はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
前回は『ニューカペナの街角』初週ということで、新しく登場したジャンドミッドレンジとエスパーミッドレンジをご紹介しました。3色のパワーカードをふんだんに採用できるため、それだけで使っていて楽しいデッキですね。
今回はMOのStandard Challengeの大会結果を振り返っていきます。
先週末の注目トピックは?
前回は『ニューカペナの街角』リリース後初週ということもあり、《敵対するもの、オブ・ニクシリス》や《策謀の予見者、ラフィーン》といったトップレアを軸にしたデッキが活躍していました。2週目を迎えて環境はどのように変化したのでしょうか?
大きなトピックとしてはトップの入れ替わりがあげられます。ジャンド-エスパーの2大ミッドレンジ環境は崩れ、より攻撃的な方向へシフトしていたのです。
現在のスタンダードの焦点は最序盤で複数枚の脅威を確立できるか否かにあります。クリーチャーとプレインズウォーカーを絡めたマウントの取り合いとなる攻め手有利の環境。なかでもエスパーミッドレンジは脅威の種類と質、数のどれも層が厚く、一歩リードしています。
《光輝王の野心家》から《策謀の予見者、ラフィーン》、《放浪皇》と流れるようにマスト除去対象が展開され、後手に回ってしまうと息つく暇すらありません。対応する側は撃ち漏らすことなく適切なタイミングで適切な除去呪文を引き込まねばならず、ドローの要求値が上がっています。
しかし、攻め手を押しつける環境とはタップアウトでの挙動が多くなったことを意味します。パーマネント重視、ソーサリータイミングでの行動過多の環境となってナヤルーンの立ち位置は向上していたのです。ビートダウンとコンボのハイブリッドであるナヤルーンはライフを攻めてプレッシャーをかけ、隙をついて一気にバーストダメージコンボをしかけます。タップアウトしたが最後、《ルーン》連打により一気にライフを削りきられてしまいます。
ナヤルーンが最適解と見抜いたプレイヤーは多く、メタゲーム上でもエスパー、ジャンドと肩を並べるほど増加しています。わずか1週間でメタゲームの頂点はエスパーとジャンドからナヤルーンへと動いたのです。
前置きが長くなりましたが、それでは大会結果をみていきましょう。
Standard Challenge #12416826
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Mogged | エスパーミッドレンジ |
準優勝 | Ivan_Draw_Go | ジャンドトレジャー |
トップ4 | Beekeeper | エスパーミッドレンジ |
トップ4 | Phill_Hellmuth | ナヤルーン |
トップ8 | Lennny | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | rastaf | ナヤルーン |
トップ8 | Teston | ナヤルーン |
トップ8 | Shadowz2005 | ジャンドミッドレンジ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12416826を優勝したのはエスパーミッドレンジを使用したMogged選手。同選手は前日のStandard Challenge #12416816でもトップ8へ入賞しており、ほかのプレイヤーよりも環境理解が進んでいるようです。
Ivan_Draw_Go選手が使用したジャンドトレジャーはジャンドミッドレンジよりも小回りが利き、《黄金架のドラゴン》などの航空戦力が魅力となります。マナ加速から早いターンのドラゴンで先行し、除去呪文やプレインズウォーカーでサポートしていきます。新顔の《焼却するもの、ジアトラ》をはじめさまざまなドラゴンが採用されているためドラゴン好きな方にオススメです。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
ナヤルーン | 12 | 8 |
エスパーミッドレンジ | 6 | 4 |
イゼットコントロール | 3 | 1 |
ジャンドミッドレンジ | 2 | 1 |
白単アグロ | 2 | 0 |
その他 | 7 | 2 |
合計 | 32 | 16 |
《スレイベンの守護者、サリア》が減り、さらにパーマネントを押し付け合うデッキが増えたことで、ナヤルーンが好ポジションとなり一気に増加しています。その読みは的中しており、トップ16の半数を占める結果となりました。
トップ8デッキリストはこちら。
エスパーミッドレンジ
打点の高い2マナ域から《策謀の予見者、ラフィーン》へと繋げ、プレインズウォーカーを交えながら盤面に複数の脅威を展開するエスパーミッドレンジ。本来はコントロール色の強いはずのエスパーにあって攻めが売りの珍しいアーキタイプとなります。前週と比較すると重いカードの一部をインスタントタイミングのカードへと入れ替え、ミラーマッチやミッドレンジ、コントロールへの意識が伺えます。
エスパーミッドレンジは兎にも角にも《策謀の予見者、ラフィーン》の存在によって成り立っているアーキタイプです。着地した時点で攻撃可能なクリーチャーがいれば仕事をしてしまいますし、しかも1マナながら「護法」が対処を難しくしています。《絞殺》や《削剥》など環境にある3点火力をあげればきりがありませんが、それでは届かず。除去を迫りながらも除去に強いクリーチャーなのです。
序盤のプレッシャーを援護するのは各種プレインズウォーカーの役目でしたが、一部が《常夜会一家の介入者》へと変更されています。4マナとやや重いものの、クロックと妨害を1枚でこなす貴重なインスタントタイミングのカードです。地味ながら絆魂が嬉しく、《策謀の予見者、ラフィーン》の「謀議」先にできれば、除去呪文に頼らずにダメージレースを制してくれます。
同じ4マナの《放浪皇》と見分けにくく、相手が重い呪文をプレイしようものなら大きなリターンが見込める1枚です。
サイドボードでは白単アグロ専用だった《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》に注目です。着地した《策謀の予見者、ラフィーン》を後手2ターン目に対処できるカードであり、エスパーミッドレンジが一定数いる限り必須といえる1枚。白以外に対しても一定の効果があるため、ミラーマッチで差をつけたい場合はメインボードへ昇格しても良いでしょう。
ナヤルーン
小型クリーチャーによるビートダウンと、《ルーン鍛えの勇者》《樹海の自然主義者》《スカルドの決戦》によるバーストダメージコンボの二軸で攻めるナヤルーン。前環境からデッキパワーの高さは証明済みであり、使い時かどうかは《スレイベンの守護者、サリア》の数によって決まります。
パーマネント主体の攻撃的な環境になったことで、ダメージレースにも強いナヤルーンは最盛期を迎えています。
『ニューカペナの街角』から唯一加わっているのが《ジェトミアの庭》。要求の厳しい色マナを過不足なく供給し、マナベースの強化に貢献してくれています。
特にメインボードに《鏡割りの寓話》が採用されて以降色マナの要求が厳しくなっています。うっかり序盤に小道で赤マナを用意してしまうと《樹海の自然主義者》や軽くなった《強力のルーン》をプレイできないなど、マナを最大限使い切れません。タップインのデメリットはありますが、ナヤルーンは基本的に2ターン目から展開していくデッキであり、テンポロスよりも色マナ問題供給が勝ります。
軽いクリーチャーでの競り合いが増えたことでメインボードに除去呪文の採用が増えています。《監禁の円環》はエンチャントであるためデッキとの噛み合いも良く、話題の《策謀の予見者、ラフィーン》を3ターン目に対処できます。《仮初めの時間》や《ポータブル・ホール》、《絞殺》など候補がありますが、メタゲームが変化しない限りは《監禁の円環》がベストな選択肢です。
その他の大会結果
Standard Challenge #12416816
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Venom1 | オルゾフミッドレンジ |
準優勝 | ZC1997 | ナヤルーン |
トップ4 | rastaf | ナヤルーン |
トップ4 | Mogged | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | _Shatun_ | 緑単ランプ |
トップ8 | Soondubu | ジャンドミッドレンジ |
トップ8 | sokos13 | ジャンドミッドレンジ |
トップ8 | scipios | イゼットコントロール |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12416816を制したのはオルゾフミッドレンジ。かなりコントロール寄りであり、《レイ・オヴ・エンフィーブルメント》や全体除去5枚とパーマネント重視の環境を意識した構築となっています。
ここにきてイゼットコントロールも復活の兆しを見せています。scipios選手が持ち込んだのは打ち消し呪文は一切採用せず、火力やバウンスで時間を稼ぐボードコントロールデッキ。フィニッシャーは《溺神の信奉者、リーア》に加えて、《秘儀の砲撃》が担います。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
ナヤルーン | 8 | 6 |
エスパーミッドレンジ | 5 | 1 |
ジャンドミッドレンジ | 3 | 2 |
オルゾフミッドレンジ | 2 | 2 |
ラクドスサクリファイス | 2 | 2 |
その他 | 12 | 3 |
合計 | 32 | 16 |
こちらでもナヤルーンが最大母数となり、使用者のほとんどがトップ16まで進む勝ち組となっています。ジャンドミッドレンジ単体除去を2桁近く採用しており、その除去も《電圧のうねり》や《土建組一家の魔除け》など《策謀の予見者、ラフィーン》を対処できるものばかりが選択されています。
トップ8デッキリストはこちら。
Crokeyz Streets of New Capenna Tournament
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Mikolaj Drzewiecki | エスパーミッドレンジ |
準優勝 | Eliott_dragon | エスパーミッドレンジ |
トップ4 | Will Race | マルドゥミッドレンジ |
トップ4 | Amanda Cossai | ジェスカイオパス |
トップ8 | SirHamilton1 | ジャンドミッドレンジ |
トップ8 | Pablo Gatica | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | Santiago Roldan | 白単コントロール |
トップ8 | scottynada | イゼットコントロール |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者257名で開催されたCrokeyz Streets of New Capenna Tournamentは大本命エスパーミッドレンジを使用したMikolaj Drzewiecki選手が頂点をとっています。
今回のデッキは珍しく《光輝王の野心家》が不採用となり、代わりに《フェアリーの荒らし屋》と《忘却の虚僧》が採用されています。どちらも《策謀の予見者、ラフィーン》とより相性が良く、ダメージレースを意識したクリーチャー選択となります。《忘却の虚僧》は中盤以降アドバンテージ源になるもの見逃せません。
メタゲーム
デッキタイプ | 1日目 | 2日目 |
---|---|---|
エスパーミッドレンジ | 37 | 6 |
ジャンドミッドレンジ | 31 | 2 |
ナヤルーン | 28 | 2 |
ラクドスサクリファイス | 18 | 1 |
白単アグロ | 11 | 0 |
緑単アグロ | 11 | 0 |
オルゾフミッドレンジ | 8 | 0 |
エスパーコントロール | 8 | 0 |
オルゾフ天使 | 6 | 1 |
ジェスカイコンボ | 5 | 1 |
その他 | 94 | 3 |
合計 | 257 | 16 |
メタゲーム全体ではエスパーとジャンドの両ミッドレンジ、ナヤルーンの3強だったものの、2日目への進出結果を見るに勝ち組はエスパーミッドレンジとなっています。白単と緑単の両単色アグロを選択したプレイヤーもいましたが、収穫が少ないためか誰一人として2日目へ進出することはかないませんでした。単色アグロにとってしばらくは冬の時代となってしまいそうです。
トップ8デッキリストはこちら。
$500 Cash GGtoor M:TG Arena Duel #12
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Evgenii Medvedev | ナヤルーン |
準優勝 | Russell C | ラクドスサクリファイス |
トップ4 | Fernando Moneo | 白単アグロ |
トップ4 | Augusto Lespier | イゼットコントロール |
トップ8 | Zachary Okorn | ジャンドミッドレンジ |
トップ8 | Santi Delgado | ナヤルーン |
トップ8 | Philip Mahr | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | Muhammad Hussam | ナヤルーン |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者163名で開催された$500 Cash GGtoor M:TG Arena Duel #12はEvgenii Medvedevが優勝しています。使用したナヤルーンには《ジェトミアの庭》が4枚採用されており、赤マナに余裕ができたためサイドボードに《絞殺》がとられています。《策謀の予見者、ラフィーン》こそ対処できないものの、マナコストの割に範囲の広い除去呪文となります。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 | トップ16 |
---|---|---|
エスパーミッドレンジ | 28 | 1 |
ジャンドミッドレンジ | 24 | 3 |
ナヤルーン | 15 | 4 |
ラクドスサクリファイス | 14 | 2 |
白単アグロ | 11 | 1 |
緑単アグロ | 7 | 1 |
ジェスカイコンボ | 5 | 0 |
オルゾフ天使 | 5 | 0 |
エスパーコントロール | 5 | 0 |
その他 | 58 | 4 |
合計 | 163 | 16 |
エスパー、ジャンド、ナヤルーンの3強構造に代わりはないものの、一転して勝ち組となったのはジャンドとナヤルーン。ラクドスサクリファイスも複数名トップ16へ残るなど《敵対するもの、オブ・ニクシリス》が活躍した大会となりました。
トップ8デッキリストはこちら。
おわりに
今回は活躍を続けるエスパーミッドレンジと増加傾向にあるナヤルーンをご紹介しました。軽いクリーチャーを強化していく両デッキはダメージレースをリードしやすく、対処を間違えればそのままゲームを終わらせるだけの攻撃力と脅威を備えています。
対抗馬となるコントロールやミッドレンジは現れないのでしょうか?
次回もスタンダードの情報をお届けしたいと思います。それでは!