スタンダード情報局 vol.101 -肉が先か、盾が先か-

富澤 洋平

はじめに

みなさんこんにちは。晴れる屋メディアチームの富澤です。

先週末は競技イベントの最高峰である第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権が開催されました。《食肉鉤虐殺事件》禁止後のスタンダードということで、トッププロがどんなデッキを持ち込むのか一際強い関心が集まっていたと思います。

現在、日本各地でチャンピオンズカップ予選が絶賛開催中です。予選参加を考えているプレイヤーにとって、世界選手権の結果はスタンダードが向かう先を示す道しるべとなるもの。さぁ、スタンダードの次のステップを見ていこうではありませんか。

今回は第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権とプレミアム予選の大会結果を振り返っていきます。

先週末の注目トピックは?

今回取り上げるのは世界選手権です。閉鎖的なメタゲームとはいえ、7割近くのプレイヤーがエスパーミッドレンジこそ最適なデッキと考えていました。

エスパーミッドレンジの強さについてはいまさら語るまでもないでしょう。良質なダメージソースとバックアップする呪文、メタゲームに合わせて選択される干渉手段とどこを見ても隙がありません。

では、どのプレイヤーもまったく同じエスパーミッドレンジを使用していたのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。ミラーマッチの増加は予想されており、各プレイヤー(チーム)は打倒エスパーを掲げたエスパーミッドレンジを持ち込んでいました。それこそチームの個性が色濃く出たデッキリストを。

イーライ・カシス

たとえば、トップ4に2名を送り込んだイーライ・カシス/Eli Kassis選手のチームはリアクションスペルを最小限におさえ、代わりにクリーチャーをたっぷりと採用した、より攻撃に特化した構築を持ち込みました。

2~5マナ域まで優良クリーチャーを詰め込み、戦場にダメージソースを展開することに重きをおいています。《敬虔な新米、デニック》を4枚採用した選択からは、後手であろうともダメージレースを制するという強い意志を感じます。

カール・サラップ

対して、カール・サラップ/Karl Sarap選手が持ち込んだのはインスタントによる捌くことを意識したエスパーミッドレンジでした。中核となる2マナ-《策謀の予見者、ラフィーン》の攻撃的なパッケージは残しつつも、2マナ以下に10枚ものインスタントトリックを採用していたのです。《かき消し》は先手3ターン目の《策謀の予見者、ラフィーン》《婚礼の発表》に対する完璧な解答であり、それ以降の重いマナ域への抑止にもなっています。

勢団の銀行破り眼識の収集

《勢団の銀行破り》《眼識の収集》へ変更する徹底ぶりであり、常に2マナ構えながら動くことが念頭におかれ構築されています。《眼識の収集》《黙示録、シェオルドレッド》の影響を受けずにリソースを伸ばせる利点もあります。

彼らに限らず、これまで固定枠と考えられていた《勢団の銀行破り》をごっそり排除して、クリーチャーや干渉手段へと変更していたプレイヤーが多かったのも世界選手権の特徴です。エスパーミッドレンジを選択したプレイヤーの内メインボードに《勢団の銀行破り》を採用していたのはわずか2名。サイドボードに採用していたプレイヤーを含めても11名と半数にとどまりました。

漆月魁渡

代わりに目立ったのは《漆月魁渡》の採用です。先手限定でサイドインするプレインズウォーカーですが、マナを使わずに毎ターン追加ドローができます。マナコストの割に忠誠度が高いため戦闘ダメージで破壊しにくく、捌く側に立たされる後手番にとっては非常に厄介な存在だったのです。

前置きが長くなりましたが、それでは大会結果をみていきましょう。

第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 ネイサン・ストイア グリクシスミッドレンジ
準優勝 イーライ・カシス エスパーミッドレンジ
トップ4 ヤクブ・トート エスパーミッドレンジ
トップ4 カール・サラップ エスパーミッドレンジ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者32名で開催された第28回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権はグリクシスミッドレンジを使用したネイサン・ストイア/Nathan Steuer選手が制しました。

絶望招来硫黄泉シヴの浅瀬

ネイサン・ストイア選手のグリクシスミッドレンジは既存のデッキよりもクリーチャーの枚数を絞ったスタイリッシュな構築であり、代わりに2マナ以下のインスタントを増量していました。軽くテンポ面を意識した構築でありながら一定のデッキパワーを維持しているのはフィニッシャーである《絶望招来》を採用しているからでしょう。

序盤から3色用意しつつ、5ターン目にクァドラプルシンボルを達成するためにダメージランドを8枚採用するなどマナベースもギリギリの構築となっています。多少安定性を損なったとしても《絶望招来》は必要不可欠なカードとの判断であり、事実決勝トーナメントでは何度もこのカードで勝利を手にしていました。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数 4勝以上
エスパーミッドレンジ 22 6
ジャンドミッドレンジ 2 0
ジャンドリアニメイト 2 0
青単テンポ 1 1
イゼットテンポ 1 1
グリクシスミッドレンジ 1 1
アゾリウスコントロール 1 0
バントトークン 1 0
マルドゥミッドレンジ 1 0
合計 32 9

デッキ分布もさることながらエスパーミッドレンジの安定感たるや、王道のミッドレンジといったところでしょうか。ミッドレンジを意識したテンポ系デッキこそ勝ち組ではあったものの、エスパーミッドレンジは複数のプレイヤーが5戦中4勝をあげています。逆にメタゲームの狭間にはまってしまったのは重めのジャンドミッドレンジ。誰一人として4勝に届きませんでした。

上位デッキリストはこちら

大会放送リンク:1日目/2日目/3日目

エスパーミッドレンジ

冒頭でも述べた通り、エスパーミッドレンジといってもデッキリストは千差万別。ここでは個別のデッキを深堀りするのではなく、構築理念の異なるエスパーミッドレンジを比較していきます。注目すべきはクリーチャー数と序盤を支える《かき消し》の相関性です。

かき消し

ここではエスパーミッドレンジを大まかに次の3つのパターンに分けていきます。クリーチャー数20枚以上で《かき消し》1枚以下のアグロ型、クリーチャー数が15枚以下で《かき消し》が3~4枚のコントロール型、クリーチャー数が17~18枚で《かき消し》(と場合によっては《否認》も合わせて)2~3枚のバランス型です。

上記の区分に該当しないローガン・ネトルズ/Logan Nettles選手についてはバランス型としています。

プレイヤー名 勝利数 生物数 かき消し
Jakub Tóth 4 20 1
Mike Sigrist 4 20 1
Jim Davis 4 20 1
赤池 庸 4 17 1
Logan Nettles 4 15 1
Karl Sarap 4 13 4
Eli Kassis 3 21 1
Zach Dunn 3 20 0
熊谷 陸 3 17 2
Lukas Honnay 2 20 0
Zachary Kiihne 2 18 2
David Inglis 2 18 2
Tristan Wylde-LaRue 2 18 2
高橋 優太 2 17 3
市川 ユウキ 2 17 2
斉藤 徹 2 17 2
宮野 雄大 2 15 4
Matti Kuisma 2 13 4
八十岡 翔太 2 11 3
Simon Nielsen 1 14 4
小泉 祐真 1 17 2
Jonny Guttman 1 18 2
合計 56勝 / /

このなかでもクリーチャー数20枚以上のエスパーミッドレンジは66.66%と非常に高い勝率を出しています。イーライ・カシス、ヤクブ・トート、マイク・シグリスト、ジム・デイビス選手たち4名が持ち込んだ構築は15勝をあげ、勝率は75%と群を抜いていました。世界選手権における明確な勝ち組だったのです。

敬虔な新米、デニック屍術の俊英、ルーデヴィックしつこい負け犬

彼らのデッキの特徴は2マナ域からクリーチャーを展開し、リアクション呪文を最小限にとどめている点です。先手時の利点を最大限に活かすべく、8枚の2マナ域からゲームをはじめて《策謀の予見者、ラフィーン》《婚礼の発表》へと繋ぎ、相手にプレッシャーをかけ続けます

黙示録、シェオルドレッド夜明けの空、猗旺

仮に序盤を上手く捌かれたとしても後続には《黙示録、シェオルドレッド》《夜明けの空、猗旺》が控えています。「降霊」や「奇襲」を絡めればリソース不足に陥る心配もありません

捌く側からすれば間髪入れずに攻めたてられている感覚であり、これらの脅威すべて的確に対処することは難しいと言わざるを得ません。気がつけば打ち漏らした1枚によりライフを詰められ、リソース差をつけられていたなんてこともあるのです。

切り崩し漆月魁渡

メインボードが直線的な分、サイドボードには打ち消し呪文や全体除去、《漆月魁渡》などが採用されています。リソースを伸ばす《漆月魁渡》ですが、ミラーマッチでは押し切りを狙う先手限定のカードであり、後手時は除去呪文などを優先します。

《切り崩し》は典型的な後手番で強いカードであり、先手3ターン目の《策謀の予見者、ラフィーン》を対処可能。後の先をとり、切り返すには最適な呪文です。

かき消し

対して、カール・サラップ選手こそ4勝をあげましたが、《かき消し》を4枚採用した構築は控えめな結果に終わっています。3勝のデッキを見てもアグロに寄せた形が優勢となっています。

バランス型に関して4勝は赤池 庸選手とローガン・ネトルズ選手です。日本勢以外にデイヴィッド・イングリス/David Inglis選手の調整チームもバランス型を持ち込んでいますが、このチームからは3勝目を手にしたプレイヤーはいません

もちろんマジックはサイドボードを含めた2本先取のゲームであるため、メインボードの構成がすべてではありません。クリーチャー数や《かき消し》以外のカードによる影響が大きかったのかもしれません。

しかしながら、調整チームが異なっていても勝ち組に共通する項目があるのは事実。攻撃的な構成はひとつの答えだと思われます。

イゼットテンポ

優勝者のネイサン・ストイア選手と並んで、本大会をけん引したジュリアン・ウェルマン/Julian Wellman選手。惜しくも決勝トーナメント進出はなりませんでしたが、オリジナルのイゼットテンポを相棒にスタンダードラウンドを4-1の好成績で折り返しました。

ベースにあるのは青単デルバーと呼ばれるインスタント主体のテンポデッキですが、赤を足したことでボードコントロール力が向上しています。ゲームをスローダウンさせ、《傲慢なジン》を守りながらビートダウン完遂を目指します。

傲慢なジン墓所の照光者

《傲慢なジン》はこのデッキのフィニッシャーでありながら、マナ軽減効果を持ち合わせています。これにより《否認》《かき消し》を構えやすく、タップアウトでプレイしない限り隙はほとんどありません。手札に打ち消し呪文がない場合は《下支え》を使い定着を目指します。

青単デルバーの負け筋としてはクロックを対処され長期戦へともつれ込み、《しつこい負け犬》でリソースに差が生まれてしまうということがありました。スタンダードではあまり見かけない《墓所の照光者》ですが、《敬虔な新米、デニック》《しつこい負け犬》の対策として採用されています。

追放の観点では《炎恵みの稲妻》《未認可霊柩車》もありますが、単体でダメージソースと墓地対策、さらにアドバンテージ源の三役を兼ねているのが大きな魅力です。メインボードではマッチアップによる裏目がないカードを採用したいという願いは万人共通であり、最悪でもダメージソースとなる《墓所の照光者》が優先されているのです。

嵐風招来

《嵐風招来》は採用枚数の増えている《夜明けの空、猗旺》に対するメタカード。大胆にもメインボードに採用されており、相手からすれば対応しにくいカードです。パーマネントの少ないデッキであるため、死亡時の誘発型能力で《鏡割りの寓話》《巨竜戦争》が呼び出せれば儲け物でしょう。

チャンピオンズカッププレミアム予選 in MINT渋谷店

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 ナカシマ シュンイチ ジャンドミッドレンジ
準優勝 ヒラヤマ レイ ドメインコントロール
トップ4 コジマ ヨシフミ ドメインコントロール
トップ4 フジワラ コウイチ 青単デルバー
トップ8 ヨシモリ ショウ アゾリウスミッドレンジ
トップ8 ノミヤ ヨウヘイ エスパーミッドレンジ
トップ8 アキヤマ タイチ エスパーミッドレンジ
トップ8 フジイ ユウサク ジャンドミッドレンジ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

メタゲームおよびデッキリストにつきましてはMINT渋谷店様にご協力いただき、掲載しております。

参加者57名で開催されたプレミアム予選(MINT渋谷店)はジャンドミッドレンジを使用したナカシマ シュンイチ選手が権利を獲得しました。大会の特徴として、決勝トーナメントでは準決勝の1試合を除き、先手後手の選択権のあるスイスラウンド上位のプレイヤーが勝利していました。アーキタイプを問わず、先手環境となりつつあります。

意外だったのは青いミッドレンジデッキがすべてトップ8で消滅している点でしょう。重くソーサリータイミングでしか動けないデッキに対してクロック+打ち消し呪文は有効な戦略ですが、後手番が響いたのか勝ちあがることができませんでした。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数 トップ8
エスパーミッドレンジ 14 2
ジャンドミッドレンジ 10 2
グリクシスミッドレンジ 6 0
ドメインコントロール 7 2
イゼットテンポ 3 0
ナヤ人間 2 0
ジェスカイコントロール 2 0
ラクドスミッドレンジ 2 0
ナヤエンチャント 2 0
青単デルバー 2 1
その他 7 1
合計 57 8

エスパー、ジャンド、グリクシスの主要ミッドレンジが過半数を占めていますが、注目すべきはドメインコントロールの増加です。ドメインコントロールと各種ミッドレンジの相性はミッドレンジ側に採用されている打ち消し呪文の枚数に左右されます。しかし、ミッドレンジミラーで差をつけるべく《夜明けの空、猗旺》《産業のタイタン》などの重いカードを採用した構築が増えているのも事実。ドメインが狙ったのはこの部分であり、決勝トーナメントへ2名を送り込むことに成功しています。

アグロデッキであるナヤ人間を選択したプレイヤーもいましたが、エスパーミッドレンジメタの煽りをくらってしまい、降りしきる除去の雨を越えることは叶いませんでした。

トップ8デッキリストはこちら

ドメインコントロール

ドメインコントロールは、その名のとおり「版図」システムを最大限活用したコントロールデッキ《ジェトミアの庭》などを活用して基本土地タイプを揃え、カードの効果を最大限引き出せるように構築されています。5種類の基本土地タイプが用意されていますが、ベースは緑黒であり安定しています。誰もが夢見た《神の乱》でリソースを無限に使いまわせるデッキでもあります。

底への引き込み力線の束縛

各種除去呪文でゲーム展開をコントロールしていくわけですが、ここでも「版図」カードが採用されています。《底への引き込み》は基本土地タイプ1種類につき追加で全体に-1/-1効果を与える全体除去呪文。戦線を横に広げるエスパーや白系ミッドレンジに効果的です。

《力線の束縛》は手軽なマナコストとあらゆるパーマネントを対象に取れる効果範囲の広さが魅力。クリーチャーもプレインズウォーカーも、流行のエンチャントすら対応可能です。《ジェトミアの庭》《ラフィーンの塔》が揃えばタップイン処理しつつ2ターン目からプレイできるのです。

群れの渡り装飾庭園を踏み歩くもの

《ジェトミアの庭》など複数の基本土地タイプを持つ土地カードがあるとはいえ、サポートカードは必要不可欠。《群れの渡り》はライフを回復しつつ基本土地を探せるため、序盤のマナの使い道として最適なカード。後半はフィニッシャーとして真価を発揮し、いつ引いても無駄になりません。

《装飾庭園を踏み歩くもの》《不屈の自然》効果を持ち、土地タイプの整地とマナ加速の二役を兼ねています。重い構築であるため、このカードを利用して《神の乱》を早期にプレイして、ボードでの巻き返しを図ります。アグロ相手には棒立ちですが、ミッドレンジマッチではクロックとしても機能します。

チャンピオンズカッププレミアム予選 in MUGEN TABLE GAMES

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 シミズ ナオト ラクドスミッドレンジ
準優勝 イマダ コウジ ジャンドミッドレンジ
トップ4 スンウック ナム エスパーレジェンズ
トップ4 ホンマ セイキ エスパーレジェンズ
トップ8 イズミ ケント ジャンドミッドレンジ
トップ8 シラキ ケント ドメインアグロ
トップ8 ウエノ タカト グリクシスミッドレンジ
トップ8 コトウダ カズキ エスパーレジェンズ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

デッキリストにつきましてはMUGEN TABLE GAMES様にご協力いただき、掲載しております。

参加者40名で開催されたプレミアム予選(MUGEN TABLE GAMES)はラクドスミッドレンジそ使用シミズ ナオト選手が優勝しました。ミッドレンジの中で《鏡割りの寓話》を採用しつつ、もっとも安定して《絶望招来》をプレイできるアーキタイプです。

アーボーグのラタドラビック残忍な巡礼者、コー追われのエラス

エスパーミッドレンジが複数入賞しているものの、そのすべてがレジェンドタイプというのも興味深い結果です。《アーボーグのラタドラビック》がいれば、手札でかさばったれ同名レジェンドもトークンに変換されるため無駄がありません

コントロール要素もすべてクリーチャーに頼っているため、一方的に不利な場面から巻き返すのは困難です。そのため《残忍な巡礼者、コー追われのエラス》のような延命に長けたレジェンドも採用されています。エラス

トップ8デッキリストはこちら

ドメインアグロ

基本土地タイプを揃えるドメインデッキといえばコントロール寄りのものが大半でしたが、ここでご紹介するのはアグロとなります。基本土地タイプを揃えつつ、序盤から《ニショーバの喧嘩屋》《ラーダの扇動者》を展開し、ライフを攻めていきます。

土地の整地に《装飾庭園を踏み歩くもの》ではなく、《ウェザーシード盟約》が採用されているのもアグロならではの選択でしょう。ライフが二桁を割れば「版図」効果を最大限引き出した《ガイアの力》《ウェザーシード盟約》で瞬間的なダメージ量を増やして押し切りを狙います。

ニショーバの喧嘩屋天使火の覚醒

採用されているクリーチャーはどれもスタッツの優れたものばかり。特に《ニショーバの喧嘩屋》《ジェトミアの庭》1枚で《切り崩し》の射程圏外へと逃れるためテンポを損ないにくく、ダメージ効率も高い素晴らしいクリーチャーです。《天使火の覚醒》《蜥蜴丸》でバックアップすれば、ダメージレースは一方的なものとなります。

ガイアの力タミヨウの保管ウェザーシード盟約

ライフが二桁を割れば《ガイアの力》《ウェザーシード盟約》の出番。タップアウトを狙って一気にダメージを加速させます。この際《タミヨウの保管》とセットで用意しておくことで安全にフィニッシュまでもっていけます。

晴天のスフィンクス

メインボードはアグロ戦略ですが、サイドボードには一転してコントロール用のパーツがぎっしり。相手が軽量除去を増やしたところへ、予想外の角度から《神の乱》《群れの渡り》が襲いかかります。コントロールとしての立ち回るにはリソースを伸ばすカードがやや少ないように見えますが、《タミヨウの保管》にバックアップされた《晴天のスフィンクス》が潤沢な手札を届けてくれます。

その他の大会結果

第21期スタンダード神挑戦者決定戦

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 酒井 達也 エスパーミッドレンジ
準優勝 原 康貴 4色ローム
トップ4 宇都宮 巧 エスパーミッドレンジ
トップ4 井田 裕二 ナヤアグロ
トップ8 箱田 諒 エスパーミッドレンジ
トップ8 中道 大輔 ジャンドリアニメイト
トップ8 中島 駿一 ジャンドミッドレンジ
トップ8 斉田 逸寛 エスパーミッドレンジ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者67名で開催された第21期スタンダード神挑戦者決定戦はエスパーミッドレンジを使用した酒井 達也選手が制しました。クリーチャー数を確保しつつ《かき消し》を採用したバランス型です。メインボードから《ローナの渦》を採用し、《黙示録、シェオルドレッド》《夜明けの空、猗旺》への対策カードを増やしています

トップ8デッキリストはこちら

おわりに

今回は世界選手権を中心に、プレミアム予選の結果をご紹介しました。一口にエスパーミッドレンジといってもさまざまな構築があるようです。初見で相手の戦略を看破するのは難しいかもしれませんが、ゲームを進める内に判明すれば攻略の糸口となるはずです。

力線の束縛

東西のプレミアム予選でアプローチの異なるドメイン系のデッキが入賞していたのも興味深い結果です。構築に制限はかかってしまいますが、それでもなお《力線の束縛》は使うに値するカードのようです。メタゲームに合わせてアグロとコントロールから選択できるため、今後も要注目のアーキタイプです。

次回もスタンダードの情報をお届けしたいと思います。それでは!

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富澤 洋平 晴れる屋メディアチームスタッフです。最近は《黙示録、シェオルドレッド》に夢中な日々です。 富澤 洋平の記事はこちら

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