スニーク・ショーデッキガイド ~『モダンホライゾン2』編~

Jonathan Anghelescu

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2021/8/27)

はじめに

みなさん、こんにちは!

『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップの調整のため、スタンダードとヒストリックに専念していた6月を終え、私は嬉々として『モダンホライゾン2』が参入したレガシーへと里帰りしました。

敏捷なこそ泥、ラガバンドラゴンの怒りの媒介者濁浪の執政

《敏捷なこそ泥、ラガバン》《ドラゴンの怒りの媒介者》《濁浪の執政》といった『モダンホライゾン2』の強力クリーチャーたちを迎え入れた青赤デルバーに興奮するのも無理はなく、私もその流れに乗るように青赤デルバーから触り始めました。

忍耐

《敏捷なこそ泥、ラガバン》の支配が続いた最初の2週間が経過すると、《忍耐》を巧みに使ってイゼットのクリーチャーたちに対抗するバントミラクルのようなアンチデルバーデッキが登場し、青赤デルバーが環境にかけていた圧迫感が多少薄れていきます。

ここに私の愛するスニーク・ショーが復活するチャンスを垣間見ました。スニーク・ショーは昔からミラクルや土地単のようなアンチデルバーデッキに対して堅実に戦えるデッキだったからです。

そこから数週間かけ、私はMagic Onlineのレガシーチャレンジで5度にわたるトップ8入賞を果たし、プレミアイベントの試合数を100近くやったうえで勝率は70%に達しました。

直近の対戦成績

そこで今回は、ここ数週間私が使っている最新のリストをもとにしたマッチアップガイド・サイドボードガイドをお届けします。みなさんにとって発見があり、楽しい記事になっていれば幸いです。

デッキリストの変遷

まずは、6月初頭の初期構成と直近の公開リストを比較してみましょう。

6月時のデッキリスト

スニーク・ショー1

クリックして拡大

直近の入賞リスト

スニーク・ショー2

クリックして拡大

(編注:最新のリストではサイドボードの《水流破》《青霊破》へと変更されています(詳しくは後述))

魔術遠眼鏡血染めの月月の大魔術師

6月から8月にかけて変更したのはサイドボードのみです。まず、《魔術遠眼鏡》《血染めの月》《月の大魔術師》2枚と入れ替わっています。《月の大魔術師》《カラカス》《暗黒の深部》コンボといった厄介な土地を封じるという似た役割を果たしながらも、《活性の力》の対象にならない強みがあります。

緑白デプスや土地単が《月の大魔術師》を意識して《剣を鍬に》《罰する火》がサイド後も残るようになれば、そのときは《血染めの月》《魔術遠眼鏡》のいずれか、または両方と再び入れ替わるかもしれません。

紅蓮地獄仕組まれた爆薬

2つ目の変更点は、《紅蓮地獄》を2枚目の《仕組まれた爆薬》にしたことです。サイドボードガイドで解説しますが、対青赤デルバーの後手では除去をサイドインするプランを採っており、このマッチアップでは《仕組まれた爆薬》《紅蓮地獄》にないメリットがあります。

まず、「昂揚」を達成した《ドラゴンの怒りの媒介者》にも触れること。2つ目は、最近はほとんどのリストが《敏捷なこそ泥、ラガバン》を4枚採用していること。《仕組まれた爆薬》《敏捷なこそ泥、ラガバン》に対してインスタントスピードの解答になりますが、自分のターンに《紅蓮地獄》を放てば相手は次なる《敏捷なこそ泥、ラガバン》を「疾駆」で唱えてくるでしょう。

ほかにも《仕組まれた爆薬》には利点があり、《島》《古えの墳墓》《裏切り者の都》でキャスト・起動ができたり、(《ウルザの物語》によって採用率が高まっている)《真髄の針》などの非クリーチャー、《紅蓮地獄》では焼けない大型クリーチャーを破壊できます。

デメリットは、起動コストを含めて3マナ以上かかること、デス&タックスが繰り出す2マナ域と3マナ域のヘイトクリーチャーをまとめて除去できないことなどが挙げられます。また、《仕組まれた爆薬》《全知》との嚙み合わせが悪く、《紅蓮地獄》であれば0マナで唱えられます。しかし総合的に見れば、現時点では《紅蓮地獄》よりも《仕組まれた爆薬》に軍配が上がるでしょう。

水流破青霊破

ちなみに、最新のリストでは《水流破》《青霊破》に変更しています。稀な状況ではありますが、《水流破》だと《敏捷なこそ泥、ラガバン》に盗まれたときに《ドラゴンの怒りの媒介者》の「諜報」をタダでされる可能性があるからです。《青霊破》とは違い、《水流破》はどんなパーマネントでも対象にとって唱えられてしまうのです。

では、続いてはデッキガイドを見ていきましょう!

デッキガイド

青赤デルバー/テンポ

(注:《秘密を掘り下げる者》を不採用にしているリストもありますが、軽いクリーチャーをピッチスペルでバックアップするというプレイスタイルには変わりありませんので、私は引き続き”デルバー”と呼んでいます)

昨今、もっともよく当たるマッチアップであり、メタゲームの2~3割を支配しているアーキタイプ。デルバー対策に特化させたデッキが数を増やし、デルバーデッキを押さえつけているときはスニーク・ショーのプレイヤーはほっと一息をつけます。スニーク・ショーにとって、あらゆるテンポデッキが厳しいマッチアップだからです。とはいえ、『モダンホライゾン2』を加えた青赤デルバーに対する通算成績は11勝7敗とわずかに有利な結果になっています。

敏捷なこそ泥、ラガバン目くらまし

《敏捷なこそ泥、ラガバン》が登場したことにより、いままで以上に先手後手が重要になりました。《敏捷なこそ泥、ラガバン》の宝物トークンにより、《目くらまし》はすぐに賞味期限を迎えます。序盤はまだ《目くらまし》が有効札になりますので、ここが攻め時です。ミラーを意識して《否定の力》を1枚や0枚にしているリストもありますが、長めのゲームになれば新加入の《表現の反復》によって《意志の力》《否定の力》を見つけられてしまう可能性が高くなります。

渦まく知識思案定業

《敏捷なこそ泥、ラガバン》に関しては、こちらのデッキに当たりであるキャントリップが12枚もあるため、カードアドバンテージを稼がれて負けることも多々あります。とはいえ、12枚もキャントリップがあるということは、ライブラリートップを操作し、猿がめくるカードを土地やコンボパーツなどのハズレにしてしまう選択肢が採りやすいということでもあります。

ときには《敏捷なこそ泥、ラガバン》の効果を逆手に取り、《渦まく知識》《思案》の効果を最大限に高めることもできるでしょう。ただし、キャントリップを解決するときは「疾駆」で走ってくる《敏捷なこそ泥、ラガバン》の可能性を常に念頭に置いておいてください

以前までの各種デルバーデッキに対しては、1ターン目の脅威に対して《目くらまし》を使うべきではないと考えていました。返しのターンにコンボを始動できるなら別ですが、最近は腐らないようにするために1ターン目の《敏捷なこそ泥、ラガバン》に使わざるを得ません。

コンボパーツが1枚足りないもののそれ以外は揃っている状況であれば、思い切って《敏捷なこそ泥、ラガバン》を通してしまうことも考えられます。《目くらまし》を代替コストで唱えたときのマナの遅れ・テンポロスが明暗を分け得るからです。中盤でも《目くらまし》に使い道があるとすれば、それは相手が土地を置く前に《表現の反復》を唱えてタップアウトしたときでしょう。

対 青赤デルバー(先手)

Out

騙し討ち

In

防御の光網

対 青赤デルバー(後手)

Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
グリセルブランド
騙し討ち

In

仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
赤霊破 青霊破
削剥
防御の光網

完璧な自信を持ってこのサイドボードプランをおすすめできるほどテストしたわけではありませんが、今のところはこれで上手くいっています。《目くらまし》はスニーク・ショーの定番になり、それゆえに予想され、ケアされてしまいますし、《敏捷なこそ泥、ラガバン》の宝物トークンによって無力化されてしまうため、後手では4枚ともサイドアウトするのが正しいと考えています。

仕組まれた爆薬削剥

その代わり、ギアチェンジしてロングゲームを戦えるようにし、相手の脅威を除去でさばきながら《実物提示教育》《騙し討ち》を通す時間を稼ぐプランにします。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去するときは戦闘前メインフェイズが終わってからにしましょう。そうしないと別の《敏捷なこそ泥、ラガバン》に「疾駆」で攻撃されてしまうかもしれません。

先手のときはデッキのコンセプトをできるだけそのままにし、速度を最大限維持します。ピッチカウンターの枚数を最大にしてバックアップし、序盤にタップアウトした相手を咎めましょう。

デルバー側の視点で見ると、一般的にはサイドボードに《紅蓮破》系が3~4枚、いきなりゲームに蓋をし得る《カラカス》が1枚あります。

ジェスカイラガバン/サーガ

このマッチアップの展開は青赤テンポのときと非常に似ています。ジェスカイラガバンも似たような妨害呪文を採用しているからです。このデッキの場合はマナ否定戦略の一環として《もみ消し》を採用していることがあります。また、《ウルザの物語》があることから、こちらのターンに構築物トークンを生成しようとマナがオープンの状態でターンを終わらせることがあるため、《目くらまし》への耐性もあるデッキです。

ウルザの物語真髄の針行き詰まり

構築物トークンを並べた後に《真髄の針》をサーチして《騙し討ち》を指定されるとゲームに蓋をされる絶望的な流れであり、ときには上乗せするように《行き詰まり》が置かれることさえあります。

つまり、コンボを決めるチャンスがあるのは基本的に《目くらまし》がまだ生きている序盤のターンだけということです。ジェスカイラガバンはメインデッキに《意志の力》《否定の力》を合計4枚しか採用していないリストが一般的であり、『モダンホライゾン2』以前の青のデッキが1ゲーム目からピッチカウンターを6枚以上採用していたことを考えれば、序盤からのしかけは比較的通りやすくなっています

《目くらまし》が早々に腐ってしまう可能性はありますが、ジェスカイラガバンの場合は相手の脅威がない状態で中盤戦までもつれることがあります。青赤デルバーとは違い、序盤の脅威が《敏捷なこそ泥、ラガバン》4枚しかないため、早い段階から相手がタップアウトしない展開があり得るのです。そうなると《目くらまし》は防御としての役割を失いますが、こちらもマナベースを伸ばす時間が生まれるため、相手の《目くらまし》を回避できるようになります。

ただ、最新のリストでは追加の1マナ域として《ドラゴンの怒りの媒介者》を採用していました。《ウルザの物語》を抜いて、デルバーレスジェスカイテンポにしているリストもあります。いずれにしても、青赤デルバーと同じく厳しいマッチアップです。

対 ジェスカイラガバン

Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
グリセルブランド
騙し討ち

In

仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
狼狽の嵐 青霊破
赤霊破
削剥

《月の大魔術師》は特に先手のときにサイドイン候補になります。《ウルザの物語》をトークン効果を起動しようとマナを構えてくる相手ですので、《防御の光網》はデルバー戦ほど有効ではありません。《ウルザの物語》が入っていないとわかったのであれば、先手時は《定業》などを抜いて《目くらまし》を残すことも検討しましょう。

エーテル宣誓会の法学者封じ込める僧侶

青赤デルバーと同じく、ジェスカイラガバンはサイド後に《紅蓮破》系を数枚投入し、ときには《水流破》も1枚追加で入れてきます。デルバーと違うのは、白のヘイトベアーを採用している点であり、《エーテル宣誓会の法学者》を1枚、さらにインパクトの強い《封じ込める僧侶》を1枚用意しているのが一般的です。これらのクリーチャーに対処できるように除去をサイドインしましょう。

バントコントロール

アンチラガバンデッキの代表格、『モダンホライゾン2』以後のバントコントロールは《剣を鍬に》《虹色の終焉》をそれぞれフル採用し、厄介な1マナクリーチャーたちを徹底的に対策しています。そして攻撃の道をふさぐ《氷牙のコアトル》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《忍耐》も採用されています。

剣を鍬に虹色の終焉氷牙のコアトル

しかしこれはスニーク・ショーにとってラッキーなことであり、バントコントロールとの相性は相変わらず非常に良いまま、特にサイド前は有利でしょう。とはいえ、相手もされるがままではありません。6枚のピッチカウンターで打ち消したり、《実物提示教育》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》に対しては《精神を刻む者、ジェイス》《カラカス》、あるいは《激しい叱責》+《剣を鍬に》で対抗してきます。

Dress Down

それでも、《騙し討ち》+何らかのファッティ、あるいは《実物提示教育》+《グリセルブランド》の動きを対処するのは通常不可能です(こちらのライフが少ない稀なケースは例外)。

対 バントコントロール(先手)

Out

猿人の指導霊 猿人の指導霊
グリセルブランド
水蓮の花びら

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
狼狽の嵐
赤霊破

対 バントコントロール(後手)

Out

猿人の指導霊 猿人の指導霊
グリセルブランド
騙し討ち

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
狼狽の嵐
赤霊破

このサイドボードプランは絶対ではなく、3ゲーム目や、相手が《封じ込める僧侶》などのヘイトカードを採用しているとわかった場合は調整します(ほどんどのリストは《封じ込める僧侶》ではなく《エーテル宣誓会の法学者》)。

2ゲーム目に《敏捷なこそ泥、ラガバン》の存在を確認された場合は、3ゲーム目に向けて相手は《剣を鍬に》を数枚デッキに戻すかもしれません。それを見越して《敏捷なこそ泥、ラガバン》をサイドアウトするのもアリです。特に後手の《敏捷なこそ泥、ラガバン》《氷牙のコアトル》にブロックされるので価値が下がります。

かつての青白系コントロールとは違ってバントコントロールには赤が含まれていないため、《紅蓮破》系を採用できません。これがスニーク・ショーにとって朗報です。一部のリストでは《狼狽の嵐》がサイドに1枚採られていますが、それ以外はサイド後も打ち消し呪文の構成に変化はありません。《紅蓮破》がないこと、そして相手が《花の絨毯》をサイドインしてくるかもしれないことを考えると、このマッチアップの《防御の光網》はあまり魅力的ではありません。もちろん、ひとつのサイドボードオプションではありますが。

船殻破り

相手のサイドボードでもっとも問題となるであろうカードは《船殻破り》です。このクリーチャーに加え《精神を刻む者、ジェイス》もいることから、バント相手には《目くらまし》を全て残すようにしています。幸い、《船殻破り》《封じ込める僧侶》《敏捷なこそ泥、ラガバン》を戦闘で一方的に討ち取ることはできず、戦闘面で大損することはありません。

話を総合すると、前述のヘイトクリーチャーたちは別として、バントコントロールのサイドカードはどれも相性をひっくり返すほどのインパクトはありません。

デス&タックス

何年も争ってきた昔ながらのマッチアップ。デス&タックスは『モダンホライゾン2』のレガシー環境で復活を果たしました。ラガバンデッキとの有利に戦えるだけでなく、《カルドラの完成体》《孤独》という強力な助っ人も手に入れたのです。

カルドラの完成体孤独

歴史的に見れば、デス&タックスとのサイド前の相性は《全知》がないリストだと厳しいものでした。この傾向は変わりませんが、多少は改善されています。その一因は《空を放浪するもの、ヨーリオン》の「相棒」条件によってメインデッキの濃度が薄まり、スニーク・ショーに特に有効なシルバーバレットを引かれる可能性が下がったからです。

空を放浪するもの、ヨーリオンファイレクシアの破棄者

ヨーリオン型は青赤デルバーとジェスカイラガバンを意識してメインデッキを構成しているのが一般的であり、ほとんどのリストでは《ファイレクシアの破棄者》が全く入らないようになってきています。そのため、こういったリストならば1ゲーム目から《ファイレクシアの破棄者》《騙し討ち》を指定され、《カラカス》も置かれてロックされてしまうという展開をされることはありません。

とはいえ、多くの妨害と対峙することになります。《スレイベンの守護者、サリア》《リシャーダの港》《不毛の大地》《廃墟の地》はマナ否定してくるため、チャンスさえあれば《騙し討ち》を置きたくなるでしょう。以前までは有効な戦略でしたが、『ゼンディカーの夜明け』の《スカイクレイブの亡霊》により事情が変わりました

スカイクレイブの亡霊

《スカイクレイブの亡霊》《霊気の薬瓶》で打ち消せないことが多いうえ、《護衛募集員》でサーチすることもできます。そのため、マナ否定戦略があるので難しいかもしれませんが、できるだけこのカードの存在はケアすべきです。

《霊気の薬瓶》が出てこないのであれば、もっと気軽に《騙し討ち》を置いて良いでしょう(先ほども言ったように、メインデッキが80枚になったので1ターン目の《霊気の薬瓶》の確率は下がっています)。《霊気の薬瓶》なしの《スカイクレイブの亡霊》には《目くらまし》《意志の力》で対抗しましょう。

霊気の薬瓶

《霊気の薬瓶》は、代替コストの《目くらまし》でコンボが1ターン遅れるとしても打ち消しを検討すべき序盤のアクションです。例外は、早々にコンボが揃っており、《霊気の薬瓶》が十分な蓄積カウンターを置く前に決着が着く場合です。手札の内容次第ですが、ほかにも打ち消しを検討すべき序盤のプレイとして《スレイベンの守護者、サリア》《迷宮の霊魂》があります。

クロックやマナ否定に差し迫れられている場合は別ですが、《実物提示教育》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出す”だけ”の動きは避けるべきです。《護衛募集員》でサーチできる《孤独》が4枚、《カラカス》が4枚、ときには《宮殿の看守》が1枚あるため、この動きはかなりリスクが伴います。

対 デス&タックス(先手)

Out

意志の力 意志の力 意志の力 意志の力
目くらまし 目くらまし
騙し討ち

In

月の大魔術師 月の大魔術師
全知 全知
仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
削剥

対 デス&タックス(後手)

Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
定業 定業
騙し討ち

In

月の大魔術師 月の大魔術師
全知 全知
仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
削剥

《迷宮の霊魂》が4枚採用されていますが、先手ではキャントリップ12枚を全て残します。もっとも安全性のある《全知》を1ターン目に見つける確率をできるだけ高めたいからです。《全知》を対処する手段は基本的になく、《ちらつき鬼火》で1ターン遅らせる(あるいはそれと《議会の採決》を組み合わせて除去する)ぐらいしかありません。

全知月の大魔術師

《月の大魔術師》《カラカス》を機能停止させ、《実物提示教育》からの《引き裂かれし永劫、エムラクール》プランの安全性を高めます。ただし、《月の大魔術師》《スカイクレイブの亡霊》でも《孤独》でもあっさり対処されかねません。

相手が《秘儀の職工》などを警戒して《剣を鍬に》を数枚残すことを知っている場合(あるいは1ゲームを勝利したあと、2ゲーム目で《剣を鍬に》を確認した場合)、3ゲーム目は《月の大魔術師》のサイドアウトを検討しましょう(そのときは先手なら《目くらまし》を2枚、後手なら《定業》2枚を残します)。

耳の痛い静寂精神壊しの罠封じ込める僧侶

ありがたいことに、デス&タックスのサイドにあるコンボ対策カードは墓地対策が中心です。加えて《耳の痛い静寂》《精神壊しの罠》もありますが、ケアできるものですからぜひケアしましょう。唯一懸念となるのは《封じ込める僧侶》であり、サイドボードに1枚採られているのが一般的です(稀に《平和の番人》の場合もあります)。

《全知》はその《封じ込める僧侶》を見事にケアできるカードです。手札に《全知》があれば《実物提示教育》に対応して《封じ込める僧侶》を出されても、こちらが得をします。《封じ込める僧侶》の効果は相手にも及ぶため、相手が《実物提示教育》で出したクリーチャーを追放できるのです。《霊気の薬瓶》も同じく機能しなくなります。

スレイベンの守護者、サリア迷宮の霊魂聖域の僧院長

冒頭でもお話しましたが、《仕組まれた爆薬》はマナ域の異なるヘイトベアーが並んだ盤面の解消を苦手とします。幸いなのは、ピン挿しの《聖域の僧院長》を除いて、デス&タックスのヘイトベアーは2マナ域が中心となってきている点でしょう。

ルーンの母仕組まれた爆薬

《紅蓮地獄》と比べて《仕組まれた爆薬》の大きなメリットのひとつが《霊気の薬瓶》を破壊できること、そして《ルーンの母》のプロテクション能力を回避できることです。さらに、《スレイベンの守護者、サリア》のマナ課税能力も無視することが可能で、蓄積カウンターを2個載せたければ青・赤の2マナを払うだけで良いのです。

ただ、《ファイレクシアの破棄者》がまだ入っている構成には弱くなります。また、《スカイクレイブの亡霊》《仕組まれた爆薬》を追放される可能性もありますので、念頭に入れておきましょう。

話をまとめると、サイド後に相手が用意する多角的な対策に対してスニーク・ショー側は十分な備えができます。ヘイトベアーを除去できる除去呪文、《実物提示教育》+ファッティを意識した対策を回避する《全知》《リシャーダの港》《不毛の大地》といった土地によるマナ否定戦略や《カラカス》を封じる《月の大魔術師》サイド前は多少不利なマッチアップでしょうが、サイド後は相性を有利に転じるだけのツールが揃っています

緑白デプス

マーベリック・緑黒デプス・土地単の3つの強いところを合わせ、これらのデッキの地位を多少下げた緑白デプス。デス&タックスと並び、デルバー/ラガバンデッキに有利をつける青を含まないデッキです。

エルフの開墾者聖遺の騎士緑の太陽の頂点輪作

デス&タックスと違うのは、1ゲーム目から《カラカス》に圧倒的にアクセスしやすい点でしょう。《エルフの開墾者》《聖遺の騎士》、この2枚をサーチする《緑の太陽の頂点》、そして《輪作》があります。

そのため、ここでも《実物提示教育》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》ルートは避けましょう。ほかのルートが採れないときや、相手の場の《エルフの開墾者》が召喚酔いしているときは思い切ってコンボに向かい、ほかの解答を持っていないことを祈ることもあります。《輪作》があったときに備えて《意志の力》を持っておけば《実物提示教育》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》ルーツも多少安心して通しやすくなるでしょう。

秋の騎士

デス&タックスと異なり、マナ否定するカードは《不毛の大地》3~4枚だけであり、大きく妨害されることはありません。先ほどと同様、不用意に《騙し討ち》を設置し、次のターンに起動しようという狙いには注意してください。一部のリストは《緑の太陽の頂点》からサーチできるように《秋の騎士》を採用している場合があるからです。それでも《全知》がないサイド前であれば、《カラカス》デッキに対して《騙し討ち》はもっとも安全かつ頼りになるカードです。

騙し討ち

ご存知の人も多いでしょうし、以前の記事でも書いたことがあったかもしれませんが、《カラカス》を乗り越えて《騙し討ち》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を突撃させるには赤マナは2つ必要ありません(赤2マナを用意するのはよく使う対策方法ではありますが)。

赤マナが1つしかないのであれば、相手のエンドフェイズに《騙し討ち》を起動しましょう。そうすれば生け贄に捧げる効果は返しの自分のターンのエンドフェイズに誘発することになり、赤マナが1つある状態でターンを迎えられるのです。攻撃クリーチャー指定ステップの前に《引き裂かれし永劫、エムラクール》がバウンスされたとしても、《騙し討ち》をもう一度起動できる状態になります。

また、《猿人の指導霊》も赤マナ不足を解消する有効な手段であり、《カラカス》のロックから抜け出すことが可能です。

サイド前のマッチアップを総括すると、《カラカス》か高速のデプスコンボを巡る試合展開になります。メタゲーム初期にいた緑黒デプスに比べると緑白デプスはミッドレンジ寄りになっていますし、妨害してくる黒の手札破壊もないため、マリット・レイジトークンが出る前にコンボを決められることも多いはずです。

対 緑白デプス(先手)

Out

意志の力 意志の力 意志の力 意志の力
定業 定業
騙し討ち

In

月の大魔術師 月の大魔術師
全知 全知
仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
削剥

対 緑白デプス(後手)

Out

目くらまし 目くらまし 目くらまし 目くらまし
定業 定業
騙し討ち

In

月の大魔術師 月の大魔術師
全知 全知
仕組まれた爆薬 仕組まれた爆薬
削剥

ここでサイドインするのはデス&タックス戦と同じですが、試合展開は異なります。デス&タックス戦はマナ否定やヘイトパーマネントを乗り越えなくてはならなかったのに対し、緑白デプス戦は速度勝負あるいは相手のコンボ妨害、そして《カラカス》への備えが焦点になります。

月の大魔術師

《月の大魔術師》はマリット・レイジの誕生を防ぎながらも、一般的な対策カードへの解答である《活性の力》《クローサの掌握》に当たりません。

相手を不意打ちできるひとつのプレイとして、相手が《暗黒の深部》を対象に《演劇の舞台》を起動できる状態にあるときに《実物提示教育》を唱えるというものがあります。ここで相手が対応して《演劇の舞台》を起動しなければ、《実物提示教育》から《月の大魔術師》を戦場に送り込むことでマリット・レイジを誕生させるタイミングを失くせるのです。そんなこと起きないだろうと思うかもしれませんが、これで何度か勝った経験があります。

ガドック・ティーグ

《仕組まれた爆薬》《削剥》は、たまに遭遇する《ガドック・ティーグ》を除去するだけでなく、《エルフの開墾者》を除去することでコンボ成立を阻む役割があります。ついでに《カラカス》を探しづらくさせるというおまけつきです。

緑白デプスは《実物提示教育》から《秋の騎士》を出せるため、《全知》はデス&タックス戦ほどゲームを決定づけるカードにはなりません。また、優先権を渡す前に《全知》から《グリセルブランド》《引き裂かれし永劫、エムラクール》を唱えておかないと、《活性の力》《クローサの掌握》で破壊されるおそれがあります。

窒息

緑白デプス側の厄介なサイドカードとしてほかにも《窒息》があり、先手時に《目くらまし》を4枚とも残したいと思う大きな理由になっています。コンボ前に青マナをタップしなければ《窒息》を簡単にケアできそうなものですが、コンボパーツを見つけるには《窒息》にハマるリスクをおかしてでもキャントリップを使わなくてはならないこともあります。

《水蓮の花びら》を駆使すれば《仕組まれた爆薬》を蓄積カウンター3つで置くことができますが、それを除けば着地してしまった《窒息》から抜け出す手段はありません。とはいえ、《水蓮の花びら》が4枚、《猿人の指導霊》が2枚、《太陽の指輪》土地が6枚ありますから、マナベースを立て直して《窒息》の被害を抑えることは可能です。

デス&タックスと同じく、緑白デプスのコンボ対策は3枚の《耳の痛い静寂》が中心となっており、スニーク・ショーにはほとんど効きません。

ドゥームズデイ

スニーク・ショーと並ぶ強力なコンボデッキのひとつ、ドゥームズデイとの相性はかなり拮抗しています。手札破壊と打ち消しでバックアップしながら、高速で1枚コンボを決めてくるため、先手後手が重要です。そしてお互いに《目くらまし》を4枚積んでいることがそれに拍車をかけています。

最後の審判

ドゥームズデイで《魂の洞窟》がメインデッキに採用されることは減ってきていますが、ライブラリーを5枚にする機会を与えるのではなく、必ず《最後の審判》は打ち消すようにしましょう。ただし例外はあり、たとえば《意志の力》《目くらまし》に引っかかってしまう状況や、相手がターンを渡すと予想され、返しのターンにコンボを押し通すために打ち消しを取っておきたい場合です。相手の《目くらまし》にはマナ加速で対抗しましょう。

グリセルブランド

直接比較すると、理想的かつ最速のコンボである《実物提示教育》+《グリセルブランド》は、《魂の洞窟》が積み込んだ5枚になければ《最後の審判》が通っても普通は勝てるでしょう。《グリセルブランド》《否定の契約》を含む5枚に打ち消し合戦で勝てるだけの打ち消しを引き込めますし、マナに余裕があれば《騙し討ち》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》ルートもいけます。

相手が相手のターンに《最後の審判》を解決し、こちらのターンで《実物提示教育》から《グリセルブランド》を出した場合を考えてみましょう。すでにあなたは土地をセットし、マナを全て使って《実物提示教育》を唱えており、《騙し討ち》コンボを達成するには《水蓮の花びら》《猿人の指導霊》に頼るしかないとします。この場合、《グリセルブランド》の効果の起動は《タッサの神託者》がスタックに乗るまで待つべきです(繰り返すようですが、これはサイド前に《魂の洞窟》がないという想定をしています)。

こうすれば相手の手札破壊で打ち消し呪文を落とされる心配がないですし、《意志の力》2枚+ピッチコスト2枚、《目くらまし》2枚、《騙し討ち》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》という8枚以上の手札を握れる可能性が生まれます。もし自分のターンに《グリセルブランド》の効果を起動していれば、手札上限で7枚まで絞ることになってしまいます。

対 ドゥームズデイ(先手)

Out

猿人の指導霊 猿人の指導霊
定業
騙し討ち

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
狼狽の嵐
赤霊破

対 ドゥームズデイ(後手)

Out

定業 定業
グリセルブランド
騙し討ち

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
狼狽の嵐
赤霊破

サイド後はお互いに妨害を積み込むので、消耗戦になります。一般的なドゥームズデイのリストには《否定の力》が4枚あり、グリクシス型には《紅蓮破》系も数枚あるため、《実物提示教育》《騙し討ち》を通すのに少々苦労するでしょう。

敏捷なこそ泥、ラガバン

《敏捷なこそ泥、ラガバン》はドゥームズデイに非常に効果的です。《否定の力》に引っかからず、キャントリップや手札破壊などの盗みがいのある当たりがたくさんあり、相手が《敏捷なこそ泥、ラガバン》を予想していなければ《最後の審判》で積み込んだ5枚を引っかき回すこともできます。

タッサの神託者

《赤霊破》《意志の力》《否定の力》から《実物提示教育》《騙し討ち》を守ることができます(ただし、《目くらまし》を使うチャンスを与えないように注意が必要)。それだけでなく、《魂の洞窟》から唱えられた《タッサの神託者》《赤霊破》で破壊すれば、油断した相手の不意を突くこともできるでしょう。

もっとも、ほとんどのドゥームズデイを使うプレイヤーはそのような状況に備えて《通りの悪霊》などを構えており、《タッサの神託者》の効果が解決したときにライブラリーを0枚にするようにしています(青の「信心」が0でも相手の勝利が確定します)。

殻船着の島引き裂かれし永劫、エムラクール

その存在を注意しながらも、ときにはケアできない相手のサイドカードがあります。それが《引き裂かれし永劫、エムラクール》であり、ドゥームズデイはコンボのひとつの形として《殻船着の島》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出せるようにしています。

ドゥームズデイはキャントリップを唱えるときやマリガン判断をする際、《引き裂かれし永劫、エムラクール》が手札にくることを諸手を挙げて歓迎します。こちらの《実物提示教育》で出せばどんでん返しを狙えるからです。

このようなプレイをとってくる相手だとわかっている場合や、総じてこのプレイをケアしたい場合は、先手後手問わず《定業》2枚に替えて《全知》2枚を入れると良いでしょう。《実物提示教育》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》では相手に攻撃させるターンを与えてしまいますが、《実物提示教育》+《全知》+《引き裂かれし永劫、エムラクール》なら即座に勝てるのです。

総じてドゥームズデイとの相性は互角《敏捷なこそ泥、ラガバン》がサイド後のゲームを支配し、ほとんどの打ち消しを回避していく展開もありますが、どちらが勝ってもおかしくありません。

スニーク・ショー

ミラーマッチは相変わらず不安定で予測不可能ですが、《目くらまし》の採用が一般的になってきた今、先手後手の重要性が極めて高くなってきています。一部のリストはメインから《敏捷なこそ泥、ラガバン》を採用しており、キャントリップ以外にも《騙し討ち》がゲームに大きな影響を与える当たりになってしまうため、かなり厄介な存在です。宝物トークン生成能力も、《目くらまし》への耐性を付けながら《騙し討ち》を高速で唱えるなど、ゲームに大きなインパクトを与えます。

沸騰する小湖

その試合がまだミラーマッチだと確定できていない場合、その曖昧な認識が敗因になり得ます。相手が《沸騰する小湖》を置いたからといって青赤デルバーだと決めつけ、2ターン目から《実物提示教育》+ファッティという動きはしないようにしてください。相手のデッキがわからなければ、ターンを渡すか《思案》スタートにしましょう。幸い、『モダンホライゾン2』前と比べると青赤デルバーは1枚域が増えており、1ターン目に何もせずにターンを渡すということがほとんどありません。

どちらにせよ、予測できたであろう結末に対処できないにもかからわず、《目くらまし》の耐性がない《実物提示教育》を無暗に唱えるのは基本的に控えるべきです。ミラーマッチであれば、《実物提示教育》から出すものをファッティではなく《騙し討ち》にし、そのターンに起動するということがひとつの対策になります。《全知》がなくとも、《実物提示教育》から《騙し討ち》を出されるおそれがあるので、《実物提示教育》《騙し討ち》に匹敵するほどのマストカウンターになることも少なくありません。

逆に言えば、相手がミラーマッチだとまだ認識できていないと《実物提示教育》を放ってくれることがあり、こちらのファッティを出せば相手を咎められます。ミラーマッチは非常にあっけなく、無暗にリスクを取ったプレイが報われることもありますが、私は基本的にできるだけ保守的に、ゆったりとプレイするように心がけています。ファッティ展開呪文がたくさんある手札を握っていて、毎ターンそれらを叩きつけられるようなときは、この原則から外れます(たとえば、《騙し討ち》が手札にあり、《実物提示教育》を2連打できるような状況ですね)。

これは昔から言えることですが、《全知》はミラーマッチの決定打となるカードです。相手がオムニ・スニーク系なら完全なミラーマッチよりも不利になるでしょう。

対 スニーク・ショー(先手)

Out

定業 定業 定業
猿人の指導霊 猿人の指導霊
グリセルブランド
騙し討ち

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
全知 全知
青霊破 狼狽の嵐
赤霊破

対 スニーク・ショー(後手)

Out

定業 定業 定業 定業
グリセルブランド
猿人の指導霊
騙し討ち

In

敏捷なこそ泥、ラガバン 敏捷なこそ泥、ラガバン
全知 全知
青霊破 狼狽の嵐
赤霊破

ミラーマッチでは《目くらまし》を全て残すようにしています。結局3~4マナがカギを握るマッチアップだからです。とはいえ、《敏捷なこそ泥、ラガバン》がスニーク・ショーのサイドボードに入るようになってきているため、将来的には《目くらまし》を減らす可能性はあるでしょう。

相手が《目くらまし》を全く採用していない、あるいは確実に枚数を減らしているとわかる場合は、マナ加速を追加でサイドアウトし、《定業》や4枚目の《騙し討ち》のいずれか、あるいは両方を戻すことを検討しましょう。ミラーマッチに限らず、4枚目の《騙し討ち》をサイドアウトするのは、スピードが大切なマッチアップだから、あるいは手札でかさばらないようにしたいからです。ミラーマッチでも、1~2ターン待って《騙し討ち》を唱えるよりは、《実物提示教育》を連続で唱えたほうが良いでしょう。

サイド後の立ち回りはそう変わりませんが、追加の打ち消しをサイドインできるので、コントロールの立場を取る機会は増えます。そこで役立つのが《敏捷なこそ泥、ラガバン》であり、75枚のうちに1枚も入っていないとミラーマッチで不利になるのは必至です。《敏捷なこそ泥、ラガバン》を除去するために《削剥》をサイドインするプレイヤーを見たことがありますが、そこまでする必要はないでしょう。

さいごに

スニーク・ショーの《目くらまし》

目くらまし

ここまでのマッチアップを読んでいただければ、かつてほどスニーク・ショーの《目くらまし》を評価していないことに気づかれたかもしれません。これは主に《敏捷なこそ泥、ラガバン》の宝物で《目くらまし》が防御としての役割をすぐに失ってしまうからです。

かつてのデルバーや青のミッドレンジは脅威を出すときにマナに負担をかけるのが一般的でしたが、もう時代は変わりました。《戦慄衆の秘儀術師》《タルモゴイフ》といた2マナ域を出すために序盤からタップアウトすることはなくなり、脅威のマナコストが圧倒的に軽くなったのです。しかも《敏捷なこそ泥、ラガバン》は追加のマナを出していきます。

また、《目くらまし》がスニーク・ショーの定番になってから2年ほど経ち、多くのプレイヤーに警戒され強くケアされるようになってきています。《敏捷なこそ泥、ラガバン》の存在によってますます先手後手が重要になった今、後手時に《目くらまし》があることでさらに大きなディスアドバンテージを自ら背負ってしまうのは致命的になります。

呪文貫き狼狽の嵐誤った指図

しかしながら、《目くらまし》に替わるカードは見つけられていません《呪文貫き》《狼狽の嵐》を試したことはありますが、コントロールやコンボには効果的なものの、デルバーやテンポ戦略に対しては《目くらまし》のほうが便利です。《実物提示教育》《騙し討ち》《意志の力》を撃たれたとき、ここで最後の1マナを使って《呪文貫き》《狼狽の嵐》で対抗してしまうと、本来なら腐っていたはずの《目くらまし》の使いどころを作ってしまうだけでしょう。《誤った指図》も選択肢ですが、打ち消し合戦で有効なだけであり、相手の問題となる呪文を打ち消す用途には使えません。

今のところ、《意志の力》をサポートするカードして最良かつ汎用性の高い防御呪文であるのは《目くらまし》ですが、その立場はもはや不動ではなくなっています

《敏捷なこそ泥、ラガバン》

敏捷なこそ泥、ラガバン

《敏捷なこそ泥、ラガバン》はレガシーで禁止されてもおかしくありません

効果に対して異常なまでに低いマナコスト、「疾駆」がもたらす使い勝手の良さ。唱えられるカードを盗めなかったとしても、宝物トークンを出せばそれだけで十分なバリューです。キャントリップ・クリーチャー・プレインズウォーカー・《森の知恵》・手札破壊など、唱えらえる呪文が一度でもめくれれば理不尽としか言いようがなくなります。

青赤デルバーは『モダンホライゾン2』前からレガシーのベストデッキでしたが、そのデッキがクリーチャー枠に紛れもない強化を得たのです。

死儀礼のシャーマン戦慄衆の秘儀術師

《死儀礼のシャーマン》《戦慄衆の秘儀術師》が抑圧的でマナコストに対してやりすぎな効果を持っているとコミュニティが捉えたのであれば、《敏捷なこそ泥、ラガバン》も禁止相当のカードだと考えるべきでしょう。レガシーが最愛のフォーマットであることに変わりはないですし、これからも楽しんでいきますが、何らかのアクションがとられることを願います。

それではまた次回。ここまで読んでいただきありがとうございました!

ヨナタン・アンゲレスク(Twitter)

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Jonathan Anghelescu マジックオンラインでJPA93として知られているヨナタン・アンゲレス。スニークショーの名手で、数多のレガシープレイヤーが彼に注目している。MOCS 2015で準優勝、グランプリ・サンタクララ2018でトップ4という成績を収めているレガシーマスターだ。 Jonathan Anghelescuの記事はこちら