的に押し切られることはありません。むしろ《古き神々への束縛》を得たことで、苦手としていた《グレートヘンジ》《怪物の代言者、ビビアン》を対処できるようになりました。
『カルドハイム』環境のほかのデッキ解説は以下のリンクからどうぞ。
- 2021/2/6
- スタンダード情報局 vol.31 -『カルドハイム』の訪れ-
- 晴れる屋メディアチーム
おわりに
既存のデッキをベースにアップデートされたデッキもあれば、氷雪デッキのように『カルドハイム』によって誕生したデッキもあります。群雄割拠の環境初期だからこそ、日々変化しているスタンダードから目が離せませんね。
今週末には日本選手権2020ファイナルが控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。
なお、2021年2月5日(金)より最新エキスパンション『カルドハイム』が発売となっております!下記のリンクより『カルドハイム』の商品ページへ繋がっておりますので、ぜひ、ご活用ください!!