はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
すでに自分の気持ちは神河へと旅立っているため、前回は『神河:輝ける世界』の新カードである《貪る混沌、碑出告》をご紹介しました。小ダメージでアドバンテージを稼ぐこともできますし、マナコストの重いカードを増やして一撃必殺を狙うこともできる非常に構築意欲をそそられるクリーチャーでした。スペルランドとの組み合わせは、ぜひとも試してみたいですね。
さて、神河次元を代表する伝説のクリーチャーといえば、真っ先に5種類のドラゴンが思い当たります。各色の特性を兼ね備えた強力なクリーチャーでしたが、どうやら『神河:輝ける世界』にもドラゴン・サイクルが収録されるようなのです。
今回はすでに発表されている《燃え立つ空、軋賜》をみていきます。
5種類の伝説のドラゴン
『神河物語』には各色に伝説のドラゴンが収録されており、いずれも6マナ5/5、さらに死亡時に誘発型能力を持っていました。各色の特性に準じた誘発型能力でしたが、悲しいことにこの性能いかんにより明暗は分かれてしまったのです。
《夜の星、黒瘴》
ドラゴンサイクルの筆頭、《夜の星、黒瘴》の能力はライフドレインであり、サイズも相まってミッドレンジやコントロールの最適なフィニッシャーでした。これには当時のレジェンド・ルールも関係しています。
『神河物語』発売に伴う2004年10月1日の総合ルール更新
「同名の伝説のパーマネントはコントローラーに関係なく1つしか戦場に存在することができない。また、同名の伝説のパーマネントが2つ以上同時に戦場に出た場合、1つも残せず、すべて墓地に置く必要があった。」
この頃はコントローラーを問わず、同名の伝説カードが戦場に2枚揃った場合は両方とも生け贄に捧げる必要がありました。先出し有利に変わりはありませんでしたが、同名の伝説のカードは一種の除去のように機能したのです。対戦相手の《梅澤の十手》を潰すならば、《解呪》よりも《梅澤の十手》を採用した方が自分も使える分得といえました。
《夜の星、黒瘴》は当時のレジェンド・ルールと相性が良く、2回攻撃後に2枚目をプレイすることでライフを削りきることができました。殴って良し、守って良し、除去されても良しと優れたクリーチャーだったのです。代表的なデッキとしてはけちコントロールがあげられます。
けちコントロールはデッキ名にもなっているサーチ呪文、《けちな贈り物》によるシルバーバレット戦略を組み込んだコントロールデッキ。サーチ先に墓地回収を織り交ぜることで、望むカードを手札に加えることができます。また、《花の神》、《魂無き蘇生》、秘儀呪文を組み合わせた循環エンジンは強力無比であり、ブロック構築におけるトップメタとなりました。
《潮の星、京河》
防御的なコントロールといえば打ち消し呪文、打ち消し呪文といえば青、青といえば《潮の星、京河》です。シングルシンボルのため使いやすく、ひとたび戦場に出ようものなら対戦相手の攻撃を押しとどめる抑止力となります。戦闘での相打ちや除去されたが最後、もっとも強力なクリーチャーを《支配魔法》して配下へと加えます。しかも本家と違い死亡時の効果による永続支配のため、逃れる術はありません。
《潮の星、京河》は自身と同サイズのクリーチャーを対処しつつ、後続のクリーチャーのコントロールを奪える盤面維持に長けたドラゴンでした。《曇り鏡のメロク》と並ぶコントロールのフィニッシャーであり、パーミッションスタイルの呪師コントロールで活躍しました。
《明けの星、陽星》
最後にご紹介するのは《明けの星、陽星》です。ほかの4種類と比べてややトリッキーな能力をもつこのカードは、ミッドレンジのほかにコンボデッキに採用されました。
「《明けの星、陽星》が死亡したとき、プレイヤー1人と、そのプレイヤーがコントロールしているパーマネント最大5つを対象とする。そのプレイヤーは自分の次のアンタップ・ステップを飛ばす。それらのパーマネントをタップする。」
《明けの星、陽星》は対戦相手のアップキープに自壊することで、パーマネントを5つタップしつつ次のターンのアンタップ・ステップを飛ばします。1枚で2ターンに渡って拘束してしまうのですから、破格の性能といえます。
下手に単体除去で対処しようものならブロッカーをタップされてしまい、全体除去を使おうとも土地もタップ対象に含まれているため、事実上ターンが飛んだに等しくなります。
これを利用して生まれたのがグレーターギフトでした。《明けの星、陽星》を《よりよい品物》で生け贄に捧げることで相手の動きをロックしつつドローを進めていきます。カードを墓地に送り込めるため、リアニメイトを絡めながら半永久的にロックしてしまうのです。決まったら最後、抜け出すことはできません。
ほかの《降る星、流星》と《昇る星、珠眼》については、それほど活躍できませんでした。この時代はクリーチャーよりも呪文の方が質が高く、限定的な状況でしか効果を発揮できないドラゴンはやや肩身が狭かったのです。全体除去を見ても《神の怒り》、クリーチャーを強化するにしても《梅澤の十手》に見劣りがしてしまいます。
さて、旧ドラゴンの紹介が長引いてしまいましたが、ここからは《燃え立つ空、軋賜》を見ていきます。
《燃え立つ空、軋賜》
では、《燃え立つ空、軋賜》はどうでしょうか。4マナ4/4に加えて飛行とトランプルがあり、戦闘に関しては申し分ないデザインとなっています。アグロのフィニッシャーでも、ミッドレンジの中盤役としても使えそうです。しかも以前のドラゴンと違い、状況に合わせて死亡時の効果を選択できます。
「あなたのライブラリーの一番上にあるカード2枚を追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそれらのカードをプレイしてもよい。」
まずは追加のカードをもたらす《舞台照らし》の効果。不確定ながら2枚のカードへと代わるため、単体除去を使った方が損をしてしまいます。対戦相手からすれば非常に苦しい選択を迫られることでしょう。
「宝物・トークン3つを生成する。」
もう一つは宝物・トークンを3つ生成する能力です。赤にありがちな一時的なマナ加速ですが、手札が重かったり呪文が溢れている際は重宝します。ボードを一掃された返しに物量で畳みかけることもできますね。
また、好きな色マナが出るため多色デッキで使うこともできます。対戦相手の裏をかいた打ち消し呪文など生きる部分もありそうです。
《燃え立つ空、軋賜》の可能性
これより《燃え立つ空、軋賜》の可能性について探っていきたいと思います。ここでは具体的なデッキではなく、戦略ごとにみていきましょう。
アグロ戦略
アグロ戦略で採用すれば全体除去を苦にしない、ゲームにフタをするフィニッシャーとなります。《ヤスペラの歩哨》や《厚顔の無法者、マグダ》と一緒に使い、3ターン目に着地を狙いたいところです。これまで4マナ域は《エシカの戦車》や《ウルヴェンワルドの奇異》など緑のカードばかりが採用されていましたが、取って代わるかもしれません。
《黄金架のドラゴン》は重すぎるといったデッキにはぴったりの性能といえるでしょう。赤系のアグロデッキ復権の鍵となるかもしれません。
ミッドレンジ戦略
ミッドレンジ戦略では、サイズも申し分なく、場持ちの良いクリーチャーといえます。仮に除去されたとしても宝物・トークンからインスタントアクションがとれるため隙はありません。受けても良し攻めても良しと状況に応じて臨機応変に立ち回れる様は、まさにミッドレンジの鏡。死亡時の誘発型能力も状況に応じて選択していきましょう。
3色以上のインスタント多めのデッキで採用すれば、《燃え立つ空、軋賜》をブロッカーとして残しつつ、除去された場合には手札呪文を使う二段構えで守れます。
コンボ
宝物・トークン3個を生成することに着目し、戦場と墓地を行き来することで循環エンジンが構築できそうです。《繰り返す悪夢》や《犠牲》との組み合わせは可能性を感じますね。
しかしながら、ここはスタンダード。残念ながらカードプールにそれらの代わりとなる無限に手順を繰り返せるカードは見つかっていません。
循環エンジンは構築できませんが、能動的に生け贄に捧げるサクリファイスでの採用は面白そうです。マナ域こそ被ってしまいますが、《イマースタームの捕食者》との相性はバッチリ。かなり強固な戦場を築いてくれます。
序盤の動きが弱いデッキだけに、《燃え立つ空、軋賜》の宝物・トークンは巻き返しの下準備となってくれそうです。《命取りの論争》のコストにあてれば都合4マナも伸びるため、高マナ域へと繋ぐアクションも狙っていきましょう。
おわりに
《燃え立つ空、軋賜》はスタッツもさることながら、死亡時の誘発型能力も優秀なため、デッキを問わず構築戦では可能性を感じています。どういった戦略が最適解なのかは判明していませんが、逆にいえばそれだけバランスの良いカードといえます。ほかの『神河:輝ける世界』のカードが公開されていくうちに、自ずと答えはみえてくるでしょう。
なお、2022年2月18日(金)発売予定の『神河:輝ける世界』ですが、現在晴れる屋ではブースターBOXの予約受付中となっております!下記のリンクより『神河:輝ける世界』の商品ページへ繋がっておりますので、ぜひ、ご活用ください!!