Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/05/10)
はじめに
こんにちは!イマニュエル・ゲルシェンソン/Immanuel Gerschensonです。
記事のタイトルから察しがついていると思いますが、この記事では《汚れた契約》と《タッサの神託者》を使ったコンボデッキ(オラクルパクト)を解説していきます。
まだコンボをご存知でない方のために、ごくごく簡単に説明しておきましょう。《汚れた契約》を唱える、ライブラリーを全て追放する、《タッサの神託者》を唱える、戦場に出たときの能力で特殊勝利する。そんなコンボですね。
デッキ解説
では早速デッキリストを見てみましょうか。ここで紹介するのは、私が$5K Strixhaven Championship Qualifierで7-2を達成したリストです。
まず何よりも大事なのは、採用するカードを1枚に抑えることです。そうしないと《汚れた契約》の効果で同名カードをめくってしまい、ライブラリーを削りきれないおそれがあります。
例外的に《タッサの神託者》と《汚れた契約》が2枚ずつ入っていますが、これは問題ありません。これらが1枚ずつ手札に揃った時点でコンボが始めるので、デッキにはピン挿しのカードしか入っていない状態になるからです。
マナベース
上記のリストでは、できるだけアンタップイン土地を増やそうと努力していますが、タップイン土地を完全に抜き去ることは残念ながらできません。デッキ内の呪文は2マナのものがほとんどなので、2枚目の土地はアンタップインさせるのが理想です。
3ターン目にタップイン土地を処理することは難しくありません 。コンボに必要なマナが4マナ(あるいはターンをまたいで2マナ+2マナの分割払い)だからです。この点については、後ほど詳しく説明しましょう。
チューター呪文
このデッキは典型的な2枚コンボデッキであり、ひたすらコンボパーツを手札に集めていきます。それを達成すべく、ライブラリーを深く掘り進め、特定のパーツをサーチしていくのです。《願い爪のタリスマン》《不気味な教示者》《首謀者の収得》は本物のチューター呪文、つまり望むカードをライブラリー(もしくはサイドボード)からサーチできる呪文です。
特に3マナである《不気味な教示者》はデッキにピッタリのチューター呪文です。コンボは4マナで始動していきますが、手札に《汚れた契約》か《タッサの神託者》のいずれかがあれば、もう1枚のパーツを3ターン目にサーチし、4マナ目が揃った時点でコンボを始められるのです。
《願い爪のタリスマン》は起動コストがたった1マナのチューター。2ターン目に先出ししておき、必要になったタイミングで起動することができます。相手のデッキ次第では、2ターン目に《願い爪のタリスマン》を設置、3ターン目に起動して片割れのコンボパーツを探し、4ターン目に勝てることもあるでしょう。
《願い爪のタリスマン》の強みは、手札破壊を回避できたり、2ターン目に唱えればほとんどの打ち消しに引っかからない点です。アーティファクト除去が環境に少ないので、盤面に残り続ける可能性は高いでしょう。
《首謀者の収得》はチューター呪文のなかでもっともマナコストが重いですが、必要とあらばサイドボードからカードを手札に加えられる利点があります。《汚れた契約》が1枚、もしくは2枚とも使えなくなった状況では、サイドボードから3枚目の《汚れた契約》をサーチできるのです。
《タッサの神託者》が使えない状況になった?問題ありません。《神秘を操る者、ジェイス》をサイドボードから引っ張ってきましょう。コントロールと当たった?じゃあ打ち消しや手札破壊をサーチしましょう。
《首謀者の収得》はマナこそかかります。しかし、何かトラブルがあったとき、コンボを押し通す手助けが必要なときに勝利に導いてくれるカードです。そう考えれば《首謀者の収得》がいかに重要な呪文かわかってもらえるでしょう。
先ほど本物のチューター呪文として紹介しませんでしたが、《汚れた契約》はときにチューター呪文になります。コンボパーツである《タッサの神託者》と《汚れた契約》が運よく手札に揃ってはいるものの、何らかの理由で特定のカードが欲しい状況。そんなときは《汚れた契約》をチューター呪文として使うこともできます。
ただ、普通はコンボで勝利に向かったほうが良いので、こういったプレイはおすすめできません。しかし、そういったプレイをしたほうが適切というレアな状況もあり得るでしょう。
ひとつ便利なテクニックを教えておきましょう。《汚れた契約》が2枚とも手札にある場合、1枚目を《タッサの神託者》のサーチ用として使えば、2枚目を使ってコンボに向かえます。ただし、1枚目の《汚れた契約》で《タッサの神託者》がめくれたら、その時点でめくるのを止めましょう。ここで続けてしまうと、《タッサの神託者》の2枚目がめくれて負けかねません。
条件付きのチューター呪文も採用しています。その1枚が《方程式の求解》であり、サーチ対象は《汚れた契約》か先述したチューター呪文に限定されています。もう1枚の条件付きチューター呪文は《願いのフェイ》で、サイドボードのカードしか手札に加えることができないため、必ずしも理想のコンボパーツが手に入るとは限りません。
特定のカードをサーチするチューター呪文について解説してきましたが、残念ながらそれだけでデッキを埋めることはできません。ときにはライブラリーを掘り進めていくという昔ながらの手法を採らなくてはならないのです。
そして、この点に関して私なりに気づいたことがあります。ちょっと違和感を覚えるかもしませんが……カードを1枚ドローするよりも、ライブラリーを掘る枚数のほうが重要です。
これはどういうことでしょうか。1ドローのほうが弱いなんてことがあり得るのでしょうか?このデッキにおいては、ライブラリーを掘る枚数のほうが重要である理由が3つあります。
3つ目の点についてですが、《魔法の井戸》と《選択》はライブラリーを掘る枚数という点では変わりありません。ただ、《魔法の井戸》は後々2ドローできたり《夢の巣のルールス》で再利用できるメリットがあります。
サポート呪文
ここまでの流れをまとめると、ライブラリーを掘ったりチューター呪文でサーチしたりしてコンボを成立させる、ということでした。簡単そうですよね?確かに一部のデッキに対してはそれだけで勝てます。
しかし、ときには4ターン目にコンボパーツが揃わないこともあるでしょうし、コンボを守るカードが必要になることもあるでしょう。そういうときのために、コンボ以外で有効なカードが必要になります。
単体/全体除去はあらゆるクリーチャーデッキに対して有効なものであり、コンボまでの時間を稼いでくれます。単体除去には《破滅の刃》という選択肢がありますが、個人的にはおすすめしません。環境には《波乱の悪魔》などの黒のクリーチャーが存在し、絶対に除去したいからです。
新カードである《悪意の熟達》はまだ試したことがありませんが、きっとこのデッキに入るだろうと思います。あらゆるクリーチャー・プレインズウォーカーを除去できますし、このデッキであれば相手に1ドローされたとしてもあまり気になりません。
珍しいケースだとは思いますが、1ドロー効果でミラーを勝てる可能性があります。相手がコンボでライブラリーを全て追放したタイミングを狙い、《悪意の熟達》で《タッサの神託者》を除去すれば、特殊勝利が確定する前に相手をライブラリーアウトに追い込めるのです。
手札破壊と打ち消しは単純に強力なカードです。アグロ相手には序盤を凌ぐのに便利ですし、コントロール相手にはコンボを押し通すことに一役買ってくれるでしょう。
おっと、愛する「相棒」を忘れるところでした。めったに起きませんが、消耗戦になって4ターンよりもずっと長く続くゲーム展開もあります。そういったゲームでは、パートナーである《夢の巣のルールス》の出番です。追加のドローをしたり、相手の墓地やクリーチャーに睨みを利かせたり、単純に攻撃したりと、《夢の巣のルールス》はなんでもこなします。
このデッキリストは完成形ではないでしょうし、検討の余地がある選択肢はまだまだ多くあるでしょう。たとえば、色を追加することが考えられます。赤を足して《死の国からの脱出》やその他の勝利条件を採用したり、緑をタッチしてマナ加速や《新たな芽吹き》を加えることもできます。私の感覚では、まだ最高のリストは見つかってないなと思いますね。
サイドボードプラン
さて、これでコンボデッキを構築できました。とすれば次に考えるべきは、そのカードの使い方ですね?まずはみなさんが期待している部分から解説しましょう。サイドボードガイドです!
と言いましたが、完全にご期待に沿えるわけではありません!すいません!詳細なサイドボードガイドはお届けしませんが、少しばかりみなさんにアドバイスを送ろうと思います。
アグロと当たったときは、コンボ成立まで生き残ることだけを考えます。時間を稼げる除去が必要な相手ですね。そのため、打ち消しと《思考囲い》をサイドアウトし、空いた枠に除去をサイドインするのが定石です。
ちょっとしたアドバイスですが、相手のデッキが《夢の巣のルールス》を使っている場合は、《真っ白》のサイドインを真剣に検討しましょう。墓地を追放してくれます。
コントロールに対しては、通常コンボを通すためのカードが必要になります。また、一般的なコントロールデッキは全く攻めてきません。この2つの理由から、《血の長の渇き》だけを残し、ほぼ全ての除去をサイドアウトします。《試練に臨むギデオン》を使ってくると思われる場合は《取り除き》を残すことも検討しましょう。
サイドインすべきカードはありったけの手札破壊と打ち消しです。今後のために少しヒントを送るすれば、なんとかサイドボードに枠を作って《思考のひずみ》を1枚採用することを強く推奨します。
覚えておきたい小技
最後に豆知識を書いておきましょう。このデッキを使いたい人、MTGアリーナで使いたい人は参考にしてみてください。
MTGアリーナの時間制限
コンボを開始したら、ターンの残りプレイ時間を告げるロープは気にしないこと。フルコントロールモードにし、《タッサの神託者》を唱え、その能力をスタックに載せ、それが解決する前に《汚れた契約》を唱えて解決する。ここまですればゆったりと座って、リラックスしましょう。
ロープが切れると、アリーナは自動的にライブラリーが0枚になるまで《汚れた契約》の効果で削り、《タッサの神託者》の効果を解決させます。
3ターンキルも夢じゃない
《汚れた契約》と《タッサの神託者》が手札に揃っていれば、3ターン目に勝つことができます。相手の2ターン目終了時に《汚れた契約》を唱え、ライブラリーの残り枚数がちょうど1枚になるように調整し、自分の3ターン目にその最後のカードをドローするように調整するのです。
ただし、この場合は《汚れた契約》の効果でカードをめくり続ける必要がありますので、急いでプレイしなければなりません。
《汚れた契約》2枚でも
手札に《汚れた契約》が2枚あるものの《タッサの神託者》がない場合は、《汚れた契約》で1枚目の《タッサの神託者》を見つけるまでめくり、手札に加えます。そうすればコンボパーツ2種が揃うことになり、コンボの準備が整います。
ハンデスへの対応
手札破壊に手を焼くこともあるでしょう。《願い爪のタリスマン》は戦場に先置きして必要に応じて起動できるため手札破壊耐性があります。ほかにも手札破壊に強いのは《渦まく知識》です。捨てられたくないカードをライブラリートップに隠せます。
《精神迷わせの秘本》の使い方
《精神迷わせの秘本》はドロー効果を使えるまで取っておくことはありません。占術、特にアップキープの占術に使うことが通常は正解です。
《汚れた契約》はチューターでもある
《汚れた契約》はチューターとしても使えます。ただのコンボパーツではありません。
《願いのフェイ》は「出来事」だけじゃない
《願いのフェイ》は「出来事」面だけではありません。ときには「出来事」として唱えるのではなく、2ターン目にクリーチャーとして出すことが正しいこともあります。
バウンス呪文
《暴君の嘲笑》と《上天の呪文爆弾》はクリーチャーをバウンスできます。この点はオーラと当たったときに便利なことがあります。自分のクリーチャーも戻せるのでお忘れなく。
おわりに
今回の内容は以上になります。近いうちに禁止されないことを願うばかりですね。もっとこのデッキを楽しみたいですし、みなさんにも楽しんで欲しいですから。健康には気をつけて、また次回お会いしましょう。
イマニュエル・ゲルシェンソン(Twitter)