スタンダード情報局 vol.79 -《稲妻》よ、なぜ僕らは分かれたのか-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

希望の源、ジアーダザンダーの居室敵対するもの、オブ・ニクシリス

新セットが発売されるたびに目玉のレアカードや新しい多色地形、プレインズウォーカーへと目を移し、次なるデッキを模索しています。それと同時に、欠かさずにチェックしているカテゴリーが存在しています。いうなれば、色ごとの特性を表すカードたち。青ならば打ち消し、黒ならば手札破壊とクリーチャー除去。これらは勝敗を決める働きはしませんが、プレイヤーの除くゲーム進行の助けとなるカードたちです。

稲妻噴出の稲妻炎の稲妻

そして、赤の場合は火力です。スタンダードというクリーチャー主体のフォーマットにおいて低コスト火力は必要不可欠。黒除去ほど万能感はないものの、軽く、それでいて中盤以降はプレイヤーのライフを削れるため無駄がありません。ボード以外からの直接ダメージ手段こそが赤の魅力であり、赤を赤たらしめている要因なのです。

絞殺

今回は火力の歴史を振り返りながら《絞殺》の可能性を探っていきます。

すべては《稲妻》から始まった

稲妻

『リミテッド・エディション』に収録された原初にして最強の火力、それが《稲妻》です。わずか1マナで3点をインスタントタイミングで任意の対象へとダメージを与えるのです。どんなクリーチャーを除去したとしてもテンポ面でアドバンテージがあり、1マナであるため構えたとしてもマナのロスを最小限に抑えられます。

使用制限・デメリットなく、ダメージ効率も優れており、1マナ火力としては破格の高性能。これを超えるデザインは(それこそ1マナ4点)未来永劫ないでしょう。そのスペックは時代を超えて健在であり、現在のスタンダードのクリーチャーでも3マナ域まで簡単に対処してしまいます。

しかしコストパフォーマンスが高すぎたため、『第5版』にて《火葬》と入れ替わります。その12年後の『基本セット2010』にて一時的にスタンダードに復権しますが、やはり強すぎたためかマスターズシリーズのみの収録へ落ち着いています。

《稲妻》をセパレート

《稲妻》亡き後に現れたのは2種類の火力でした。一つは《稲妻》と同じく1マナの《ショック》。もうひとつは同じダメージ量ながら2マナへと格上げされた《火葬》です。

ショック

《ショック》小型のクリーチャーを対処するのに最適な火力であり、うっかり2マナのクリーチャーを除去できればテンポアドバンテージを得ることができました。何よりも《稲妻》と同じ1マナと使い勝手が良く、自分の展開を阻害せず、ダメージを伸ばす助けとなったのです。《ショック》は1マナ火力の基準とされています。

火葬

《火葬》の利点はそのダメージ量。3マナ域までを確実に対処し、ときにはより大きなテンポアドバンテージを生み出します《火葬》がもっとも生きるのはマナカーブをかなり切り詰めた1マナ域の多いアーキタイプ。というのも2マナのカードを絡めて複数の呪文をプレイしようとすると、3ターン目に1マナ、4ターン目に1+1マナあるいは2マナとある程度組み合わせが絞られるからなのです。

《火葬》はボードコントロールを担いながらも、直接火力としても秀でた1枚です。20点を削りきることを目標とする攻撃的なデッキにとっては3点は魅力的な数字なのです。同じ6点のライフを削るにしても《ショック》《火葬》ではカード1枚分の差が出てしまいますからね。

その後、火力は弱体化の一途をたどっていきます。《ウルザの激怒》のような火力がフィーチャーされた時期もありましたが、それはメタ的な立ち位置が強く、《稲妻》のような使いやすさとはかけ離れたものでした。恋焦がれし1マナ3点。それは『神河物語』まで待たねばなりませんでした。

目的はライフか除去か

《溶岩の撃ち込み》

溶岩の撃ち込み

『神河物語』に収録された《溶岩の撃ち込み》はソーサリーながら1マナ3点の火力。当時はプレインズウォーカーが存在していなかったため、プレイヤーのライフを減らすための火力でした。ほかに使い道はなく、文字通りプレイヤーのライフを3点減らすだけのカードだったのです。一時は強力な単体火力が増えたこともあり、フルバーンが登場して一定の成果を収めました。

しかし代わってクリーチャーをベースにしたボロスアグロが登場すると、その存在は静かに消えていきました。クリーチャー主体のデッキということもあり、除去の役割を失った1マナ火力よりも、対象の広い2マナ火力に軍配が上がります。

稲妻稲妻の連鎖溶岩の撃ち込み

蛇足になりますが、《溶岩の撃ち込み》はモダン以下のフォーマットでは今なお活躍中です。バーンデッキにとっては1マナ3点はあればあるほど嬉しく、プレイヤーを対象にとる限りは《稲妻》《稲妻の連鎖》《溶岩の撃ち込み》も大差ありません。

そして時は流れて『ニューカペナの街角』。ついに《溶岩の撃ち込み》の半身とも言えるカードが登場するに至ります。限りなく《稲妻》に近いカードがデザインされたのです。

《絞殺》

絞殺

《絞殺》は限りなく《稲妻》に近い使用感でありながら、そのテキストには赤最大の魅力でもあるプレイヤーの文言が含まれていません。あくまでも1マナのソーサリーの、クリーチャー(とプレインズウォーカー)除去です。

《ショック》が登場したころに比べてると現在はクリーチャーの質が向上していますが、《絞殺》の前では大差ありません。3点火力はクリーチャーの大半を焼き払い、テンポ面でリードさせてくれるカードなのです。

《絞殺》の可能性

と、《絞殺》の強味を語ってきましたが、実際にスタンダードで活躍の可能性はあるのでしょうか?

棘平原の危険棘平原の危険

現在のスタンダードには同じ1マナ火力として、呪文/土地の両面カードである《棘平原の危険》があります。こちらはモードが2つあるため用途の広く、無駄になりにくいデザインです。なんせ呪文として適切に機能しない場合には土地として置けば良いのですから。

また、ダメージ量こそ1点ですが、インスタントは無視できない一文。《光輝王の野心家》の能力誘発前に対処できる貴重な存在なのです。

《絞殺》はソーサリーであるため《光輝王の野心家》を前にすると一歩遅れてしまいますが、1マナでタフネス3までのクリーチャーを対処できる点は侮れません。スタンダードのクリーチャーをみてみましょう。

群れ率いの人狼ルーン鍛えの勇者結ばれた者、ハラナとアレイナ

こちらはタフネス3のクリーチャーたち。ほかの有力な除去対象としては《樹海の自然主義者》《霜剣山の製錬者》などがあげられます。ブロッカーをどかしつつダメージを稼ぐことを考えると《魅せられた花婿、エドガー》などタフネス4のクリーチャーが出る前が使いどころ

血に飢えた敵対者絞殺勝負服纏い、チャンドラ

たとえば《血に飢えた敵対者》+《絞殺》の動きで相手のボードを空にしつつ2点のダメージで先行したり、《勝負服纏い、チャンドラ》+《絞殺》で更地にプレインズウォーカーと理想的なボードを築くことができます。マナコストの軽さを生かした攻撃的なデッキこそ《絞殺》の生きる道なのです。

『ニューカペナの街角』が多色エキスパンションということで出足の遅いデッキが登場する可能性があります。そんなタイミングで赤単は最高のアーキタイプの一つであり、場を持たせるために出されたクリーチャーは《絞殺》の良い的となりえます。赤の本分ともいえる直接火力の役割を失ってしまいましたが、環境の主体がクリーチャーである限りは1マナ3点は無視できない存在なのです。

下記のデッキリストはオンラインイベント好成績を残したリストを元に、《絞殺》を入れ替えサンプルデッキになります。

#2aデッキ名

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おわりに

今回は《稲妻》の代表される火力の歴史を振り返りつつ、《絞殺》の可能性を探ってきました。残念ながら《絞殺》にはそれ単体で赤系アグロを復権させる力はありません。

しかし、メタゲームいかんによっては高効率のテンポ火力として、自軍を強力にバックアップしてくれるでしょう。単色アグロの前に立ちふさがるブロッカーを薙ぎ払い、動きのにぶい多色デッキを仕留める手助けとなります。マナコストが高くタフネス3以下のクリーチャーは《絞殺》の良い的でしかありません。

今週末には『ニューカペナの街角』環境初陣戦が控えていますね。上位デッキに《絞殺》の姿はあるのでしょうか?

なお、2022年4月29日(金)発売予定の『ニューカペナの街角』ですが、現在晴れる屋ではシングルカードの予約受付中となっております!下記のリンクより『ニューカペナの街角』の商品ページへ繋がっておりますので、ぜひ、ご活用ください!!

『神河:輝ける世界』

この記事内で掲載されたカード

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。《黄金架のドラゴン》のカードパワーに圧倒される毎日です。 富澤 洋平の記事はこちら

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