ザ・スタンダード
こんにちは、富澤です。
暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。日を追うごとに暑さは増しております、体調管理にはお気をつけくださいませ。
今回もオンラインで開催された各大会結果を振り返っていきます。
先週末の注目トピックは?
6/25の『Standard Challenge』以降、エスパーコントロールは人気アーキタイプであり、ほとんどの大会でトップメタを占めるまでに成長しています。守りに長けており、干渉領域が広く、あらゆる戦略に対抗できる万能アーキタイプとくれば納得できます。
この牙城を崩さんとアゾリウス兵士やディミーアテンポ、赤単アグロが躍起になっているわけですが、そんななか黒単ミッドレンジは1枚のプレインズウォーカーに目をつけていました。
そのプレインズウォーカーとは《ヴェールのリリアナ》です。彼女の魅力は3マナと比較的早いターンからリソースを絞り、相手から選択肢を奪う点にあります。土地を置けば呪文を確保できず、土地を置かなければ呪文までたどり着けません。
軽量のダメージクロックを展開し、《ヴェールのリリアナ》でサポートしていく。黒単ミッドレンジが見出したのは、シンプルながら相手の弱点を突いた戦略であり、プレインズウォーカーへの対処手段の限られているエスパーコントロールからすればなす術もありません。
黒単ミッドレンジに対抗するには、打ち消し呪文とは別に《シェオルドレッドの勅令》などクリーチャー除去でありながら、プレインズウォーカーにも触れるカードを増やす必要がありそうです。
それでは大会結果をみていきましょう。
7/8(土):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | FerMTG | 黒単ミッドレンジ |
準優勝 | Venom1 | エスパーコントロール |
トップ4 | remf | アゾリウス兵士 |
トップ4 | Wizard_2002 | 白単人間 |
トップ8 | Talisker | ディミーアテンポ |
トップ8 | Rex_Iudex | アゾリウスコントロール |
トップ8 | Salvatto | エスパーコントロール |
トップ8 | trukanshii | アゾリウス兵士 |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
7/8(土)に開催された『Standard Challenge』の優勝は黒単ミッドレンジ。トップ8にはアゾリウス兵士やディミーアテンポなど打ち消し呪文入りのアグロ戦略が複数残っています。
Salvattoのエスパーコントロールは、黒単ミッドレンジとコントロールに寄せた構築になっています。《シェオルドレッドの勅令》は《墓地の侵入者》の「護法」を無視でき、着地したプレインズウォーカーも対処可能。構え合うゲームを想定して《眼識の収集》も厚く採用されています。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
エスパーコントロール | 7 | 3 |
ランプ戦略 | 7 | 3 |
アゾリウス兵士 | 4 | 4 |
黒単ミッドレンジ | 4 | 1 |
ディミーアテンポ | 2 | 2 |
赤単アグロ | 2 | 0 |
エスパーミッドレンジ | 2 | 1 |
その他 | 4 | 2 |
合計 | 32 | 16 |
エスパーコントロールとランプ戦略は、現環境の不動の人気アーキタイプに定着しています。またアゾリウス兵士とディミーアテンポは重コントロール戦略を狙ったデッキであり、好成績をおさめています。
前者はトップ16以上に4名を送り込み、内2名はトップ8まで勝ち進んでいます。これらの戦略における打ち消し呪文は、戦線を維持すると同時に相手に隙を作るカードであり、見事大ぶりな右ストレートにカウンターパンチがヒットしたようです。
トップ8デッキリストはこちら。
黒単ミッドレンジ
黒単ミッドレンジは、スタッツの優れたクリーチャーを展開して単体除去でサポートしていくアーキタイプ。《進化した潜伏工作員》からはじめて《墓地の侵入者》へと繋ぎ、《喉首狙い》で捌きならが相手のライフを詰めていきます。ダメージレースで先攻すれば《黙示録、シェオルドレッド》はダメ押しとなるフィニッシャーです。
土地の枚数のわりに軽量カードが多く、一見すると中盤以降は息切れしそうですが、ご安心を。1、2マナ域のクリーチャーはどれも追加のリソースをもたらしてくれるものばかりであり、《進化した潜伏工作員》や《しつこい負け犬》はマナが余りがちな中盤以降にトップデッキしても十分な脅威となります。《ミシュラの鋳造所》を含めて、余剰マナの活用先が多めに確保されています。
禁止になった《絶望招来》のスペースを埋めたのは《ギックスの命令》でした。処理能力、カードアドバンテージ面では見劣りしてしまいますが、クリーチャーへの干渉力ではこちらに軍配があがります。対アグロでは全体除去+αの効果を見込め、おまけで高パワークリーチャーも処理したり、自軍を強化して一時的にライフを稼いだりとボードの切り返しに一役買ってくれます。
ミッドレンジやコントロール戦ではクリーチャー回収が主となりますが、《太陽降下》と《告別》を持つ白は天敵となります。戦場に《墓地の侵入者》や《ファイレクシアの肉体喰らい》がいる場合には+1/+1カウンターを配置してダメージレースを優位に進めるなど、手札で抱えすぎずに相手に応じて最適なモードを選択していきましょう。
《危難の道》はマナコストを参照する全体除去。以前は兵士や人間用に《ぎらつく氾濫》が採用されていましたが、赤単アグロを意識してこちらが選択されています。デッキの構成上「切除」コストは支払えませんが、アグロの攻勢をしのぐことが目的であり、問題ありません。土地配分に手を加えて白マナを捻出するのも可能ですが、色事故やテンポロスを懸念して漆黒のマナベースとなっています。
白単人間
白単人間は1マナ域からクリーチャーを展開し、戦線を横へ横へと広げていく由緒正しき白系アグロ。クリーチャーを横に並べて《銅纏いの先兵》でまとめて強化し、一気にダメージを稼ぎます。
《スレイベンの守護者、サリア》を最大限活かすため、デッキの大半がクリーチャーで構成されています。《輝かしい聖戦士、エーデリン》は単体で脅威となるクリーチャーであり、このデッキのフィニッシャーとなります。
カードプールの都合によりクリーチャー強化の面で不安を抱えていた白単アグロですが、『機械兵団の進軍:決戦の後に』から《銅纏いの先兵》を得たことで《剛胆な敵対者》と合わせて8枚となり、安定してダメージを伸ばせるようになりました。
《銅纏いの先兵》はパイオニアでも活躍する人間用のバフクリーチャー。タフネスこそあがりませんが打点をあげつつ、「護法」を付与します。呪文ベースのデッキに効果的なカードであり、プレイする際はクリーチャーの数をならべ、相手のタップアウトのタイミングを狙ってダメージを稼ぎたいところ。自軍の保護兼バフと《スレイベンの守護者、サリア》と《剛胆な敵対者》の両方の役割を持つクリーチャーでもあります。
メタゲームがミッドレンジ中心となり単体除去が増えたことで、アグロ側もそれに備える必要がでてきました。《救出専門家》はその効果から除去を軸にした戦略に強く、ボードでの複数交換を迫るカードです。
リアニメイトされたクリーチャーはデメリットを持ちますが、《スレイベンの守護者、サリア》や《銅纏いの先兵》などの戦闘以外でも活躍できるシステムクリーチャーであれば何の問題もありません。《剛胆な敵対者》を戻す際に余剰マナがあれば、ボードを強化できることをお忘れなく。
《輝かしい聖戦士、エーデリン》の後方にかませている《ファイレクシアの立証者》は、対クリーチャー戦での秘密兵器。戦闘ダメージや火力では対処されず、アンタップ状態である限り相手は二の足を踏むしかありません。アグロ戦略に強い反面、ミッドレンジなどに対しては4マナ5/5のフライヤーにすぎません。ボードにプレッシャーをかけることで相手に先に除去呪文を使わせ、除去を使いきったところを狙ってプレイします。
そのほかの大会結果
7/9(日):Standard Challenge
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | Snapcaster-Bolt | ディミーアミッドレンジ |
準優勝 | Ignotus97 | エスパーコントロール |
トップ4 | FerMTG | 黒単ミッドレンジ |
トップ4 | Ivan_Draw_Go | 4色ランプ |
トップ8 | Gul_Dukat | 黒単ミッドレンジ |
トップ8 | Mah_Quintanilha | ディミーアテンポ |
トップ8 | Arianne | ディミーアミッドレンジ |
トップ8 | gazmon48 | 黒単ミッドレンジ |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
7/9(日)に開催されたStandard Challengeはディミーアミッドレンジが制しています。黒単ミッドレンジをベースに、《かき消し》や《復活したアーテイ》などの打ち消し呪文をタッチしています。
メタゲーム
デッキタイプ | トップ32 | トップ16 |
---|---|---|
黒単ミッドレンジ | 10 | 6 |
エスパーコントロール | 6 | 3 |
4色ランプ | 5 | 2 |
赤単アグロ | 3 | 1 |
アゾリウス兵士 | 3 | 0 |
ディミーアミッドレンジ | 2 | 2 |
その他 | 3 | 2 |
合計 | 32 | 16 |
前日優勝した影響もあってか、黒単ミッドレンジの数は10名にのぼりました。コントロール戦略が増えている今こそ《ヴェールのリリアナ》は活躍どきといえましょう。サイドボードの選択肢は多く対応力が高いため、今後もメタゲームの一角に食い込むことが予想されます。
トップ8デッキリストはこちら。
The Pizza Box: Standard Slice
順位 | プレイヤー名 | デッキタイプ |
---|---|---|
優勝 | eyLDS | アゾリウスコントロール |
準優勝 | Martin Mansilla | 5色ランプ |
トップ4 | David Gagliardo | ラクドスミッドレンジ |
トップ4 | Victor Cardarelli | 黒単ミッドレンジ |
トップ8 | Anthony Marcillac (Feu974) | エスパーコントロール |
トップ8 | Pedro Henrique Ribeiro | エスパーミッドレンジ |
トップ8 | WallyStore | エスパーコントロール |
トップ8 | Ederson Luis dos Santos | エスパーコントロール |
(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)
参加者99名で開催されたThe Pizza Box: Standard Sliceはアゾリウスコントロールが制しました。トップ8には3名ものプレイヤーを送り込んだのはエスパーコントロールであり、ここ最近抜群の安定感を見せています。
メタゲーム
デッキタイプ | 使用者数 |
---|---|
エスパーミッドレンジ | 17 |
ディミーアミッドレンジ | 11 |
赤単アグロ | 6 |
黒単ミッドレンジ | 5 |
ラクドスミッドレンジ | 5 |
その他 | 55 |
合計 | 99 |
トップ8デッキリストはこちら。
おわりに
今回もスタンダードの近況についてお届けしました。
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それでは次回の情報局で!