ジャッジと一緒にルールを学ぼう! ~『イクサラン:失われし洞窟』編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさんこんにちは、晴れる屋メディアチーム所属・認定レベル1ジャッジの島田と申します。

ジャッジと一緒にルールを学ぼう!』では、ゲームでよく使われているカードやジャッジをしていてよく聞かれるルール”のみ”に焦点を絞り、回ごとのテーマに合わせて例を挙げ・極力わかりやすく説明していきたいと思います。

この記事が少しでもみなさんのルール理解に繋がり、ひいてはマジックの楽しさを増すことに繋がれば幸いです。

※2023/10/13時点のマジック総合ルールに基づいています。特に新カードに関するルールのため、今後のルール改定などで内容に齟齬が発生する可能性があることをご了承ください。
※文章の都合上、表現を簡略化・省略している場合があります。
※本記事は複数のジャッジが監修していますが、誤りや疑問点を見つけましたら遠慮なくお問い合わせページまでご指摘ください。

今回のテーマ

今回のテーマは『イクサラン:失われし洞窟』で新登場する能力です。いつもより新しいメカニズムが多いですね。

「作製」
「発見」
「落魄」
「落魄N」(Nには数字が入ります)
「底なしの落魄」
「地図・トークン」
「探検」
「最終カウンター」

新しいカードのルールなので、詳細な解説というよりはプレリリース前の予習として軽くイメージをつかむための軽い記事としてご覧ください。

それでは始めましょう。

材料さえあれば、なんでも「作製」してみせる

作製/Craft」は何枚かの両面カードが持っている起動型能力で、起動するとその両面カードをより良い第2面(裏面)に変身させることができます。

沈没船沈没船

能力を起動するためにはマナに加えて、そのカード自身および「作製」能力で指定されたものをコストとして、あなたの戦場や墓地から追放します。たとえば「島で作製3U」を持つ《沈没船》を変身させたい場合、「4マナ+《沈没船》自身を追放+自分がコントロールしている《島》か、自分の墓地にある《島》を1枚追放」といろんなコストが必要になります。《島》は墓地から追放したほうがアドバンテージ的にお得ですね。

Captain Storm, Cosmium Raider

「作製」能力が解決すると、そのカードは一度追放されてから第2面で戦場に出ます。変身前にオーラが付いていたり、カウンターが乗っていたら、それらはすべて外れます。また、戦場に出た扱いになるので、このセットに何枚かある「アーティファクトが戦場に出たとき」などの条件を満たします。

カードに書かれている通り、戻ってくるときはオーナーのコントロール下で出ます。なので、相手の「作製」持ちカードのコントロールを奪ってから「作製」で変身させると相手の戦場に戻ってしまい、大損します。海賊に厳しい仕様ですね。

「作製」できるのは自分がソーサリーを唱えられるタイミング(だいたいの場合、自分のメインフェイズ)だけです。破壊されそうになったので、変身して華麗に回避!は基本的にできません。残念……

「作製」でコストを支払って追放するのは能力を起動するときなので、起動した時点ですでにそれらのカードは追放されています。なので、相手が「作製」したのを確認してからそのカードを破壊したり、墓地を追放して起動を阻止することはできません。相手の「作製」を阻止したければ、ソーサリータイミングでしか使えないことを利用してアップキープなどに妨害するといいでしょう。

奇怪な宝石奇怪な宝石

条件を満たしていればトークンも作製コストにできますが、もし変身した後で「作製するために追放されたカード」を聞かれた場合、トークンはカードではないのでそれに含めることができません。たとえば《奇怪な宝石》を「作製」する際に宝物・トークンを追放した場合、第2面の《啓蒙の神座》は宝物・トークンの起動型能力を持ちません。

サヒーリの格子サヒーリの格子

作製コストのなかには《サヒーリの格子》の「恐竜1つ以上で作製」など、複数のものをコストとして支払えるものもあります。その場合は1つだけ支払ってもたくさん支払っても良いですし、自分がコントロールしているものと自分の墓地にあるものを混ぜて支払えます。「戦場の恐竜を1体+墓地の恐竜を3体追放」という支払い方もできます。

「作製」には手間がかかりますが、その分第2面はとても強力。なるべく効率よくコストを用意して、古代の秘宝で相手を圧倒しましょう。

宝を「発見」するため、我々は地下世界の奥地へと向かった

発見/Discover」は、ライブラリーから何かを発見できる新能力です。動きとしては「続唱」にかなり近く、ライブラリーを上から順に追放していって条件に合ったカードを唱えたりできます。とはいえ、いくつか違いがあるので見ていきましょう。

Geological Appraiser

「発見」の後ろには数字が付いていて、「マナ総量がその数字以下」かつ「土地でない」カードが追放されるまでライブラリーの一番上のカードを順番に追放していきます。条件を満たすカードが追放されたら、あなたはその「発見」したカードをマナコストを払わずに唱えるか、手札に加えるか選ぶことができます。追放されたそれ以外のカードは、シャッフルしてライブラリーの一番下に戻します。

たとえばあなたが「発見3」を行うなら、あなたは自分のライブラリーをマナ総量が3以下で土地以外のカードが出てくるまで追放して、最初に追放された3マナ以下のカードをタダで唱えたり手札に加えたりできます。もし条件を満たすカードが1枚も追放されなかったら、残念ながら何も「発見」できませんでした。追放されたカードたちはシャッフルされ、ライブラリーに戻ります。

内省

「発見」したカードを唱えなかった場合のほかに、たとえば《内省》を唱えようと思ったけどプロテクション(青)のクリーチャーしかコントロールしてなかった!など、適正な対象がなかったりしてうまく唱えられない場合も、そのカードは手札に加わります。手札に加える選択肢があるのが「続唱」との大きな違いです。

「発見」したカードが「モードを持つ両面カード」や「出来事」を持つカードだった場合、第2面の側や「出来事」側で唱えることも選べます。ただし、(なぜかカードの注釈文では省略されていますが)「続唱」と同様に公開して追放するときも唱えるときも両方「マナ総量が発見の値以下である」という制限を満たす必要があります。

嘘の神、ヴァルキー嘘の神、ヴァルキーイモデーンの徴募兵

たとえば「発見4」で《嘘の神、ヴァルキー》が追放されたとき、唱えられるのはマナ総量が4以下である《嘘の神、ヴァルキー》だけです。《星界の騙し屋、ティボルト》として唱えることはできません。「発見5」で《イモデーンの徴募兵》が公開された場合は、《イモデーンの徴募兵》で唱えることも《兵団の訓練》で唱えることも選べます。ここで《兵団の訓練》として唱えるとそれは「進行中の出来事」になり、後で《イモデーンの徴募兵》として唱えるチャンスも来ます(そのときは普通にコストを払ってください)。これが「発見3」だった場合、そのときに唱えられるのは《イモデーンの徴募兵》だけです。

「マナコストを支払わずに唱える」の例に漏れず、「発見」で唱えるときは「想起」や「奇襲」などの代替コストは支払えず、「キッカー」や「協約」などの追加コストは支払えます(追加コストの分は無料にはなりません。もし追加コストが必須ならそれを払う必要があり、払えなければ手札に加わります)。また、マナコストに含まれるXは0に固定されます。

「続唱」のドキドキ感はそのままに、追放したカードを手札に加えることも選べるようになった「発見」。良いカードが追放されるよう、今から心の準備をしておきましょう。でも、勢い余って余分なカードまで追放しないように。

夢破れて「落魄」してもそこで終わりじゃない

落魄/Descend」(「らくはく」と読むようです)および「落魄N/Descend N」「底なしの落魄/Fathomless Descent」は、パーマネント・カードが墓地に置かれることに関係する新能力です。

日本語版だと分かりにくいですが、『イクサランの相克』の「昇殿/Ascend」と対になってるんですね。「落魄」と「落魄N」や「底なしの落魄」は、名前はそっくりですが少し動きが異なります。順番に見ていきましょう。

「落魄」の場合

遺跡潜みのコウモリ

《遺跡潜みのコウモリ》の「あなたの終了ステップの開始時に、このターンにあなたが落魄していた場合」という能力の場合、パーマネント・カード(クリーチャー・土地・アーティファクト・エンチャント・プレインズウォーカー・バトルのどれか)がこのターンあなたの墓地に置かれていたら「落魄」していたことになります。

このとき「墓地に置かれたフェイズやステップ」「墓地に置かれた後どうなったか」「どこから墓地に置かれたか」「何枚置かれたか(ただし《帝王マイコイド》を除く)」などは一切気にしません。このターン置かれたか、そうでないかだけを見ます。ライブラリーや手札などから墓地に置かれた場合もチェックするタイプの能力は、めずらしいかもしれません。忘れやすいので注意しましょう。

「パーマネント・カード」だけをチェックするので、トークンが墓地に置かれても条件を満たしません。また両面カードの場合、第1面(表面)だけを見ます。墓地に置かれる前にどんな状態だったとしても、第1面がパーマネント・カードであれば「落魄」します。

たとえば《アラーラへの侵攻》/《大渦の目覚め》は、第1面はバトルで第2面はソーサリーです。ここで《大渦の目覚め》を唱えたとき、それが墓地に置かれるときは《アラーラへの侵攻》(バトルなので、パーマネント・カード)扱いなので「落魄」します。

Selfless GlyphweaverSelfless Glyphweaverエメリアの呼び声エメリアの呼び声

モードを持つ両面カードも同様で、《無私の象形織り》/《命取りのうぬぼれ》(第1面がクリーチャーで第2面がソーサリー)のように第1面がパーマネント・カードなら第2面を唱えて墓地に置かれると「落魄」します。逆パターンの《エメリアの呼び声》/《砕け散ったスカイクレイブ、エメリア》(第1面がソーサリーで第2面が土地)の場合は、土地の状態で破壊されても「落魄」しません。

もし終了ステップの開始時に「落魄」していなかった場合、《遺跡潜みのコウモリ》の能力は誘発しません。終了ステップになってから慌ててカードを墓地に置いても、誘発をチェックするタイミングは過ぎています。誘発させたい場合はメインフェイズまでにやっておきましょう。

帝王マイコイド不可思の一瞥

《帝王マイコイド》だけはあなたが「落魄」した回数をチェックします。1枚置かれたら1回「落魄」したことになるので、「このターンあなたの墓地に置かれたパーマネント・カードの枚数」と同じですね。たとえば1枚の《不可思の一瞥》でパーマネント・カードがまとめて10枚墓地に置かれたら、10回「落魄」したことになります。すごいコンボの気配!

「落魄N」や「底なしの落魄」の場合

「落魄N」「底なしの落魄」を持つカードは、あなたの墓地にあるパーマネント・カードの枚数を見ます。「落魄4」や「落魄8」の場合、それぞれあなたの墓地に4枚/8枚以上パーマネント・カードがあれば条件が達成されていることになり、何らかの追加効果が得られます。

残響の議会

もし《残響の議会》のように誘発型能力で「落魄N」の条件を満たしているかチェックする場合、それはいわゆる「if節」で誘発するときと解決するときの2回チェックを行います。誘発してから解決するまでの間に墓地のパーマネント・カードが条件の数未満(たとえば「落魄4」なら3枚以下)になってしまうと、解決時に何も起こらなくなります。相手が墓地対策を持っている場合は要注意。

恐怖の潮流

「底なしの落魄」は名前通り底なしで、あなたの墓地にあるパーマネント・カードの枚数によって0から無限(は言いすぎですが)に効果が変化します。このとき、数をチェックするのは呪文や能力の解決時です。たとえば《恐怖の潮流》の場合、唱えてから解決されるまでの間に墓地のパーマネント・カードの枚数が変わるとマイナス修整の値が変動します。これも墓地対策による妨害に注意ですね。

大いなる扉、マツァラントリ大いなる扉、マツァラントリ

ただしマナ能力である《中心核》だけは特殊で、「底なしの落魄」な起動型能力がマナ能力であるため対応して何かすることができません。起動したのに墓地を追放されてマナが足りない!という最悪の事態は避けられます。

墓地をチェックする能力はたくさんありますが、気にしていないときは意外と忘れてしまいがち。「落魄」し忘れにご注意を。

「探検」に繰り出すときは「地図」をお忘れなく

地図・トークン/Map Token」は、宝物・トークンや食物・トークンのような新しい定義済みトークンです。地図・トークンを生け贄に捧げることで、あなたのクリーチャーを「探検」させることができます。

地図・トークンは「アーティファクト – 地図」のタイプと「1, T, このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それは探検を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。」の能力を持ちます。

「え、探検を行うって何?」という方もたくさんいらっしゃると思います。なんせ「探検/Explore」(カードの《探検》と紛らわしいですね)は通常セットで登場するのが5年半ぶりなので、ここで合わせて紹介します。

Cenote ScoutOver the Edge

「探検」はさまざまなカードで発生する効果で、「あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象とする。それは探検を行う。」「○○が戦場に出たとき、それは探検を行う。」と書かれている通りクリーチャーが行う処理です。

あなたがコントロールしているクリーチャーが「探検」を行うとき、あなたは自分のライブラリーの一番上のカードを公開します。それが、

・土地カード→自動的に手札に加わる

・それ以外→「探検」したクリーチャーの上に+1/+1カウンターを1つ置き、公開したカードを墓地に置くか山札の上に残すか選ぶ

という処理が発生します。この処理はひとまとまりなので、土地以外のカードが公開されてから+1/+1カウンターが置かれる前にそのクリーチャーを除去!みたいなことはできません。

川守りの案内人

「地図・トークン」などでクリーチャーを対象に取って「探検」させる場合、その解決前に対象にしたクリーチャーが戦場を離れていたら「探検」できません。一方《川守りの案内人》などで対象を取らずに「探検」する場合、解決する前にそのクリーチャーが戦場を離れていても「探検」できます。戦場にいないので土地以外が公開されても+1/+1カウンターを置くことはできませんが、それ以外の処理はそのまま行います。また「クリーチャー1体が探検するたび」のような効果も誘発します。いなくなったのに「探検」だけが行われるの、ちょっと怖いな。

翡翠光の洞窟探検家

《翡翠光の洞窟探検家》の「X回探検を行う。」のように1つの効果で複数回「探検」を行う場合、1回目で土地以外のカードを公開してそのまま一番上に戻したら2回目もそれを公開することになります。また、それぞれの「探検」の間に別の行動を挟むことはできません。妨害やほかのライブラリー操作をしたい場合は、能力が解決されて1回目の「探検」が始まる前に行いましょう。

「探検」はランダム性があるものの、土地を手に入れたりクリーチャーを強化したり墓地を増やしたりといろんな使い方ができる便利な能力です。基本的にクリーチャーがいないと「探検」できないので、ご利用の際は探検要員の確保をお忘れなく。

お前はもう「最終カウンター」が乗っている

未練残り取り憑かれたスカーブ

最終カウンター/Finality counter」は、パーマネントの死後の行き先を変えるカウンターの一種です。《未練残り》《取り憑かれたスカーブ》などが持っている制限がカウンターに形を変えたイメージですね。

Intrepid PaleontologistQueen's Bay Paladin

「最終カウンター」が乗ったパーマネントが死亡する(戦場から墓地に置かれる)とき、それは代わりに追放されます。このとき墓地に行く瞬間はないので、「死亡したとき」などの能力は誘発しません。またこれはパーマネントの能力ではないので、《激しい叱責》などで能力を失わせても追放されることは防げません。

逆に最終カウンターを取り除けば、そのパーマネントは追放の運命を免れます。また手札に戻る場合など、墓地以外に行くときは最終カウンターは働きません。通常と変わらず、そのパーマネントは手札などに移動します。

1つのパーマネントに最終カウンターを複数乗せられますが、特に意味はありません。ただ、あなたが何かの効果でカウンターを自由に移動させられる場合、相手のクリーチャーに最終カウンターを押し付けて、死亡したときの能力を妨害することができます。そういう戦術のためなら、最終カウンターをたくさん乗せておくのもいいでしょう。

これまでも「最終カウンター」と似た効果は存在しましたが、カウンターの形になったことでいろんな応用が利くようになりました。基本的にはペナルティ効果のように思えますが、工夫すれば新しいコンボが見つかるかもしれません。

おわりに

今回の記事で紹介できるのはここまでです。ほかにもたくさん気になることがあると思いますので、そのときはプレリリースの会場でジャッジに質問するか、晴れる屋Discordのルール質問チャンネルでご質問ください。

また冒頭にも書きましたが、新カードに関するルールは、今後の発表やルール変更で内容が変わる場合があります。最新のルールをチェックして、気になることはその都度ジャッジにご質問ください。

それではみなさま、次のイベントでお会いしましょう。また次回!

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