突然のニューコンボ
先ほど『第29回マジック：ザ・ギャザリング世界選手権』の一日目が終了しました。エスパーミッドレンジを筆頭に赤単アグロ、ランプ、ゴルガリミッドレンジと続き、さまざまなデッキが選択されています。
とりわけ目を引かれたのは《アガサの魂の大釜》を使った無限マナコンボでしょう。可能性の獣であったとはいえ、このアーティファクトがスタンダードのデッキとして構築され、あまつさえ世界選手権へと持ち込まれるとは夢にも思いませんでした。
世界選手権へと持ち込まれた《アガサの魂の大釜》コンボは4つであり、内訳はシミックが1つと青単色が3つ。…青単！？《囁かれる希望の神》を抜きでコンボが成り立つとは驚きを隠せません。
今回は新進気鋭のコンボデッキ、青単《アガサの魂の大釜》コンボの秘密に迫ります。
《アガサの魂の大釜》とは？
あなたがコントロールしているクリーチャーの能力を起動するためにマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。
あなたがコントロールしていて+1/+1カウンターが置かれているすべてのクリーチャーは、《アガサの魂の大釜》によって追放されているすべてのクリーチャー・カードのすべての起動型能力を持つ。
(Ｔ):墓地にあるカード1枚を対象とする。それを追放する。これによりクリーチャー・カード1枚が追放されたとき、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それの上に+1/+1カウンター1個を置く。
《アガサの魂の大釜》は墓地にあるクリーチャーカードをコストにすることで、そのクリーチャーが持っていた起動型能力を自軍へと付与します。条件は+1/+1カウンターが置かれているのみであり、《アガサの魂の大釜》以外の効果で+1/+1カウンターが配置されたとしても、その恩恵にあやかれます。
墓地対策としての役割を持ちますが、一度に追放できる枚数が少ないため《未認可霊柩車》の劣化版となってしまいます。やはり自軍へ何かしらの起動型能力を与えてこそ真価を発揮できるのです。
デッキリスト
どんなコンボ？
《アガサの魂の大釜》コンボはクリーチャーを使った無限マナ生成コンボです。《アガサの魂の大釜》と《訓練場》が出ている状態で、《お告げの行商人》と《眠り呪いのフェアリー》の内いずれかが戦場、いずれかが墓地にいれば準備完了です。ここでは《お告げの行商人》が戦場にいるていで進めます。
《アガサの魂の大釜》の能力で《眠り呪いのフェアリー》を追放し、《お告げの行商人》へ+1/+1カウンターを載せます。すると
を生成しながら、でアンタップする。《訓練場》が起動コストを減らし、《アガサの魂の大釜》がそれに必要な色マナ不問にするためです。
以降、タップとアンタップを繰り返すことで分増えていき、無限マナを加えることができます。
デッキ詳細
フィニッシュ手段
残るは無限マナの注ぎ先ですが、ここにも起動型能力を持つクリーチャーが選択されています。
《惑乱のいかさま師》はマナの分だけデッキを掘り進め、「謀議」によるバフ効果をかけていきます。このカードを追放してパワー20以上まで育てればワンパンでゲームセット。《眠り呪いのフェアリー》なら回避能力もあり、最適です。
また、自分自身で+1/+1カウンターを配置できる点も見逃せません。《アガサの魂の大釜》を起動せずに、追放されているカードの効果を得られます。
状況によっては闘ダメージ以外での勝ち手段が必要となります。ライブラリーが相手のライフ分残っていない場合や対戦相手の戦場に《黙示録、シェオルドレッド》が出ている、《放浪皇》を警戒する場合などです。そういった際は《王国焦がしのヘルカイト》の出番。
《アガサの魂の大釜》はクリーチャーの起動型能力に必要な色マナを不問にします。有り余るを《アガサの魂の大釜》経由で《王国焦がしのヘルカイト》へと注ぎ込めば、直接ライフを削れるというわけです。
サポートパーツ
コンボデッキで重要なのはいかに早くパーツを揃えて、コンボをスタートするかにあります。青には《考慮》と《手練》という最高率のライブラリー操作呪文を有しています。1マナでコンボパーツや土地を集められますし、《考慮》にいたってはコンボパーツを直接墓地へと送り込める可能性があります。
《侵攻の伝令、ローナ》は《惑乱のいかさま師》と並び、コンボパーツを集めて墓地へと送り込むスターター。ルーティングにマナが不要なため使いやすく、コンボの起点としても申し分ありません。
《アガサの魂の大釜》で《眠り呪いのフェアリー》を追放すればマナの続く限りルーティングでき、《惑乱のいかさま師》よりも割安にデッキを掘り進められます。
もしブロッカーがいるなら《高波エンジン》を墓地から追放しましょう。《惑乱のいかさま師》で強化後に、を支払うだけでブロッカーを突破してくれます。
青単《アガサの魂の大釜》コンボと聞いて喜びと興奮を禁じえず、赴くままにデッキをご紹介してきました。シミックやスゥルタイベースの構築と比べて、タップインによる出遅れや色事故の心配がなく、大量のキャントリップを詰め込めるのはメリットかと思います。コンボパーツも2マナ以下と軽く、対処されたとしても《囁かれる希望の神》ほど大きなテンポロスはありません。
2日目にはシミックが1つと青単が2つ勝ち進んでいます。《アガサの魂の大釜》は世界選手権における台風の目となるのでしょうか。今晩も配信から目が離せませんね！
気になる世界選手権2日目の配信開始時間は9月24日27時からです！パソコンや携帯電話の前で、ぜひご準備を！！(2日目の放送リンク)
