Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/8/17)
はじめに
やぁ、みんな。
今回の内容はヒストリックだ。直近の大会結果を分析し、その後は『Jumpstart: Historic Horizons』の新規カードを使ったデッキを紹介しよう。
現環境の分析
まずは《渦まく知識》の一時停止後、もっとも重要な大会だったチャレンジャー・ガントレットをチェックしていこう。本大会における最大の仮想敵はジェスカイコントロールだった。
ジェスカイコントロールも《渦まく知識》を使っていたデッキだったが、一時停止による被害はほかのデッキほどではなかった。《渦まく知識》をより有効に使えるのは、特定のカードを探したり、手札で重複したパーツを入れ替えたいコンボデッキ(イゼット《不屈の独創力》)、あるいは余った土地を戻してさらなるアクションを探したいデッキ(イゼットフェニックス)だったからだ。
ジェスカイコントロールにとっては、全てのリソースに意味があるのが通常であり、マナはどれだけあっても困らないデッキだ。その何よりの証拠に、『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップのトップ8で《渦まく知識》が合計31枚採用されているなかで、ジェスカイコントロールを使用したセス・マンフィールド/Seth Manfieldだけが《渦まく知識》を3枚”しか”採用していなかった。
じゃあ、チャレンジャー・ガントレットのデータを見ていくことにしよう。
Challenger Gauntlet – Standard & Historic Winrate Matrix pic.twitter.com/4pQFWzm5pq
— MTG Data (@mtg_data) August 9, 2021
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本大会は参加人数が24名と非常に少ないため、データを鵜呑みにすることはできない。しかし、データを見れば、その大会でそれぞれのデッキがどんなパフォーマンスだったのかを理解することができる。
データからわかるのは、もっとも人気を集めたのがジェスカイ系であること。そして、使用者数が2人以上いたデッキから明確な勝ち組となったのは、ジェスカイに勝ち越したラクドスアルカニスト、ジェスカイと互角に戦いながらもほかのアーキタイプに勝ったジャンドフード、《マグマ・オパス》型のジェスカイに有利をつけたジェスカイコントロールだ。
今後についてだけど、ジェスカイばかりの退屈なメタゲームになるとは思わない。ジェスカイに対抗できるデッキはいろいろあるからね。ラクドス、オーラ、ジャンド、黒単はどれでもジェスカイと良い勝負ができる(ジェスカイがミラーマッチに意識を向けるほど隙ができるはずだ)。だから、今後の大会でジェスカイがメタゲームの25%を超えることはないだろうと予想している。
『Jumpstart: Historic Horizons』
エルフ
さぁ、『Jumpstart』の時間だ!
カードリストを見て、もっとも注目したのは《スカイシュラウドの援護者、フレイアリーズ》だった。前回の『Jumpstart』では《上流階級のゴブリン、マクサス》をはじめとするゴブリンが全てを持っていったけど、今回はエルフがその立場になるかもしれない。
[+1]:エルフ最大1体を対象とする。それをアンタップする。あなたの手札にあるエルフ・クリーチャー・カード1枚を無作為に選び、永久に、その対象にしたエルフと選ばれたエルフ・クリーチャーは+1/+1の修正を受ける。
[-1]:エルフ・カード1枚を抽出する。
[-6]:《威厳の魔力》のカード1枚を戦場に創出する。
まず、今回の新カードの情報を知らない人のために言っておくと、本セットはMTGアリーナ限定のセットになる。紙のマジックでは再現しづらい効果が含まれているんだ。
「永久に」はカウンターを置くことと似ている(ただし、手札のカードにも適用できる)。「抽出」は特定の条件に合うカードをライブラリーからランダムに手札に加える能力だ。そして、「創出」は特定のカードを生成する(手札に戻ったり、ライブラリーにシャッフルされたりするからトークンとは違う)。
これらのキーワード能力を踏まえると、《フレイアリーズ》のカードパワーはかなり高いように思える。しかもこのカードは従来のエルフが抱えていた2つの弱点を改善できるんだ(全体除去を撃たれると何のアクションもなくなりマナフラッドする点。そして、ロードが除去されると攻めに勢いがなくなる点だ)。
到達
スカイシュラウドの見張り番が戦場に出たとき、エルフ・カード1枚を抽出する。
『Jumpstart』から《スカイシュラウドの見張り番》という新戦力も加わったが、《エルフの幻想家》には及ばないだろうと思う。エルフは土地枚数を少なくしたいデッキだが、ときには土地を引きたい場面もある。そして何よりも、《フレイアリーズ》や《集合した中隊》をできるだけ多く引きたいんだ。5枚目以降の《エルフの幻想家》として使うのはアリかもしれないね。
4 《ギャレンブリグ城》
-土地 (22)- 4 《ヤスペラの歩哨》
4 《ラノワールのエルフ》
2 《アロサウルス飼い》
4 《エルフの部族呼び》
4 《エルフの幻想家》
4 《エルフの戦練者》
2 《ドゥイネンの精鋭》
2 《スカイシュラウドの見張り番》
4 《エルフの大ドルイド》
-クリーチャー (30)-
エルフは2色目をタッチすることも考えられる。黒なら《ラノワールの異形》や《思考囲い》。白なら《安らかなる眠り》や《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》。青なら打ち消し呪文を使える。
ただ、まずは《ギャレンブリグ城》を最大限に活用するために緑単色で試してみたいね。
マーフォーク
強化を受けた部族はエルフだけじゃない!マーフォークもだ!
ロードの追加、そして強力な3マナ域!
《Shoreline Scout》が戦場に出たとき、あなたは手札からマーフォーク・カード1枚か土地・カード1枚を追放してもよい。そうしたなら、あなたの手札に《Tropical Island》1枚を創出する。
このターン、他のマーフォークか島があなたのコントロール下で戦場に出ていた場合、《Shoreline Scout》は+1/+0の修正を受ける。
マナスクリューや色事故を防ぎつつ、アグレッシブに攻められる優秀な1マナ域だ。
4 《森》
4 《繁殖池》
4 《植物の聖域》
4 《内陸の湾港》
-土地 (24)- 4 《クメーナの語り部》
4 《Shoreline Scout》
2 《水底の生術師》
4 《真珠三叉矛の達人》
4 《マーフォークの霧縛り》
4 《銀エラの達人》
3 《メロウの騎兵》
3 《海と空のシヴィエルン》
-クリーチャー (28)-
とどめの攻撃をしかける前のターンに妨害できるよう、《記憶の欠落》を4枚追加している。《呪文貫き》やほかの妨害呪文と散らして採用したほうが良い可能性もあるだろう。
『Jumpstart』からほかにも注目すべきカードとして《大魔導師の魔除け》と《歴戦の紅蓮術士》がある。《大魔導師の魔除け》を安定して唱えるためにコントロールが1色(おそらく赤)を減らすのか。《歴戦の紅蓮術士》というパワーカードのためにラクドスアルカニストが「相棒」である《夢の巣のルールス》を諦めるのか。こういった点は見物だね。
イゼットフェニックス
もうひとつ楽しみにしていることがある。それは《ドラゴンの怒りの媒介者》がイゼットフェニックスを復活させるのかどうかだ。『イニストラード:真夜中の狩り』から《考慮》の加入も期待されている。
イゼットフェニックスの《ドラゴンの怒りの媒介者》は強いのではないかと大いに期待している。あのデッキは1ターン目の良いアクションがなかったからだ。
「昂揚」の達成を確実にしたいならエンチャント・アーティファクト・プレインズウォーカーのどれかを数枚は入れておきたいところだが、《ドラゴンの怒りの媒介者》の「諜報」を駆使すれば土地・クリーチャー・インスタント・ソーサリーの4種を揃えることはそう難しくないだろう。キャントリップがたくさんあるし、《信仰無き物あさり》もあるしね。
2 《島》
4 《蒸気孔》
4 《硫黄の滝》
4 《尖塔断の運河》
4 《河川滑りの小道》
-土地 (21)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》
4 《スプライトのドラゴン》
1 《厚かましい借り手》
4 《弧光のフェニックス》
1 《弾けるドレイク》
-クリーチャー (14)-
今日はここまでだ。『Jumpstart』はもっとたくさんの変化をヒストリックにもたらすだろうけど、今回は僕が特に注目しているデッキを紹介してきた。みんなも新セットに期待してきただろうか。注目しているカードがあったらぜひ僕にも教えて欲しい。
セバスティアン・ポッツォ(Twitter)