はじめに
みなさんこんにちは。
先週は日本国内はゴールデンウィークでしたが、レガシーを楽しんでいましたか?
さて、今回の連載では『第22期レガシー神挑戦者決定戦』とMOの『Legacy Challenge』の入賞デッキを見ていきたいと思います。
第22期レガシー神挑戦者決定戦
環境最高のプレインズウォーカー
2023年4月22日
- 1位 Temur Midrange
- 2位 Izzet Delver
- 3位 ANT
- 4位 Sneak and Show
- 5位 8 Cast
- 6位 8 Cast
- 7位 Gruul Initiative
- 8位 Doomsday
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禁止改定後に初めて開催された『第22期レガシー神挑戦者決定戦』は参加者239名と大盛況でした。
環境が激変し、Izzet Delver一強の時代と大きく異なり、コンボやミッドレンジなど多種多様なデッキが活躍しています。特にIzzet Delverが弱体化したことによって、今まで抑えられていたSneak and Showなどコンボデッキの活躍が著しく、上位にも多数のコンボデッキが勝ち残っていました。
そして見事に優勝を果たしたのはTemur Midrangeでした。
デッキ紹介
Temur Midrange
青赤緑の各色から優秀なカードを集めたグッドスタッフデッキ。《ドラゴンの怒りの媒介者》や《タルモゴイフ》といった効率的なクロックで攻め、カウンターでバックアップする動きはTemur Delverと似ていますが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《時を超えた英雄、ミンスクとブー》といったアドバンテージ兼フィニッシャーも搭載されているため、ロングゲームにも対応できる構成になっています。
緑を足すことで《表現の反復》に変わるアドバンテージ源として《森の知恵》や《壌土からの生命》といったカードにアクセスできます。《もみ消し》と《不毛の大地》によるマナ否定戦略も搭載されており、過去のレガシーで活躍していたCanadian Thresholdを彷彿とさせます。
☆注目ポイント
《ミシュラのガラクタ》や「諜報」持ちの《ドラゴンの怒りの媒介者》によって墓地を肥やすのが容易なので、早い段階から《タルモゴイフ》のサイズを上げることができます。
《もみ消し》は相手のフェッチランドの妨害はもちろん、《タッサの神託者》や《孔蹄のビヒモス》といったETB能力や「イニシアチブ」の誘発も対策できるなど、多くのマッチアップで使えます。また《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の誘発型能力をカウンターすることで、墓地に落とさずに場に残すという使い方もできるので覚えておきたいところです。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《時を超えた英雄、ミンスクとブー》といったカードのおかげで、ロングゲームにも対応できる構成になっています。軽いスペルが多く墓地もすぐ肥えるので「脱出」も比較的容易です。
《時を超えた英雄、ミンスクとブー》は4マナと少し重くなりますが、《紅蓮破》で対処されない脅威として特にフェアデッキとのマッチアップで活躍します。出たそのターンからパワー4で攻撃することができ、ターンが返ってくれば[-2]能力によってダメージを与えつつさらにアドバンテージを稼ぎだします。
Legacy Challenge 4/23
『機械兵団の進軍』のあのカードが大活躍
2023年4月23日
- 1位 Jeskai Control
- 2位 Sneak and Show
- 3位 4C Control
- 4位 Mono Green Cloudpost
- 5位 Cephalid Breakfast
- 6位 Jeskai Control
- 7位 Storm Combo
- 8位 Sneak and Show
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『第22期レガシー神挑戦者決定戦』の同週末にMOで開催された『Legacy Challenge』のプレイオフでもSneak and Showなどコンボが活躍していました。
テーブルトップのイベントと異なり、Jeskai Controlや多色コントロールなどが多数勝ち残っていました。
デッキ紹介
Jeskai Control
今大会で優勝を収めたのは『機械兵団の進軍』の新カードで世界王者である高橋 優太氏のプレイヤー・スポットライト・カードである《フェアリーの黒幕》をフィーチャーしたJeskai Controlでした。
現環境のコントロールは《語り部の杖》を採用したバージョンが主流ですが、今回のリストはインスタントタイミングでプレイできるカードが中心でテンポ寄りの構成になっています。
デッキリストも綺麗にまとまっており、《剣を鍬に》や《虹色の終焉》といった優秀な除去を採用しているためクリーチャーデッキに強くなっています。一方、白い除去が腐りやすいDoomsdayやReanimator、Sneak and Showなどコンボデッキが苦手なマッチアップになるので《覆いを割く者、ナーセット》《封じ込める僧侶》《外科的摘出》とメイン、サイドともに対策が厚めです。
☆注目ポイント
《フェアリーの黒幕》は筆者も気になっていたカードですが、レガシーは《渦まく知識》や《思案》を採用したデッキが多いため活躍しているようです。《船殻破り》と違って相手の追加のドローを完全に封じる能力はないものの、このデッキは比較的軽い構成にまとめられているため、追加カードから得たアドバンテージを活用しやすくなっています。
パワーも2で飛行と序盤からコンボデッキに対してプレッシャーをかけることができる点も見逃せません。あの《瞬唱の魔道士》と一緒に採用されているというのも良いですね。
レガシーには《引き裂かれし永劫、エムラクール》《偉大なる統一者、アトラクサ》《孔蹄のビヒモス》《タッサの神託者》など強力な効果を持つクリーチャーが数多く存在し、それらに対してメインの《激しい叱責》がかなりいい働きをしてくれます。《時を解す者、テフェリー》の[-3]能力でバウンスして再利用も可能です。
《放浪皇》はインスタントスピードで動きたいこのデッキに合ったプレインズウォーカーで、特にクリーチャーデッキとのマッチアップで盤面を安定させるのに役立ちます。《紅蓮破》に引っかからない脅威としても有用です。
《偉大なる統一者、アトラクサ》という新戦力を得たことで現環境ではReanimatorが人気なため、サイドには《封じ込める僧侶》と《外科的摘出》が採用されているなど対策を徹底しています。
Legacy Challenge 4/30
新カードタイプ・バトル
2023年5月4日
- 1位 Bant Natural Order
- 2位 Mono Green Post
- 3位 Lands
- 4位 Painter
- 5位 Death’s Shadow
- 6位 Izzet Dragon
- 7位 8 Cast
- 8位 Boros Initiative
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フェアデッキは上位では少数で、8 CastやPainterといった旧環境から見られたデッキや『機械兵団の進軍』のカードをフィーチャーしたIzzet Dragon、形を変えて生き残ったInitiativeなど混沌としています。
デッキ紹介
Izzet Dragon
『機械兵団の進軍』の新カードである《タルキールへの侵攻》を採用したIzzet Dragon。《濁浪の執政》と《スプライトのドラゴン》という2種類の優秀なドラゴンがおり、《タルキールへの侵攻》のシナジーを活かしやすくなっています。
デッキの構成自体は火力スペルが多めのIzzetで、クリーチャーデッキに対して強い構成になっています。《タルキールへの侵攻》などメインの火力が多い分、《否定の力》など追加のカウンターがないためコンボは若干不利が付きます。
☆注目ポイント
フィニッシャーにもなり得る除去として採用された《タルキールへの侵攻》。デッキ内に火力スペルが多めで、速攻持ちの《スプライトのドラゴン》や回避能力を持つ《ドラゴンの怒りの媒介者》によって比較的変身しやすくなっています。マナが余っていれば《稲妻の連鎖》で容易に変身させることも可能です。
もともと軽いスペルが多く、《ミシュラのガラクタ》もあるので《スプライトのドラゴン》を強化しやすくなっています。《スプライトのドラゴン》や《濁浪の執政》とともに《果敢な雷口》が攻撃をし始めれば、ゲームを速やかに終わらせることができます。
Legacy Challenge 5/6
Initiativeの再来
2023年5月6日
- 1位 White Initiative
- 2位 Stifle Nought
- 3位 Temur Cascade
- 4位 Boros Initiative
- 5位 8 Cast
- 6位 Renimator
- 7位 Dimir Shadow
- 8位 Karn Echo
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土曜日に開催されたLegacy Challengeは、Reanimatorや8 Castといった定番のデッキとともにStifle NoughtやTemur Cascadeといった珍しいデッキも見られました。
優勝したのは旧環境でも活躍していたWhite Initiative。今大会でも白赤バージョンと白単バージョンが勝ち残っていました。
デッキ紹介
Reanimator
Izzet Delverが弱体化したことでコンボデッキにとって勝ちやすい環境になっています。特にReanimatorは現環境でもっともポピュラーなデッキになっており、多くのデッキがサイドに墓地対策を用意しているなかで結果を残し続けています。
プレイングもそこまで難しくなく、マジックオンラインではリーグで効率的に稼ぎやすいデッキでもあります。テーブルトップでも《Badlands》以外は高額なパーツが少ないため、比較的安価なのも人気な理由です。
メインから墓地対策を用意できるデッキは少ないため、1ゲーム目は環境のほとんどのデッキに対して有利な一方で、墓地対策が導入されるサイド後が本当の勝負になります。
☆注目ポイント
《偉大なる統一者、アトラクサ》は今や踏み倒し系の大本命になりました。あの《グリセルブランド》を超えるフィニッシャーが登場したことには、多くのプレイヤーが衝撃を受けました。ライフを支払わずに手札を補充できることは、《再活性》でライフを失うことが多いこのデッキにとっては重要になります。
《悲嘆》と《暴露》というピッチでプレイできるハンデスが8枚採用されているため、《意志の力》1枚ぐらいの妨害は容易に乗り越えることができます。特に《悲嘆》は墓地に落ちた後に 《再活性》することで再利用することができ、相手の手札を半壊状態にできます。
メイン戦では無類の強さを誇るデッキですが、問題は墓地対策がサイドインされるサイド後のゲームです。《虚空の力線》を置かれなければハンデスによる妨害が間に合うこともありますが、単純に1ゲーム目よりも対策が増えており、相手もこのマッチアップを想定したハンドをキープしてきているため、リアニメイトとは別のプランを用意する必要が出てきます。
特殊地形対策を採用していないこのデッキの《月の大魔術師》は奇襲性があり、特殊地形に依存したデッキや場合によってはDelver系もロックすることができます。また、このデッキ相手には《稲妻》や《剣を鍬に》といった単体除去はあまり役に立たないのでサイド後は減らされていることが多く、そこに刺さるのが《ダウスィーの虚空歩き》と《黙示録、シェオルドレッド》になります。
どちらのクリーチャーもリアニメイトスペルを使わずに普通にプレイすることができ、特に主要な除去が《稲妻》であるDelverにとって《黙示録、シェオルドレッド》は対処しにくい脅威となります。
Stifle Nought
レガシーを長い間プレイされている方には懐かしいカードである《ファイレクシアン・ドレッドノート》を軸にしたStifle Noughtが帰ってきました。《ファイレクシアン・ドレッドノート》のペナルティ能力を《もみ消し》で打ち消すことによって、場に12/12トランプルを残すコンボデッキです。
青赤ということでDelver系とハイブリットすることもでき、コンボ以外でも各種カウンターや《稲妻》や《ドラゴンの怒りの媒介者》効率的なスペルやクロックに恵まれているのがこのデッキの強みです。
☆注目ポイント
《ファイレクシアン・ドレッドノート》を場に残す手段として採用されている《もみ消し》と《激しい叱責》の強みは、妨害手段としても優秀な性能を持っていることです。《もみ消し》はドレッドノートを最速で展開する手段である一方で、解決させてからプレイする必要があるため、相手に妨害をされるとアドバンテージを失うリスクがあります。《激しい叱責》は2マナと速度では《もみ消し》に劣るものの、相手のエンド時にプレイすることで大きく隙を作らずにコンボを仕掛ける準備ができるため安定感があります。
Izzet Delverとのハイブリットなのでコンボに頼る必要はなく、《もみ消し》と《不毛の大地》でマナを縛りつつ《秘密を掘り下げる者》や《ドラゴンの怒りの媒介者》でプレッシャーをかけるクロックパーミッションとしても振る舞うことができます。アーティファクト・クリーチャーの《ファイレクシアン・ドレッドノート》とエンチャントの《激しい叱責》を採用しているため、《ドラゴンの怒りの媒介者》の「昂揚」も達成しやすくなっています。
このデッキにとってもっともやっかいなのは、1マナでフィニッシャーを除去できる《剣を鍬に》を使ったコントロールなので対策カードが多めに用意されています。《血染めの月》は多色コントロールをロックすることができ、《真の名の宿敵》と《狂乱の呪詛》は《剣を鍬に》で対策されない勝ち手段になります。
Legacy Challenge 5/7
新環境でもやはり強いデルバー
2023年5月7日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 White Initiative
- 3位 8 Cast
- 4位 Bant Delver
- 5位 Sultai Control
- 6位 Boros Initiative
- 7位 Grixis Tempo
- 8位 4C Control
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日曜日に開催された『Legacy Challenge』は、多色デッキやSultaiなどフェアデッキが多く勝ち残り、最終的に優勝したのは純正のIzzet Delverでした。
土曜日のチャレンジでも結果を残していたWhite Initiativeは、今大会でも好成績を残していました。
デッキ紹介
Grixis Tempo
《金属の徒党の種子鮫》や《フェアリーの黒幕》といった『機械兵団の進軍』の新カードを使ったGrixisTempo。
《金属の徒党の種子鮫》は青い《僧院の導師》として、プレビュー段階からも話題になっていたカードの1枚でした。8 Castで採用されていましたが、軽いスペルを多用するGrixis Tempoでも使えるカードのようです。
《稲妻》や《殺し》といった除去やカウンターを多数採用しているため極端に相性が悪いマッチアップが少なく、各種キャントリップや《ドラゴンの怒りの媒介者》のおかげで安定した回りが期待できます。
☆注目ポイント
《金属の徒党の種子鮫》は《目くらまし》を採用したデッキが多い現在のレガシーでは3マナというコストは少し重く感じられますが、2/4飛行というサイズは《ドラゴンの怒りの媒介者》を止めることができ、《稲妻》1枚で落ちないため大きな意味を持ちます。
ピッチスペルの《殺し》と相性が良く、相手のクリーチャーを除去したあとに4/4、《意志の力》で相手を妨害した後に5/5を残すことができる能力は十分に脅威となります。
《殺し》は禁止改定前の環境でも「イニシアチブ」に対抗するためにIzzet Delverが黒をタッチして採用していました。《金属の徒党の種子鮫》ともシナジーがあり、《濁浪の執政》や最近よく見られるようになってきた《タルモゴイフ》に対する解答にもなります。
総括
旧環境の王者であったIzzet Delverは、以前のような高い勝率ではないものの『第22期レガシー神挑戦者決定戦』で準優勝、先週末の『Legacy Challenge』でも優勝と好成績を残しています。
コントロールデッキは、「イニシアチブ」デッキも健在でコンボデッキが増加したことから、多色の重コントロールよりも『Legacy Challenge』で優勝していた瞬速クリーチャーと軽い妨害スペルを多めに採用したテンポ寄りのバージョンのほうが良さそうです。
コンボデッキの中でもっともポピュラーなデッキはReanimatorで、《偉大なる統一者、アトラクサ》による強化とIzzet Delverが弱体化したことによる影響で高い勝率を維持しています。また《表現の反復》の禁止の影響を受けなかったデッキの中では、Dimir Shadowがコンボデッキに強いこともあり、最近上位でよく見られるようになってきました。
USA Legacy Express vol.217は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!