Just Nowスタンダード! vol.7 -最新トレンドはメンター!《僧院の導師》が大人気-

紳さん

はじめに

みなさん、こんにちは。スタンダード担当の紳さんです。

「Just Nowスタンダード!」では、主なスタンダードの大会結果をまとめてお伝えします。入賞したデッキを紹介しながら、注目のカードやメタゲームの様相、デッキテクニックなどに触れていきますので、参考になれば幸いです。

今回は2024年最初に開催された『Standard Challenge』の大会結果と、大流行中の《僧院の導師》(メンター)デッキについて紹介していきます!

1/6(土)『Standard Challenge 32』

まずはマジックオンライン上で行われた『Standard Challenge 32』の結果です。

  • 優勝 毒性アグロ
  • 準優勝 毒性アグロ
  • 3位 版図ランプ
  • 4位 ラクドスミッドレンジ
  • 5位 ラクドスコントロール
  • 6位 ゴルガリミッドレンジ
  • 7位 アゾリウス兵士
  • 8位 ラクドスミッドレンジ

トップ8デッキリスト

毒性アグロの1、2フィニッシュとなりました。毒性アグロは『ファイレクシア:完全なる統一』リリース後に新たに誕生したアーキタイプで、最近ではめっきり使用者が減っていましたが、ここ最近で目覚ましい活躍を見せています。

優勝 「毒性アグロ」

優勝した毒性アグロのリストがこちらです。

敬慕される腐敗僧這い回る合唱者離反ダニ、スクレルヴ

毒性を持つ1マナクリーチャーを12体採用し、序盤からガンガン毒・カウンターを与えるアグロ戦略をとります。

赤単やアゾリウス兵士といったほかのアグロデッキと比べ、「ライフ回復による対策」が効かないという点でこの戦略は優れています。対戦相手のライフがどんなにあろうとも毒・カウンターを10個与えれば即座に勝利です。

偉大なる統一者、アトラクサ怒りの大天使群れの渡り

とくに現スタンダード最強デッキとされる版図ランプには豊富な回復手段があり、これまでにも数々のアグロ戦略を打破してきましたが、毒性アグロだけは乗り越えることができないことも今回の大会結果につながっているのではないでしょうか。

敬慕される腐敗僧渦巻く霧の行進血清の罠

毒性を持つクリーチャーは全体的に小粒なため、ブロッカーとしてサイズが大きいクリーチャーが並ぶと攻撃の手が止まってしまいます。

そんな状況でも《敬慕される腐敗僧》がいれば《渦巻く霧の行進》《血清の罠》とのコンボで毒・カウンターを与えて勝利することが可能です。《渦巻く霧の行進》《一時的封鎖》《太陽降下》のような全体除去をかわすのにも役立ちますね。

種子中枢

「タップイン土地を許容できないアグロデッキでありながら3色」という難点も、《種子中枢》を4枚採用することにより安定したマナベースを構築できているようです。

「ライフ回復やブロッカーで対抗できないアグロ」と文字にすると最強デッキのように思えてきます。これまで目立った活躍をしてこなかったのがウソのようですね!今後も台風の目となるでしょうか。

1/7(日)『Standard Challenge 64』

つづいて『Standard Challenge 64』の結果です。

  • 優勝 赤単
  • 準優勝 スライムローム
  • 3位 エスパーミッドレンジ
  • 4位 パワーストーンランプ
  • 5位 ラクドスミッドレンジ
  • 6位 赤単
  • 7位 赤単
  • 8位 毒性アグロ

トップ8デッキリスト

新年早々に104名が参加した大型大会となりました。優勝を含めて赤単が多く入賞し、さすがの安定感です。

優勝 「赤単」

こちらは現在のところ、赤単の最適解とされているリストです。

各カードの採用枚数に多少のバラつきがありますが、6位と7位に入賞した赤単もほぼ同じ構築になっています。

僧院の速槍フェニックスの雛擬態する歓楽者、ゴドリック怪しげな統治者、スクイー

入賞した3つの赤単デッキの違いは、土地を除くと《僧院の速槍》《フェニックスの雛》《擬態する歓楽者、ゴドリック》《怪しげな統治者、スクイー》の各採用枚数に多少のバラつきがありました。

とくに優勝したデッキは《僧院の速槍》の採用枚数が2枚と、やや意外な構築です。赤単においては4枚必須のカードかと思われましたが、研究は進んでいるようですね。

熊野と渇苛斬の対峙ロノムの発掘家、フェルドン擬態する歓楽者、ゴドリック

1ターン目にプレイするベストなカードが《熊野と渇苛斬の対峙》と考えたとき、2ターン目には《ロノムの発掘家、フェルドン》、3ターン目には《擬態する歓楽者、ゴドリック》or《怪しげな統治者、スクイー》をプレイするのが理想的なデッキの回りとなります。

《僧院の速槍》は強力なカードですが、どのタイミングにおいてもベストカードとなる瞬間がなく、優先度が少しだけ下がったのかもしれません。

火遊び稲妻の一撃魔女跡追いの激情

防御側のプレイヤーからすると《僧院の速槍》の果敢が誘発するなら除去するし、しないならスルー」といった選択ができる場面も多く、同じパワー1の速攻アタッカーならば《フェニックスの雛》の方が飛行と墓地から蘇る能力を持つ分、優秀です。

もはや説明不要の強さを誇る赤単ですが、同じデッキでもこういった細かな構築の違いで他プレイヤーとの差をつけることができそうですね。

準優勝 「スライムローム」

準優勝したスライムロームは、《太陽の執事長、インティ》と各種「魂力」土地のコンボが注目されている最新のリストです。

太陽の執事長、インティ天上都市、大田原見捨てられたぬかるみ、竹沼

魂力によって手札から土地を捨てることで《太陽の執事長、インティ》の能力が誘発するので、《天上都市、大田原》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》の起動型能力をより強く使うことができます。

大スライム、スローグルク

このデッキの主役である《大スライム、スローグルク》墓地に土地が置かれるたびに強化される上に、場を離れれば《天上都市、大田原》《見捨てられたぬかるみ、竹沼》を墓地から手札に回収できるなど、魂力土地を何度でも使いまわせる優秀なクリーチャーです。

とくに《見捨てられたぬかるみ、竹沼》《大スライム、スローグルク》を墓地から回収すれば、半永久的にアドバンテージを得ることができます。

壌土からの生命

ちなみにデッキ名の由来となる「ローム」とは《壌土からの生命》(英名:Life from the Loam)のことです。《大スライム、スローグルク》が戦場を離れたときに誘発する「墓地にある土地カードを最大3枚まで回収できる能力」は《壌土からの生命》そのものですね。

「戦場を離れたとき」なので、たとえ《大スライム、スローグルク》が追放されたとしても能力が誘発するのは頼もしいです。

侵攻の伝令、ローナグリッサ・サンスレイヤー復活したアーテイ

また、このデッキに採用されているクリーチャーはすべて伝説であり、魂力のコストを下げるのに役立ちます。《天上都市、大田原》が1マナで起動できる上に、何度でも使いまわせると考えれば無敵のバウンスカードです。あらゆる場面でも対応することができそうですね!

《侵攻の伝令、ローナ》のルーター能力は《太陽の執事長、インティ》《大スライム、スローグルク》の両方とシナジーを形成し、足りないパーツを探すのに重宝するデッキの潤滑油となります。

ガイアの声、ティタニア

さらに、このデッキにおける《ガイアの声、ティタニア》はとてつもない量のライフ回復をもたらしてくれます。土地が墓地に置かれるたびに2点のライフが得られるため、一見苦手そうなアグロデッキ相手にも対等に渡り合うことができそうです。

未認可霊柩車告別

このデッキはとても強力なコンボを内蔵する反面、墓地対策というシンプルな弱点が存在します。とくに《告別》に関しては壊滅的な損害をこうむるため、《復活したアーテイ》でなんとしても打ち消したいところです。

また、デッキ60枚中29枚が土地という構築であるため、マナフラッドによる土地事故はたびたび起こり得るでしょう。序盤に《侵攻の伝令、ローナ》《太陽の執事長、インティ》《大スライム、スローグルク》のいずれかを引き込めないとかなり苦戦しそうです。

難しい場面も多そうですが、今回の準優勝という実績もあり、単なるローグデッキでは済ませられないデッキパワーがありそうですね!今後も要注目です。

人気急上昇デッキ 「メンター」

それでは最後に、噂の注目デッキ「メンター」を紹介させていただきます。

昨年度末に行われた『Standard Challenge 32』にて準優勝という成績を収めたデッキですが、ここ最近で使用者が急激に増えているようです。

僧院の導師

古参プレイヤーは《僧院の導師》の恐ろしさを身をもって体感していると思いますが、クリーチャーでない呪文を唱えるたびに果敢を持った1/1トークンが戦場に出るのは脅威です。

ただし、それはレガシーやヴィンテージのようにピッチスペルや0マナアーティファクトが横行する世界の話であり、スタンダードではさほど強い使い方が発見されていませんでした。

切り崩し喉首狙い石術の連射

そもそも、現スタンダード環境には《僧院の導師》を簡単に対処できる除去が多すぎることもあり、《僧院の導師》を軸としたデッキ構築はとても難しいものです。実際、『機械兵団の進軍』で再録されて以降、メンターが大会で結果を出したという話は聞こえてきませんでした。

救いの手

そんななか、『イクサラン:失われし洞窟』で登場した《救いの手》がまさに《僧院の導師》にとって救いの手となります。わずか1マナで墓地から3マナ以下のクリーチャーを釣り上げられるこのカードの登場で「メンター」が現在のスタンダードに蘇りました。

傲慢なジン

《救いの手》《僧院の導師》だけではなく《傲慢なジン》を釣り上げられることもポイントが高く、実質的に3マナのフィニッシャーを8枚体制にできることがこのデッキのパワーを底上げしています。

《かき消し》《否認》を構えながら《救いの手》を唱えるといった強力な動きがわずか土地3枚で実現できるのも大きな魅力で、軽い呪文を唱えながら軽いフィニッシャーにつなげることが可能となります。

再稼働

《救いの手》ほど便利ではありませんが《再稼働》のような同じ役割のカードも存在するため、デッキの動きをより安定させることにも成功しました。

考慮切り崩し強迫

1マナのクリーチャーではない呪文も粒揃いです。手札にあれば《僧院の導師》の能力を誘発させますし、墓地に落ちれば《傲慢なジン》のパワーが上がります。

航路の作成異世界の凝視錠前破りのいたずら屋

墓地を肥やしながらキーカードを探しにいく手段も豊富で、デッキの理想的な動きを毎ゲーム再現することができそうです。

秘密を掘り下げる者

また、今回紹介したデッキでは採用されておりませんでしたが、《秘密を掘り下げる者》もこのデッキと相性は良さそうです。とくにサイド後は墓地対策をされて《傲慢なジン》が無力化される可能性も高いので、入れ替えるのも悪くないと思いました。

僧院の導師傲慢なジン救いの手

現在、エスパー以外にも黒を採用しないアゾリウスメンターなるデッキの研究も進んでいるようです。

主な大会での実績こそ少ないですが、軽い呪文+軽いフィニッシャーというデッキコンセプト自体がめちゃくちゃ強いので、今後かなり有力なデッキに成長するのではないかと予想します!

おわりに

環境が煮詰まってきたかと思いきや、ここにきてスライムロームとメンターという2つの注目デッキが急浮上!

来月には『カルロフ邸殺人事件』も控えており、スタンダードはますます目が離せない環境となってまいりました。今後もJust Nowスタンダード!では最新の大会結果を中心に楽しい情報をお伝えしていきます。

最後まで読んでくださりありがとうございました。それではまた!

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紳さん マジック愛に生きるフリーライターです。モダン、パイオニア、スタンダードでローグデッキを使い、勝利を目指す! 至って真剣勝負の毎日です。 紳さんの記事はこちら