メタゲームブレイクダウン

晴れる屋メディアチーム

指輪環境、はじまる。

7月16日、晴れる屋トーナメントセンターで第5期統率者神挑戦者決定戦が開催されました。この記事では本大会のメタゲームを紐解いていきます。

一つの指輪オークの弓使い

『指輪物語:中つ国の伝承』のリリースにより、統率者戦にも強力なカードがもたらされました。

《一つの指輪》は継続的な大量ドローと1ターンの猶予を与えるアーティファクト。そして《オークの弓使い》はドローを繰り返す相手に大打撃を与えるクリーチャーです。

《一つの指輪》を強力に使えるアーティファクトデッキが台頭すれば、《無のロッド》を使う緑の濃いデッキがその隙を突こうとメタゲーム上に浮上します。

しかし、《オークの弓使い》の登場はクリーチャーへの依存度の高い緑を中心としたデッキにとって大打撃。緑を愛するプレイヤーからは悲しみに満ちた怨嗟が聞こえてくるようでした。

緑のデッキが減ればアーティファクトを多用するデッキにとって追い風となります。

織り手のティムナ

しかし、リリースからしばらくたった現在では見方が変わってきています。《オークの弓使い》にもっとも強く抑圧されるのは《織り手のティムナ》系ミッドレンジであり、《オークの弓使い》に除去を使ったぶん、緑のクリーチャーには触りにくくなってしまうという現象が見られます。

果たして《オークの弓使い》によって緑は駆逐されてしまうのでしょうか。

メタゲーム

それでは実際のメタゲームを見ていきましょう。

共闘統率者は「マナ総量順」「英語カード名順」の記載としました。

統率者 カラーボード 使用者数
《織り手のティムナ》
《ルーデヴィックの名作、クラム》
WUBR 10
《秘密売り、ティヴィット》 WUB 9
《舞台座一家の料理人、ロッコ》 WRG 5
《ロフガフフの息子、ログラクフ》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
BR 4
《織り手のティムナ》
《トリトンの英雄、トラシオス》
WUBG 4
《ロフガフフの息子、ログラクフ》
《トリトンの英雄、トラシオス》
URG 3
《ロフガフフの息子、ログラクフ》
《織り手のティムナ》
WBR 3
《光明の不可思議、タヤム》 WBG 3
《最高工匠卿、ウルザ》 U 3
《精霊の魂、アニマー》 URG 3
《パルン、ニヴ=ミゼット》 UR 2
《暴動の長、ラクドス》 BR 2
《冒険好きなホビット、フロド》
《忠実なる従者、サム》
WBG 2
《語りの神、ビルギ》 R 2
《刃を咲かせる者、ナジーラ》 WUBRG 2
《トリトンの英雄、トラシオス》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
UBG 2
《鋭い目の航海士、マルコム》
《織り手のティムナ》
WUB 2
《意志を縛る者、ディハーダ》 WBR 2
《フェイに呪われた王、コルヴォルド》 BRG 2
《大いなる歪み、コジレック》 C 2
《親指なしのクラーク》
《千の顔の逆嶋》
UR 2
《樹の神、エシカ》 WUBRG 2
《眷者の神童、キナン》 UG 2
《軍団のまとめ役、ウィノータ》 WR 2
《儀式の大魔導師、イナーラ》 UBR 2
《秘本に縛られし者、プロスパー》 BR 1
《Myra the Magnificent》 UR 1
《マルネウス・カルガー》 WUB 1
《テイサ・カルロフ》 WB 1
《ジン=ギタクシアス》 U 1
《ウラブラスク》 R 1
《アーカム・ダグソン》 U 1
《ロフガフフの息子、ログラクフ》
《求道の達人、サイラス・レン》
UBR 1
《暗号動物学者、ローニス》 UG 1
《侵攻の伝令、ローナ》 UB 1
《流浪の発電機》 C 1
《流浪のドルイド、ジェンソン・カルサリオン》
+相棒《夢の巣のルールス》
WUBRG 1
《虎の影、百合子》 UB 1
《無限のエルシャ》 WUR 1
《鋭い目の航海士、マルコム》
《激情の薬瓶砕き》
UBR 1
《鋭い目の航海士、マルコム》
《ルーデヴィックの名作、クラム》
UR 1
《鋭い目の航海士、マルコム》
《血を蒔く者、ターナ》
URG 1
《鋭い目の航海士、マルコム》
《粗野な牧人、ブルース・タール》
WUR 1
《厚顔の無法者、マグダ》 R 1
《光輝の夜明け、ヘリオッド》 WU 1
《カーの空奪い、プローシュ》 BRG 1
《大衆扇動者、ブリーナ》 WB 1
《熱心な秘儀術師、ハルダン》
《秘儀を運ぶもの、パコ》
URG 1
《囚われの黒幕、オブ・ニクシリス》 BR 1
《綱投げ、アキリ》
《トリトンの英雄、トラシオス》
WURG 1
《トリトンの英雄、トラシオス》
《激情の薬瓶砕き》
UBRG 1
《浄火の戦術家、デリーヴィー》 WUG 1
《祖神の使徒、テシャール》 W 1
《織り手のティムナ》
《船壊し、ダーゴ》
WBR 1
《伝承の語り部、チュレイン》 WUG 1
《狂気を操る者チェイナー》 B 1
《血を蒔く者、ターナ》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
BRG 1
《船壊し、ダーゴ》 《三度の再誕、ジェスカ》 R 1
《野生の心、セルヴァラ》 G 1
《巣を守る者、アトラ・パラーニ》 WRG 1
《ウェザーライトの艦長、ジョイラ》 UR 1
《深海の破滅、ジャイルーダ》 UB 1
《始祖ドラゴン》 WUBRG 1
《原初の災厄、ザカマ》 WRG 1
《千の顔の逆嶋》
《東の樹の木霊》
UG 1
《サウロンの破滅、フロド》 WB 1
《ニヴ=ミゼット再誕》 WUBRG 1
《奪い取り屋、サーダ・アデール》 U 1
《山賊の頭、伍堂》 R 1
《ヨーグモスの息子、ケリク》 B 1
《大霊堂の王、ゲス》 B 1
《ワイアウッドの呼び手、ギランラ》
《東の樹の木霊》
G 1
《ギトラグの怪物》 BG 1
《鍛冶の神、パーフォロス》 R 1
《風の憤怒、カイカ》 WUR 1
《永遠王、ブレイゴ》 WU 1
《ウェザーライトの艦長、シッセイ》 WUBRG 1
《首席議長ヴァニファール》 UG 1
《放浪の吟遊詩人、イーサーン》 G 1
《死に微笑むもの、アリーシャ》 WBR 1
《円渦海峡の暴君、アシー》 UG 1
《アッシュベイルの英雄、グウィン卿》 WBR 1
合計 134名
採用率(第4期との比較)
51.4%(+7.6)
59.7%(-2.8)
55.9%(-0.4)
58.2%(+0.9)
38.8%(-7.0)
無色 2.2%(+1.2)

緑の採用率は前大会と比べ、7.0ポイントの下落。緑を採用したプレイヤーは4割を下回ります。緑単色の統率者を選択したプレイヤーにいたってはわずか3名。無色単と同じスコアと聞けばそのさみしさがよく伝わるでしょう。

オークの弓使い

やはり《オークの弓使い》の存在は無視できず、「普段は緑のデッキなんだけど、もう無理」、と《織り手のティムナ》系ミッドレンジに乗り換えたという声が多く聞かれました。

青黒赤の採用率には大きな変化がなく、緑の下落を受け止めたのは白。採用率は7.6ポイント上昇し、半数以上のプレイヤーが白を採用しました。

沈黙堂々たる撤廃者イーオスのレインジャー長

統率者戦最弱色とまでいわれる白ですが、《沈黙》をはじめとした対話拒否カードを搭載した白黒赤カラーのデッキが目立ち、《オアリムの詠唱》の採用まで見られます。

白の台頭にはもうひとつ理由があります。続いて統率者の選択を見てみましょう。

Top Tier

ティムナ&クラム

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム

使用率トップとなったのは《織り手のティムナ》&《ルーデヴィックの名作、クラム》。第3期統率者神を神の座へ送り込んだこのデッキ、今回持ち込んだのは10人でその使用率は7.4%。「もっとも丸く、もっとも難しい」デッキのひとつといえるでしょう。

波止場の恐喝者沈黙オークの弓使い

黒・赤のマナ加速、白の対話拒否、さらに《オークの弓使い》《オークの弓使い》はティムナへの強力なけん制ではありますが、《織り手のティムナ》にとってもクロックを調達し、ブロッカーを除去する素晴らしい噛み合いを見せる1枚です。

ちなみに、《織り手のティムナ》のみの採用率は14.9%でした。

ティビット

秘密売り、ティヴィット

続く《秘密売り、ティヴィット》は使用者9名。除去に強く、マナ加速、ドローも可能。それでいて《時の篩》との無限ターンコンボも擁しています。

トーナメントセンター大阪で開催されたコマンダーサミット内のトーナメントでは《秘密売り、ティヴィット》を使用したフクモト選手が2連覇を達成するなど、この一年でもっとも注目を集めた「共闘」を持たない統率者といえるでしょう。

神に挑むものたち

以下は予選ラウンドをトップ12以内で終え、明日行われる挑戦者決定戦決勝戦へ進むデッキです。

統率者
《織り手のティムナ》
《ルーデヴィックの名作、クラム》
WUBR
《ギトラグの怪物》 BG
《トリトンの英雄、トラシオス》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
UBG
《ロフガフフの息子、ログラクフ》
《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》
BR
《奪い取り屋、サーダ・アデール》 U
《熱心な秘儀術師、ハルダン》
《秘儀を運ぶもの、パコ》
URG
《語りの神、ビルギ》 R
《織り手のティムナ》
《ルーデヴィックの名作、クラム》
WUBR
《鋭い目の航海士、マルコム》
《織り手のティムナ》
WUB
《舞台座一家の料理人、ロッコ》 WRG
《鋭い目の航海士、マルコム》
《ルーデヴィックの名作、クラム》
UR
《ヨーグモスの息子、ケリク》 B

もっとも多くのプレイヤーが選択した「ティムクラ」は2名が入賞。一方、《秘密売り、ティヴィット》は1名も入賞できませんでした。

《秘密売り、ティヴィット》はひとたび着地すれば非常に安定性が高い一方、打ち消されてしまうと再登場には8マナを要します。「《秘密売り、ティヴィット》は初動を挫けばよい」、と《秘密売り、ティヴィット》はかなり打ち消しを吸っています。結果、漁夫の利を得た第三者が走り切るというゲームが散見されました。

むらがるオーク

オークの弓使い

トップ12のうち、《オークの弓使い》を採用したのは7名。黒を擁するデッキすべてに採用され、クリーチャーカードとしてはトップ12で最多使用数となりました。

フェアリーの黒幕

次点は《フェアリーの黒幕》。令和の《企業秘密》とまで言われた極悪カードは6枚の採用となりました。

一つの指輪

一方で前評判どおりとならなかったのが《一つの指輪》。固有色にかかわらずどんなデッキでも採用できますが、トップ12には3枚のみ。

トップ12に残るデッキは「4マナ使ってまでドローしなくてもいい」くらい、強力なアドバンテージ獲得能力を持っていたり、《ヨーグモスの息子、ケリク》《語りの神、ビルギ》のようなピーキーなデッキばかりでした。

「お互いに《一つの指輪》を出すとゲームが終わらなくなるから、《一つの指輪》が出てくる前にゲームを終わらせよう」「《一つの指輪》をアテにした《Copy Artifact》《ファイレクシアの変形者》が増えてきているから、あえて使わないようにした」というプレイヤーもいました。

奪い取り屋、サーダ・アデール精神力

そんな中、マツモト選手の《奪い取り屋、サーダ・アデール》は積極的に《一つの指輪》を使おうという姿勢が見て取れます。コンボを形成する《精神力》に、《通電式キー》《多用途の鍵》も採用。統率者《奪い取り屋、サーダ・アデール》は対戦相手のライブラリーからも《一つの指輪》を見つけだします。

次なる神は

参加者全体としては《織り手のティムナ》《秘密売り、ティヴィット》が幅を利かせましたが、入賞したデッキは個性豊かなメンツとなりました。

明日7月17日ひる12時からの第5期統率者神挑戦者決定戦・神決定戦をぜひご観覧ください。

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