トッププロの『エルドレインの森』ドラフトに迫る!

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさん、こんにちは。晴れる屋メディアチームです。

第29回マジック:ザ・ギャザリング世界選手権』の幕が閉じ、フランスのジャン=エマニュエル・ドゥプラ/Jean-Emmanuel Depraz選手の優勝となりました。

決勝トーナメントは構築戦のため、デッキ情報ばかりが話題に上がっていますが、ちょっとお待ちを。プロツアーは2つのフォーマットで争われる形式であり、ドラフトも実施されました。

本稿ではプロツアーで実施されたもうひとつのフォーマット、ドラフトに焦点をあてていきます。最多勝を獲得したのはどの色の組み合わせだったのでしょうか。

3勝デッキの色の組み合わせ

ここでは1日目と2日目のドラフトで3勝した15名のデッキの色の組み合わせをみていきます。2日目のドラフトで3勝したプレイヤーの内2名の色が不明なため、本来よりも少ない情報となりますが、ご了承ください。

デッキカラー 使用者数
色色 2
色色 2
色 1
色 1
色色 1
色色 1
色色 1
色色 1
色色 1
色色色 1
色色色 1
色色色 1
合計 15

3勝したデッキが複数あったのは白青黒赤の組み合わせのみです。

意外だったのは単色に加えて3色以上の多色デッキも3-0している点です。序盤の出遅れが敗因となる可能性が高く2色が推奨されていますが、マナサポートを有効活用した戦略も結果を残しています。

トップアーキタイプ

ここでは複数のプレイヤーが3勝をあげた白青と黒赤のキーカードをみていきます。

麻痺海溝のシャレー孤高の聖域氷造の歩哨

白青は《麻痺海溝のシャレー》に代表されるように、相手のクリーチャーをタップすることでボーナスを得られ、そのシナジーを活かして攻めていくアーキタイプです。ブロッカーをどかしながらボーナスを得られるため、ダメージレースを有利に進められます。

しかしながらキーカードが軒並み高レアリティであり、コモンから狙いずらいアーキタイプです。複数のアンコモンを要求されるため再現性は低く、難易度の高い戦略とされています。

大群の笛吹き、トーテンタンズネズミ捕りの見習いかじりつく大合唱

黒赤は大量のネズミトークンを生成する横並び戦略です。コモンに《ネズミ捕りの見習い》《エッジウォールの群れ》《大食の害獣》とトークン生成カードが多く、形になりやすいカラーです。おまけにフィニッシュ手段である《かじりつく大合唱》までコモンにあるため、再現性の高いアーキタイプとなります。

攻撃を通す《大群の笛吹き、トーテンタンズ》に各種除去呪文とサポートも充実。最多勝デッキも納得です。

しいて弱点をあげるならば、どちらも強いカラーゆえの競争率の高さがあげられます。誰しもが黒か赤のいずれかは触りたい、できれば黒赤をと考えているのですから。

Hareruya Prosのマルシオ・カルヴァリョ選手による環境解説記事もありますので、こちらもご覧ください。各色コモントップ5やオススメアーキタイプなど参考になること間違いなしです。

多色化への抜け道

『エルドレインの森』ドラフトは2マナクリーチャーの価値が高く、「役割」やコンバットトリックなど攻撃をサポートする手段も多く、高速アーキタイプ環境です。そのため2色デッキが推奨されており、多色化は茨の道といわれています。

そんな環境にあって3色のデッキをドラフトしてキッチリと3勝をあげたプレイヤーがいました。ここではリード・デューク/Reid Duke選手とサイモン・ニールセン/Simon Nielsen選手のデッキから多色化のヒントを探っていきます。

リード・デューク:緑+青黒

根乗りのフォーン僻境との対峙僻境からの帰還案山子の導き手

サイモン・ニールセン:白緑+青

根乗りのフォーン案山子の導き手予言のプリズム眠らずの蔓茎

どちらのデッキも複数のマナサポートカードを採用しています。そのなかで両デッキに共通していたのは《根乗りのフォーン》《案山子の導き手》の2枚です。

根乗りのフォーン案山子の導き手

環境に照らし合わせると、攻防に使えるクリーチャーでありつつ色マナをサポートしてくれるカードがベストです。どちらのクリーチャーも重要なマナカーブとして位置づけられている2マナ域を埋めてくれます。《根乗りのフォーン》にいたってはマナ加速をメインとしながら、色マナサポートまで兼ね備えた2マナとは思えないデザインとなっています。タフネスは3と高めであり、《塔の点火》で落ちません。

従来の環境であれば《予言のプリズム》は多色戦略の強い味方ですが、序盤の攻防が重要な現環境においては評価を下げざるをえません。

僻境との対峙

これらに加え、デューク選手のデッキは緑のマナサポートを活かして強固なマナベースを構築しています。《僻境との対峙》《僻境からの帰還》を複数枚採用しているのです。《僻境との対峙》は1マナと軽く、色事故防止に貢献してくれる縁の下の力持ち。デッキのマナベースは9枚の《森》と3枚の《僻境との対峙》によって成り立っています。

僻境からの帰還小村の大食い

《僻境からの帰還》は単なるマナ加速ではなく、「協約」を持つ《小村の大食い》と素晴らしいシナジーを形成します。この2枚がそろえば、4ターン目にして6/6のファッティが手に入るわけですから。これら緑のマナサポートを採用した結果、土地総数を15枚まで切り詰めることに成功しています。

ドラフトラウンド無敗のデッキ

最後に2回のドラフトラウンドを無敗で切り抜けたプレイヤーのデッキリストを掲載いたします。見事6勝したのはイーライ・カシス/Eli Kassis選手ただひとりでした。

1日目ドラフト:黒赤

2日目ドラフト:黒赤

環境指針と相違なく、低マナ域の充実したドラフトデッキです。2マナ以下のクリーチャー数は1日目のデッキが9枚、2日目のデッキが6枚と十分な枚数確保されています。除去カードは4~6枚あり、攻守どちらにも対応できます。強デッキ+強者の組み合わせとくれば6勝も納得です。

墳丘のいたずら好き

共通コモンは《墳丘のいたずら好き》《自惚れた魔女》《乱入》の3種類。《墳丘のいたずら好き》は相手の2マナ域を止められる受けの強いクリーチャーであり、膠着すれば飛行を活かしてダメージを刻めるため、賞味期限の長いカードです。ほかのフェアリーとセットでの運用が理想的ですが、単体でも十分仕事をしてくれるいぶし銀的なクリーチャーなのです。

自惚れた魔女乱入

《自惚れた魔女》《乱入》はどちらもカードの効果におまけして、「役割」トークンを付与してくれます。序盤の攻防に焦点がおかれているため、戦闘を有利に進められる「役割」は見た目以上に大きな意味をもちます。

《自惚れた魔女》は回避能力持ちであり、序盤の展開を受けてダメージレースを有利に推し進めます。《乱入》はボード処理にプラスしてバフをかけるため、4~5ターン目にプレイするとゲームの趨勢を決めてしまうほどのパワーカードです。

ただやみくもにデッキを軽くするのではなく、戦闘を有利に進めるための工夫があったのです。

悪意ある呪詛術士悪意ある呪詛術士魅力的な悪漢擬態する歓楽者、ゴドリックレッドキャップのどぶ住まい紅蓮鎚、イモデーン

それにしても、1日目のデッキレア入りすぎでは?


2マナ域から始まる高速環境と言われる『エルドレインの森』ドラフト。6-0のデッキリストは軽いクリーチャーを確保しながら、ダメージレースサポートする手段がいくつも盛り込まれていました。次回のドラフトの参考になれば幸いです。

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