いま勝っているデッキは?全国の統率者戦トーナメント結果をチェック!

いってつ

いま勝っているデッキは?全国の統率者トーナメント結果をチェック!

晴れる屋メディアのいってつです。

秘儀を運ぶもの、パコ熱心な秘儀術師、ハルダン

統率者神決定戦が今週末に迫ってきました。前回は「パコ&ハルダン」の優勝に終わりましたが、今回はどんな統率者が台頭するのでしょうか。統率者戦のメタゲームには『指輪物語』『エルドレインの森』の影響が見えます。今回は10月に全国の晴れる屋で開催された統率者戦のトーナメント結果をもとに、最新のデッキリストを見ていきます。

トーナメント結果

甲府店「コルヴォルド」

フェイに呪われた王、コルヴォルド

《フェイに呪われた王、コルヴォルド》は「宝物」や「フェッチランド」と非常に相性のいい統率者で、なかでも《波止場の恐喝者》との組み合わせが暴力的なアドバンテージをもたらします。

オークの弓使い暗黒破

《オークの弓使い》の姿はここにも。対戦相手のドローを強く抑圧するだけでなく、ゲームが長引いたときの統率者によるコンバット勝利プランも支えます。一方でコルヴォルド自身も誘発型能力でドローするため、 《オークの弓使い》 が厳しいデッキです。《暗黒破》は墓地経由コンボをするこのデッキでは墓地肥し手段として機能するだけでなく、対戦相手が繰り出した《オークの弓使い》対策でもあるのです。

幻影の像ファイレクシアの変形者再活性

なぜなら、1回のゲームで登場する《オークの弓使い》は1枚や2枚ではありません。コピー、リアニメイト、さまざまな手段で戦場に何度も現れるのです。何度も現れるなら、何度でも撃てる除去で迎え撃ちます。ドローを「発掘」に置換すれば能力を誘発させることもありません。

悪辣な略奪

また、かつては《食肉鉤虐殺事件》が入っていたであろう枠に《悪辣な略奪》が見られます。《食肉鉤虐殺事件》はフィニッシュカードになりえる全体除去でしたが、中継ぎとして撃つには宝物が出る《悪辣な略奪》のほうがコルヴォルドにはあっている、という判断でしょうか。

広島店「グレンゾ」

地下牢の管理人、グレンゾ

ライブラリーの下からクリーチャーを呼び出す奇怪な統率者、《地下牢の管理人、グレンゾ》。マリガンを重ねて発見した強力なクリーチャーをあえてライブラリー下に仕込んでおくことで、打ち消されることなく戦場へ送り込むことができます。

残忍な騎士アシュノッドの供犠台波乱の悪魔

《残忍な騎士》《アシュノッドの供犠台》で生け贄にささげて2マナを生み出し、《残忍な騎士》は自身の能力でライブラリー下へ。浮いた2マナで《地下牢の管理人、グレンゾ》の能力を起動すると《残忍な騎士》が再び戦場へ戻ります。このループのとなりにクリーチャーの生き死にに反応するものがあれば勝利。

ほかにも無限頑強コンボなど、軽量なクリーチャーの組み合わせでさまざまなコンボを形成します。そもそもが打ち消しや《沈黙》で止めにくいコンボでありながら、独特な組合せが多く「初見殺し」的な強さがあります。

クローンの殻役馬ごみ引きずり

《地下牢の管理人、グレンゾ》の能力の奇怪さゆえに、そのデッキには大量のオタクカードが詰まっています。知らないカードは確実にテキストを確認しましょう。

三宮店「トラシオス&テヴェシュ」

トリトンの英雄、トラシオス愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザットディスプレイサーの仔猫

《ディスプレイサーの仔猫》をコンボの中核に据えた「猫トラ&テヴェ」と呼ばれる構築です。

《ディスプレイサーの仔猫》の能力で《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》をブリンクしてドローを重ねたり、マナクリーチャーをアンタップしたり、《呪文探求者》《永遠の証人》でコンボパーツをかき集めることも可能です。除去を打とうにもそれを《ディスプレイサーの仔猫》の「回避能力」でかわされてしまうので、妨害も非常に難しくなっています。

鏡に願いを

《鏡に願いを》を「協約」コストで唱えることができれば、《ディスプレイサーの仔猫》《永遠の証人》などコンボの要をテンポロスなく戦場に送り込むことができます。《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》から出たトークンを協約コストに充てることも可能で使い勝手はよさそうです。

福岡店「マルコム&薬瓶砕き」

鋭い目の航海士、マルコム激情の薬瓶砕き

《光り角の海賊》との1枚コンボを持つ《鋭い目の航海士、マルコム》に強力なカラー黒・赤を追加した組合せ。通称「マル&砕き」。

黒の強力なサーチからマルコム・光り角コンボを狙うだけでなく、青黒赤のカラーらしく《死の国からの脱出》コンボ、《タッサの神託者》コンボも控えています。

ネクロポーテンス最後の賭け

ティムナ& クラムなどの4色共闘との相違点として、《鋭い目の航海士、マルコム》が供給する宝物も使いつつ黒黒黒赤赤が捻出できるこのデッキでは、《ネクロポーテンス》《最後の賭け》で大量のカードから理想の7枚の手札を作りつつ1ターン獲得できるコンボも搭載されています。

高松店「ラタドラビック」

アーボーグのラタドラビック

伝説のクリーチャーが死亡するとそのコピーであるトークンを生成する統率者。この手の能力にしては珍しく、死亡したクリーチャーは墓地に残ります。

剛毅なるサムワイズ忍耐強く企む者、ゴラムナズグル

『指輪物語:中つ国の伝承』でユニークな伝説のクリーチャーを獲得しただけでなく、「指輪に誘惑される」ことで、伝説でないクリーチャーを伝説にし、《アーボーグのラタドラビック》の能力を誘発させることができるようになりました。これによりさまざまな組合せで無限コンボを形成します。

なんらかのサクり台「アルター」と《アーボーグのラタドラビック》が戦場にある。

自身の能力で指輪所持者(伝説のクリーチャー)になっている《ナズグル》を「アルター」の起動コストで生け贄に捧げる。

ラタドラビックの能力が誘発。《ナズグル》のコピーが戦場に出る。

《ナズグル》自身の能力で指輪に誘惑され、ナズグルを指輪所持者にする。

以下繰り返しでサクり台の能力を好きなだけ起動できる。

爆破基地狂気の祭壇スランの医師、ヨーグモス

とにかくコンボの組み合わせパターンが異常なまでに多く、サーチを使わずとも簡単にパーツを揃えてしまいます。追放除去以外では妨害を挟みにくく、非常に再現性の高いコンボデッキといえるでしょう。

仙台店「ハパチラ」

毒物の侍臣、ハパチラスランの医師、ヨーグモス

《スランの医師、ヨーグモス》との1枚コンボを持つ《毒物の侍臣、ハパチラ》

統率者自身が除去能力を持ちながら、コンボパーツでもあり、しかもコストが軽く再登場も容易、と非常に相手にしにくい統率者です。

オークの弓使い

《オークの弓使い》の登場以来、クリーチャーを用いてドローするコンボデッキはゲームが難しくなってしまいましたが、ハパチラ+《スランの医師、ヨーグモス》コンボではむしろいいマトです。

静岡店「ミンスクとブー」

時を超えた英雄、ミンスクとブー

サクり台と無限マナの使い道を兼ねる奇妙なプレインズウォーカーが優勝しています。

[-3]能力でブーを生け贄に捧げて自身に1点のダメージを与えるとちょうど《時を超えた英雄、ミンスクとブー》は死亡し、1枚のカードをドローします。マナが無限にあればこれを延々繰り返して無限ドローが可能です。

コンボパーツが揃わないうちは[+1]能力でブーを育て、強力なクロックで対戦相手のライフを脅かし、ゆくゆくは[-3]で生け贄に捧げて大量にドロー、コンボパーツをかき集めることも可能です。見た目以上にクリーチャーの圧力が強く、コンボを妨害するとブーに殴られ、ブーを対処しているとコンボを押し通してきます。

日本橋店「光輝の夜明け、ヘリオッド」

光輝の夜明け、ヘリオッド歪んだ日食、ヘリオッド

呪文をインスタント・タイミングで唱えられるようになり、対戦相手のドローで呪文のコストが軽減される新たなヘリオッド。今年登場したばかりの統率者です。

永劫のこだま一日のやり直し時のらせん

対戦相手のターンに7ドロー呪文を撃つことで、呪文のコストの不特定マナ部分が事実上免除されます。

転覆切望の宝石彩色の宇宙儀

バイバックコストも軽くなるため、《転覆》を2マナで撃ち続けることが可能に。色マナ3点以上出るアーティファクトと組み合わせて無限色マナが可能になります。

盲従

《タッサの神託者》のような定番のフィニッシュ手段はありませんが、このデッキには《盲従》があります。序盤に対戦相手のアーティファクトでのマナ加速を挫くだけでなく、呪文の無限キャスト無限マナが成立した際には「強請」により無限ドレインが可能です。

大宮店「旧アトラクサ」

法務官の声、アトラクサ

《法務官の声、アトラクサ》といえば、+1/+1カウンター、プレインズウォーカーとのシナジー、毒とのシナジーをもつ「増殖」が特徴です。さまざまなデッキタイプが考えられ、全体除去を握ってキープすべきか、クリーチャーを握ってキープすべきか対戦相手を悩ませますが、こちらはどれかに極端な依存はせず、4色の固有色からさまざまなコンボにアクセスしてきます。

一つの指輪求道者テゼレットTransmute Artifact

「増殖」と強力にシナジーするカードとして《一つの指輪》が挙げられます。増殖でカウンターを増やすことでアップキープに失うライフは増えてしまいますが、ドロー枚数が一気に増えます。《一つの指輪》にアクセスするためのカードも多数。

サーチカードを2枚使ってコンボを揃えるのもいいですが、サーチカード1枚から《一つの指輪》を得れば、大量のドローで妨害札とともにコンボパーツをかき集めることができます。

郡山店「ウルザ」

最高工匠卿、ウルザ

かつて、「青単ガチ統率者といえばウルザ」という時代がありました。「共闘であらずんばデッキにあらず」とも言われる現在の厳しい環境に逆行するように再び浮上してきました。

船砕きの怪物変身変幻の杖

すこし懐かしいような気もする、「変身型」が優勝しています。デッキ内のクリーチャーを《船砕きの怪物》《潮吹きの暴君》だけにしておき、《最高工匠卿、ウルザ》から出る構築物・トークンを《変身》《変幻の杖》することで確定で戦場に呼び出せるという構造です。

クリーチャーの打点が重視されるようになったことで、ブロッカーをたてにくい変身コンボは数を減らしていました。クリーチャーの攻撃からライフを守りにくい→ライフがすぐ減ってしまうので、打ち消しなどのバックアップがなくてもコンボを始動せざるをえない→妨害に対応できず失敗するというゲームパターンが増えてしまったからです。

ある程度クリーチャーをとりながら《ディスプレイサーの仔猫》といったクリーチャーコンボ、《原初の潮流、ネザール》《大いなる歪み、コジレック》といったぶっといクリーチャーを使うデッキが主流になりつつありました。
参考:吉祥寺店TOP4のウルザ

鏡細工

最近みかけるようになった変わり種、《鏡細工》が採用されています。これは《一つの指輪》をコピーできる呪文であり、対戦相手の《一つの指輪》をコピーするだけでなく、自分の《一つの指輪》をコピーしてプロテクションをもう一度得ることも可能です。

一つの指輪

《一つの指輪》がもたらすプロテクションは本来なかったはずの1ターンを追加できるのです。この1ターン+3ドローにより、バックアップを用意した状態でコンボに突入しやすくなったのです。

大須店「ヨーグモス」

スランの医師、ヨーグモス

「不死」クリーチャー2体を揃えれば無限ドローとなる《スランの医師、ヨーグモス》。そのボードコントロール力は圧巻で、クリーチャーがキャントリップつきの除去になってしまうのです。

打ち消しで妨害されにくいクリーチャーコンボに対し、除去能力を持つ統率者は強い抑止力を持ちます。

鏡に願いを

このデッキにも《鏡に願いを》が採用されています。ヨーグモスの起動コストのために0マナアーティファクトクリーチャーやクリーチャートークンを生み出すカードを大量投入しているこのデッキでは協約コストはあってないようなものであり、コンボパーツやハイシナジーカードにテンポロスなくアクセスできます。

オークの弓使いの影響

オークの弓使い

モダンやレガシーで猛威を振るう《オークの弓使い》の強さは統率者戦でも本物です。今回掲載した黒いデッキリストすべてに《オークの弓使い》が含まれています。

先日、コマンダーサミットのなかで行われた歴代統率者神4人によるエキシビションマッチでも《オークの弓使い》はゲームの行く末を大きく左右していました。

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム

《オークの弓使い》が登場した当初、これは「緑を滅ぼし、ティムナ&クラムを強化するカード」だととららえられていました。それはけっして間違いではありません。しかし、現状《オークの弓使い》がもっとも苦しめているデッキのひとつがティムナ&クラムなのです。

軽量なクリーチャーのコンバットによってドローを重ねる《織り手のティムナ》に対し、瞬速でブロッカーをたてるだけでなく、仮にドローをできたとしてもその種であるクリーチャーを焼かれたり、ライフを詰められてしまいます。

《オークの弓使い》は黒なら入れない理由を探す方が難しいほど強力なカードであり、今週末にひかえた第6期統率者神挑戦者決定戦でも猛威を振るうのは間違いありません。

幻影の像ファイレクシアの変形者機械神の肖像

《オークの弓使い》対策としてもっとも有効なのは《オークの弓使い》をコピーすることだという発想から、青いデッキにはコピーカードの採用が増えています。

展望

この10月に全国各地で行われた統率者戦のトーナメントの結果を見ていきました。

今週末にひかえた統率者神決定戦はいったいどんなデッキが勝利するのでしょうか。

参加できないという方もぜひ生放送で観戦ください!

それではみなさん、統率者戦のテーブルでお会いしましょう。

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いってつ 晴れる屋メディアライターです。最近の悩みは記事執筆と動画出演で忙しくて統率者戦が1日2回くらいしか遊べないこと。 いってつの記事はこちら