パイオニアで勝利を目指す!
いってつ:ウィンターさんさぁ、けっこうパイオニア遊んでたよね?パイオニアのイベント出てみない?
ウィンター:……今ぼく統率者のイベントに出てるんですけど……
人物紹介:ウィンター
関東を中心に活動中のライター。気づけば変なデッキばかり握ってしまう性分。いってつとは統率者戦仲間。
人物紹介:いってつ
晴れる屋メディアの統率者戦担当。コジレック野郎。パイオニアEDH委員会メンバー。いつもムチャぶりされているのでたまには自分もムチャぶりしたい。
いってつ:晴れる屋はさぁ、自分のデッキを組む楽しさ、好きなデッキを握る楽しさを大切にしたいんだよね。
ウィンター:それはわかります。前にもスタンダードでやってましたよね。
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いってつ:そうそう。最初は全然勝てないんだけど、0-3から1-2に這い上がるまでの五里霧中、暗中模索がたのしいんだよね!
ウィンター:ん……五里霧中……?
いってつ:今回はそれをパイオニアでやってもらいます。ウィンターさんに!
フォグは通用するのか!?
というわけで「俺は統率者戦で忙しいからさ!」とすべてを押し付けられたウィンターです。
しかし、ヒントはくれました。それは《濃霧》……マジックに初期から存在している緑の定番カードです。『基本セット2014』に収録されているため、ギリギリパイオニアリーガルになっています。戦闘ダメージを軽減するこのカード、フェアデッキが活躍するこの環境なら活躍するのでは?
現在のパイオニアでメタゲームの中心にいるデッキを見てみますと――
《鏡割りの寓話》や《黙示録、シェオルドレッド》などの赤黒のハイスペックカードを中心に相手のライフを責め立てるラクドスミッドレンジ。
《老樹林のトロール》や《ポルクラノスの再誕》などの高信心クリーチャーから《ニクスの祭殿、ニクソス》で大量のマナを出しコンボにつなげる緑単信心。
《大牙勢団の総長、脂牙》で《パルヘリオンⅡ》をリアニメイトし高火力を生み出すパルヘリオンシュート。
ほとんどのデッキが、主に戦闘ダメージでプレイヤーのライフを削りきることを目的にしています。戦闘ダメージ以外の勝利手段を狙ってくるデッキでよく出くわすのは、緑単信心とロータスコンボですが、全体でみると使用率はそこまで高くありません。総じて、基本的には戦闘で対戦相手のライフを削りきるデッキの多い環境と考えていいでしょう。
つまり《濃霧》が強い……!?相手がどれだけ強力な戦場を作っても、《濃霧》1枚で相手は1回休み、実質追加ターンが得られる!!
《濃霧》を使うならやっぱりこれ!
キーカードを《濃霧》にするならテーマはやはり「ターボフォグ」になるでしょう!ターボフォグとは《濃霧》を中心とした戦闘ダメージを軽減するカードで相手をいなし、ライブラリーアウトなど戦闘以外の手段で勝利を目指すアーキタイプです。
戦闘ダメージをメインに据えたデッキに対してはめっぽう強いです。一方でクリーチャーに頼らないデッキには抵抗できないという弱点もありますが、ビートダウンメインの現状のパイオニアであれば大丈夫でしょう。
過去のパイオニア環境を見てみると、ターボフォグを発展させたデッキである「ターボネクサス」というデッキが存在していた時期があります。
超強力な青緑のカードをメインに、《濃霧》で戦闘ダメージをいなしつつ《運命のきずな》を連打。大量の追加ターンの内にメインデッキ内にわずかに採用されたフィニッシュ手段を見つけてゲームに勝利するデッキです。
現在では禁止カードの関係で構築できないデッキとなっていますが、これを現代に復活させてみましょう!
まずは試作品で検証
ひとまず過去のターボネクサスのリストを何件か見ながらデッキを構築します。こうしてできあがったデッキがこちら。
12枚フォグ!!禁止カードの枠をとりあえず突っ込んだ《濃霧》系で埋めました、戦闘ダメージしか与えてこないなら相手のターンは無意味になる。そう、つまりこれは《運命のきずな》。
勝ち筋として用意したのは《スフィンクスの後見》です。
ドローするだけで相手のライブラリ-を削っていくカードです。由緒正しいターボフォグらしくライブラリーアウトを狙う構成にしました。困ったときはこそっと忍ばせている《氷の中の存在》がなんとかしてくれる!
ウィンター:というわけでできました。いってつさんが「五里霧中」というヒントをくれたおかげです。
いってつ:そんな意図はまったくなかったんだけど……でもこの令和の時代に《濃霧》とはね……かなり面白い視点だね。
ウィンター:それではサクっと仕事を終わらせてきますね!
イベントに参加して検証!
対戦結果
ラクドスミッドレンジ:✕✕
ラクドスミッドレンジ:✕✕
緑単信心:✕✕
いってつ:終わっていたのは戦績のほうだったとは……
ウィンター:《黙示録、シェオルドレッド》とかいうやつにぼこぼこにされました、アレ触れないと詰みですね……
ウィンター:あと《砕骨の巨人》を忘れてました。《砕骨の巨人》の出来事はダメージを軽減できなくするおまけがついています。
いってつ:メインから謎の対策受けてるじゃないか……《氷の中の存在》はどうでした?
ウィンター:この世のすべての除去を一身に受けていました。
ウィンター:ライブラリーアウト対策は見ることがなかったんですが、緑単信心についてはライブラリー破壊が裏目に出ました。《収穫祭の襲撃》に「フラッシュバック」がついているため、大量マナからフラッシュバックされてしまいました。
ウィンター:ラクドス系は基本的に戦闘ダメージをメインに据えているため、《濃霧》でしのぐことができるのは予想通りでした。《黙示録、シェオルドレッド》と《砕骨の巨人》さえなんとかなれば……!
反省を踏まえてデッキ再構築
先日のイベントで課題となった《黙示録、シェオルドレッド》と《砕骨の巨人》の対策、ライブラリーアウト以外のプランを考えます。
《黙示録、シェオルドレッド》と《砕骨の巨人》については、除去で対策するかそもそも使わせないカードを採用することになりそうです。デッキの回転率も高いので、3色目を採用して除去を増やします。
ライブラリーアウト以外の勝ち筋については見当を付けてあります。それは『ファイレクシア:完全なる統一』で復活した「毒・カウンター」のシステムです。このセットには毒・カウンターを与えるドローソースや、増殖を行うカードが多数収録されています。
特に《実験的占い》は必要なカードを探しながら増殖を行う毒デッキのマスターピースといえます。
上記を踏まえたうえで改造を施したデッキがこちらです。
いってつ:メインに《漂流自我》かぁ……
ウィンター:《黙示録、シェオルドレッド》と《砕骨の巨人》への対策です!メタゲーム上それなりの確率でラクドス絡みに当たるので、開き直ってメインから採用して相手の山札から引っこ抜きます。直近のパイオニアは「このカラーならこのカードは大体入っている」といった汎用カードが多いので、メインから採用しても使いどころはあるはず。
いってつ:プレインズウォーカーの採用はいいね!《濃霧》と相性よさそう。
ウィンター:増殖に除去と必要なものを兼ね備えています!これが黒を採用した理由です。奥義も毒に関連する能力を持っているため、上手く守り切ればこれで勝ちます!
イベントに参加、リベンジチャンス!
対戦結果
ラクドスミッドレンジ:〇✕✕
青白コントロール:✕✕
緑単信心:〇✕✕
いってつ:メインとってる!!
ウィンター:でもサイド後がボロボロだぁ……
ウィンター:《漂流自我》がしっかり効いてラクドスミッドレンジのメイン戦は安定して戦うことができるようになりました。ただ、リソース回復手段が減ってしまったので、手札を責められると厳しい!
ウィンター:《濃霧》の枚数も気になりました。カードを探しに行く手段は充実しているので、9枚も入らないかも。特に青白コントロール相手には顕著に出ており、手札が霧と花粉であふれていました。これには鼻水がとまりません。
いってつ:花粉症つらそうだね。涙も拭きなよ。
ウィンター:最後の緑単信心は分かりやすく、《漂流自我》が絡んだゲームは勝ち、絡まなかったゲームは負けました。緑単信心の各種飛び道具にアクセスする《大いなる創造者、カーン》に対応できるかがカギですね。
ウィンター:毒殺プランそのものについては使用感が非常に良かったです。カードを探すことやドローすることそのものが勝利につながるので、ストレスなくゲームを進めることができました。
いってつ:じゃあ今後は《実験的占い》的なカードを探すって感じかな?
ここまでを踏まえてさらに改造、そして再戦
ウィンター:まあ……でもライブラリーアウトも悪くはなかったんだよな。
ウィンター:いいとこ取りして合体させたら最強なのでは?
対戦結果
ロータスコンボ:✕〇✕
ラクドスミッドレンジ:✕〇〇
青黒コントロール:✕✕
ウィンター:実験は成功だ!
いってつ:おお、勝ってる!勝ってるじゃないか!すばらしい!これは毒殺型?
ウィンター:いえ……ハイブリッド型です!
ウィンター:かつての『破滅の刻』スタンダードに存在していた「ジェスカイ王神」というデッキは、当時主流だった青白型と青赤型を組み合わせたデッキで、最終的に実績を出すことができていました。ということで僕もそれを目指しました!
ウィンター:ラクドスミッドレンジ戦はサイドから入れた《漂流自我》と《氷の中の存在》を活かして戦うことができました。サイド後は除去の枚数が一気に少なくなるため、プレイヤーにくる攻撃を《濃霧》で凌ぎ、《氷の中の存在》でライフを詰め切るプランが有効でした。
ウィンター:さらに、《漂流自我》によって相手のデッキから《黙示録、シェオルドレッド》を抜きつつ相手のサイドプランを確認できたことが大きかったです。カウンターにもなる《至高の意志》を使うタイミングを調整しつつ、3ゲーム目は毒殺にも成功しました!
ウィンター:青黒コントロール戦も《カーンの拠点》のおかげで、あと一歩というところまで追いつめることができ、可能性を感じました。
完成したデッキがこちら
ウィンター:ターボフォグ+毒殺デッキというわけでデッキ名は「毒霧」です。
おわりに
今回何とか1勝をもぎ取ることができましたが、惜しいゲーム展開も大きくプレイをしっかり詰めることで2-1や3-0も狙えそうだと思いました。自分で作ったデッキで勝利することは何よりも勝る快感です。今後はさらにプレイを磨いてデッキリストを乗せることを目指したいです。
みなさんも一度パイオニアで新しいデッキデッキ作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。もしデッキを作ったときは、僕と晴れる屋で怪しいデッキ対決をしましょう。パイオニアでお会いできることを楽しみにしています。
それではまた。