この冬のお買い物は晴れる屋で
※この物語はフィクションであり、カード価格は記事執筆時点のものです。
ここは高田馬場、晴れる屋トーナメントセンター東京の地下事務所。晴れる屋の本社機能を司るこの事務所にメディアチームのデスクがある。
ここには世界中のプロ選手から戦略記事やコラムが集まる。このデスクではプロ選手の記事を翻訳・編集して日本のマジックプレイヤーに届けたり、社内のライターたちが日々頭を抱えながら記事を生み出したり、大きな大会があればカバレージ業務であわただしくキーボードが叩かれることになる。
集まってくるのは選手の原稿やデッキリストだけではない。
やる気くん:いってつさん!いま2万あるんですけど、《魔力の墓所》と《宝石の睡蓮》どっちかうのがいいと思う?
いってつ:藪から棒になんですか。こっちはコマンダーサミットの準備でハチャメチャ忙しいんですけど……
やる気くん(仮名)
構築済統率者戦デッキを買って最近統率者戦を始めた晴れる屋スタッフ。コマンダーサミットに参加して火が付いたらしい。
マジックのやる気がありすぎる。仕事のやる気が無さすぎる。
やる気くん:まさにコマンダーサミットに向けての話なんだよ!これまではお小遣いの範囲でチマチマ強化してきたんだけど、今日はまとまったお金が使えるから思い切って高くて強いカードを買ってみたいんだよね!
いってつ:確かに。統率者戦の強いカードは高額なものも多くて「機会」がないとなかなか手に入れにくかったりしますよね。
やる気くん:そうそう。今回は2万円があるからこれでなにか面白いカードを買いたいんだ!というわけでアドバイスおくれ。
いってつ:なるほどなるほど。さっきも話してましたけど、まだ持っていないなら《魔力の墓所》《宝石の睡蓮》はいい選択だと思いますよ。
いってつ:統率者戦には固有色のルールがあるので、デッキに入れられるカードの色には制限があります。のデッキにも入れられる汎用的なアーティファクトはやっぱり魅力ですよね。
やる気くん:ぶっちゃけまだ統率者もはっきり決まってないしな。最近は《結界師ズアー》と《自由なる者ルーリク・サー》で悩んでる。
いってつ:また極端な二択ですね……
やる気くん:「ロータス」へのあこがれもあるから《宝石の睡蓮》かな~って思っているんだけど。
いってつ:どっちももちろん強力なんですが……《宝石の睡蓮》は好きな色1色のマナ3点を出してくれますよね?
やる気くん:強。
いってつ:《魔力の墓所》は毎ターン2マナ出してくれます。どちらもマナコストは(0)です。
やる気くん:こっちも強。
いってつ:ただ、《宝石の睡蓮》は基本的に使い切りです。「統率者を対戦相手よりも3ターン早く出すことで大きくゲームが有利になる統率者」や、統率者税の支払いにも充てられるので「除去されやすい貧弱な統率者・意識されがちな統率者」ではオススメですね 。
いってつ:一方《魔力の墓所》は毎ターン2マナ出せるので、単純に自分が2ターン後の世界にワープしているようなものですね。1ターン目に3マナ行動が可能になります。色マナは出ませんが、1ターンの行動数を継続的に増やしてくれます。マナの使い道も自由。「統率者が戦場に出る=勝利コンボへのリーチになる」ような統率者ならともかく、多くのデッキは《魔力の墓所》のほうがより強く使えそうですね。
やる気くん:1枚で1万円を超えるカードのパワーってやっぱりすごいんだな……
いってつ:せっかくなんでほかにも2万円以内で買える超強力なカードも見ていきましょうか!
白
いってつ:《アカデミーの学長》はいいカード。死ぬとライブラリーから好きなエンチャントが出ます。シンプルなヤバさです。
やる気くん:《全知》置きたいな~。
いってつ:白単色なら《太陽冠のヘリオッド》をサーチしてコンボしたり、緑が絡めば《中心部の防衛》も面白そうですよね。
青
いってつ:まずは《意志の力》!マナを支払わずに打てる打ち消しです。レガシーや統率者戦などのエターナルフォーマットの顔とも言える超有名カードですよね。攻めにも守りにも使える打ち消しです。
やる気くん:「ウィル」にはやっぱり憧れる!レガシーで使おうと思うと4枚必要になるけれど、統率者戦なら1枚だけでいいし、手軽に「エターナル」っぽさを体感できる!
いってつ:《時のらせん》は全員が手札と墓地をライブラリーに戻して全員が7枚引きますが、ついでに自分の土地も6つ起き上がります。新たに手に入れた7枚のカードですぐに行動できます。
やる気くん:なんで土地が起きるのは呪文を打った人だけなの?
いってつ:さっぱりわかりません。
黒
いってつ:《Lake of the Dead》は戦場に出るときに沼を生贄にしなければならないのですが、黒1マナを出すだけでなく、沼を1つを生贄に捧げることで4マナが捻出できます。瞬間的に大量にマナが出るので、マナがいっぱいあれば勝てる黒の濃いコンボデッキにおすすめです。
やる気くん:俺、コンボはよくわからないけれど、《囁く者、シェオルドレッド》とかで使いたい!
やる気くん:「最大の過ち」だ……。
いってつ:《ヨーグモスの意志》は墓地のカードがそのまま手札になっちゃうようなカードですね。《暗黒の儀式》や《悪魔の教示者》を2回使えてしまうのは統率者戦でも犯罪的です。
赤
いってつ:《波止場の恐喝者》は最近出たカードなんですが……2マナから平然と10マナくらい捻出してくれることもあります。さすがに強いですね。
やる気くん:……ひょっとして《魔力の墓所》よりも強い?
いってつ:……場面によってはそんなこともありますね。《魔力の墓所》は無からマナが出るという点で一線を画していますが、使えるマナ、行動数を増やすという意味ではこれも非常に強力です。
緑
いってつ:《適者生存》は緑1マナ払うだけで手札のクリーチャーとライブラリーのクリーチャーを入れ替えることができます。何度でも!緑にはクリーチャーの絡むコンボがたくさんあるので非常に強力に働く1枚ですね。
やる気くん:俺コンボのことはよくわかんねえけどさすがに何度もクリーチャーサーチするのはやべえってわかる。
さあお買い物
やる気くん:いろいろ見てきたけど、まだどの色のデッキを使うかはっきりしていない今1万円以上のカードを買うのはやっぱり不安だな。
いってつ:そういった意味では、やっぱり《魔力の墓所》や《宝石の睡蓮》はどんなデッキでも使える「間違いない1枚」ですね。将来的に違うデッキを使うことになっても活きてくるはずです。決して安い買い物ではありませんが、後悔はしないはずです。
やる気くん:納得!じゃ、行ってくる!
いってつ:(結局どっちを買うんだろう)
実店舗の魅力
やる気くん:結局両方買ってきた!
いってつ:やる気がありすぎるだろ。
マジ?
いってつ:しかもクリプトはメディアプロモだし。
やる気くん:ショーケースに少し状態が悪いけど安くなった特価品があったんだ!それにレジでもキャンペーンの案内やってて……
いってつ:スゴ!当たってもらったポイントで買ったんですね!
やる気くん:いや、普通に両方買った。
いってつ:なんだかムチャな買い物の仕方してますね……。
やる気くん:でもいってつくんも……
「1
万円を切っている《ヨーグモスの意志》inked¥8,900があるって聞いてウキウキしながらショーケース見に行ったけど思ったより状態悪くてinked買うのをやめて、何故かそのままの勢いで
《ヨーグモスの意志》SP¥12,500を買った」って聞いたよ??※2
いってつ:※2この物語はフィクションです。
いってつ:ま、ホラ、店頭で買い物したからカードの状態を吟味して選べたわけだし!通販が発達した今日でもやっぱり実店舗っていうのは意義があるもんだなあと実感できたのでよかったです!
――統率者戦の世界に入門した人間は次第にパワーを求めてカードショップをさまよう。それは高田馬場にも、秋葉原にも、大阪にも、そして川崎にもある。この冬のお買い物はぜひ晴れる屋で。