設定マニアが選ぶ!『ファイレクシア:完全なる統一』推しカード10選!

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは、五度目まして。晴れる屋メディアチーム所属の島田と申します。

前回に引き続き、今回も2月3日に発売される新セット『ファイレクシア:完全なる統一』の中から、個人的に感動したカードやみなさんに伝えたいことがあるカードを紹介していきたいと思います。

今回のセットはデザイナーのMark Rosewater氏(@maro254)いわく「ファイレクシア人であることは楽しい」がテーマ…!?ずいぶん恐ろしいテーマにしてくれるじゃありませんか。

これまでも『インベイジョン』や『新たなるファイレクシア』などファイレクシア勢力がたくさん登場するセットはありましたが、今回はもう次元の隅まで油たっぷり。と同時に、これまでは外部からの侵略者だった彼らの生活感や文化が垣間見られるこれまでにない雰囲気のセットになっているようです。

“完成”された次元を旅するこの企画、よろしければお付き合いください。

なお、私は毎回以下のような基準でカードを選んでおります。

・絵が可愛い

・カードデザインが美しい

・ストーリーでかっこよく活躍する

・翻訳が上手い

・キャラが好き

・昔のカードのリスペクトが詰まってる

・なんか強そう

・ドラフトで100枚ピックしたい

などなど…つまり特別決まったテーマがあるわけではないので、お気楽な気持ちでご覧ください。

また、今回もMTG公式サイトに掲載されている『ファイレクシア:完全なる統一』のストーリーネタバレを含みます。ご了承ください。

それでは始めましょう。

カード紹介

《ファイレクシアの立証者》

ファイレクシアの立証者

ファイレクシアを代表するクリーチャーといっても過言ではない《ファイレクシアの抹消者》(今回も再録されてますね)に、対となる白版のクリーチャーが登場。イラストはヒーローに見えなくもないですが、ミラディンの反乱軍が使う武器が蹴散らされて宙に舞っており暴力的な力を感じさせます。

ダメージを軽減して別のところに飛ばす能力も無敵っぽさがあり、絶望感を与えてくるボス格としてのかっこよさがあっていいですね。単に現代風にデザインしただけかもしれませんが、《ファイレクシアの抹消者》と違ってダメージの発生源のコントローラーを問わないので、自分で与えたダメージを相手に飛ばせるのは白っぽい独善が出てる。

あとなんといってもカード名とフレーバーテキストの対称性が素晴らしい。日本語版もこれに応えて「Obliterator=抹消者」を踏襲した「Vindicator=立証者」という訳になっており、フレーバーテキストもかなり近い文体に仕上がっています。良い仕事してますねぇ。

ただ肝心の再録版《ファイレクシアの抹消者》には新規のフレーバーテキストがあてられており少し残念。過去のカードを知らない人にもリスペクト要素が通じてほしい!なのでここで紹介しておきます。並べると一段とかっこいいでしょ?

ファイレクシアの立証者ファイレクシアの抹消者

《離反ダニ、スクレルヴ》

離反ダニ、スクレルヴ

最初にイラストを見たときは「キモ可愛いイラストだな。今回の小動物レジェンド枠なのかな?」とあんまり設定を意識していなかったんですよ。カードリストが出揃ってから日本語版のカード名を改めて見たら《離反ダニ》つまり君はミラディンの味方側なの!?

いえ敵の敵だからといって味方とは限りませんが、イラストでもファイレクシア側と思しき人の手に噛みついて離反の意志を示しており、只者じゃなさを見せています。しかも、一番「離反」という言葉と縁が遠そうな白のカードなのもすごい。エリシュ・ノーンさん統治上手くいってないんじゃないですか?

機械の母、エリシュ・ノーン

実際に目の前にしたら怖くてそんなこと言えない

能力もちょっと《ルーンの母》っぽい護りの性格を感じさせ、死を恐れず破壊と侵略を振りまきながら突き進むファイレクシアとは一線を画した気配がします。まあ、「毒性」は付けるし起動コストにファイレクシア・マナも使うんだけど。

ほかのカードを見ても彼(?)のバックボーンは分からなかったので、公式で出ている伝説のクリーチャーの紹介記事が待ち遠しい!あの記事は毎回発見があって好きなんだよな。

《実験的占い》

実験的占い

カードリストで初めて見たとき、あまりの強さにびっくりしました。《予期》に「増殖」が付いたのにマナコストもカードタイプも据え置き!《衝動》で見る枚数を1枚少なくした代わりに「増殖」付きと表現したほうがスタンダード的にはわかりやすいかも。

着実な進歩論議を呼ぶ計画

過去の《着実な進歩》《論議を呼ぶ計画》など、1枚で1ドローと「増殖」を兼ねるカードと比較しても申し分のない性能の向上。しかもコモンと入手性も抜群、これはファイレクシア人であることが楽しいですわ。

このカードに限らず、特にインスタントの増殖は「英雄譚」と非常に相性が良いので面白い使い方ができそうです。いきなり《神の乱》が変身!なにかすごいコンボを見つけた方はこっそり教えてください、流行ってそのカードが高騰する前に。

神の乱

スタンダード神でも実績あり

《胆液の合成者》

胆液の合成者

フレーバーテキストにある謎の単語「キラリティー」。これ、授業で見たことあるぞ。具体的な説明を書くとそれだけで記事が埋まってしまうので(あと私が理解で挫折したので)、Wikipediaから引用させていただくと、

キラリティー

キラリティー(英語:Chirality)は、3次元の図形や物体や現象が、その鏡像と重ね合わすことができない性質である。

…だそうです。キラリティーのある物質は、材質が同じでも構造が違うせいで身体の中に入ったときの作用が違う場合があり、特に薬を作るときなどにとても問題になります。しかも「無駄な前駆体」ってことは、一生懸命収率に悩んだりしながらぎらつく油の合成を研究してたんだろうな、そもそもぎらつく油にも我々の世界と同じような物理法則が働いていることにびっくりだ。

そんなにキラリティーに詳しいなら、ぜひ我々の世界に来て研究の成果を教えてほしい。まだわかっていないことがたくさんあるんですよ。あ、もちろんそのときはぎらつく油は全部置いてきていただいて…

容赦無い潮流

でないとこうなっちゃう

《レジスタンスの空番》

レジスタンスの空番

《レジスタンスの空番》

ヴァルショクが「故郷」という言葉を教えた時、これが今まで戦ってきた理由だと彼は悟った。

今回の激エモフレーバーテキストはこれ!《オーガの抵抗者》くん、すっかり立派になって…。

オーガの抵抗者

《オーガの抵抗者》

彼は「故郷」という言葉を持たなかったが、それが守るべき何かであることは知っていた。

何回見てもこういうフレーバーテキストにグッと来ちゃいます。特に今回は「急に侵略者が攻めてきて、故郷を守るために戦う」というよりは「侵略者によって故郷はもうほとんど滅びていて、それでも最後の抵抗のために戦う」といった趣なのでなおさら。戦っているプレインズウォーカーたちも「この次元はもう駄目かもしれないけど、ほかの次元が侵略されないために」的なことを口にしていましたからね。

彼らの抵抗がどういう結末を迎えるのかは『機械兵団の進軍』を待つとしましょう。ミラディン関係の人たち、一回平和な結末を迎えたと思ってもファイレクシアが復活させてまで酷い目に合わせてくるから怖いんだよな…。

鉄のゴブリン、スロバッド球層の追跡者、エズーリ

こんな風に

《偉大なる統一者、アトラクサ》

偉大なる統一者、アトラクサ

テキストを読んだジャッジの9割(独自調査)は同じことを考えたと思います。「バトルって何?」と。

これまでもカード・タイプが増えること自体はありましたが、タイプを表す用語が先に登場して現物のカードがないのは恐らく《タルモゴイフ》の「プレインズウォーカー」以来でしょう。当時も「プレインズウォーカーって何?」という話で持ちきりでしたし、しかも今回はもう一点気になるところが。「部族」がなくなってる!

タルモゴイフ

過去の記事で「前者(部族というカード・タイプ)は二度と採用されない」とまで言われてはいましたが、まさか本流セットから消し去られてしまうとは。あるいは「バトル」と統合される?過去にインタラプトがインスタントに統合されたこともあったので、その可能性がないとは言えませんが、今後のことはウィザーズからの発表を待つしかありません。

もちろんまだ明かされていない「バトル」自体の詳細も気になるところ。アトラクサさんの強さにも関係してくるので、早くいろんなカードが出てきてほしいです。ほかにも気になったことがあるはずなのに、ルールが気になりすぎて新カードタイプのことで頭がいっぱいになっちゃうよ。

《グリッサ・サンスレイヤー》

グリッサ・サンスレイヤー

初代『ミラディン』の主人公である彼女が本セットでも登場。これでミラディン/新ファイレクシアを舞台としたブロックには皆勤賞ですね。

グリッサ・サンシーカー裏切り者グリッサ

今回は特にカード名が切ない。かつて《グリッサ・サンシーカー》が旅の途中で出会った5つの太陽、今や彼女はそれを討つ側になってしまいました。今回のセットは「○○の太陽の黄昏」サイクルもあり、それぞれの法務官の手によって沈みゆくかのように太陽が描かれています。太陽が完全に沈んだとき、光に照らされたミラディンは消え去り真にファイレクシアの闇に包まれる時が来るんだなぁ。

しかしスロバットも生き返った(と言っていいかは微妙だけど)ことだし、案外グリッサ個人としては楽しくやっているのかもしれません。あとプレイヤーに攻撃が通ったときの能力にも気になりポイントがありまして、緑だから《帰化》と同じ効果でアーティファクトが破壊できてもおかしくないのに、今回の彼女はエンチャントしか破壊できないんですよ。彼女なりにこの次元を大事にしている証左なのかもしれない。こんな形で次元愛が証明されるの嫌だなー。

《刃砦の災厄、リーア・イヴォール》

刃砦の災厄、リーア・イヴォール

白を含む4マナ…3/4…このセットに1枚しかない「喚声」持ち…《刃砦の災厄》という二つ名…もしやあなたは、かつての《刃砦の英雄》!?

刃砦の英雄

イラストをよく見たら髪型も馬が付けている鎧もそっくりで、これは間違いないでしょう。攻撃したときの能力も、ファイレクシア流ではありますが1/1のトークンを複数体出すという意味では類似性があります。

しかしトークンを出す能力、細かいところがややこしいですね。例えば以下のような。

対象を選ぶのは戦闘の開始時。なので対象が決まってから攻撃クリーチャーを選ぶし、選ばれたクリーチャーを知ってからブロックできる。

ダメージが軽減されるのはプレイヤーにダメージを与えるときだけ。プレインズウォーカーに攻撃したときや、ブロックされたときは普通にダメージを与える。

・もし対象にしたクリーチャーに二段攻撃があったら、軽減されるのは最初の先制攻撃の分だけ。

・ほかの効果でプレイヤーに与えるダメージが軽減されたら、この効果で軽減できるダメージはないのでトークンは出ない。

プレリリースなどに参加する予定のある方はチェックしておきましょう。英語版はテキストの文字が細かすぎて読みづらいな。

《ファイレクシアの大地図》

ファイレクシアの大地図

今回設定で一番ぐっと来たカードがこれ。フレーバーテキストの「より適切な九層構造」とは何かといいますと、もともとのファイレクシア次元が九層構造だったんですよ。

《第四球層》

イラストにも球状の層が積み重なっていく様子が描かれ、そして最下層にあたる場所からは禍々しい触手が…このままだとカーンか誰かを素材に新ヨーグモスを生み出す、みたいなことをやりはじめてもおかしくない。でもこの触手ってエリシュ・ノーンというよりはシェオルドレッドの系列っぽいけど、法務官同士の権力闘争はどうなったんでしょうね。

グッと来るのはここからで、この『ファイレクシア:完全なる統一』では新しく登場した「球層」の土地タイプを持つカードがちょうど9枚登場しているんですよ!(5色それぞれのコモン土地と、レアの土地4種類)。せっかくだからどの順番なのか教えてほしい、たぶん《記念ファサード》が表層で《種子中枢》が一番最下層だと思うんだよな。

美麗聖堂外科区画ドロス窟
自律焼炉狩猟迷宮
ミレックス記念ファサードマイコシンスの庭種子中枢

待てよ、もしかして「球層」が「九層」ってダジャレの可能性がある?ファイレクシアにダジャレなんて存在するんでしょうか。

《迷宮の頭蓋爆弾》

迷宮の頭蓋爆弾

今回の《呪文爆弾》シリーズは見た目がちょっとグロくなって登場。緑の《迷宮の頭蓋爆弾》はソーサリーながら《捕食者の一撃》相当の効果を発揮します。《捕食者の一撃》には『ミラディン』時代に懐かしい思い出があるので、この機会に語らせてください。

『ミラディン』発売当時、現在は強豪プレイヤーとして特にリミテッドの実力で知られる佐藤 レイ(@r_0310)さんと行きつけのカードショップでよくブースタードラフトをしていました。彼はそのころから非常にリミテッドが上手く、特に攻撃的なデッキを組んで勝ちを重ねていました。

彼曰く「《捕食者の一撃》はブロックされたクリーチャーに使うと+修正で相手のクリーチャーを一方的に倒せるだけでなく、プレイヤー本体にもダメージを与えることができる。例えば3/3同士の戦闘で使うと3/3を倒し、かつプレイヤーに3点ダメージ。これは2マナで《とげの稲妻》の『双呪』(計5マナ)に相当する効果を得ているに等しい」と。

(※当時は現在とドラフトで使用するパックのルールが異なり、『ミラディン』と『ダークスティール』を同時に使用してドラフトを行っていました)

捕食者の一撃とげの稲妻

当時は正直あんまりピンと来ていなかったのですが、『アラーラ再誕』のときにふとそれを思い出して《途方もない力》を使ってみると圧倒的強さ!これ以来、私はすっかりトランプル付き強化呪文のファンになり、セットにそれがあるかないかでリミテッドの勝率に影響が出るレベルになりました。

そんな思い出が蘇ったはいいものの、《迷宮の頭蓋爆弾》は事前に出しておく必要があるうえにソーサリータイミングでしか起動できないので使い勝手は全然違いますね。頼む《剛力化》!トランプルもついでに付けてくれ!

剛力化

おわりに

今回はここまで。ほかにも『ファイレクシア:完全なる統一』にはたくさんの魅力的なカードがありますので、ぜひカードリストを見てお気に入りの1枚を探してみてください。通常版特別版のカードリストを置いておきます。

また『ファイレクシア:完全なる統一』の特設ページがオープンしています!こちらからも各種商品の購入ができるだけでなく、『ファイレクシア:完全なる統一』に関する記事や動画がまとめてご覧いただけますので、ぜひご活用ください!

『ファイレクシア:完全なる統一』特設ページ

それではみなさま、『機械兵団の進軍』でお会いしましょう。また次回!

この記事内で掲載されたカード

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