【予算1万】チャレンジャーデッキを強化しよう ~グルール・ストンピィ~

晴れる屋メディアチーム

(編集者注:この記事は2022年5月7日(土)に執筆されたものであり、カード価格も同日時点のものとなります。)

チャレンジャーデッキをパワーアップ!

みなさんスタンダードで遊んでますか?4月1日に『チャレンジャーデッキ2022』が発売されたことで以前よりも気軽に参入できるようになりましたね。

これだけでも遊べますが、どうせなら今あるデッキをもっと強化したくありませんか?ちょうど発売されたばかりの『ニューカペナの街角』にも相性の良いカードがあるはずです。

そこで今回はHareruya Prosの面々に予算1万円程度でチャレンジャーデッキを強化していただきました。初回は日本人Hareruya Prosの佐藤 啓輔選手、担当デッキは「グルール・ストンピィ」です。

デッキコンセプトの確認

佐藤 啓輔

今回企画に強力していただく佐藤 啓輔選手は構築戦のスペシャリスト。グランプリや日本選手権でトップ8入賞歴があり、さらに昨年開催されたチャレンジャー・ガントレットで勝利したことで、今期は競技マジックの最高峰に位置するMPL(マジック・プロリーグ)へと招待されています。ミッドレンジをこよなく愛する佐藤選手により「グルール・ストンピィ」はどのように生まれ変わるのでしょうか。

メディアチーム「本日はよろしくお願いします。自分はグルール・ストンピィをそのまま使ってるんですが、メジャーどころと比べるとパワー不足を感じています。友達のトレードチームくんに勝てるようにしてください!どのカードから入れ替えていきましょうか?」

ヤスペラの歩哨厚顔の無法者、マグダ

佐藤「いきなりデッキを改造する前にグルール・ストンピィのコンセプトから確認していきましょう。グルール・ストンピィは、《ヤスペラの歩哨》《厚顔の無法者、マグダ》などでマナ加速して、素早く巨大クリーチャーへと繋げるデッキです。マナコストの高いクリーチャーが本来よりも早いターンに出てくればそれだけで脅威ですし、しかも速攻持ちならば相手に準備する時間を与えません」

ウルヴェンワルドの奇異黄金架のドラゴン

メディアチーム「《ウルヴェンワルドの奇異》《黄金架のドラゴン》が1ターンでも早く出せれば、対処する側も簡単にはいきませんよね。サイズにものをいわせてそのまま押しきれます

佐藤「十分よくできたデッキではありますが、イベントへ持ち込むとなるとパワー不足です。マナ加速役のクリーチャーを引けないと何もできませんし、せっかく出した高コストのクリーチャーを除去されて攻め手がなくなってしまうこともあります。今回は元のコンセプトはそのままに、安定してマナ加速しつつ除去に耐性のあるフィニッシャーを増やしていきます

デッキコンセプトを生かしたカード選び

宝物・トークンを生成しよう

ヤスペラの歩哨厚顔の無法者、マグダ

佐藤「まずはデッキのベースとなるマナ加速部分です。《ヤスペラの歩哨》《厚顔の無法者、マグダ》はそのままに、《闇市場の巨頭》《絡みつく花面晶体》《顔壊しのプロ》の3種類を追加します」

メディアチーム「《闇市場の巨頭》《顔壊しのプロ》は『ニューカペナの街角』で加わったカードですね」

闇市場の巨頭

佐藤「《闇市場の巨頭》《厚顔の無法者、マグダ》と同じく2マナのマナ加速クリーチャーであり、この手のカードにしては珍しく戦闘向きなサイズでもあります。序盤は宝物・トークンを生成して、中盤以降は攻撃へ回しましょう。デメリットがついていますが、宝物・トークンはマナ加速して使い切るためほとんど気になりません」

顔壊しのプロ

佐藤「《顔壊しのプロ》はいずれかのクリーチャーがプレイヤーへ戦闘ダメージを与えることで宝物・トークンを生成してくれる攻撃的なマナ加速カードです。自身が威迫を持っているため単体でも活躍できます

当たり牌は?

黄金架のドラゴントヴォラーの猟匠

メディアチーム「宝物・トークンを生成するカードが増えたことで、安定してマナ加速が見込めますね。次はどういったカードを採用するのでしょうか?」

佐藤「マナ加速カードを増やしたところで、次はこのデッキの攻撃役となる中~重量級クリーチャーを選定していきます。元々入っていた《黄金架のドラゴン》《トヴォラーの猟匠》はそのままに、《作業場の戦長》《産業のタイタン》を追加します」

作業場の戦長ショック

佐藤「《作業場の戦長》は1枚で何度も美味しい強力なクリーチャーです。死亡時に4/4トークンを生成する場持ちの良いクリーチャーであり、追放除去を持たないデッキにとっては非常に厄介な存在となります。『奇襲』があるため疑似速攻をいかして最後の一押しとして働く場面もあります」

産業のタイタンショック

佐藤「《産業のタイタン》は、このデッキの切り札です。先ほどの《作業場の戦長》と同様に1枚で複数の効果を持つクリーチャーであり、状況に合わせて効果を選べる柔軟性が魅力となります」

メディアチーム「速攻こそありませんが、代わりにライフ回復があるため、どちらのクリーチャーもダメージレースでも消耗戦でも活躍が期待できる万能感あるカードですね」

デッキを整える

メディアチーム「宝物・トークン生成カードとフィニッシャーを追加したことで、デッキリストも完成が近づいてきていますね」

電圧のうねりショック

佐藤「今度は自分の展開を助けるカードだけではなく、相手の脅威へ対処できる除去カードを追加します。今回は《電圧のうねり》です。《闇市場の巨頭》など宝物生成カードが増えたことでアーティファクトを確保しやすくなり、1マナ4点火力として見込めます」

轟く叱責

メディアチーム「同じ4点ですと元のデッキリストに追加コストなしで使える《轟く叱責》が入っていましたが、入れ替えた理由を教えてください」

佐藤「最大の違いはマナコストにあります。差にして1マナ分ですが、軽い除去ならば自分の展開を阻害せずに使用できます。『展開 or 除去』ではなく、『展開 and 除去』を狙います。そのためにコストパフォーマンスに優れた《電圧のうねり》へ入れ替えました」

電圧のうねりウルヴェンワルドの奇異轟く叱責茨橋の追跡者
同じ5マナ相当の動きだが

佐藤「たとえば5マナあると仮定して、《電圧のうねり》ならば除去しつつ《ウルヴェンワルドの奇異》で攻撃へ向かえますが、《轟く叱責》の場合は《茨橋の追跡者》を出すだけで終わってしまいますね」

佐藤「今のは極端な例ですが、このデッキは中盤を支えるクリーチャーを減らして高マナ域のクリーチャーを増やしているため、たとえ2マナであっても余分に支払うのは難しく、展開がちぐはぐになってしまうこともあります。マナ加速した後の展開を阻害しないように、除去呪文はできるだけ軽いカードを選ぶようにしましょう

メディアチーム「ちょうど《電圧のうねり》の採用が決まったところで質問なのですが、このデッキは土地の引きすぎに弱かったりしませんか?これだけマナ生成カードばかり増えると、重いカードを使った後もマナ加速カードばかり引いてしまい失速してしまわないか心配です」

厚顔の無法者、マグダ顔壊しのプロウルヴェンワルドの奇異

佐藤「安心してください。このデッキでは宝物・トークンの使い道に溢れています。元々《厚顔の無法者、マグダ》がその役割を担っていましたが、新顔である《顔壊しのプロ》も同じです。このクリーチャーがいれば宝物・トークン1つが疑似ドロー1枚へ変換されます。起動したターン中に使いきらなければならず制限時間こそありますが、このクリーチャーがいれば消耗戦もなんのその。戦場をクリーチャーで埋め尽くしてくれますよ!」

佐藤「また《ウルヴェンワルドの奇異》は4/4速攻ばかりに注目されてしまいますが、『変身』後の姿もお忘れなく。クリーチャーすべてに速攻を付与してくれるためマナに余裕があるときに『変身』させてしまいましょう

土地配分

メディアチーム「よし!これで完成ですね!」

岩山被りの小道岩山被りの小道

佐藤「いやいや、ちょっと待ってください。まだマナベースがそのままじゃないですか?マジックは土地と向き合うゲーム。デッキが円滑に回るように手を加えます。基本地形を《岩山被りの小道》へと入れ替えて、赤マナと緑マナの供給量を増やします」

反逆のるつぼ、霜剣山ショック

佐藤「小道のおかげで色マナにやや余裕ができたので土地の引きすぎを緩和してくれる能力付きの土地も採用します。攻撃的なデッキなので《反逆のるつぼ、霜剣山》を採用しましょう」

絡みつく花面晶体絡みつく花面晶体

佐藤「《作業場の戦長》《産業のタイタン》を追加したことでデッキ全体が重くなりましたが、土地ばかり引いてしまうのは避けたいところです。そこで呪文/土地の両面カードである《絡みつく花面晶体》を採用します。土地の総数を増やしつつ、2マナのマナクリーチャーでもある戦略と噛みあったカードです。タップインのデメリットはありますが、複数のアクション確保も狙えます」

メディアチーム「元のデッキよりも重いカードが増えているので、土地としても呪文としてもカウントできる両面カードは相性が良さそうですね」

生まれ変わったリスト

佐藤「それでは完成したデッキリストを確認していきましょう!」

厚顔の無法者、マグダ闇市場の巨頭顔壊しのプロ

佐藤「繰り返しになりますが、このデッキは宝物・トークンを利用して素早く高マナ域のクリーチャーを展開することを狙いとします。序盤は元々入っていた《ヤスペラの歩哨》《厚顔の無法者、マグダ》に加え、《闇市場の巨頭》《顔壊しのプロ》を利用して、準備を進めます」

作業場の戦長トヴォラーの猟匠電圧のうねり

佐藤「マナが十分用意できたら《作業場の戦長》《トヴォラーの猟匠》を召喚してダメージを稼いでいきます。その際邪魔なブロッカーなどは《電圧のうねり》で除去してしまいましょう」

メディアチーム「余った宝物・トークンを使えば1マナ4点!これに耐えられるクリーチャーはそうそういませんね!」

厚顔の無法者、マグダ顔壊しのプロ

佐藤「宝物・トークンといえば序盤の《厚顔の無法者、マグダ》《顔壊しのプロ》はゲームの後半でも活躍できる起動型能力を持っていることを忘れずに。これらのカードをトップデッキしたときに備えて、余裕があれば宝物・トークンを貯金しておきます」

サイドボードを考える

メディアチーム「よ~し、これでトレードくんに勝てるぞぉ!」

佐藤「メディアチームくん、大事なことを忘れてませんか?テーブルトップのイベントはほとんどが3本制(2本先取)ですよ」

メディアチーム「メインボードがこれだけ完璧でもサイドボードは必要なのですか?」

蛇皮のヴェール

佐藤「サイドボードは、メインボードで相性が悪いデッキや対策が必要なカード、ゲーム展開(ゲームレンジ)が大きく変わる場合のカードを用意します。たとえばせっかくマナ加速して出したクリーチャーが《消失の詩句》されては元も子もないですよね?強力な単体除去から守ってくれる《蛇皮のヴェール》はぜひとも欲しいカードです」

辺境地の罠外し辺境地の罠外し

メディアチーム「なるほど。では、エンチャントやアーティファクト対策はどうですか?《婚礼の発表》で地上を止められた苦い経験がありまして」

佐藤「現在のスタンダードには強力なエンチャントやアーティファクトが蔓延っていますね。生きた置物対策こと《辺境地の罠外し》を採用します。破壊する必要がなければ戦闘に参加できるので便利です」

レンジャー・クラス作業場の戦長

メディアチーム「クリーチャーを親の仇と思うほど除去がたくさん入ったデッキに負けたことがあります。長期戦用のカード、なんてありませんよね?」

佐藤「《レンジャー・クラス》を採用しましょう。《レンジャー・クラス》はメインボードでも良いくらい強力カードではありますが、宝物・トークンを意識した動きを考えると浮いてしまうため抜いています。サイドボードにあればリソース勝負を狙った長期戦で輝きます。《作業場の戦長》と一緒にサイドインすれば、相手は除去を使った分だけ損をする展開にできますよ」

デッキ構築に終わりなし

給付金ジェトミアの情婦、ジニー・フェイ

佐藤「今回採用しなかったカードの中にも、宝物・トークンとシナジーを形成するカードはいくつもあります。《給付金》は余った宝物・トークンをクリーチャー・トークンへ変換してくれますし、そもそも宝物生成自体を直接戦力にしてくれる《ジェトミアの情婦、ジニー・フェイ》も魅力的なクリーチャーです。攻め手が一層厚くなりますね」

黄金架のドラゴン厚顔の無法者、マグダ

佐藤「また、《黄金架のドラゴン》は余裕があれば複数枚採用したいクリーチャーです。単体で強力なことはもちろん、《厚顔の無法者、マグダ》のサーチ先としても優秀ですから。対処された場合も考えると2枚あると嬉しいですね」

メディアチーム「今回ご紹介したカードを下記のリンクにまとめました。ぜひデッキ強化の参考にしてくださいね!


今回は佐藤 啓輔選手にご協力いただき、「グルール・ストンピィ」をパワーアップしていきました。宝物・トークンを生成できるクリーチャーを増やしたことで戦略は格段に安定し、除去に強いクリーチャーを採用したため攻め手が途切れなくなっています

デッキコンセプトがしっかりしていれば、それに沿ったカードと入れ替えるだけで見違えるデッキとなるとわかりました。『ニューカペナの街角』環境のスタンダードはまだまだ始まったばかり。これからも楽しんでいきましょう!

次回は、ハビエル・ドミンゲス/Javier Dominguez選手が「ディミーア・コントロール」をお届けします!

佐藤 啓輔 (Twitter / Twitch)

この記事内で掲載されたカード

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