はじめに
みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。
前回は速攻クリーチャーを軸にしたグルールアグロをご紹介しました。《ヤヴィマヤの偶像破壊者》の爽快感と破壊力は一度使えば病みつきになること間違いなし。出だしの遅いデッキを咎める存在であり、ミッドレンジは採用する除去を見直す必要が出てきます。
今回はStandard Challengeの大会結果を振り返っていきます。
先週末の注目トピックは?
グルールアグロが登場したことで重いパワーカードを撃ち合う環境から、やや軽めにシフト。《絶望招来》のようなフィニッシャーを残しつつ、除去やクリーチャー選択が軽量化されています。
ミッドレンジが対クリーチャーに舵を切った瞬間にコンボデッキも誕生しています。これによりアグロ、ミッドレンジ、コンボと一夜にして彩豊かな環境へと様変わりし、さまざまなデッキが姿を現しています。
対クリーチャー
アグロデッキが増えたなら地上戦に強いデッキを選択するのはありです。ラクドスサクリファイスはその典型であり、地上を固めて《鬼流の金床》などでライフを守りつつ、《食肉鉤虐殺事件》で一網打尽にしてしまいます。細かい除去も多く、より対クリーチャーにシフトしたアーキタイプです。
ジェスカイミッドレンジはインスタントとソーサリーに寄せたデッキであり、小型クリーチャーは瞬時に消し炭と化してしまいます。クリーチャー対策でありながら、同時にエンチャントやアーティファクトも対処できる効果範囲の広いカードがあり、ミッドレンジ戦でも完全に無駄にならないように選択されています。
新鋭
ナヤルーンでお馴染みだった《樹海の自然主義者》を使ったエンチャントデッキも登場しています。今までになかったアーキタイプの登場は、メタゲームにどのような変化を与えるのでしょうか?
それでは大会結果をみていきましょう。
Standard Challenge #12476790
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | ura_frst | エスパーミッドレンジ |
準優勝 | XlperTxT | ジャンドミッドレンジ |
トップ4 | Matti | グリクシスミッドレンジ |
トップ4 | unagieel | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | _Falcon_ | グリクシスミッドレンジ |
トップ8 | jessy_samek | グリクシスミッドレンジ |
トップ8 | AlphaFrog | ラクドスサクリファイス |
トップ8 | Graciasportanto | ラクドスサクリファイス |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12476790はエスパーミッドレンジを使用したura_frst選手。《絶望招来》を採用した黒ベースのデッキですが、ミッドレンジマッチで差をつけるべく《かき消し》を採用しています。
トップ8に《命取りの論争》を失い弱体化していたラクドスサクリファイスが入賞しています。代わってリソース獲得手段に見出されたのは《要塞の闘技場》。戦闘ダメージを与える必要はありますが、これ1枚で継続的なドローが見込めます。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
グリクシスミッドレンジ | 9 | 4 |
エスパーミッドレンジ | 6 | 5 |
ラクドスサクリファイス | 4 | 2 |
黒単ミッドレンジ | 2 | 1 |
ナヤエンチャント | 2 | 1 |
その他 | 9 | 3 |
合計 | 32 | 16 |
トップ8デッキリストはこちら。
ナヤエンチャント
同大会で11位に入っていたhodortimebaby選手のナヤエンチャントをご紹介します。ナヤエンチャントはクリーチャー化する英雄譚をベースにしたコンボデッキ。採用されている英雄譚はどれも性能が高く、単体で攻防に参加し、ゲームを動かしてくれます。戦場にエンチャントをバラまき、《ドーンハルトの殉教者、カティルダ》や《神聖なる憑依》のトークンで勝負を決めます。
《神聖なる憑依》を貼った状況で、十分なマナと《樹海の自然主義者》、そして《調和の儀式》が揃えばコンボ開始です。《調和の儀式》解決後、マナの限りエンチャントをプレイしていきます。すると《神聖なる憑依》のトークンで1枚、エンチャントが着地して1枚と、1枚のエンチャントで2枚のカードが引ける計算になります。
この工程をマナの続く限り繰り返すことで戦場は巨大なトークンで埋め尽くされ、溢れんばかりのカードが手に入ります。ひとたび回りだせば全体除去1枚程度なら楽に復旧できるほどのアドバンテージが稼げます。
《調和の儀式》のポイントはドローの誘発タイミングにあります。「クリーチャーやエンチャントのうち1つがあなたのコントロール下で戦場に出るたび」とあるため、《永岩城の修繕》のII章でクリーチャーを戻したときや《婚礼の発表》でも誘発するのです。どんどんドローを進めていきましょう。
また、《調和の儀式》には「フラッシュバック」が付いているため、中盤に1度1~2枚引いてマナを増やしたりコンボパーツを揃えるなど下準備にも使えます。一体なぜ、「フラッシュバック」が…。
《麒麟の教え》は第二の《婚礼の発表》と言えなくもないカード。クリーチャートークンを生成しつつ、ボード強化してくれます。「切削」過程で墓地へ置かれたパーマネントは《永岩城の修繕》で回収してしまいましょう。《調和の儀式》解決後ならば2マナ2ドローと破格のコストパフォーマンスを誇ります。
Standard Challenge #12476829
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | JUJUBEAN__2004 | ボロスリアニメイト |
準優勝 | LukasDusek | ジェスカイミッドレンジ |
トップ4 | Salvatto | ラクドスサクリファイス |
トップ4 | LucasG1ggs | 黒単ミッドレンジ |
トップ8 | Graciasportanto | ラクドスミッドレンジ |
トップ8 | bless_von | エスパーレジェンズ |
トップ8 | thebuttermerchant | アゾリウスミッドレンジ |
トップ8 | Rocardito | アゾリウスフラッシュ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
Standard Challenge #12476829はボロスリアニメイトが制しています。トップ8にはミッドレンジやサクリファイス、フラッシュなどさまざまなアーキタイプが残っています。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
エスパーミッドレンジ | 9 | 4 |
グリクシスミッドレンジ | 6 | 3 |
黒単ミッドレンジ | 4 | 2 |
ナヤエンチャント | 3 | 1 |
ラクドスサクリファイス | 2 | 2 |
その他 | 8 | 4 |
合計 | 32 | 16 |
トップ8デッキリストはこちら。
ジェスカイミッドレンジ
ジェスカイミッドレンジはクリーチャー除去を中心に構築されたコントロール色の強いデッキです。インスタントトリックで相手の脅威へ対処し、《勢団の銀行破り》でドローを進めていきます。最終的にプレインズウォーカーや《溺神の信奉者、リーア》で呪文を使いまわし、ゲームへ幕を引きます。
《怒りの大天使》はカタログスペックこそ高いものの、環境当初はミッドレンジデッキばかりが活躍したことで日の目をあびることはありませんでしたが、グルールアグロが一定の成果を上げたことで採用されるにいたりました。クリーチャーやプレインズウォーカーを対処しつつ、ときには直接火力としてプレイヤーへも打ち込める使い勝手の良いカードです。
絆魂があるためダメージレースに強く、除去の薄い小型クリーチャーベースのデッキにとっては天敵と言えます。アグロデッキに比例して採用枚数は増加してきます。ダメージの発生源は自身にあるため、「キッカー」すればライフ回復としても使えます。
全体除去は新顔の《時の火炎嵐》。クリーチャーとプレインズウォーカーを同時にさばけるリセット呪文であり、《黙示録、シェオルドレッド》や《ヴェールのリリアナ》、《穢れたもの、ソルカナー》など環境に蔓延る高タフネスクリーチャーをまとめて処理できます。
自分のパーマネントも巻き込んでしまいますが、「キッカー」を支払えば一時的に避難できます。マナが余る中盤では、相手のボードだけに壊滅的な打撃を与えられるのです。
《日没を遅らせる者、テフェリー》は青のプレインズウォーカーのなかでは珍しい、疑似マナ加速を内蔵しています。対象にとるべきアーティファクトを探してデッキリストを眺めていたところ《セレスタス》が目に留まりました。
コントロールなどでときたま採用されている《セレスタス》が戦場にあれば、《日没を遅らせる者、テフェリー》を起動することで一気に2マナ増えます。呪文を連打したり、《怒りの大天使》や《時の火炎嵐》の「キッカー」コストを支払うにはピッタリですね。
エスパーレジェンズ
エスパーミッドレンジの中でもクリーチャーをレジェンドに寄せたのがこちらのエスパーレジェンズ。クリーチャーをレジェンドに固めたことで《英雄の公有地》を4枚採用できるようになり、色マナ供給が安定しています。非伝説呪文を最小限に抑えることで《スレイベンの守護者、サリア》のようなメタクリーチャーが採用されており、後続の《策謀の予見者、ラフィーン》は打ち消し呪文や除去をすり抜けて、確実に着地できます。
《夜明けの空、猗旺》は最近ミッドレンジで採用率が上がってきたクリーチャーです。攻防に優れ、警戒があるため白対決でも《放浪皇》で対処されない使い勝手の良いカード。
追放以外で除去されれば、4マナ以下のパーマネントか+1/+1カウンターをばら撒いてくれます。《夜明けの空、猗旺》の着地前に《輝かしい聖戦士、エーデリン》や《婚礼の発表》でクリーチャートークンを並べておきましょう。
デッキ全体をレジェンドでまとめたことで、《アーボーグのラタドラビック》はほかのどのクリーチャーが死亡したとしても複製を生成してくれます。たとえば呪文ベースのデッキの天敵である《スレイベンの守護者、サリア》の枷を外すには、相手は1マナ増えた状況で2回除去する必要があるのです。自身も除去耐性があり、見た目以上に厄介な存在です。
統率者戦で注目されている《英雄の公有地》は、エスパーレジェンズの足場をがっちりと固めてくれています。一番上に書かれた好きな色マナは伝説呪文を唱えるのに使えるため、プレインズウォーカーであっても問題ありません。このカードこそ、このアーキタイプのキモなのです。
緊急時には《タミヨウの保管》のようにプレイでき、何枚引いても無駄になりません。
おわりに
今回はナヤエンチャントやエスパーレジェンズなど一風変わったデッキをご紹介しました。ナヤエンチャントは下準備にやや時間がかかるものの、英雄譚でボードを作り上げ、回りだせば圧倒的な展開力を見せてくれます。ぜひ、お試しあれ。
いよいよ今週末より、チャンピオンズカッププレミアム予選がスタートします。フォーマットはご存じの通り、スタンダード。次回はそちらの情報をお届けします。それではまた!