Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/03/08)
はじめに
ひとつ前の週末は『カルドハイム』リーグ・ウィークエンドでしたね。私は赤単アグロを使って6-3の成績でした。大会全体で赤単は負け組デッキだったので、私が好成績で終えられたのは幸運だったと感じています。私が赤単を使った理由は、デッキの動きに一貫性があってスゥルタイにも強いような気がしていたからでした。アグロデッキを狩るために増えるグルールや他のアドベンチャーデッキを標的にしてスゥルタイが多い大会になると想定していたのです。
残念ながらスゥルタイはそこまで多くなく、代わりに大量の《恋煩いの野獣》が大会登録デッキリストには含まれていました。赤単の成績が振るわない大会になったのも道理ですね。赤単の最大の障壁となったのはグルールとナヤのアドベンチャーデッキでした。私自身もアドベンチャーデッキとの対戦では2-2に留まっています。全く勝てない試合だとも思いませんが、有利ではないのも確かで、メインゲームで先手を取れるかどうかに多くが懸かっています。
各ラウンドの相手デッキと戦績はこんな感じでした。
デッキリスト
これが私のデッキリストです。
よくある質問
最近よく聞かれた質問がいくつかあるので、その解説をしましょう。
今後も赤単を使うべきだと思いますか?
いいえ。
グルールとナヤが減らない限りは使わない方がいいです。これらのミッドレンジデッキに対処するためにスゥルタイが増えたとすれば、その時は赤単も使える選択肢です。リーグ・ウィークエンドで優れた戦績を挙げたローグが流行するようなことがあれば、その時も使おうと思います。アドバイスとしてデッキ調整をするならローグを使うのが上手な人と練習すべきです。ローグは正しいプレイングを行うのが極めて難しく、優れたプレイヤーとの対戦とそうでないプレイヤーとの対戦では、かなり異なった様相になることでしょう。
総合的には赤単はいいデッキだと思っていますよ。リーグ・ウィークエンドでは惨憺たるものでしたが、単に《恋煩いの野獣》まみれの世界では生きていけないというだけの話です。また悲しいことに今のスタンダードはそういう環境でもあります。不幸なことに、これはすぐに変わることもないと思っています。《恋煩いの野獣》と《砕骨の巨人》は単純にとにかく強いカードなので、次のスタンダード落ちの時期を迎えるまで使われ続けるでしょう。年始の記事でも言及しましたが、確実に1枚で2枚分の仕事をする上にマナ効率も良好な強いカードが刷られるとそうなってしまうのです。
デッキの強いカードと弱いカードは?
強いカードは《霜噛み》《不詳の安息地》《砕骨の巨人》《鍛冶で鍛えられしアナックス》《朱地洞の族長、トーブラン》《エンバレスの宝剣》です。これらのカードは4枚未満の枚数にしない方がいいです。『カルドハイム』リリース前の赤単は使用に耐えるデッキではなかったことを思い出してください。《霜噛み》と《不詳の安息地》があるから使用に値するデッキになったのです。そうしない人もいたので改めて念押しすると、これらのカードは全て4枚採用して欲しいです。
デッキの弱いカードは《火刃の突撃者》《熱烈な勇者》《リムロックの騎士》です。《火刃の突撃者》は特に弱く、構築級カードと言いがたいレベルなので、他にマシなものがあればと思わずにはいられません。カードパワーが低すぎます。《義賊》も《砕骨の巨人》や大型クリーチャーに満ちた世界では凡庸なクリーチャーですが、他の低マナ域クリーチャーと比べたら比較的まともな方です。序盤にダメージを稼ぎつつなにかいいものを相手のデッキからめくることができて、同じくならず者である《不詳の安息地》とのシナジーがありつつゲーム後半でも完全な不要牌というほどにはなりません。
なぜ《黄金架のドラゴン》を採用しないの?
いくつか理由があります。
デッキリストに加えたい変更は?
メインデッキは特に変えたいと思っていません。変更してもいいと思えるのも《灰のフェニックス》くらいで、これはサイドボードに移動させてもいいです。しかしながらサイドボードは変更の余地がけっこうあります。
私のデッキリストの《アクロス戦争》3枚と《魂焦がし》2枚は少し重たいカードです。先手で《恋煩いの野獣》に使いたいのは《アクロス戦争》で、後手で一番欲しいカードは《魂焦がし》なのでこういう構成になっています。先手と後手で柔軟に動きたかったので両方使うことにしたわけですね。《魂焦がし》はいつでも強いカードなので、他の選手のように《アクロス戦争》よりも《魂焦がし》を多く採用するという考え方も有りです。
でも私は先手で《アクロス戦争》を3枚使いたかったのでこの比率になりました。そうは言ったもののデッキリストから《アクロス戦争》を省くことも可能です。《萎れ》が今後多く使われるようになれば、これはますます現実感がある話です。《アクロス戦争》《エンバレスの宝剣》《鍛冶で鍛えられしアナックス》に効果がある上にサイクリングもできて、赤単に対して抜群のカードですからね。赤いサイドボード用カードは今あまり充実していません。スタンダードのカードプールを何度も総点検しましたが、プレイアブルなカードすら多くありません。
サイクリングと白単に備えて《猛火の斉射》をサイドボードに追加したいと考えています。サイクリングのタフネス1軍団に対して強力で、デッキ内の《朱地洞の族長、トーブラン》3枚ともシナジーがあって白単のクリーチャーを3点の全体火力で除去できる可能性もあります。デッキ登録の1時間前に《切り裂かれた帆》を代わりに入れる判断をしました。《グレートヘンジ》や《黄金架のドラゴン》に対する解答として優れているので《切り裂かれた帆》も追加していいと思っています。
《魂焦がし》と《アクロス戦争》を活用してグルールとナヤが《グレートヘンジ》を置けないようにするのがゲームプランです。相手が《グレートヘンジ》を着地させてクリーチャーを出したとして、そのクリーチャーを除去してもまだ5/5と他に何体かクリーチャーがいるはずなのでそうなると試合に勝つのは難しいですよね。その前の段階でクリーチャーを除去するかコントロールを奪うかして《グレートヘンジ》は相手の手札で腐っていて欲しいはずです。
私はこのゲームプランで比較的うまく行っています。ただ《グレートヘンジ》着地防止に失敗したときに備えてデッキリストに1~2枚の《切り裂かれた帆》があるのもいいことに思えます。必要なければサイクリングもできますからね。
サイドボードガイド
サイドボーディングは必ず相手のデッキリストに合わせて行うべきですが、一般論として私はこうするというガイドは以下の通りです。(付言:私は先手なら積極的に攻めて、後手だともう少し遅めに展開します。)
グルールアドベンチャー
対グルールアドベンチャー(先手)
対グルールアドベンチャー(後手)
ナヤアドベンチャー
対ナヤアドベンチャー
スゥルタイ
対スゥルタイ
赤単ミラーマッチ
対赤単(先手)
対赤単(後手)
白単
対白単
サイクリング
対サイクリング(先手)
対サイクリング(後手)
ローグ
対ローグ
おわりに
今日はここまで。スタンダードのメタゲームが発展していくのを見るのは楽しみですね。健全な環境でメタゲームは高速で移り変わっています。
いつも読んでくれている読者のみなさんに感謝します!試合での幸運を祈っています。
ジョン・ロルフ (Twitter)